スター精密株式会社は、「工作機械事業」と「小型プリンター事業」を二本柱とする静岡を拠点とする大手精密機器メーカーです。
自動旋盤(NC工作機械)では自動車や半導体業界の部品製造を支え、小型プリンターではスターバックスのラベル印刷など、小売業界を中心に幅広く採用されています。
工作機械事業は売上全体の8割以上を占め、そこで培った技術を活かして医療分野にも進出。伝統的な製造技術と革新的なソリューション提供力を融合し、持続的な成長を続けています。
中期経営計画1000億円の壁。属人化したExcel管理と分断されたサービス情報が成長の足枷に
売上1000億円という中期経営目標の達成には、主力である工作機械事業のシェア拡大が不可欠でした。
しかし営業現場では長年Excelによる案件管理が続き、活動が個人の経験に依存していました。属人化が進み、「待ち」の営業から脱却できず、ミーティング資料のための二重入力も常態化していました。
一方アフターサービス部門では、既存CRMが硬直化しており、顧客要望に応じた改修が困難。サービス実績が分析されず、品質改善にも活かせない状況でした。
営業とサービスの情報が分断されていたことが、全社的なスケールアップの大きな障壁となっていたのです。
「入力が不安になるほど」の効率化
まず営業部門にSales Cloudを導入。徹底した業務棚卸しを行い、入力項目を必要最小限に絞り込むことで現場負担を劇的に軽減しました。
Excel時代の二重入力は解消され、ミーティング資料も自動生成が可能に。営業担当者からは「入力が少なくて不安になるほど」との声が上がるほど効率化が進み、事務作業時間は従来の半分以下に削減されました。
スマートフォンアプリの利便性も高く評価され、導入からわずか1か月で定着。属人化していた営業プロセスが標準化され、創出された時間を「攻め」の営業に活かせるようになりました。
サービスデータを“未来の商機”に
次にアフターサービス部門の旧CRMをField Serviceに刷新。納品機器のシリアルナンバーや稼働年数などの情報を一元管理できるようになりました。
これらのデータを分析することで、従来は勘に頼っていたリプレイス(買い替え)傾向を定量的に把握し、最適なタイミングでの営業フォローを実現。
さらに現場で得られる「お客様の声」をデータとして集約し、開発・技術部門にフィードバック。製品改良やサービス品質の向上にもつなげています。
これは部門間の壁を取り払うための“情報の大動脈”です。営業とサービスが互いのデータを見られるようになり、単なる効率化を超えて、未来の商機を見逃さない体制へと進化しています。
渡辺 弘輝 氏コーポレート本部 情報システム部 事業システム管理室, スター精密株式会社
選定の決め手は、将来的な拡張を見据えた「システム連携性」と、社内での運用を可能にする「メンテナンスの容易さ」でした。
しかし真の価値は「人」と「エコシステム」にあります。Salesforceの営業担当者は導入前から親身に寄り添い、あらゆる課題に応えてくれました。
さらに基幹システム刷新とSalesforce導入のパートナーが同一(日立ソリューションズ)であったことも大きな成功要因です。ベンダー間調整が不要となり、プロジェクトは驚くほどスムーズに進行。
この強固なサポート体制こそが、同社のDXを支える礎となっています。