

Slack導入の目的は、本部内でのコミュニケーション強化です。以前は電話とメールが使われていましたが、きちんと記録に残らないため「言った」「言わない」が発生しやすかったのです。当初は本部のみで利用が始まりましたが、導入1年ほどで全社展開され、現在ではアルバイトも含む全従業員、約5,500名のコミュニケーション基盤となっています。またTableauは、店舗に配布する資料の共有基盤として活用を始めています。従来はExcelシートでの配布がメインでしたが、情報流出の危険がある、マクロで生成していたため属人的になりがち、という問題がありました。そしてService Cloudは、Slack/Tableauの活用レベルが上って来たタイミングで紹介され、マネジメント変革の基盤として採用されることになりました。
Service Cloudの採用を決めた最大の理由は、店舗を切り口としたマネジメント基盤を実現できると考えられたからです。既存の基幹システムや人事/会計パッケージではこの用途に向いておらず、長い間各部署が、Excel等でバラバラに管理していました。また、すでに活用されていたSlack/Tableauとの連携で、大きな相乗効果が得られることも期待されました。
店舗そのものの管理を全体最適化していくには、拡張性や処理能力の心配がなく長期的に安心して使えるService Cloudのような基盤が適しています。
田中 陽里 氏経営企画室 副室長, 株式会社丸千代山岡家
簡単にSlackに参加できるように工夫
Slack活用で注目したいのが、簡単に参加できるように工夫されていることです。アルバイト・パートの方にもどれだけ参加してもらえるかが、活用効果を生み出すためのポイントだと考えられていたからです。その取り組みの1つが「招待URLをQRコード化して店舗に掲示する」ことです。ある程度まで普及すれば多くの人が利便性に気付き、普及を推進してくれるようになります。
Tableau/Service Cloudは店長に理解してもらうことが鍵
TableauとService Cloudに関しては「店長に理解してもらうこと」が成否を分けると考えられています。ただしTableauは、店舗の状況を非常にわかりやすく表現できる分析基盤であるため、それほど心配はされませんでした。Service Cloud導入の際には、入力が必要な項目をなるべく少なくする、入力の起点をSlackにする、といった工夫が行われています。
Service CloudのマニュアルはSlack Canvasで
マニュアルの有無や出来不出来でも、ユーザーの取り組み強度は大きく変わると考えられています。そのためService Cloudの導入にあたっては、マニュアルを全てSlack Canvasで作成する、というチャレンジが行われています。Slack Canvasは非常に生産性が高く、内容の変更も容易であるため、システムの変化にも無理なく追随できるからです。
長期的な全体最適化には「データ流通の自由度」が高い基盤が必要
店舗を切り口にしたシステムは、国産SaaSの中にもいくつか存在します。しかしそれらは「データの流通を阻害する要因」が多く、小さい領域での課題解決に限定されています。店舗そのものの管理を全体最適化していくには、Service Cloudのように拡張性や処理能力の心配がなく、長期的に安心して使い続けられる基盤が適していると、山岡家では評価されています。
Salesforceは急成長を支える重要な柱
山岡家の従業員数は、コロナ禍の数年間で2倍弱に増えており、この急速な人員増を支えた柱の1つがSlackだと評価されています。今後は新たに導入したService Cloudを基盤に、ショップアプリと連携したMAや、AI/MLを活用した自動発注、生成AIによる従業員の声の分析などを進めていくことが視野に入っています。また、Data Cloudによるビッグデータの活用も検討しています。
※ 本事例は2024年11月時点の情報です