IVRとは?コールセンターに導入するメリットやコツを解説

 
最終更新日:2024.3.15
コールセンター業務で使われる「IVR」というシステムは、業務の効率化や生産性の向上を通じて、顧客満足度の向上に役立ってくれるものです。
ここでは、IVRの基礎的な知識とメリットのほか、知っておきたい注意点などについて解説します。

IVRとは、外部からの着信に対して、自動応答するシステムのこと

IVR(Interactive Voice Response)は、日本語では「自動音声応答装置」「自動音声応答システム」などと呼ばれており、外部からの着信に対して、自動応答するシステムを指します。また、単に音声を流すだけではなく、プッシュ信号の送信や音声認識によって担当部署につないだり、ほかのシステムを操作したりすることが可能です。

企業のサポート窓口に電話した際に聞かれる「新規のお申込みは1を、契約の変更は2を…」といった自動アナウンスや、宅配便の配達時間変更の仕組みなどは、このIVRを使ったものです。
特に、BtoCの企業には、数多くの電話が外部からかかってきますが、その内容は単純な問い合わせからクレームまでさまざまで、内容によっては回答できる部署が異なります。IVRを導入しておくと、顧客側の操作によって電話の内容をあらかじめ仕分けておくことができますから、オペレーターの負担軽減や業務の効率化に大いに役立ちます。

 
 

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さまざまな形で使われているIVR

IVRは一般の企業をはじめ、さまざまな場面で活用されています。先程ふれたカスタマーサポートや宅配便の例は、多くの人々が知っている例でしょう。

変わったところでは、自治体がIVRを導入した例もあります。市役所や区役所などでは、住民からのさまざまな質問や問い合わせをさばくため、代表電話を設置。大きな自治体になると、数人のオペレーターを配置して、入電を担当部署に振り分ける場合もあります。しかし、年度替わりの時期や、地震・台風などの災害時には電話が集中し、対応しきれなくなっていました。
そのようなときにIVRがあれば、問い合わせ内容に応じた部署に電話を振り分け、人力ではカバーしきれない量の入電処理が可能になるというわけです。

IVRの具体的な4つの機能

電話の初期対応を自動化してくれるIVR。ここで改めて、IVRの持つ機能と、そのメリットをまとめてみました。

<IVRの具体的な4つの機能>

  • 24時間、365日の対応が可能
  • オペレーターのスキルに合わせた振り分けができる
  • オペレーターを効率的に活用できる
  • 折り返しの連絡も可能

24時間、365日の対応が可能

IVRを使うと、オペレーターが不在でも電話対応と案内が可能になります。そのため、曜日や時間にかかわらず、電話対応ができるようになります。これはコストの面で、企業側にとっての大きなメリットです。
もちろん、込み入った内容の問い合わせとなると、オペレーターとのやりとりが不可欠でしょう。しかし、宅配便の配送日の変更のように、ボタン操作だけで処理できるものについては、時間を気にしなくて済むため、ユーザー側にとってもメリットが大きいものとなります。

オペレーターのスキルに合わせた振り分けができる

コールセンターの話題でよく登場する、「スキルベースルーティング」という言葉。これは、個々のオペレーターに対応可能分野や習熟度などのスキルを設定しておき、問い合わせの内容に応じて適したオペレーターに電話を振り分けるという手法です。IVRには、スキルベースルーティングの機能が搭載されています。
外部からの問い合わせやクレームは多種多様で、中には答え方の難しい内容もあります。そうした電話を習熟度の低いオペレーターにつないでしまうと、うまく対応できず、顧客満足度を下げるばかりか、顧客の離脱を引き起こしてしまいかねません。
しかし、IVRでスキルに応じた振り分けを行えば、そうした事態を避けることができるのです。

オペレーターを効率的に活用できる

外部からの電話の中には、オペレーターが対応するまでもないものがあります。解約・退会の申込みやイベントへの参加申込みなどは、あらかじめIVRで自動対応を設定しておけば、ユーザー側のボタン操作だけで処理が可能です。
こうした、有人・無人対応を選別する仕組みを用意しておくと、オペレーターの作業負荷が軽くなるばかりか、聞き間違いによるミスやエラーを未然に防ぐことができますし、スピーディに処理できますからユーザー側にも使いやすいものとなります。
ユーザーの声をしっかり聞き、着実かつ丁寧に対応することがオペレーターのコア業務です。そこに集中させるためにも、IVRはとても有用なのです。

折り返しの連絡も可能

入電に対するオペレーションが追いつかず、ずっと呼び出し中が続く…。こうした場合、IVRでは一定時間が経過すると「折り返し電話予約」へとつなぐことができます。ユーザーが希望すれば、手の空いたオペレーターが折り返し連絡するよう、アラートを出してくれるのです。
「何度電話してもつながらない」というのは、顧客満足度を大きく下げる要因です。この機能を活用することで顧客満足度の低下を防ぎ、顧客の声をひとつでも多くすくい上げることができます。

IVRの導入による3つのメリット

さまざまなメリットを持つIVRですが、実際に導入することで、いくつもの効果を得ることができます。その代表的な効果を見てみましょう。

<IVRの導入による3つのメリット>

  • コールセンター業務の効率化
  • オペレーターの離職防止
  • 顧客満足度の向上、解約防止

コールセンター業務の効率化

IVR導入による一番大きな恩恵は、業務の効率化でしょう。ある程度の入電を無人対応にできれば、オペレーターの作業負荷が軽減されますから、業務効率の向上にも役立ちます。
また、シンプルな案件は慣れない新人に、難しい案件はベテランに振り分けることで、個々のオペレーターの生産性を高めることもできます。

