
アクティブサポートとは?導入のメリット・デメリットをわかりやすく解説
ユーザーのSNS上でのコメントに反応してアクションを起こすのがアクティブサポートです。アクティブサポートにはどのようなメリットがあり、どのように実践すればいいのでしょうか。アクティブサポートの基礎知識を解説します。
ユーザーのSNS上でのコメントに反応してアクションを起こすのがアクティブサポートです。アクティブサポートにはどのようなメリットがあり、どのように実践すればいいのでしょうか。アクティブサポートの基礎知識を解説します。
ユーザーからの問い合わせやクレームを受けて対応するのが、従来のユーザーサポートでした。しかし、それより早く、ユーザーのSNS上でのコメントに反応してアクションを起こすのがアクティブサポートです。
アクティブサポートにはどのようなメリットがあり、どのように実践すればいいのでしょうか。ここではアクティブサポートの基礎知識を解説します。
誰もが個人レベルで情報を発信できるSNS。現在では、電話やメールの存在感がかすむほどに、広く使われているコミュニケーションツールです。このSNSを検索し、自社に関するコメントを見つけ、それに対して適切なケアを行うのがアクティブサポートです。顧客と直接つながるBtoC企業を中心に必要性が高まっている、能動的なユーザーサポートといえます。
顧客に対するサポートは、従来はヘルプデスクやコールセンターがその役割を果たしてきました。しかし、これらのしくみは、顧客側からのアクションがなければ機能しません。つまり、「待ち」のサポートシステムです。
しかし、アクティブサポートは、いわば「攻め」のしくみとなります。まずは、アクティブサポートの4つのメリットをご紹介しましょう。
日本人には、「サイレントカスタマー」が多いといわれます。自分が買った商品、受けたサービスに満足できなかった場合でも、わざわざコールセンターやお店のスタッフに苦情を入れるということは少ないという傾向があるようです。反対の場合も同じで、製品やサービスに満足し「これは良いな」と感じても、メーカーに感謝のメールを出すというようなことはほとんどしません。
しかし、個人的なメディアであるSNSにコメントをアップするということは頻繁にあります。「良さそうだと思って買ったけど、期待外れだった」「これは値段以上に良いサービス!」といった短いコメントは、ユーザーの本音の表れです。こうした生の声を拾い上げれば、そこからサービスの改善や商品開発につなげることもできます。これが、アクティブサポートの大きなメリットです。
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多くのユーザーにとってSNSでのコメントは、独り言に近いものです。「◯◯を買ってきたけど、なんか使い方が難しそう…」といったコメントはよく見かけますが、これは決して誰かに向けられた言葉ではありません。
こうしたコメントに対して、メーカーや販売店から「お買い上げありがとうございます!使い方がわかりにくくてごめんなさい、こちらの解説動画を参考にしてください!」といった返答がつけば、公式のアカウントが直接反応してくれたと、顧客の好感度は一気に上がるでしょう。
こうして企業に対する好感度や信頼を高め、顧客離れを防ぐ効果をアクティブサポートは備えています。
SNSに書かれているコメントは、ポジティブなものばかりではありません。中には、ネガティブなものも発信されます。これらを放置しておくのは、決して賢明ではありません。大きく炎上してしまったら、一度広がってしまった悪い評判を拭い去るのは難しいからです。
ですが、炎上前の初期段階でネガティブなコメントを見つけ、自社側に不備があれば改善策をとることなどを伝えることができれば、炎上を止めることができます。
顧客の本音を知ることで、ニーズに合う商品を提供することができます。
SNS上のコメントなども参考にし、潜在顧客や休眠顧客を見つけて商品の提案ができます。
アクティブサポートは、小さなつぶやきを拾い上げてフォローしていく活動ですが、闇雲にSNSを検索してコメントするばかりでは、成果は上がりません。やり方によっては、むしろ逆効果にもなってしまうでしょう。そのため、事前の準備が大切になります。
続いては、アクティブサポートの準備のために必要なポイントをご紹介します。
アクティブサポートは、能動的なユーザーサポートです。しかしその内容は、製品やサービスに関する事柄にとどまりません。場合によっては、技術開発や経営に関わるような内容も扱うことになります。
たとえば、自社製品のユーザーが「こんなモノがあれば便利なのに」とコメントしたとしましょう。これが、従来のユーザーサポートであれば「貴重なご意見として、担当部署に申し伝えます」で終了ですが、それではあまりに紋切り型で、ユーザーに感動や驚きを与えることができません。しかし、「多くは語れませんが、きっとお気に召すアイテムを開発中ですよ」などと返答すれば、ユーザーの興味を引くことができるでしょう。
どこまでの情報を開示できるかはケースバイケースですが、こうしたケースを想定して、各部署を横断する協力体制や、情報の共有は必要です。アクティブサポートを実践する前に、こうした体制を整えておくことは大切です。
