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最終更新日:2024.4.11

営業戦略とは?分析のフレームワークと成功事例、今日から使える具体的な立て方を解説

営業戦略は、具体的な施策を立案するための拠り所です。戦略がしっかり立っていると、そのために何をすべきかも明確に見えてきます。営業戦略の基本的な考え方と立案の仕方について解説します

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営業組織を強化し、 売上向上に繋がる資料3点セット

営業戦略で抑えるべきことは、たった3つだけ。売る製品も、顧客・テリトリーも、価格も決まっている中で、確実に売り上げを上げるための営業戦略の秘訣をお伝えします。

表:内部環境分析(自社の強み・弱みの把握)

リソース分析 自社の営業担当者のスキルレベル、人数、予算、保有している顧客データ、技術力、ブランド力などを洗い出します。何が強みで、何が不足しているのかを明確にしましょう。
過去の営業実績分析 過去の売上データや成約率、失注理由、顧客単価などを分析し、成功パターンや課題点を抽出します。SFA/CRMを活用している場合は、そのデータを最大限に活用しましょう。
SWOT分析の活用 自社の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」を整理します。

表:外部環境分析(市場機会と脅威の発見)

市場分析 ターゲットとする市場の規模や成長性、トレンド、顧客ニーズの変化などを調査します。業界レポートやニュース、調査データなどを参考にしましょう。
競合分析 主要な競合他社の製品・サービス、価格戦略、販売チャネル、顧客からの評判、強み・弱みを徹底的に分析します。競合がどのように市場に対応しているかを知ることは、自社の戦略を練るうえで非常に重要です。3C分析の視点も取り入れましょう。
PEST分析の活用 政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)といったマクロ環境の変化が自社にどのような影響を与えるかを分析します。
SWOT分析の活用 市場の「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」を整理します。

表:KGI(重要目標達成指標)の設定

何を最終目標とするか 営業戦略によって最終的に達成したい成果を、具体的かつ定量的に設定します。
例:「年間売上10億円達成」「新規顧客獲得数年間100社」「特定製品における市場シェア15%獲得」。
なぜその目標なのか そのKGIが企業全体の経営目標とどう連動しているのか、達成することでどのようなインパクトがあるのかを明確にします。

表:KPI(重要業績評価指標)の設定

KGI達成へのプロセスを分解 KGIを達成するために、日々どのような活動をどれくらい行なえばよいのかを示す中間指標を設定します。
例:「月間アポイントメント獲得数50件」「有効商談化率30%」「平均受注単価200万円」「ウェブサイトからの月間リード獲得数200件」。
行動レベルとの連動 KPIは、営業担当者の具体的な行動目標に落とし込めるように設定することが重要です。
測定可能であること 定期的に数値を把握し、進捗を確認できる指標を選びましょう。

表:ターゲット顧客の明確化とペルソナを設定する

市場セグメンテーション(市場の細分化) 市場全体を、共通のニーズや属性を持つ小グループ(セグメント)に分割します。セグメント化の軸には、地理的変数(地域、都市規模など)、人口動態変数(年齢、性別、所得、職業など)、心理的変数(ライフスタイル、価値観、パーソナリティなど)、行動変数(購買状況、使用頻度、ロイヤルティなど)があります。BtoBの場合は、業種、企業規模、部門、役職、抱える課題なども重要な軸となります。
ターゲティング(狙うべき市場の選定) 細分化したセグメントの中から、自社の強みを最も活かせる、成長性が高い、競合が少ないなど、魅力的なセグメントを選び出し、メインターゲットとします。すべての顧客を満足させようとするのではなく、自社が最も価値を提供できる顧客層に集中することが成功の鍵です。
提供価値(バリュープロポジション)の言語化 ターゲット顧客が抱える課題を、自社の製品・サービスがどのように解決できるのか、競合と比較してどのような独自の価値を提供できるのかを明確な言葉で表現します。
例:コスト削減効果、業務効率改善、独自技術による優位性など「〇〇という課題を抱える△△(ターゲット顧客)に対して、私たちの□□(製品・サービス)は、××という独自の価値を提供することで、その課題を解決します」といった形で整理すると良いでしょう。

