Skip to Content

「Dreamforce(ドリームフォース) 2026」現地レポート。広報担当者が肌で感じたAIの熱狂

Dreamforce 2026(ドリームフォース)現地レポート。広報担当者の大谷星河が、「AIforce」の発表などに沸く会場の熱狂と今回のポイントをお伝えします。

Key Takeaways

This summary was created with AI and reviewed by an editor.

広報担当者の参加目的は、基調講演で発表する新製品、新戦略を現地でリアルタイムに把握し、日本メディアの記者の取材をアレンジ・サポート。

加えて、会長兼CEOのマーク・ベニオフ(Marc Benioff)や本社の上級幹部などへの囲み取材・単独インタビューの調整と実施、事実確認を行い、必要であれば発言の訂正や補足を関係者へ速やかに共有する。

いわば「現場の熱狂」と「発表内容の正確さ」の両方を、日本のメディア、その先にいる読者に向けて橋渡しする役割です。

この記事は、広報担当者として「Dreamforce 2026」に現地参加した大谷星河による現地で見た、感じたことのレポートです。

Dreamforceの熱量を東京で体験、AIforce World Tour Tokyo

Dreamforce 2026で発表された「AIforce」や「Agentforce」を、東京で体験できます。11月18日・19日に開催し、最新機能やAI活用のヒントを見つけられます。

Dreamforceとは。街が丸ごと一色に染まる3日間

サンフランシスコの街が丸ごと「Salesforce色」に染まる年に一度の祭典。それがDreamforceです。

基調講演から数百のセッション、体験型の展示までメイン会場の「Moscone Center」周辺一帯がSalesforceの世界観に包まれる3日間。2026年は9月15日〜17日に開催し、日本からも複数のメディアの記者が現地を取材しました。

街を歩けば猫も杓子もSalesforceやTrailblazer、AgentforceのロゴのTシャツやパーカーを着ており、サンフランシスコの鳩まで名刺を持っていそうな空気でした。

ビジネスイベントというより、まるでテーマパーク

Moscone Center周辺のHoward Streetは丸ごと「Dreampark」としてテーマパーク化され、FIDE(国際チェス連盟)とのパートナーシップを祝うチェス・アクティベーションなども展開されました。

日本のビジネスイベントの「静かに聴いて、静かに帰る」空気とは対照的に、来場者が体験型ブースを回り、写真を撮り、歓声を上げる。まさにテーマパークのアトラクションを回る感覚に近いものでした。名刺交換よりインスタ投稿の枚数のほうが多そうな熱気というのが正直な感想です。

日本の展示会では「お荷物になりますので」とノベルティを遠慮する空気がありますが、ここでは逆に「もっとくれ」という圧を感じるレベルの熱量でした。

夜になれば、メジャーリーグの球場を貸し切ってDreamforce名物のチャリティーライブ「Dreamfest」の熱狂に包まれます。ビッグネームのアーティストがステージに立ち、何万人もの参加者が音楽に包まれました。

1日中、記者の座席表や取材スケジュールと格闘していた広報担当者でさえ、この時間だけは1人の観客としてステージを見上げていました。スプレッドシートの世界からライブの世界に一瞬だけ帰還できる貴重な「現実逃避タイム」でした。

今年のDreamforce、5つの注目ポイント

今回のDreamforceでも数多くの発表がありましたが、ここではその中でも厳選した5つのポイントを紹介します。

Focus 1「AIforce」の発表

Salesforceの製品アーキテクチャでは、「Data 360」「Customer 360」「Agentforce」の上に乗る新しいインターフェース層です。Salesforceにログインしたことがない人でも、いつも業務をしている場所からSalesforceを利用できるようになるという話。

今回のDreamforceで発表されたAIforceは3つのインターフェースとして展開され、それが「Claudeforce」、「Slackforce」、「Agentforce Coworker」です。「more coming soon」とあるように今後追加されていくことに期待してください。

Focus 2 SalesforceのCRM専用推論モデル「Koa」

Koaは、NVIDIAのNemotronを基盤に、Agentforceのデジタルワークフォースを支えるために開発したSalesforce初のCRM推論モデルです。

学習データに顧客データを一切使わず、すべて合成データで訓練されている点が強調されました。Formula 1やUChicago Medicineなどの顧客とすでにパイロット中。Koaは、Salesforceのキャラクターにもなっている名前です。

Focus 3業界トップランナーが続々登壇

基調講演にはAnthropicの共同創業者兼CEO、ダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏が登場し、「企業がClaudeを、何十年もSalesforceに蓄積してきた顧客情報やビジネスコンテキストに向けられるようになり、実際に事業を運営・成長させるために使えるようになる」とClaudeforceの意義を語りました。

さらにNVIDIAのCEO、ジェンスン・ファン(Jensen Huang)氏もマークと共に登壇し、AIの未来について対話。「どちらのAIモデルが勝つか」ではなく「顧客企業がどう勝つか」を語る場面は、今年のキーノートの目玉のひとつでした。

ライバル同士のはずのAI企業のトップが同じステージに笑顔で並ぶ光景は、業界のニュースサイクルの速さを物語っていました。

Focus 4メインテーマ「Hey AI, meet the #1 CRM」

「AIに全部お任せ」ではなく「CRM企業としてのアイデンティティを保ったままエージェンティックAIを進める」という今年のスタンスを象徴する言葉でした。

Salesforceは3万社の顧客がすでにAgentforceプラットフォーム上で稼働していると語り、運用コスト削減や生産性向上の指標に何度も立ち返りました。

AI教育に2700万ドル(約40億円)を投資すると表明する一方、「AIがSaaSを終わらせる」という業界内の悲観論(いわゆる「SaaSpocalypse(SaaS終焉論)」)にマーク自身が冒頭から正面から向き合う場面もありました。不安を煽るより「うちは#1 AI CRMです」と胸を張るあたり、自社のコアビジネスに対する矜持が感じられました。

