顧客を知ることで売上につなげる、顧客分析の基礎知識

投稿日:2021.4.14
顧客に最適な商品やサービスを届けるためには、顧客のニーズを深掘りするための顧客分析が重要です。それでは、顧客分析はどのように進めていけばいいのでしょうか。
ここでは、顧客分析とは何か、どのように行うのかといった顧客分析の基礎知識を解説します。

顧客分析とは?

顧客分析とは、顧客がどのようなプロセスを経て購入に至ったのか、その行動を分析することです。
PCだけでなく、スマートフォンやタブレットが普及し、多くの情報がインターネット経由でやりとりされる現代。人の行動の多くがデジタルデータとして記録され、分析することができるようになりました。
そこで、重要性を増しているのが顧客分析です。過去にはプロフェッショナルの勘や経験に頼っていたマーケティング戦略が、より客観性の高いデータ分析へと移行してきたのです。

顧客が自社の商品やサービスを選び、購入した背景には、それなりの理由があります。たとえば、BtoCでは「たまたま目についたから」という理由で購入に至ることはよくありますが、それがネット広告で目にしたのか、店頭のPOPで知ったのかという経路の違いがあります。BtoBの場合は、「機能とコストのバランスが良い」「自社のニーズに合っている」といった具体的な理由があり、競合製品との比較検討を経て決定するなど、BtoCに比べ、購入に至る経路も明確です。
こうした顧客の行動を分析することで、「なぜ売れたのか」「なぜ売れなかったのか」を探り出すのが顧客分析の目的です。

顧客分析が必要な理由

顧客分析がなぜ必要なのか、その理由はおもに2つです。ひとつは現状の把握、もうひとつは施策の評価を行うためです。

現状を正しく把握するため

多くの情報が飛び交い、便利な製品やサービスが次々に現れる現代では、市場の規模や動向を探ることはとても重要です。そのためには、自社の顧客の動きを分析し、その背景にある市場動向を把握することが、有効な手段となります。
売れる商品がなぜ売れるのか、反対に売れない商品がなぜ売れないのか。それを具体的な数値の分析によって明らかにすることで、売上の増大に効率良くつなげることができます。

施策の評価のため

さまざまなマーケティング施策を行ったとき、それがどれほどの効果を上げているのかを評価することは不可欠です。顧客分析を行うことで、その評価を客観的に行うことができます。
新規顧客をどれほど得られているか、リピーターは育っているか、顧客の囲い込みは十分か。これらの結果が顧客分析によって明らかにできますし、それによって自社の取り組みの成果を知ることもできます。

顧客分析で用いるフレームワーク

顧客分析では、さまざまなフレームワークが用いられます。さまざまな種類がありますが、そのうちのおもなものをご紹介しましょう。
これらのフレームワークは特徴が異なり、優劣の差があるわけではありません。ですから、実際に使ってみて、どれが自社に適しているのかを判断してください。

RFM分析

RFM分析とは、「最新購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「累計購買金額(Monetary)」という、3つの要素を指標として顧客をグループ分けし、それぞれのグループに対して最適なマーケティング施策を打っていくというものです。

まず、最新購買日では、商品なりサービスなりを「いつ購入したか」によってスコアリングします。直近であるほどスコアが高く、過去になるほど低くなります。
購買頻度は、購入履歴から購入頻度を割り出し、頻度の高い顧客から高スコアをつけていきます。 累計購買金額は、購入価格が高い顧客から、高スコアをつけていきます。

この方法で顧客をグループ分けすると「購入額は大きいが、その後の購入がない顧客」「金額は小さいものの、購入頻度が高い顧客」など、各グループの属性が明確になり、それぞれに対するマーケティング施策を行いやすくなります。

デシル分析

デシル分析では、まず顧客全体を購買金額の高い順に並べて、それを人数によって10等分します。たとえば顧客が100人いれば、購買金額の高い順に10人のグループが10できることになります。各グループの売上総額を合計すれば、それぞれのグループごとに全体に対する売上比率が明確になります。
その上で、優良顧客のグループをさらに伸ばすのか、売上の低いグループの底上げを図るのか、マーケティング施策を検討していきます。

デシル分析は、簡単な分析手法ですので使いやすいのですが、その単純さゆえに分析精度が低くなる可能性があります。たとえば、「高額商品を一度だけ購入した」という顧客でも、優良顧客に分類されることになります。
ですから、最低購入回数を設定したり、期間を区切ったりしてデータをとるといった工夫は必要でしょう。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析は、顧客全体をグループ分けする際、顧客の属性や意識、行動の背景といった類似性によってセグメント化していく方法です。
おもに、下記の4つの変数によって、顧客を分類・分析していきます。

  • 地理的変数
    居住地の気候、人口密度や交通環境などの地理的条件。
  • 人口動態変数
    年齢、性別、家族構成、職業、年収など、顧客個人の属性。
  • 心理的変数
    価値観や嗜好、性格などの感覚的な要素。
  • 行動変数
    購入直前での行動履歴など、購入に至った状況。

