顧客を引き寄せ離さない、カスタマーエクスペリエンスの強化の方法

投稿日:2020.09.28
製品やサービスとは直接関係なさそうに見える「顧客の体験」が、実は購買行動を左右し、企業イメージに大きく関わっている…。こうした考え方から注目されているのが、カスタマーエクスペリエンスです。 ここでは、カスタマーエクスペリエンスはどのようなものなのか、向上させるためには何をすればいいのかを解説します。

カスタマーエクスペリエンスとは?

カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)とは、日本語では「顧客体験」「顧客経験価値」などと呼ばれます。ビジネスの現場では「CX」という略語が使われることが多いでしょう。ここ数年、注目を集めている概念であり、その高低は企業の価値をも左右するといわれます。

顧客に提供する、形にならない「価値」

企業が提供する製品やサービスの価値は、おもにその価格や品質によって左右されます。しかし、人々の価値観やニーズが多様化し、競合が増えてくると、さまざまな市場でコモディティ化が進み、「安価で品質が良い」というだけでは生き残ることが難しくなってきました。そこで注目されるようになったのが、カスタマーエクスペリエンスです。
カスタマーエクスペリエンスは、商品やサービスの購入前後に顧客が体験する驚きや楽しさ、快適さなどの感覚的な付加価値を指します。つまり、企業は製品やサービスだけではなく、顧客に対して「購入に伴う一連の体験」をも提供しており、その価値を高めることで顧客からの支持を得ようという発想です。

体験の質が顧客の行動を左右する

購入に伴う一連の体験は、来店から退店までを指すわけではありません。その前後で発生している企業との接点において、顧客が体験するすべてのことが含まれます。広告、製品サイトの構成やデザイン、問い合わせに対するレスポンスのほか、実店舗の設計や雰囲気、スタッフの応対、SNSやメールでの情報提供。さらには、購入後のアフターケアやサポートまで、あらゆる場面を含みます。

これら、多くの接点において、顧客は「良質な体験を得たい」と思っています。2019年4月にセールスフォース・ドットコムが行った調査では、「企業が提供する体験は、製品・サービスと同じくらい重要だ」と答えた顧客が全体の84%にも上りました。
製品やサービスの品質や価格だけでなく、それとは直接つながりがないように見える良質な体験が、人々の購買行動に大きな影響を及ぼしているのです。

カスタマーエクスペリエンスの高低で何が変わるのか?

カスタマーエクスペリエンスが向上することで、どのような変化が起こるのでしょうか?

まず、リピーターの獲得につながります。製品以外の価値に顧客が満足すれば、それは競合他社に対する差別化となります。顧客が製品のコストパフォーマンスとは別に、「この企業の製品を使いたい」と感じてくれれば離脱せず、ロイヤルカスタマーへと育ってくれるでしょう。これは企業にとって、LTV(顧客生涯価値)の増大であり、安定収益につながります。

さらに、こうした顧客が口コミで新たな顧客を広げ、そこでまた良質な顧客体験を提供できれば、この好循環が次々と広がっていきます。その結果、企業のブランド力の向上が実現できます。
カスタマーエクスペリエンスが低いままでは、これとまったく反対の結果を招くでしょう。リピーターが育たず、毎月の売上確保に躍起になり、反面、企業ブランドが確立できないということになってしまいます。

カスタマーエクスペリエンスを高めるとは、どういうことか?

「カスタマーエクスペリエンスを高める」とはどういうことなのでしょうか。一言でいえば「顧客に良質な体験を提供する」ということになりますが、これだけでは今ひとつピンとこないでしょう。
そこで、カスタマーエクスペリエンスの成功事例をご紹介していきます。

スターバックス:店舗の体験を通じてカスタマーエクスペリエンス向上を狙う

スターバックスは自社の店舗を、自宅と職場に次ぐ第3の場所「サードプレイス」と位置づけ、質の良いコーヒーと余裕のある空間、スタッフのホスピタリティなどが統合された「スターバックス体験」を売り物としていました。ところが、企業トップの交代によって経営方針が売上拡大に傾くと、業績が傾いていきます。これは、売上に偏重するあまり、スターバックス体験が希薄になったためといわれます。

その改善策として同社は全店舗を一時的に休業し、バリスタの再教育を行ってコーヒーの品質向上を図りました。また、スターバックス体験の再定義を行い、カスタマーエクスペリエンスの向上を狙った数々の施策を打ち出していきます。すると、ほどなくして業績は回復し、成長路線にのることができました。スターバックスの顧客たちはコーヒー以上に、何者にも代えがたいスターバックス体験に対価を支払っていたのです。

