スマートフォンの画面を見て満足そうな様子の顧客

顧客エンゲージメントとは?重要性や戦略を考える

顧客エンゲージメントを高めるためのツールとは、どんなものでしょうか?そして、どうすれば相手を継続的に惹きつけられるのでしょうか?Salesforceのチーフデジタルエバンジェリストが、その方法を解説します。

Vala Afshar

HuluやNetflixなどの動画配信サービスは、ユーザーの行動、データ、テクノロジーを駆使して相手の好みに合ったコンテンツを提供し、パーソナライズした顧客エンゲージメントを確立しています。消費者は、企業は自分のことを理解し、ニーズや関心を予測して、求めているコンテンツや製品だけを提供してほしいと考えています。顧客エンゲージメントの重要性は、ますます高まっています。

Salesforceの『コネクテッドカスタマーの最新事情新しいウィンドウで開く』レポートによると、企業が提供する体験は製品やサービスと同じくらい重要であると考える顧客は80%に上ります。顧客エンゲージメントのスタンダードは変化し続けており、エンゲージメントとは、信頼を得られるシームレスな体験を生み出すことです。顧客の79%が、部門をまたいだ一貫性のあるやり取りを期待し、80%が、企業にデータを提供しているのだから、顧客体験をもっと向上させるべきだと回答しています。

ヘッドセッService Cloudのピンクのハートロゴを抱え、緑の広場に立つSalesforceマスコットのAstro。

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顧客エンゲージメントとは

顧客エンゲージメントとは、1回限りや短期間で終わるやり取りではなく、つながりを保つ体験をお客様に提供することです。そのためには、チーム編成、業務、テクノロジーを最適化し、消費者からのフィードバックをもとに改善し続けるサイクルを作る必要があります。企業は顧客のニーズの変化を常に把握し、ブランドの品位を維持し、顧客データを倫理的に使って、最適な顧客体験を生み出さなければなりません。

パーソナライズされた顧客エンゲージメントには、統合型のテクノロジースタックが不可欠です。たとえば、連携可能なCRMを使えば、お客様一人ひとりの全体像を可視化できます。チームはこのインサイトをもとに、データを使って相手のニーズに合わせてコンテンツや体験をパーソナライズし、高まり続ける期待に応えます。

『カスタマーサービス最新事情』レポートのタイトルスライドを掲げているSalesforceマスコットのEinstein。

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顧客エンゲージメント戦略はなぜ重要なのか

Salesforceの調査では、顧客の80%が、企業が提供する体験は製品やサービスと同じくらい重要であると回答しています。つまり、顧客体験の質は、ビジネスの成功に直接影響する可能性があるのです。

「競争相手は、地域の企業や類似製品を販売する他社ではないことを、企業は認識すべきです」と、顧客体験に関する著書を出しているDan Gingiss氏は述べています。「いま、企業は顧客体験で優劣を競っているのです。先見性のあるブランドにとっては、お客様が誰かに話したくなるようなポジティブな体験を作るチャンスです。また、顧客体験の担当者は、さまざまな企業や業界が提供しているエクスペリエンスに注目し、参考にするべきです」

“競争相手は、地域の企業や類似製品を販売する他社ではないことを、企業は認識すべきです。いま、企業は顧客体験で優劣を競っているのです。”
顧客体験に関する書籍の著者、Dan Gingiss 氏

また、ある業界でブランドが顧客体験のレベルを引き上げると、その影響は他のすべての業界に波及します。「顧客はいま、大きな力を持っています」とSalesforceの業種別ソリューション担当EVPは語ります。「SNSが普及した現代の社会では、誰もが声を上げることができます。熱狂的なファンの声を活用できれば効果は絶大ですが、同様に、不満を抱えた顧客の声も響き渡ります。どの業界であれ、成功するには、顧客を知り、ニーズを理解しなければなりません」

“顧客はいま、大きな力を持っています。SNSが普及した現代の社会では、誰もが声を上げることができます。熱狂的なファンの声を活用できれば効果は絶大ですが、同様に、不満を抱えた顧客の声も響き渡ります。どの業界であれ、成功するには、顧客を知り、ニーズを理解しなければなりません。”

マーケティング、セールス、サービスの顧客エンゲージメントを測定するには

顧客エンゲージメントの計測は、必ずしも簡単ではありません。

  • 先週、企業のWebサイトを10回訪問した顧客は、営業担当者と電話で15分間話した顧客よりエンゲージメントが高いでしょうか?
  • 最近5回買い物をした新しい顧客は、長年にわたって年に1回買い物をしている顧客よりエンゲージメントが高いでしょうか?
  • 顧客がオンラインアンケートに回答したり、ほかの人にブランドをにすすめてくれたりした場合、上記の質問の答えは変わりますか?

