

胡蝶蘭の販売プロセスは、主にFAXで届く受注からスタートします。胡蝶蘭は適切な温度管理されたハウスで栽培・寄せ植えを行い、八分咲きになるまでハウスで保管し、出荷直前になると店舗へ移動します。店舗では、受注入力、立札作成、ラッピングを行い、最終の仕上げ後に写真撮影を行いご依頼主へ写真を送付します。納品時には、専属のドライバーが納品場所まで届け、依頼主に納品完了連絡をします。このプロセスは、長くデジタル化されておらず、たとえば顧客から高い評価を受けている納品前の写真送付についても、同じ写真を2度送ってしまうミスや、撮影した写真がどの顧客宛のものか判然とせずプロセスが滞るなどの業務ロスが課題でした。この状況を改革するために、Salesforceを活用。受注システムに登録した内容がSalesforceに自動連携され、納品までのプロセスをSalesforce内で完結させます。
胡蝶蘭の受注から納品までのプロセスにおいて、Salesforceを活用したデジタル化が実現しました。顧客に写真を見てもらうプロセスでは、人がかかわる作業時間を4分の1に削減できたことは大きく、ドライバーがリアルタイムに納品状況を共有する仕組みも出来上がりました。プロセスを一気通貫でデジタル化したことで、作業の抜け・漏れもなくなりました。
花を贈り合う沖縄の文化に根付いて
沖縄には、花を贈る文化があります。企業の移転や周年祝いに加え、春と秋の叙勲、母の日、米寿祝い、そして49日まで美しさが失われない供花としても胡蝶蘭は人気です。このすばらしい文化を支え、より良いものとして次代に受け継ぐために、県内限定で取り組むのが胡蝶蘭ビジネス。今回の業務プロセス改善は、ビジネスを継続的に発展させるために欠かせない取り組みでした。
品質に万全を期すためのFAX受注
テクノロジーが発展しても、FAXによる受注が中心であることには理由があります。宛名の漢字間違いはあってはならないことで、顧客とは「高」と「髙」の違いなど細かな点についてやり取りし、納品前には商品に加えて立て札の写真も確認してもらいます。今回のSalesforce導入でも、顧客とのやり取りの最適化と可視化を重視。当該プロセスが改善されたことは大きな成果です。
優れたパートナーとともに
「Salesforce Platformを使えばなんとかなる」という期待で採用しましたが、社内にSalesforceのノウハウはなく、当初は悪戦苦闘。そんな中、沖縄で複数のプロジェクトを成功に導いた株式会社Global Jobを知り、実装を担当してもらったところ、基本機能をうまく組み合わせて理想的なプロセスと画面を開発してもらうことができました。
撮影から画像送付までの時間が4分の1に短縮
問い合わせのあった顧客をお待たせすることなく、Salesforce画面上を確認するだけで回答出来るようになった点は大きなメリットです。たとえば、過去受注データを容易に検索できるようになったため、「前と同じで」という注文への対応時間と対応精度はどちらも向上。写真添付メールの送信には、これまで最低でも1通あたり4分かかっていたものを、1分に短縮することができました。
※ 本事例は2024年12月時点の情報です
胡蝶蘭のお客様は、9割が法人です。今後はSalesforceに蓄積したデータ分析なども行い、この仕組みをさらに発展させていきたいと考えています。
名護 健 氏代表取締役, 農業生産法人 株式会社熱帯資源植物研究所