

2019年にSalesforceを導入している川崎重工。そのさらなる活用を実現するため、ベニックソリューションも2020年にSalesforceを導入、帳票作成もAppExchangeのSVF Cloudを利用し、Salesforceで完結できるようにしています。Salesforceに営業情報を集約したことで、経営判断のスピードが向上し、売上は80億円から110億円へと大幅に増加しました。2024年、従業員体験の向上を目指し、ヘルプデスクのチャット業務において生成AIであるEinstein for Serviceの検証を実施しました。
入社1年目の新人がゼロから立ち上げた生成AI「Einstein for Service」の活用により、従業員体験を向上。迅速で的確な対応が可能となり、生産性が飛躍的に向上。これにより、働きやすい職場環境を実現し、グループ全体の競争力強化にも寄与することが期待されております。
UIが使いやすく、多様なデータを扱うことができ、すぐに使える生成AIモデルも用意されています。そのため他の生成AIに比べて、優位性が高いと評価しています。
倉本 淳司 氏Strategic Advisor, ベニックソリューション株式会社
短期間での検証を可能にした複数の成功要因
検証の成功要因としてはまず、業務部門が前向きに協力してくれたことを挙げるべきでしょう。これに加えてEinstein for Serviceが、まだ経験の浅い人でも十分に使いこなせる生成AIであることも、見逃せないポイントだと言えます。さらに、定例ミーティングの開催や生成AI関連情報の提供など、セールスフォース・ジャパンによる支援も重要な役割を果たしたと評価されています。
生成AI向けナレッジチューニングの6つのコツ
前述のように村谷氏はこの短い検証の間に、生成AI向けナレッジのチューニングに関する6つのコツを見出しています。それは、(1)予想される質問文を全て記載すること、(2)主語述語を明確にして意味が伝わる文章にすること、(3)内容毎に段落を分けること、(4)一文を短くすること、(5)同義語を定義すること、(6)回答が複数パターンある際はナレッジを分けることです。
他社サービスの生成AIに比べて優位性が高いと評価
実はベニックソリューション社内では、他社サービスデスク製品の生成AIの検証も行われています。これに対してEinstein for Serviceは、UIが使いやすいこと、様々な外部システムとも連携した多様なデータを扱えること、すぐに使える生成AIモデルが用意されていることなど、優位性が高いと評価されています。
今後は他部門や川崎重工グループ全体への展開も
今後は今回の検証結果を活かし、ヘルプデスクだけではなく、営業活動の支援やSEの管理、各種プロジェクトへの人材のアサインメント、顧客システムの運用管理効率化などでも活用していくことが検討されています。また、川崎重工グループ全体への展開によって、バリューチェーン全体でのAI活用を推進していくことも視野に入っています。
Agentforceへの高い期待、検証にもすでに着手
2024年9月には自律型AIエージェントである「Agentforce」が発表されていますが、ベニックソリューションはこれを「衝撃的」だと評価しており、大きな期待を寄せています。Agentforceは従来のAIに比べ、はるかに高い効果を生み出すと考えられているのです。その検証にもすでに着手しており、2025年1月までには完了予定。Agentforceに関連するビジネスの構想も始まっています。
※ 本事例は2024年11月時点の情報です