2000年に創業した株式会社リンクアンドモチベーションは、世界に先駆けて「モチベーション」にフォーカスした経営コンサルティング会社です。人的資本経営やエンゲージメント改善を支援するコンサルティングに加え、SaaS型の「モチベーションクラウド」を展開しています。中でも、組織エンゲージメントを測定・改善する「モチベーションクラウド エンゲージメント」は9年連続で国内トップシェア※を獲得し、国内大手から中小・ベンチャー、自治体まで幅広い顧客に利用されています。近年は海外展開にも取り組み、日本発の“組織変革プラットフォーム”として進化を続けています。
*ITR「ITR Market View:ワークプレイス最適化市場2025」
従業員エンゲージメント市場:ベンダー別売上金額およびシェア(2017~2025年度予測)
人依存モデルの限界と分断された現場がもたらす顧客体験の壁
リンクアンドモチベーションの強みは「システムとコンサルティングのハイブリッド」にあります。しかしその裏側では、人が張り付く労働集約型モデルに依存するという限界を抱えていました。MCEカスタマーサポートグループ マネジャーの田沼氏は「SaaSは本来スケールすれば利益率が上がるはずだが、人が増えるだけでは限界がある」と指摘し、持続可能な事業を築くにはテクノロジーによる生産性向上が不可欠だと語ります。
現場でも深刻な課題がありました。電話、CRM、メール、FAQがそれぞれ分断され、新人やアルバイトは試行錯誤しながら対応している状態でした。MCEカスタマーサポートグループ 小山氏も「顧客特定から転送までに時間がかかっていたため、新人やアルバイトは、情報が不十分な中で電話対応をしていました」と振り返ります。経営と現場の双方に存在していた“人依存”と“システム分断”の課題を克服することが急務だと判断されました。
Service Cloud Voiceと生成AI活用により後処理時間を90%削減
リンクアンドモチベーションは、分断していた電話・CRM・メール・FAQをすべてSalesforceへ統合しました。中でも電話システムをコムデザイン社の CT-e1 に刷新し、Service Cloud Voiceと連携したことで、通話内容をOpenAIの音声認識エンジン「Whisper」でリアルタイムにテキスト化し、そのままCRMへ自動連携できるようになりました。
このテキストデータをもとにEinstein for Serviceの生成AI自動要約機能を適用した結果、従来1人あたり月50時間かかっていた応対履歴の記入作業を約90%削減しました。小山氏は「ワンクリックで応対履歴の入力が完了し、大幅な改善が実現されました」と語り、応対履歴の品質を均一化しつつ現場の負担を大きく軽減できたと振り返ります。
さらに、通話データと要約の活用により対応状況が可視化され、稼働配分や新人教育の精度も向上しました。MCEカスタマーサポートグループ リーダーの下田氏は「ダッシュボードが秘書のように次にやるべき改善の優先順位を示してくれます」と表現しています。
未来を見据えたシステム選定とAgentforceへの布石
当初は競合製品も候補に挙がりました。短期的なコストメリットやFAQ連携に強みがあったものの、部分最適の提案にとどまりました。最終的にSalesforceを選択したのは、既存CRMとの親和性、将来にわたる拡張性、そしてAgentforceを含むAI進化を前提にしたアーキテクチャを描けたからです。田沼氏は「3年・5年先を見据えた提案をしてくれたのはSalesforceだけでした」と語り、未来を照らすパートナーとしての信頼を強調しました。
3年・5年先を見据えた提案をしてくれたのはSalesforceだけでした
田沼 憲一 氏MCEカスタマーサポートグループ マネージャー, 株式会社リンクアンドモチベーション
未来を照らす伴走者としてのSalesforceの強み
競合ベンダーが示したのは「いま目の前の改善」でした。一方、Salesforceは「データを構造化して蓄積し、AIで未来に活用する」という長期的な道筋を提示しました。田沼氏は「先を照らしてくれる唯一の存在」と語り、単なるベンダーではなく未来に備える伴走者として信頼を寄せています。小山氏も「同じ社内で働く同士のように運用を理解してくれた」と評価し、現場の感覚に寄り添う柔軟なサポートが安心感と確かな成果につながっています。