セグメンテーション分析では、まず「何を知りたいのか」を明確にしておき、その目的に沿った指標を用いることが重要です。

行動トレンド分析

行動トレンド分析は、アパレル業界のように、季節性のある商品やサービスについて分析する場合に使われる手法です。ほかの分析法とは異なり、すべての顧客を対象とするのではなく、優良顧客を抽出し、その顧客群の行動を分析していくというプロセスを踏みます。

まずは、全顧客を性別や年齢で分類し、各グループのシーズンごとの売上を集計。これで、どのグループが自社の売上に最も貢献している優良顧客群かがわかります。
優良顧客群の購入履歴を分析し、彼らが「いつ、どんな商品を購入しているか」を明らかにすることで、「いつ、どんな商品を提供すれば、最も効率良く売上につなげられるか」が見えてくるわけです。

CTB分析

CTB分析は、個人の属性や購入額などではなく、個人の趣味嗜好に焦点を合わせた分析法です。ここでいう「CTB」とは「カテゴリー(Category)」「テイスト(Taste)」「ブランド(Brand)」で、この3つの手法で顧客を分類します。さまざまな商品を扱うネットストアでは、使いやすい方法でしょう。

  • カテゴリー
    カテゴリーは商品の分類を表します。大分類としては「ファッション・食品・コスメ」など、さらに小分類として「Tシャツ・パンツ・アウター」などの分類を使います。
  • テイスト
    テイストは、サイズや形、柄や色など、商品のテイストによる分類です。
  • ブランド
    ブランドは、生産地やアパレルブランド、キャラクターなどによる分類です。

これらの要素のうち、何を好むかによって顧客を分類し、それぞれのグループがどの程度、自社の売上に貢献しているのか、どのグループにどのようなマーケティングを行うべきかを検討していきます。

そのほかの分析方法

ここに挙げたもの以外にも、分析手法はあります。
たとえば、「ネット・プロモーター・スコア(NPS)」は、顧客ロイヤリティを測定する指標として知られていますが、自社と自社商品に対する顧客の評価の高低とその理由を分析することで、自社商品の強みを伸ばし、弱みを改善するきっかけにできます。

また、近年ではAIの発達が著しく、従来の方法よりも遥かに複雑で、精密な分析が行えるようになってきました。これをさらに進化させれば、優良顧客が眠っている地域やターゲット層を見つけ、開拓することができるようになるかもしれません。

分析の際のポイント

どんな方法をとるにせよ、顧客分析を行う際には、押さえておきたい注意点がいくつかあります。分析の精度を高め、その後の施策の成果を高めるためにも、ぜひ覚えておいてください。

顧客のペルソナを構築しておく

自社の顧客を象徴する人物像としてペルソナを作っておくと、マーケティング施策の企画立案や、チーム内での共通認識を擦り合わせる場合などに役立ちます。
ペルソナは、居住地や家族構成などの個人の属性に加えて、趣味嗜好や価値観、ライフスタイルの特徴などを細かく設定して作られ、時に名前さえも与えられます。現実に存在する人間同様に扱うことで、「その人ならばどういう商品を好むか」「商品を訴求する際のポイントはどこか」といった、難しい点も明確に判断できるようになります。
もしもペルソナを作り上げるのが難しいなら、自社の優良顧客の中から、最も象徴的だと思われる人物を思い描き、そこに必要な属性を肉づけしていくのもいいでしょう。

顧客ニーズを掘り下げておく

「売れる商品」はすなわち市場、さらには人々が求めている商品だということになります。つまり、顧客や市場のニーズをくみ取り、反映した商品やサービスが売れるというわけです。
ですから、アンケートや口コミサイトなどから顧客の声を収集し、市場ニーズに受け入れられる商品を開発することが重要なのです。

購買のプロセスを把握しておく

人は、製品やサービスを購入するとき、おおよそ5段階のステップを踏みます。そのプロセスを把握し、それぞれの段階で効果的なマーケティングを行うことで、より確実に売上に結びつけることが可能になります。
これは、1920年代に提唱された「AIDMA」というマーケティング理論ですが、その原則は現在でも通用します。各段階でどのような施策を打てば良いか、検討してみてください。

  • Attention(注意)
    広告やプロモーションによって、その商品やサービスを知る段階。
  • Interest(関心)
    その商品が自分にとって役立つかもしれないと気づき、関心を持つ段階。
  • Desire(欲求)
    商品の有効性や必要性を認識し、欲しいと思い始める段階。
  • Memory(記憶)
    似たような商品の中から、特定の商品に購入候補を絞り込む段階。
  • Action(行動)
    商品の購入を決め、購買行動に移る段階。

市場規模と成長性を知っておく

自社が扱う商品の市場規模と成長性を認識しておくと、その中でどれほどの需要があり、どれほどのシェアを獲得できるのかが見えてきます。これは、今後の事業計画を立てる際に有用ですし、新たな事業に新規参入する際には不可欠な作業です。
もちろん、マーケティング施策を打つにあたり、どれほどの成果が期待でき、どれほどのリソースを投入すべきかという判断にも活用できます。

モノが売れない時代こそ、顧客分析が力を発揮する

顧客分析によって顧客のニーズを知り、その行動を知れば、商品やサービス、さらにはマーケティング施策に反映することができます。
「モノが売れない時代」だからこそ、精密な分析によって売上の拡大につなげていってください。
 

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