クレスト


売上成長率がSalesforce導入1年後に30%にアップ!
Salesforceの導入が営業マンの競争意識と経営意識を高める

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着実な成長の裏で課題山積
事業継承が“変革”の好機に

5~10%で推移していた年間成長率が30%に――Salesforce導入のわずか1年後、そんな驚異的な飛躍を遂げた企業がある。しかもそれは、急成長しているベンチャー企業ではなく、創業から30年近い歴史を刻んできた中堅企業の話なのだ。その企業――株式会社クレストは、いったいSalesforceをどのように使って、それほど大きな成果を上げることに成功したのだろうか?

1987年に設立され、東京都千代田区に本社を構える同社は、長年、大手アパレルや大手居酒屋チェーンといった実店舗を持つ企業の看板やディスプレイなどを製作するサイン事業、および雑誌・チラシ・カタログ等の紙面をデザインするDTP事業を行ってきた。それらに加えて2000年には、造園(ガーデンデザイン)とガーデンショップ「インナチュラル」5店舗の運営を中心とするガーデン事業を開始。それら3つの事業を柱として、堅実に売上高を伸ばしてきた。

そんな同社に“変革のとき”が訪れたのは2010年のこと。現代表取締役社長の永井俊輔氏が、創業者である父の久志氏から事業を継承したのだ。永井氏は、経営者となるずっと以前から、あるひとつの思いを抱き続けてきたという。

「私は常々、“経営を科学したい”と考えていました。ワンマンオーナーが、強権的に社員を支配している企業というのは、得てして2代目社長になると衰退してしまうものです。それを避けるには、それまで感覚的に行っていたことをすべて数字に置き換えて、経営を論理的なものへと改革しなければならない。そして、それを可能にするにはCRMを導入する以外にない、と思っていたんです」(永井氏)

経営者となった永井氏にとって、社内にさまざまな課題があるのは明らかだった。例えば、サイン事業やDTP事業において、テレアポの履歴データを社内で共有するシステムがなく、各営業マンが個人で管理していたため、複数の営業マンが同じ企業に電話をかけてしまい、クレームが発生することがたびたびあった。同様に、見積書に関しても、各自がパソコンにExcel形式で保存しており、営業担当が変更になったりすると過去の案件が埋もれてしまう。他方、請求書についても、経理部門がExcelの請求書発行用伝票をある会計ソフトに手入力し、請求書を発行。そしてその発行した請求書情報を別の財務ソフトに手入力で転記していた。さらに、案件成立の情報や、受注前段階の案件の存在も共有されず、高額案件が発生しても、そのことを担当の営業マンが社内で公言しない限り、上司や同僚のフォローを受けられなかった。会社の着実な成長とは裏腹に、問題は山積みだったのである。

導入に消極的だった社員に
明らかな変化が

そうした状況分析のもと、永井氏は、かねてより思い描いていたCRMの導入を決断。ベンダー5社にウェブサイト経由で問い合わせたところ、約20分後にそのうちの1社から電話があった。

「それがセールスフォース・ドットコムでした。ほかの4社からは翌日以降に返信のメールがあっただけでしたし、素早くきめ細かな対応が印象に残ったのは確かです。もちろんそれだけでなく、拡張性やモバイル対応、導入実績、セキュリティ、カスタマイズ性など、各社の製品をいろいろな項目で総合的に評価した上で、最終的にSalesforceを選んだわけですけどね」(永井氏)

Salesforce導入を決意したものの、永井氏に不安がなかったわけではない。社員の立場からすれば、従来のシステムのほうが使い慣れている上、たとえ一時のことではあっても、Salesforceにデータを入力する手間が増えることになるからだ。

「放っておいても営業成績を上げられる優秀な社員にとっては、今まで通りのやり方でなんの問題もないわけですから、本当に全員がSalesforceにデータを入力してくれるのか不安でした。当然ながら、初期投資額に見合う効果を発揮できるのか、という懸念もありました。実際、導入を決めた2011年末、私が全社員の前でSalesforceの使い方を講義したのですが、そのときの社員の反応は一様に、『新しいシステムなんて勘弁してよ』という感じでしたね」(永井氏)

しかし、結論からいえば、Salesforce導入後1年以内に、同社は初期投資をはるかに上回る成果を上げ、またSalesforceに対する社員の消極的な姿勢も正反対のものへと変化することになる。

「今では、『Salesforceのなかった頃には絶対に戻れない』という社員もいるほどです。導入後に入社した社員からは、『これを入れる前はどうやって仕事をしていたんですか?』とよく聞かれますね(笑)」(永井氏)

周到な導入計画で
Salesforce定着化も楽々クリア!