表:ペルソナ作成ステップ

1. 情報収集 既存顧客へのインタビューや営業担当者からのヒアリング、アンケート調査、アクセス解析データなどから、ターゲット顧客に関する情報を収集します。
2. 項目設定 氏名、年齢、性別、職業、役職、家族構成、趣味、価値観、情報収集の方法、抱えている課題、悩み、達成したい目標、購買時の意思決定プロセスなどを具体的に設定します。
3. ストーリーの付与 ペルソナの1日の行動や製品・サービスを認知してから購入に至るまでのストーリーを描写することで、よりリアリティが増します。
SFAを決める前に知っておくべき10の基礎知識の画像

いまから始める営業支援システム
SFAを決める前に知っておくべき10の基礎知識

そもそもなぜSFAが必要なのかから、販売プロセスの見直し、SFAで実現すべき3大機能、定着化のための体制とステップに至るまで、この分野の専門家二人が解説します。ぜひダウンロードしていただき、今後の導入計画にお役立てください。

表:具体的な営業プロセスとチャネル戦略を設計する

営業プロセスの標準化と最適化 見込み顧客の発見(リードジェネレーション)から、育成(リードナーチャリング)、商談、受注(クロージング)、そして顧客維持・拡大(リテンション、アップセル・クロスセル)に至る一連の営業プロセスを設計または見直します。
各プロセス段階での具体的な活動内容や判断基準、必要な情報、担当者を明確にします。
各段階のKPIを設定し、ボトルネックを発見・改善しやすくします(例:リードからの案件化率、商談からの受注率など)。
営業チャネルの選定と組み合わせ(チャネルミックス) ターゲット顧客が情報を収集し、購買を決定する際に利用するチャネル(オンライン:自社ウェブサイト、SEO、広告、SNS、メールマガジン、ウェビナーなど/オフライン:訪問営業、電話、展示会、セミナー、ダイレクトメールなど)をリストアップします。
リーチできる範囲、コスト、即効性、情報伝達力など、各チャネルの特性を考慮し、自社の製品・サービスやターゲット顧客に最適なチャネルを組み合わせます。
たとえば認知獲得やリード獲得、商談創出など各チャネルに期待する役割とKPIを設定します。
営業ツールの活用検討 SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)などの営業ツールを導入・活用することで、営業活動の効率化、情報共有の促進、データにもとづいた意思決定が可能になります。どのプロセスで、どのツールが有効か検討しましょう。

表:実行計画の策定と進捗管理・改善体制を構築する

アクションプランの作成 上記のステップで決定した戦略・戦術を、具体的な行動レベルまで分解します。「誰が」「何を」「いつまでに」「どのように行なうか」「必要なリソースは何か」を明確にしたアクションプランを作成しましょう。
リソース配分と役割分担 人員、予算、時間などの限られた営業リソースを、優先順位の高い活動やチャネルに効果的に配分します。
たとえばインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスなど、営業チーム内での役割分担を明確にし、連携体制を構築します。
進捗管理とKPIモニタリング 設定したKPIを週次、月次など定期的にモニタリングし、目標達成に向けた進捗状況を可視化します。
定期的な営業会議などで進捗報告と課題共有を行ない、問題があれば早期に対策を講じます。
PDCAサイクルの確立 戦略を実行(Do)し、結果を検証(Check)し、改善策を検討・実施(Action)するPDCAサイクルを継続的に回します。市場環境や顧客ニーズの変化に合わせて、戦略を柔軟に見直し、最適化していく姿勢が重要です。
成功事例や失敗事例を組織内で共有し、学びを蓄積していく仕組みを作りましょう。
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【10分でわかる】 営業部長のための営業戦略

営業戦略で抑えるべきことは、たった3つだけ。売る製品も、顧客・テリトリーも、価格も決まっている中で、確実に売り上げを上げるための営業戦略の秘訣をお伝えします。

表:パレートの法則

事実 分析した結果
売上の8割が、全体の2割のリピーターによって得られている 2割のリピーターがどんな特性を持った層かを分析するとマーケティング効率を高められる
2割の営業成績のうちの8割が、2割の営業担当者によってもたらされている 2割の営業担当者のノウハウを分析し、チーム全体に反映すれば、営業力の底上げを図れる
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【10分でわかる】 営業部長のための営業戦略

営業戦略で抑えるべきことは、たった3つだけ。売る製品も、顧客・テリトリーも、価格も決まっている中で、確実に売り上げを上げるための営業戦略の秘訣をお伝えします。

表:星野リゾート(3C分析)

