ワイオミング州家庭福祉局、素早く家庭向けサービスを提供

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Wyoming DFSはトレイルブレイザー
支援を必要とする人に支援プログラムを確実に提供するために

州の住民が支援を必要とするとき、まず最初に相談するのがワイオミング州の家庭福祉局(以下、DFS)です。DFSは、地域のコミュニティと協力し、安心して子育てできる家庭を作り、家庭が安全で豊かな生活を送れるよう支援しています。

DFSの経済安全課でシニアアドミニストレーターを務めるKristie Arneson氏は、「ワイオミング州では、困難な家庭状況にある住民が、私たちの機関に助けを求めて連絡をしてきます。こうした家庭を支えるのが私たちの主要な仕事です」と話します。

ワイオミング州のDFSは、家庭支援を中核とした3つの基本理念のもとで活動しています。

1.まずは、家族や個人が自宅で安全に過ごせるようにすること。そのために、住居や食事、暖房などの最低限の生活ができるよう支援します。
2. 次に、家族が共に安全に暮らしていけるように、生活を豊かにするための機会を提供します。
3. そして、支援業務に従事するスタッフとパートナーが業務に専念できるよう、業務を効率よく運用できる環境を整えることです。
DFSは、広大で農村地域の多いワイオミング州全域にわたって支援活動を行っていますが、人々のニーズは多様で常に変化しています。DFSでシニアアドミニストレーターを務めるRoxanne O'Connor氏は、「私たちは、人々が豊かな生活を送る機会について常に考えています。そして、支援を必要とするすべての人が各種支援プログラムのサービスを確実に受けられるようにするために、利用しやすい仕組みが必要だと気付きました」と話します。
 

「支援を必要とするすべての人が各種支援プログラムのサービスを確実に受けられるようにするために、利用しやすい仕組みが必要だと気付きました」

ワイオミング州DFS シニアアドミニストレーター Roxanne O'Connor氏

 

セキュアな環境でコミュニティのニーズに迅速に対応

DFSがSalesforceを採用したのは、新型コロナのパンデミックを受けて、連邦政府が新しい支援策を打ち出したためです。この支援策に対応するためには、今までの方法を抜本的に変え、新たなシステムを整備することが必要でした。Arneson氏は、「新型コロナのパンデミック対策として、通常予算の2倍になる4億ドルを超える予算が投入され、助成金を必要としている住民にすぐに届ける必要がありました。」と話します。

時代遅れでサイロ化したレガシーシステムにより、DFSのデータは分散していました。そのため、情報を関連付けることが困難で、各種支援プログラムを包括的にカバーするレポートを出力することはできませんでした。そのために、データからインサイトを得ることができず、コミュニティのニーズにも対応できませんでした。ワイオミング州のエンタープライズテクノロジーサービス部門でソフトウェア開発のスーパーバイザーを務めるJosh Soffe氏は、次のように話します。「私たちが運用していたシステムは、容易にカスタマイズできない構造で、新たなニーズに対応するためには抜本的な見直しが必要でした。さらに、支援を要する家庭とリモートで交流する手段がないことも深刻な問題でした」

DFSでは、支援を要する家庭が、容易にリソースを利用できるようにしたいと考えていました。O'Connor氏は、「助けを必要とするすべての人々が、簡単に私たちのリソースを利用できるようにするために、障壁を減らしたかったのです」と話します。そのためには、大部分が手作業だった申請プロセスを見直す必要があり、DFSではテクノロジーの更新によって実現しました。Arneson氏は、次のように話します。「多くの課題は、テクノロジーの古さに起因しており、住民が普段使っている方法でのサービス提供ができませんでした。私たちはなんとか代替手段を考えました。結果として、優先順位付けとどうやったら前に進めるかを自問することになったのです。」

DFSの目的は明確になりました。

  • 全てのプログラムを通して入口を1つにし、全ての情報にアクセスできるようにして、どこからでも簡単に助けが求められること
  • DFSの職員が支援業務に専念できるよう、簡単でかつ効率的に業務が遂行できるシステムであること。
  • 組織内だけでなく関係機関とも連携し、リアルタイムでのデータ共有と情報提供ができること。
  • 将来のニーズにも対応可能なアジャイルでスケーラブルなプラットフォームであること。
  • パンデミックのため、急速な変化が必要でした。ワイオミング州の各家庭のニーズに応え続けるために、チームはビジョンを実行に移しました。それがクラウドシフトです。
 