Focus5キーワードは「確率論的AI × 決定論的企業システム」

AIの回答は聞くたびに微妙に変わり得る「確率論的」な仕組みです。しかし、顧客の契約金額やアクセス権限、承認ルールといった企業データは、毎回結果が変わってしまっては困る「決定論的」な世界。

基調講演では、この2つの異なる性質をどう組み合わせるかが繰り返し語られました。言うなれば、自由にジャズを弾くAIと、楽譜通りに演奏する企業システムを、同じステージで共演させる試みです。

Customer 360やData 360はSalesforceが持つ決定論的なデータ・メタデータ・業務ロジックに接続します。まさにAIforceやAgentforceの確率論的なAIの推論を、企業の実務で安全かつ確実に成果を出すための土台という位置付けです。

口で言うのは簡単ですが、企業規模でAIエージェント活用を推進するには非常に重要なポイントです。

AIforceの全体像を日本語で、World Tour Tokyo開催

記事で紹介した「AIforce」や基調講演のテーマ「Hey AI, meet the No.1 CRM」を、日本で聴けます。Salesforce+のオンライン配信もあり、場所を問わず参加できます。

基調講演でマークが残した一言

基調講演でマークはNVIDIAのCEO、ファンを迎え、AIの未来について語り合いました。中でも印象的だったのはこの一節です。

AIの未来で大切なのは、どのモデルが勝つかではない。皆さんがどう勝つかです。使いたいAIを必要な信頼とともに。エージェンティックエンタープライズへ、ようこそ

「どのAIが最強か」という競争論から一歩引き、「自社のビジネスを理解している真のパートナーとどう組むか」という視点に聴衆を引き込む、マークらしい語りでした。

マークのメディア取材で面白かったのが、基調講演の後、プレスラウンジで開かれる「囲み取材(press scrum)」です。

日本の会見なら、指名された人が順番に、丁寧に。けれど、ここは手を上げた者勝ち。アメリカ、イギリス、インド、ドイツ、ブラジルなど各国のメディアが我先にと挙手し、声を張り上げて質問をぶつけます。

サービス精神旺盛なマークは、台本なしで、その国や地域の市場に合わせて回答のノリを切り替えていく。そして、ついに日本の記者が指名される瞬間も。

本社CEOの言葉を、独占的に、生で聞く。ドキドキとハラハラが同居する広報にとって少し贅沢な時間です。

順番を待ち、人の質問中は静かに聞くという日本の作法に慣れた身には、この「手を上げたもの勝ち」のリズムは正直に言って、少し戸惑います。それでも後日、各国の見出しを並べてみると、同じ発表でも国によって切り取り方がまるで違う。現場に立たなければ気づけない学びでした。

記者たちは、どこを見ていたか

現地取材した記者の皆さんに聞いた声を、いくつかピックアップします。

  • ビジネスメディア記者:「マークの記者に向き合うオープンな姿勢や、社会貢献を含めた思考の広さが印象に残りました。また、自身以外が全員海外メディアで構成されたラウンドテーブルへの参加をとても新鮮でした」
  • ITフリーランス記者:「日本の小出社長のラウンドテーブルが印象に残りました。とても充実していました」
  • ビジネスメディア記者:「基調講演でClaudeforceのデモが、デジタルParkerを絡めた演出で盛り上がっていて面白かったです」

なお、DreamForce期間中のある夜には、日本の複数のメディアの方々と、Salesforceの広報メンバーで食事の場も設けました。「キーノートに関する質問なども含め、ざっくばらんに話せる時間」として、ニュースにはならないけれど、記者との信頼関係を積み重ねる大切な時間。

取材現場では聞けない「素の反応」は、案外こういった食事の場でしか出てこないものだと実感した一時でした。

広報・大谷の現場雑感。今年の新しさは……

毎年参加しているDreamforceですが、今年はAIforceやClaudeforceという新しい概念が矢継ぎ早に発表され、現地の熱量が例年以上だったと感じました。一方で「Agentforce・AIforce・Claudeforce」など次々と登場する名称に、私自身も現地で何度か「今のはどの機能の話だっけ?」と立ち止まる場面がありました。

AIforce、Agentforce、Claudeforce、Slackforce、Enterprise AI Harness、Data 360……発表の度に新しい呼称が登場します。

一つひとつ、これは製品名なのか、戦略なのか、パートナーシップなのか、コンセプトなのか、広報としての立場上、正確に伝える必要があります。日本向けのプレスリリースや資料でどの表記を使うかをすり合わせで確認し合う作業が、現地の早朝から毎日のように発生していました。

基調講演の直後に「今の発表、日本語ではどちらの呼び方で行きますか?」と本社チームに確認のチャットを飛ばし、回答を待つ間に次のセッションへ移動するという繰り返し。地味ですが、この「呼び方の交通整理」がしっかりできているかどうかが、後日の日本メディアの記事の正確さを左右する重要な仕事です。

こうした「表には出ない現場の判断」の積み重ねこそが、キーノートの熱狂やDreamfestの音楽と同じくらい、私の中でのDreamforce 2026を印象づけています。壇上の発表は一瞬で消えても、その裏で記者と積み重ねた信頼関係や、静かに整えた事実は残る。それを実感した3日間でした。

来年はさらに進化した「Dreampark」の空気を、より多くの方にお届けできればと思います。

AIを実証からビジネス成果へ、World Tour Tokyo

現地レポートで伝えた熱量を、自社のAI活用に生かしませんか。Agentforceの実践事例や、セキュリティ・ガバナンスの取り組みを学べるセッションをご用意しました。ぜひご参加ください。