日本カルミック株式会社

本当に、コードは一切書いていません。ドラッグ&ドロップだけで、仕上げることができました。やりたいことのイメージがあり、それを手軽に実装できる充実したプラットフォームでした”

日本カルミック株式会社 営業本部営業推進部 渡邉 麻里子氏
 

学童保育の健康チェックシートを参考に

日本カルミック(株)は、衛生的で快適な環境を創造する環境マネージメント企業だ。法人向けに、ウォッシュルーム、厨房、オフィス空間の3つの分野でビジネスを展開している。サニタイザーやエアーフレッシュナーのレンタルサービスが主力で、顧客は全国約5万施設。最近では、コロナ禍で衛生への関心が高まったことを受け、サニッコ(女性用タッチレスサニタリーボックス)など二次感染対策製品の引き合いが増えている。
同社のビジネスでは、営業担当者の訪問に加え、サービス担当者が約2ヵ月に1度顧客先施設でメンテナンス作業を実施しており情報量は多い。社内にある様々な情報をSalesforceに一元化し、顧客との関係性をより良くするために、CRMとして活用している。同社ではすべての営業担当者がSalesforceのアカウントを持っており、CRMとしての利用以外にも、地図アプリと組み合わせた効率的な顧客訪問、Chatterによる情報共有、そしてPardotによる顧客情報活用と、その活用範囲は幅広い。
しかし、コロナウイルスの影響を受け、顧客先を訪問しづらい状況が生まれてしまった。同社取締役副社長 中井省吾氏は、「病院や学校などのお客様も多く、マスクや手袋、防護服などを調達して、少しでも安心して訪問を受け入れていただけるよう努力しました」と話す。
まさにその渦中に、別のアプローチから衛生にかかわる企業としてのやり方を考えていたのが、営業本部営業推進部デジタルコンテンツ 担当部長 長澤氏だった。緊急事態宣言が解除され、6月1日から本格的な外勤営業が開始される。しかし、いままでと同じスタイルでいいのだろうか、と思いを巡らせていた。
「小学生の息子が居て、学童保育の健康チェックシートを目にする機会がありました。簡単なものでも、あった方が安心できると感じました。同じような仕組みを社内でも作れたら、お客様により安心していただけるのではないかと考えたのです」(長澤氏)
具体的には、日本経済団体連合会のガイドラインを参考に、体温や自覚症状、行動管理についての9項目を設定。PCとスマートフォンのどちらにも対応し、毎日朝と夕方に社員が自ら入力できる仕組みを想定した。
 

開発期間は実質的に2.5人日

5月25日、長澤氏のアイデアは上層部からも好感され、「健康パスポート」アプリの開発が実行に移されることが決まった。しかし、時間がない。外勤営業解禁の6月1日は同社にとって期初でもあり、その日から気分を一新してスタートしたかったのだ。そこで、社内でITを使った営業支援業務を担当する営業本部営業推進部 渡邉氏に相談。実現の可能性を探った。
「ベンダーに依頼して開発してもらう時間はありません。基幹システムへのアドオン、Salesforceへの機能追加、システムを開発せずメール報告にしてもらう、Excelで提出、などいろいろと考えたのですが、営業担当者が毎日使っているSalesforceに組み込むのが良いという結論になりました。Salesforceを使えば、営業担当者はスマートフォンで、すき間時間に入力できて、状況を誰でもリアルタイムに確認できますから」(渡邉氏)
しかし、渡邉氏はベンダー管理の経験はあるものの、自ら手を動かしてシステムを作ったことはない。Salesforceならできるのではないか、と見当はついたとはいえ、確定的なことは言えなかった。その日から各所と連絡を取り、Salesforceからノーコード/ローコード開発の情報を入手。翌火曜日には大阪に勤務する営業本部営業推進部 坂本氏も巻き込んで、健康パスポートの推進体制が出来上がった。3人は皆、小学生の子どもを持つワーキングマザー。「学童保育の健康チェックシートのようなものを作りたい」という認識を、自然に共有することができた。
「私は元営業職で、営業担当者が使うシーンをリアルに想像できますから、現場にとっての扱いやすさや見せ方を改善する提案はできます。システムを使う立場としての視点で、プロジェクトに貢献できそうだと感じました。ただ、最初は開発期間に驚きました。火曜にミーティングに呼ばれて、金曜に完成させる計画で、本当にできるのだろうかと(笑)」(坂本氏)

平均95%の使用率
社員の健康を担保する仕組みに

この段階でも渡邉氏に確信があったわけではない。期末で別の仕事も抱えていたが、Salesforceからサポートを受けるとともに、オンラインヘルプを参考に開発を進めていった。
「実は、ノーコード/ローコード開発という言葉も知りませんでした(笑)。本当に、コードは一切書いていません。ドラッグ&ドロップだけで、仕上げることができました。やりたいことのイメージがあり、それを手軽に実装できる充実したプラットフォームでした」(渡邉氏)
プロトタイプを3人で使い、使い勝手の気に入らない部分はその場で直す。わずか3日間のアジャイル開発で、金曜日にシステムは完成。入力状況を一覧するダッシュボードも期間内に開発を終わらせた。実際に使う営業担当者は、顧客に衛生の提案をしていることもあり、二次感染を防ぐためにはまず自分が健康であることが第一であると認識している。毎日利用するSalesforceに「私の健康パスポート」リンクを用意し、入力はプルダウンメニューから選択するだけで終えられる。使い勝手の良さもあってか、思いのほか利用率は高く、平均で95%の入力率を達成。100%になる日もあるという。
中井氏は、「社員の健康を会社として把握するとともに、お客様への二次感染を極力防ぐことのできる仕組みになりました。少なくとも、お客様先を訪問する営業担当者が発熱しておらず、健康であることを担保できます。3人は、短期間で本当によくやってくれました」とプロジェクトを総括してくれた。
今回の経験を踏まえて同社は、Salesforceを使って簡単にアプリを開発できることを実体験した。今後Salesforceの活用範囲は、パッケージ部分だけでなく、自由な発想のもとに開発したものも増えてくるかもしれない。教育管理にTrailheadを活用する計画もあるという。同社のSalesforce活用は新たな段階に入りそうだ。

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※ 本事例は2020年10月時点の情報です
 
 

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