ビジネス目標により成功の考え方は異なります。各部門が注視すべき、主な指標をいくつか紹介します。

マーケティングの顧客エンゲージメント

「最適なメッセージ、最適なチャネル、最適なタイミング」という信条は依然として有効ですが、完璧に実践するのは至難の業です。平均的な顧客は、さまざまなデバイスを使って多数のチャネルを行き来しています。

リアルタイムのエンゲージメントは、マーケターにとって最重要事項であり、最大の課題でもあります。多くのマーケターは、一般的なWebトラフィックとデジタルエンゲージメント率に加え、モバイルとSNSの分析も参照して、メディア全般にわたって最適化を図っています。マーケターの48%が、顧客生涯価値もトラッキングしています。これは、顧客と効果的につながり、顧客が望む体験を提供しているかを測る究極の指標です。

「まず、顧客生涯価値の測定から始めましょう。顧客生涯価値を見れば、既存顧客にもっと投資すべきことがわかります」とDan Gingiss氏は言います。「既存顧客が離れているにもかかわらず、新規顧客の獲得に予算を注ぎ続けるという無限ループにはまるのとは対照的です」

セールスの顧客エンゲージメント

営業担当者にとって売上目標の達成は変わらず重要ですが、その指標は変化しています。セールスチームは、1回限りの取引や新規顧客にばかり注目するのではなく、既存の顧客関係を深めることに価値があると気付いています。

サービスの顧客エンゲージメント

カスタマーサービスにとって、顧客満足度は最終目標であり、最も注視するKPIです。しかし、現代のサービスセンターでは、データアナリティクスでより詳細なエンゲージメントを測定できます。

たとえば、サービスチームの69%が初回解決(FCR)率を、同じく69%がカスタマーエフォートスコアをトラッキングしています。また、67%は、人が対応する前に自動処理で解決できた割合を示す指標である、ケース作成の回避率(ケースデフレクション)をトラッキングしています。

効果的な顧客エンゲージメント戦略を策定するには

カスタマーサクセスは、パーソナライズされた、リアルタイムでつながる体験を提供することにあります。こうした要素はすべて、効果的な顧客エンゲージメント戦略に不可欠です。

パーソナライズされた顧客体験を提供する

パーソナライゼーションは、もはや当たり前のこと。マーケターは、カスタマージャーニー全体に大きな影響を及ぼすことを知っています。顧客は、ブランドを認知してから商品を購入するまで、全段階で個別化された体験を期待しています。また、カスタマーサービスには、コンシェルジュのような対応を求めています。

パーソナライズされた体験として認められるには、高い基準を満たさなければなりません。顧客の65%は、自分のニーズや好みの変化に企業が対応してくれることを期待しています。顧客が企業に求めているのは、疲れているときにお気に入りのコーヒーを持ってきてくれる、思いやりのある隣人や同僚のような対応です。しかし、企業はこうした期待に応えられていません。顧客の61%は、一人の人間ではなく、数字扱いされていると感じています。

顧客の65%は企業に自分のニーズや好みの変化に合わせてくれることを期待していますが、顧客の61%が大半の企業に数字として扱われていると回答しています

部門間で顧客体験をつなげる

顧客の64%は、1回の取引を終えるまでに複数のデバイスを使っています。また、平均的な企業は900種類のアプリケーションを利用していますが、連携しているのはそのうちわずか29%です(英語)。そして顧客の4分の3以上(英語)が、営業担当者またはカスタマーサービス、実店舗またはオンラインを問わず、企業に一貫性のあるやり取りを期待しています。

そのためには、すべての部門が過去の顧客データにアクセスできるようにする必要があります。すべての従業員が、顧客情報にすばやくアクセスし、同じ質問を何度も尋ねることなく、顧客に対応できなければなりません。

多くの企業にとって、こうした期待に応えることは難しい課題です。顧客の55%は、1つの企業というより、個々の部門とやり取りしているように感じると回答しています。適切なツールがなければ、企業が複数のチャネルやデバイスをまたいで高いレベルで一貫性を維持するのは、不可能ではないとしても、困難を極めます。

顧客の79%は、部門が違っても一貫性のあるやり取りができることを期待していますが、56%は、担当者が代わると同じ情報を繰り返し伝えたり、説明したりしなければならないことがよくあると回答しています。また、顧客の70%が、すべての担当者が顧客情報を共有することを期待しています。しかし、顧客の55%は、1つの企業というより、個々の部門とやり取りしているように感じると回答しています。

信頼できる、迅速な顧客対応を可能にする

顧客の77%は、担当者が問い合わせにすぐに対応してくれることを期待しています。しかし、セルフサービスの利用を望む顧客も多く、66%が、単純な問題であればセルフサービスを使うと答えています。

つまり、待つことが我慢できない顧客が増えており、すばやい対応と、顧客とリアルタイムで双方向の会話ができるようにすることが企業の課題になっているのです。

顧客はすべてのチャネルで最適なエンゲージメントを期待

顧客の73%新しいウィンドウで開くは、テクノロジーの進化に応じて、さらに高度なパーソナライゼーションを期待しています。顧客が個別化された対応に慣れるにつれ、そのための投資がますます重要になります。顧客の65%(英語)は、パーソナライズされた体験を提供する企業と取引を続けると回答しています。

高度にパーソナライズされたエンゲージメントとは、どのようなものなのでしょうか?顧客は多数のツール、製品、サービスを使って、在宅勤務をしたり、友人とつながったり、日常生活を送ったりしています。多様なツール、製品、サービスを使いこなしている顧客は、最高水準の体験とはどのようなものかを知っています。実際に、53%の顧客が、自分の興味に合うマーケティングキャンペーンの提供や、潜在的な問題を防ぐための事前連絡など、企業が顧客のニーズに先回りして対応してくれることを期待しています。

Salesforceで顧客エンゲージメントを強化

ブランドが顧客データを適切に扱い、活用して、顧客体験を向上させれば、顧客の信頼とロイヤルティを獲得できます。パーソナライズされ、常につながる、リアルタイムのコミュニケーションをあらゆる顧客接点で提供することで、顧客を惹きつけ、維持できる効果的な方法をデータから発見できます。

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