

総合デベロッパーとして、「都市を創り、都市を育む」をテーマに、東京都港区を中心に再開発事業に取り組んできた森ビル株式会社。「六本木ヒルズ」「虎ノ門ヒルズ」「麻布台ヒルズ」といった、商業・オフィス・住宅などの多様な都市機能を徒歩圏内に複合させた街を管理運営する同社は、本社にビル管理・メンテナンス部門を内包。管理物件に入居するテナントに寄り添ったきめ細かな管理業務を日々行っています。しかしビル内で作業を行う業者の「作業申請」や「作業入館」などの手続きは、長らく紙とハンコ、FAXを使ったアナログなワークフローに依拠しており、テナント、業者、森ビルの管理部門のそれぞれにおいて業務の効率や質を低下させる原因になっていました。
従来から作業申請の受付システムは運用していましたが、受付後の承認フローは依然として紙とハンコで行われていました。そこで業務フローを見直しプラットフォームとしてSalesforceを導入。CRMとしての利用はもちろんのこと承認申請もデジタル化、Salesforceに蓄積される日々の業務データをダッシュボードで可視化・共有することで業務変革を目指しました。
Salesforceで構築した仕組みは、弊社管理部門だけではなくテナントや外部業者の業務も効率化するエポックメイキングなシステムになったと思います。
槙島 健太郎 氏管理事業部 事業企画部 部長, 森ビル株式会社
データの集約・可視化でデータドリブンなビル運営に貢献
管理業務において求められるさまざまな情報を集約・可視化したことで、現場だけでなくマネジメント層の素早い意思決定にも貢献できるデータ利活用基盤を実現しました。またこれらの情報を中長期的に蓄積・分析することで、将来的な管理人員体制の最適化や無駄のない搬入動線の設計や、既存物件の管理業務を見直す際にもデータを有効活用できるようになりました。
テナントのロイヤルティ向上を実現
作業申請と作業入館処理のデジタル化を実現したことで、単に自社の管理業務を効率化できただけでなく、利用者が抱えていた紙出力や押印の負荷を大幅に低減することができました。また、今後の都市開発全体の価値を向上させていくには「予見」が必要です。そのためにはデータが不可欠であり、デジタル化を標榜したのです。
現場部門主導によるDXを短期間のうちに実現
ローコード/ノーコードで素早く柔軟に構築できるSalesforceの強みを生かして、ワークフローのペーパーレス化とデータの可視化を現場部門だけでわずか7カ月間で構築できました。従来はフルスクラッチのシステムだったため、項目名称変更やレイアウト変更にも追加開発が必要でコストと時間がかかっていましたが、Salesforceにより機能追加や改修をより柔軟に行えるようになりました。
今後はSalesforceのAI機能を使ったデータ活用も
将来的には蓄積された膨大な報告データをAgentforceで活用し、これによって日々の業務の中で生成されるデータから新たな気付きや知見を得て、今後のさらなる業務改善や将来の再開発プロジェクトに生かしていきたいとしています。
※ 本事例は2025年1月時点の情報です