 

ワイオミング州DFSは、支援を必要とする人に行政サービスを届けるために、顧客中心を実現できるアジャイルプラットフォームを導入しました。

DFSは、FedRAMP認証済みのSalesforce Government Cloud Plus(英語)の上で動く、Public Sector Solutions for Grants Management(助成金管理ソリューション)(英語)を導入。家庭向けの行政支援に関するすべての情報を集約するポータルを設け、ユーザーにとって利用しやすい環境を整備しました。支援を求める人々だけでなく、DFSの職員も業務プロセスを効率的に進めることができるシステムです。

「人々は、どんな支援プログラムがあるのかを調べる必要はありません。自分たちが援助を必要としているという認識があればそれで十分です。複数のプロセスを1つのプラットフォームに集約し、1つの窓口を通して最適な支援を受けられるようにしたことで、支援を必要とする人々がより簡単にサービスを受けられるようになりました」(Soffe氏)。

ERAP(緊急家賃支援プログラム)や他の支援プログラムの利用を申請する際には、まずポータルサイトにアクセスし、いくつかの基本データを入力してアカウントを作成します。すると、Public Sector Solutions for Grants Management(英語)に情報が登録されます。システムのセキュリティレイヤーとしてSalesforce Shieldを採用し、連邦政府の求めるコンプライアンスも遵守できています。このポータルでは、申請者が必要とする支援のタイプに応じて、申請者自身がプロセスを通して、ERAPの利用可否を理解するようガイドし、迅速な申請を可能にしています。また、申請に必要な書類は、写真、ファイル、またはスキャンデータとして直接アップロードできます。

申請書が提出されると、DFSのスタッフはワークフローに沿って、レビュー、承認、および支払を実施します。プロセスが完了すると、申請者に支援内容の詳細がメール通知されます。ポータルはセルフサービスを可能にする仕様で、申請者はこのポータルからも通知内容を確認できます。なお、同時に複数の支援プログラムに申請することも可能です。

さらに、DFSは、雇用とボランティア募集の選考プロセスを大幅に効率化できるポータル「Central Registry」も立ち上げました。Central Registryの運用開始後、選考プロセスに必要な期間は12営業日から1営業日へと短縮。雇用主やボランティア手配団体は、選考プロセスの適正さを重視しながら、迅速に、エッセンシャルワーカーを採用できるようになりました。

 

「ビジネスニーズがテクノロジーを促進するのであって、その逆はありません。州政府機関として、私たちは、以前よりもはるかに多くの業務を行えるようになりました。また、他の州政府機関との交流も、これまで以上に有意義なものとなっています」

ワイオミング州DFS 経済安全課 シニアアドミニストレーター Kristie Arneson氏

 

アジリティ(俊敏性)は多くのイノベーションを起こし、ワイオミングの住民サポートを充実させました。

今回のシステムは、規制の変更や新しいプログラムの追加にも柔軟に対応できます。「このプラットフォームのおかげで、必要な場合には、素早く方向転換できるようになりました。ローコード/ノーコードでシステム開発できるため、これまでより、はるかに迅速な対応が可能になったのです」(Soffe氏)。

信頼できる単一の情報源を構築できたため、ダッシュボードを通して意思決定権者が必要とする価値あるインサイトをリアルタイムに取得できるようになりました。O'Connor氏は、「データを1か所に集約することで、私たちは、支援プログラムをさまざまな角度から見られるようになりました。私たちは、イノベーティブな組織に生まれ変わり、住民に対してより良い支援プログラムを提供できるようになりました。」と話しています。

コミュニティのパートナーや他の州政府機関、そしてワイオミング州の家庭支援に直接携わるスタッフとの知識共有も促進されました。「DFSの職員は、州全体の広範な地域で仕事をしています。クラウドに移行したおかげで、職員は、いつでも、どこからでも業務を遂行できるようになりました。外出して仕事をする家庭支援担当スタッフも、より機敏に対応できるようになりました」(Soffe氏)。

Arneson氏は、「ビジネスニーズがテクノロジーを促進するのであって、その逆はありません。州政府機関として、私たちは、以前よりもはるかに多くの業務を行えるようになりました。また、他の州政府機関との交流も、これまで以上に有意義なものとなっています」と話します。

O'Connor氏は、「何が実行可能なのかということについて、これまでになかった新しい視点で考えられるようになったことが最大の成果です」と今回のプロジェクトを総括してくれました。

 
 

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