オペレーターの離職防止

コールセンター業務は、オペレーターの離職率が高い傾向があります。業務そのもののストレスが大きな理由ですが、IVRによって生産性と効率性を高め、スキルベースルーティングを活用することで、オペレーターの業務ストレスを軽減することができます。
特に、新人のオペレーターに対しては、対応が容易な案件を選んで振り向けることで、業務に慣れながら教育を施し、スキルアップにつなげることも可能です。
人材不足の昨今、優秀なオペレーターはなかなか確保できません。その点を考えても、IVRには大きなメリットがあるといえるでしょう。
 
 

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顧客満足度の向上、解約防止

IVR導入の最大のメリットは、顧客満足度の向上です。IVRに関するすべての要素が、この一点に収束しているといってもいいでしょう。
電話をかけてきた顧客は、自分が抱えている疑問や不明点を明快に、しかも今すぐ解消したいと思っているはずです。しかし、いくつもの部署をたらい回しにされ、その度に同じ話を繰り返していては、うんざりしてしまいます。それ以前に、電話がなかなかつながらないというだけで、大きなストレスを感じることでしょう。
このような事態を防ぎ、顧客満足度を高く維持して解約を防ぐことは、IVRの大きな目的でもあるのです。

IVR導入の5つのコツ

IVR、特に自動音声対応の設定に関しては、注意すべきことがいくつかあります。ここからは、IVR導入にあたって、知っておきたいポイントをご紹介しましょう。

自動応答の時間は短く設定する

自動応答の音声メッセージは、短めにまとめましょう。電話は、通話中に相手を拘束してしまうツールです。メールのように「タイトルだけ確認して、詳細は手が空いたらじっくり読む」というわけにはいきません。自動音声が長々と話し続けるあいだ、顧客はじっと待っていなくてはならないのです。これでは、相手にストレスを与えるばかりです。
また、案内が長くなると、そのすべてを覚えておくのが難しくなります。プッシュボタン操作を使うにしても「◯◯の方、△△の方…」と延々と用件を並べておいて「…以上の方は1番を押してください」では、聞いているほうはとても覚えられません。
自動音声に丁寧な言い方は必要ですが、それ以上に少ない言葉で簡潔に、正確に伝えることが大切です。

階層は浅く、メニューは少なく

プッシュボタン操作でメニューを選んでいく場合には、そのほとんどで階層構造が使われています。「契約については1を…」で1のボタンを押すと、ひとつ下の階層に移動して「更新は1を、解約は2を…」という具合に進んでいきます。この階層を深くしすぎないことは、顧客のストレスを考慮する上で重要なことです。
顧客は、この階層がどこまで続いているのかを知りません。ですから、3階層あたりになると、「もういいや」と電話を切ってしまいます。こうしたことを避けるためには、できるだけ階層を浅くすることです。
また、これと相反することですが、メニューの数を絞り込んでおくことも大切です。多すぎるメニューは長すぎる案内と同じく、一度で覚えにくいものです。浅く、短く、簡潔にと、心掛けておきましょう。

顧客本位のメニュー構成にする

IVRには、顧客満足度の向上という大きな目的があります。ですから、何をどのように設定するにしろ、それは常に顧客本位であるべきです。
たとえば、自動音声のメニューの順序。これは、会社によって考え方は違いますが、問い合わせの多い順に並べておけば、多くの顧客が短時間で目的のメニューに到達でき、顧客満足度の向上・維持に役立ちます。また、メニューに「そのほかの用件の方」あるいは「オペレーターとお話しになりたい方」を加えておくと、どれを選べば良いのかわからない顧客の救済策になり、顧客満足度の向上につながります。

定期的な見直しを行う

自動音声対応の設定は、顧客の反応を見ながら適宜見直していきましょう。たとえば、音声案内の途中で電話を切ってしまう顧客が多いようであれば、メニューが多すぎないか、階層が深すぎないか、検討が必要となります。オペレーターにつながった時点でイライラしている顧客が多ければ、それまでのプロセスにストレスの要因があると推察可能です。
収集できる情報から仮説を導き、改善を繰り返して、より洗練されたサービスへとブラッシュアップしてください。

使いやすいツールを選ぶ

IVRにはさまざまな製品がありますが、どれを選ぶべきかは一概にはいえません。基本機能はほぼ共通でも、細かな部分に違いがありますし、どのような機能が必要なのか、企業のニーズによっても適切な製品は変わります。
ですから、IVRの導入を考えるなら、まず機能やコストの点でいくつかの製品に絞り、デモ版を試用してみるといいでしょう。その上で自社の目的にかない、必要な機能を備えていて、なおかつ使いやすいものを選べば、後悔しない選択ができるはずです。
 
 

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IVRで顧客接点を強化しよう

SNSやチャットツールが普及している現在でも、電話は多くの人にとって使いやすく、身近な連絡ツールです。それだけに、顧客からの電話に対しては、万全の受け入れ体制を用意しておきたいもの。 IVRを活用して、自社の顧客接点のさらなる強化を進めてみてはいかがでしょうか。
 

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