Amazon:注文から受け取りまで徹底的に顧客を満足させる姿勢を貫く

Amazonは、企業のミッションとして「地球上で最も顧客を大切にする企業」というスローガンを掲げています。そのために、カスタマーエクスペリエンスを企業全体で追求する姿勢が貫かれています。
サイト内で多様な商品とサービスのカテゴリーを用意し、そこに高品質で安価な製品を数多くそろえ、商品情報を少しでも詳しく掲載して利用者の疑問や不安を解消する。ページは見やすく、商品の比較・検討から購入までがスムーズにでき、使いやすい。注文を受けたら顧客の要望にできる限り合わせ、常に最速で発送して配達する。
このように、あらゆる瞬間におけるカスタマーエクスペリエンスを高レベルで満足させることで、顧客からの信頼を得ています。

カスタマーエクスペリエンスを高めるためのポイント

カスタマーエクスペリエンスを向上させる具体的な施策は、企業によって異なるでしょう。しかし、施策を企画立案・実践する際に、共通する注意点はあります。そのポイントをいくつかご紹介しましょう。

顧客の立場で、顧客が何を求めているかを考える

顧客の立場で発想するには、カスタマージャーニーマップが役立ちます。
カスタマージャーニーマップは顧客の行動に焦点をあてたもので、感情を直接測れるものではありません。しかし、購入プロセスの中で顧客がどのような体験をし、その後の行動を判断するかを把握することはできます。そこから顧客の心情や感情の動きを理解し、ニーズを読み取っていくのです。
また、顧客の声を集めやすい環境を作り、VoC(顧客の声)マネジメントに積極的に取り組むことも重要となります。
たとえば、「製品やサービスの質を高めるには、お客様からのご不満の声が必要です」というメッセージをスタッフを通じて顧客に対して打ち出せば、顧客は自分が感じている不満や、より良い環境にするためへの意見を言いやすくなります。
そうした声を集めるためのチャネルとしては、メールや電話はもちろん、より気軽に投稿できるチャットを活用するのも効果的です。カスタマーエクスペリエンス強化の第一歩として、「顧客からの苦情を集める仕組みしくみ」を検討してみましょう。まずは、顧客の立場で、顧客が何を求めているか考えることが重要です。とはいえ、商品やサービスを提供する側が、それを受け取る側の心情や感覚を理解するのは、簡単ではありません。その助けとして、カスタマージャーニーマップが役立ちます。

全社的に取り組むことが重要

カスタマーエクスペリエンスの向上は、自社のミッションとして企業全体で取り組むことも大切です。
従業員全員の共通認識として、個々の持ち場でその意識を活かすことで、あらゆる顧客接点で商品やサービスの質を高め、ひいては企業のブランド力を向上させることができます。

現状の課題と、その解決策を提示する

カスタマーエクスペリエンスを向上させる施策の立案にあたっては、まず現状の課題を認識し、その要因を特定しておく必要があります。自社と顧客との接点を一つひとつチェックし、顧客がネガティブな印象を抱く可能性がないか、あるとしたらその要因は何かを、丹念に検証していきます。
こうしたマイナスの要因は、ひとつとは限りません。むしろ、複数見つかるのが常ですから、それぞれの重要度を測り、解決の優先順位をつけることも大切です。

顧客とのあらゆる接点で施策を行う

前述したカスタマージャーニーマップに企画した施策をはめ込み、どのタイミングでどのようなアプローチをかけるか確認していきます。
あらゆる接点で施策を行うのが理想ですが、リソースの兼ね合いから、それが難しい場合もあるでしょう。そのときは、優先順位に従って実行していきましょう。

改善活動を評価する数値目標を設定する

施策の実行にあたっては、その効果を測る指標とともに、数値目標を設定しておきましょう。
カスタマーエクスペリエンスを測定する指標としては、サイトの平均ページビュー数、顧客獲得率、解約率などのほか、顧客満足度を測るNPS(ネットプロモータースコア)などもあります。
あまり多すぎると収拾がつきませんが、とはいえ1つの指標だけでは実状が見えてきません。顧客を惹きつけ、関係を強化し、定着させることができているかどうか。そうした観点から指標を選ぶといいでしょう。

カスタマーエクスペリエンスが企業の成長のカギになる

カスタマーエクスペリエンスは、近年になって注目されている概念です。自社商品やサービスに興味を持ってくれたユーザーを逃さず、自社のファンになってもらうためには、今後ますます重要性を高めていく考え方だといえます。
激しい競争を生き抜き、企業として成長し続けるためにも、効果的な施策でカスタマーエクスペリエンスの向上を図ってください。

 

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