株式会社ヤッホーブルーイング

製品をつくる会社も好きになる。
多彩なファンマーケティングの施策をCRMでつなぐ”

 

ファンとの交流は情報の宝庫
まとめて現れるデータからトレンドを見通す

多様な顧客情報の一元化にCRMを導入

「よなよなエール」など個性的な味わいのクラフトビールで知られる株式会社ヤッホーブルーイングは、1997 年に創業した国内売上6 位のビールメーカーだ。
製品同様、それらを世に送り出す企業の個性も際立っている。コンビニなどのBtoBのほか、自社サイトやECモールを通じたBtoCの販路に強みを持ち、対個人のマーケティングを長期視点で展開。「スタッフ自らが案内する醸造所見学」「製品以外の話題も交えた電話応対」「5,000 人が交流するリアルファンイベント」などで自社とのつながりを育て、ロイヤルティの高い顧客基盤を築いた。
組織面では、通販対応やイベント、ITなど機能別のユニット制を敷き、それぞれの立場から顧客接点を持つ。同社カスタマージャーニー設計担当ユニット ユニットディレクターの佐藤 潤氏は「創業時の地ビールブームが去り、まだ黎明期だったECに賭けた当社は『バラエティ豊かな味でビールファンに幸せを届けたい』との思いをイベントやメルマガなどで伝えてきました。対個人で重ねたコミュニケーションが実績に現れ、販路拡大につながった経緯から、社内文化のベースには常に『ファンに支えられている』という感覚があります」と語る。
ただ一方、活発なファンマーケティングの背後では、施策から得られた顧客情報が社内各所に散在していることも課題となっていた。情報システムユニット ユニットディレクターの木村 壮氏は、次のように振り返る。
「カスタマーサービス配属の新入社員に、当社とお付き合いの長いファンの方について知識が足りない場合、会社としての応対に不統一が生じかねない状態でした。また、顧客情報は従来ユニット別で管理していたため、顧客行動を全体像として把握することも難しい状況でした」
このため2017 年、顧客情報の一元管理が可能なCRMを、マーケティングオートメーションおよびビジネスアナリティクスのツールと同時に導入することが決定。「長期利用が前提となるCRMは、安定した最大手の製品を」(木村氏)との判断から、Service Cloudが選ばれた。
 

データ集約で広がった「WOW」のある顧客対応

同社はビール通販の購入履歴をはじめ、イベントへの参加記録、問い合わせ電話・メールへの応対履歴、商品に同梱したアンケートの返答、自社Webサイトへのアクセス状況などをService Cloudに集約。合計7つのシステムで管理していたデータの一元化を実現した。
これらの情報は、登録会員の顧客に関してはService Cloud の1 画面にまとめて表示されるようになったほか、非会員に関しても同ツールの検索機能により、迅速な照会が可能となった。
併せて、カスタマーサービスに多く寄せられる質問については回答例をQ&A形式で整理。ServiceCloudの知識ベース構築機能であるKnowledgeから参照できるようにした。
こうした取り組みの結果、1 件あたり平均で従来約90 秒を要していた電話問い合わせへの回答準備が、10 秒と9 倍のスピードアップを達成。社歴に開きがありながらも、10 人前後の全オペレーターの間で、一定以上の応対品質を保てるようになった。
数万人規模の顧客情報を一元化したことで顧客対応の正確さ・円滑さが向上しただけでなく、同社が「WOW」と呼ぶ、お客様を喜ばせるような体験をより多く提供出来るようになったという。
ファンマーケティングの指標とされているWOWの数は、Salesforceの導入前後で年間100 件から同600 件と、実に6 倍の伸びを示している。通販受注・顧客応対ユニットの道本 諭始氏は「台風で中止したイベントへ参加予定だった方に、後日別件の電話でもお詫びをしたり、年間会員の方がご懐妊等で飲酒を控えていると知った後、再開できる時期に併せたプレゼントを考えたりと、情報のつながりを生かしたお声かけができるようになりました」と評価する。

CRMの社内定着を早めた
きめ細かいカスタマイズの内製化

顧客1 人ひとりとの関係を重んじるヤッホーブルーイングの企業文化は、Service Cloud の運用方法にも表れている。
中でも象徴的なのは、管理画面で最も目につきやすい最上部に、自由記述のスペースを設けている点。
「ファンの人柄や象徴的なエピソードを、まず社員間で共有したい」という現場の声を反映させた。
「社内にCRMを定着させる上で大切なのは、便利さを実感できること」と語る、カスタマージャーニー設計担当ユニットの大友 直也氏は「外部に委ねて部分的なカスタマイズに留めるよりは、現場の要望に沿った積極的な改良を」と、自ら手を挙げた内製化の担当者だ。
勇気ある決断に加え「上司からの理解が得られた上、Salesforceには自己学習用のコンテンツと環境がそろっていた」(同)ことが幸いし、自社運用を着手からわずか半年で軌道に乗せることができたという。
クラフトビールをこよなく愛する顧客から直接届く声を集約し、市場のトレンドをいち早く察知できるようになった同社。手にしたばかりの武器はさっそく、新型コロナウイルス感染拡大という未曾有の状況にも指針を示しつつある。
「BtoCから得られる知見の共有を視野に今後、BtoB領域にもSalesforceの活用を拡大する計画です。『現在この地域から注文が多いのはこの商品』など、リアルなデータならではの説得力を、対面に代わる法人営業の新たなアプローチに生かしてもらいたいと考えています」(木村氏)
※ 本事例は2020年7月時点の情報です
 
 

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