要因 概要
顧客(Customer) ・インバウンド(訪日外国人客)
・12歳以下の子を持つファミリー層
競合相手(Competitor) ・ホテルや旅館
・観光業者
自社(Company) ・現場社員に大きな権限を与えていること
・顧客満足度が高いこと

表:Apple(SWOT分析)

プラス要因 マイナス要因
内部環境 【強み(Strength)】
・ブランド力がある
・さまざまな製品の開発をしている
【弱み(Weakness)】
・製品価格が高い
・iPadで苦戦している
外部環境 【機会(Opportunity)】
・スマートフォンアプリが発展している
・キャリアでiPhoneが発売されている
【脅威(Threat)】
・競合メーカーの脅威がある
・スマートフォン市場が伸び悩んでいる

表:SaaS業界(PEST分析)

要因 概要
Policy(政治) ・DX化の推進
・テレワークの浸透
Economy(経済) ・クラウドサービスの市場拡大
Society(社会) ・リテラシーの世代間格差
・個人情報に関する意識の向上
Technology(技術) ・AI、IoTなど技術の進化
・参入者の増加

表:ユニクロ(ファイブフォース分析)

脅威 評価 概要
業界内での競争
(既存競合他社)
・ファストファッションブランドの存在
 →H&M、ZARAなどの大手ファストファッションブランドの競合が多く存在する。
・業界内の独自性(ポジショニング)
 →ユニクロはヒートテックなどの革新的な商品ラインで他社と差別化していますが、他の企業もトレンド(流行)への対応など差別化ポイントがある。
業界への新規参入者 ・ブランド認知度
 →ユニクロは幅広い消費者に高い認知度を持っている。新規参入者がこのブランド認知度を追いつくのは容易ではない。
・規模の優位性(スケールメリット)
ユニクロは大量生産によるコスト削減を実現しており、新規参入者が同様のスケールで競争するのは難しい。
・サプライチェーンと物流
→ユニクロは効率的なサプライチェーンと物流システムなどの流通への基盤を持っている。
代替品の存在 ・異なる市場セグメント  →高級ブランドやスポーツウェアブランド、オンライン限定ブランドまで多様な選択肢がある。
・オンラインショッピングの増加
→最近では多くの消費者がZOZOTOWN等のオンラインショップから衣類を購入するため、他のオンライン専業ブランドが代替品としての脅威になる可能性がある。
・持続可能性推進製品
→環境への配慮やエシカルファッションが注目されており、これに応じないと代替品に取って代わられるリスクになる。
売り手(サプライヤー)の交渉力 ・大規模なサプライヤー戦略
→ユニクロは大量の発注を行うため、供給業者に対して有利な立場にある。サプライヤーに対して高い交渉力を持っていると言える。
・多様な供給元
→ユニクロは多くの供給元を持っており、一つの供給元に依存しない戦略を取っているため、供給業者の交渉力は低く抑えられる。
買い手(顧客)の交渉力 中~高 ・消費者の多様な選択肢→消費者は他のファストファッションブランド(H&M、ZARAなど)への選択肢がある。
・ブランドロイヤリティ
→一部の消費者はユニクロの品質やスタイルにロイヤリティがあり、他ブランドと比べ、コストパフォーマンスが高いことを評価している。
営業部長のための営業戦略の画像

【10分でわかる】 営業部長のための営業戦略

営業戦略で抑えるべきことは、たった3つだけ。売る製品も、顧客・テリトリーも、価格も決まっている中で、確実に売り上げを上げるための営業戦略の秘訣をお伝えします。

表:SFA (営業支援システム) / CRM (顧客関係管理システム)

営業活動の効率化 顧客情報や商談履歴、行動履歴などを一元管理し、報告業務の削減や情報検索の迅速化を実現します。
情報共有の促進と属人化の防止 チーム全体でリアルタイムに情報を共有し、担当者変更時のスムーズな引き継ぎや、組織的な営業活動を可能にします。
顧客理解の深化 顧客とのあらゆる接点情報を蓄積・分析することで、より深い顧客理解にもとづいたパーソナライズされたアプローチが可能になります。
データにもとづいた意思決定 営業活動の進捗や成果を可視化し、データドリブンな戦略修正や的確なマネジメントを実現します。
AIによる営業活動支援 最新のSFA/CRMには、AIが搭載され、次の最適なアクションを提案したり、見込みの高いリードを自動でスコアリングしたりする機能も備わっています。