X(旧:Twitter)、Facebook、Instagramなど、さまざまなSNSが登場し、それぞれ多くの人に利用されています。それらをすべてカバーできれば一番でしょう。しかし、企業側のリソースには限りがありますから、アクティブサポートの対象とする範囲を線引きしておかなくてはなりません。
基本的には、自社の製品やサービスのコアな顧客層を絞り、各SNSのユーザー層や活用のされ方と照らし合わせて、対象メディアを選定すればいいでしょう。まずはそこからスタートして、方法が確立されたところで、ほかのメディアに広げていくというやり方が安全かもしれません。
アクティブサポートは、企業にとって魅力的なメリットがある反面、やり方を間違えるとネガティブな印象を拡散させてしまうという可能性もあります。実施する際にはそうしたリスクを理解した上で、下記のような点に注意しながら行う必要があります。
SNSはメールとは違い、ユーザーと一対一のコミュニケーションではありません。多くの人に見られていることを前提に考えたほうがいいでしょう。ですから、ひとりひとりのユーザーのコメント内容や予想される感情などに配慮しながら、個別の対応が求められます。 テンプレートどおりの対応や、コピー&ペーストで作った文章はすぐに見破られてしまいますし、そうなるとかえって印象を悪くしてしまう可能性があります。
SNSでは、コメントが断片的になったり、抽象的になったりしがちです。ですから、ユーザーが何に対してどのように感じたのか、喜んでいるのか困っているのか怒っているのか、その本質を正しくつかむことが重要です。そうでないと、見当違いのコメントを返すことになってしまうからです。
たとえば、「なんか、壊れたっぽい」というつぶやきに対して、修理や新製品の購入を促すのは的外れです。もしかしたら、ユーザーの思い違いや使い方のミスかもしれません。
SNSは、元々長文を打ち込むメディアではありません。場合によっては電話やメールに誘導し、そこで問題の本質を正しくつかむようにしましょう。
人は誰でもTPOに合わせて、服装や立ち居振る舞いを変えています。それは、文章でも同じことです。ビジネスメールや公式ブログではフォーマル色の強い言葉や文章を使いますし、SNSでは砕けた言葉でコメントします。
アクティブサポートでも、こうした調子の違いを理解することが大切です。迷惑をかけているユーザーには丁寧に、ポジティブなコメントにはカジュアルにするなど、内容に応じた語調のルールを作っておくといいでしょう。
ポジティブな意見とネガティブな意見、それぞれに対してどんな返答をするのか、いくつかの場合を想定して、対応ルールとともに例文も作っておくといいでしょう。
ポジティブなコメントには素直に感謝を述べて、顧客満足度を高めることを意識します。反対にネガティブなコメントに対しては、迷惑をかけたことを詫び、改善のための対応を申し出るなど、その先につなげることを意識します。
いずれの場合も、ここでとった対応がユーザー自身だけでなく、多くのSNSユーザーの目にふれていることを忘れてはなりません。
<ポジティブなコメントへの返答例>
うれしい口コミをいただき、ありがとうございます!おっしゃるとおり、使い勝手にこだわって開発・設計した製品です。これからも末永くご愛用ください!
<ネガティブなコメントへの返答例>
この度は弊社製品についてご迷惑をおかけし、たいへん申し訳ございませんでした。可能であれば、現状の詳細をお伺いしたく、注文番号をDMにてお知らせいただけませんでしょうか?お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
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SNSは、短文でのコミュニケーションメディアです。ですから、SNSでどこまで対応するのか、どのような場合に電話やメールに誘導するのか、その線引きをつけておくことが必要です。
また、そもそもの話ですが「ユーザーのコメントに反応すべきかどうか」という判断も大切です。仲間内で盛り上がっているときに、公式SNSが口を挟むのは興覚めすると感じることもあるでしょう。こんなときはタイミングを見計らう必要がありますし、公式からのコンタクトを嫌うユーザーもいるということも理解しておく必要があります。
SNSは一般に、発信したコメントが次々に積み上がって表示されます。そのため、アクティブサポートの対応数が増えれば、過去の履歴を参照しにくくなります。
しかし、これらの履歴は、ユーザーとのコミュニケーションの記録です。記録として管理・蓄積しておけば、サービスの向上やマーケティングに活かすことができます。そのためにも、アクティブサポートの対応履歴の、適切な管理は必須といえます。
現在、市場には複数のSNSを管理できるツールが登場しています。アクティブサポートを効率的に行い、その効果を高めるためには、こうしたツールの活用が便利でしょう。
アクティブサポートは、企業にとって能動的なユーザーサポートの手法のひとつといえます。ユーザーにとって身近なSNSをうまく活用することで、顧客の離脱を防ぐことにつながりますし、適切な対応をとることで顧客満足度を高めることもできます。
さらに、アクティブサポートの内容が拡散されることで、企業のブランド価値を高めることにも貢献できるでしょう。積極的にアクティブサポートを活用してみてください。
顧客の変化から企業が対応すべきことや、システムを連携・統合するまでのプロセスについて説明します。