永井氏はまず、業務フローを分析し、どのような流れでSalesforceを導入するのが最善であるかについて検討を重ねた。例えば、サイン事業の場合、テレアポ、新規訪問、提案、見積、案件成立、外注、納品、請求書発行という流れで業務を進めるが、各フェーズごとに5%程度のデータ入力漏れがあれば、最後の請求書発行の時点での入力率は60%程度にまで低下してしまうだろうと予想した。

それを踏まえて永井氏が導き出した解決策は「経理部門が全社員を牽引する形にすればいい」ということ。すなわち、従来の経理システムにおいて、請求書を発行するために不可欠だった会計ソフトとほぼ同じツールをSalesforce上に構築し、それを使わなければ請求書を発行できないようにし、営業サイドにも、従来のExcelでの見積書フォーマットと同様のものをSalesforce上に構築し、この中で見積書を作らなければ経理が見積書を発行できないようにしたのだ。当然、新規訪問・見積・見積書発行といった各フェーズにおいて、すべての社員がSalesforceにデータを入力しなければ業務が滞ってしまう。そのため、必然的に入力率が100%になる、という算段だ。

この工夫は想定通りの効果を上げた。Salesforce導入直後から、データの入力率は各フェーズで高い数値を示し、それにともなって、社内でのSalesforceの活用も自然に進んでいったのである。

「例えば、ガーデン事業の各店舗では、それまで受注のFAXを紙ベースで保管していましたが、それをSalesforce上で管理するようになり、誰がどんな商談を行ったかを把握できるようになりました。また、Salesforceを使えばリード分析ができるので、以前のように感覚や経験に頼らず、どのキャンペーンやポスティングがどの程度の効果を上げたかを数字で評価し、データに基づいたキャンペーンの実施が可能になりました。

サイン事業やDTP事業においても、営業チームの活動履歴を入力することで、架電や案件についての情報を共有できるようになりました。ほかにも、新規顧客受注率を管理することによって、新規訪問レポートの抽出が可能になったり、請求書発行用の伝票や請求書が見積書から自動生成されるようになったりするなど、あらゆる業務において効率が驚くほど向上しましたね」(永井氏)

ダッシュボードで“異常”を早期察知
社員の経営意識を高めるSalesforce

業務効率が改善されると同時に、毎朝20分程度のミーティングのやり方も様変わりした。売上などのデータを簡単にグラフ化できるダッシュボード機能を使って、各営業マンの新規企業への累積架電件数、新規アポイント獲得企業数、累積アポイント目標達成率、新規受注案件数など、さまざまな業績評価指標を全社員で共有するようになったのだ。Salesforceによってそうした指標が一目瞭然になったことは、むろん経営者や管理者にとって大きな意味がある。架電回数が減っている、商談件数が少ない、といった“異常”を早めに察知して、それを改善するための的確な指示やアドバイスを行うことができるからだ。その際、同社では会議を開く代わりに、社内SNSのChatterを利用して効率化を図っている。それ以外にも、テレアポリストに加えられそうな新規企業の情報や、営業先で資料として使える自社の施工事例などを共有するためのツールとしても、Chatterを大いに活用しているようだ。

一方、Salesforceが現場に与えたメリットも大きい。ただ、それは単に成績を上げるために取るべき行動を皆が理解できるようになったというだけではない、と永井氏は指摘する。

「高額案件が成立すると、自動的に『おめでとうメール』が全社員に送信されるようにするなど、社員の活躍が社内で認知される仕組みを整えました。それによって、隣の人や部署がどんな仕事をどれくらいしているのか、という周囲の状況に目が向くようになって、社員のモチベーションが高まり、現場に競争意識が芽生えたんです。さらに最近では、営業マンひとりひとりが、『自分がこの会社を引っ張っているんだ』という自覚を持つようになってきたと感じます。以前の弊社の社員の多くは、“仕事をやらされている”という感じでしたが、自分自身を見る目が変わって、経営を意識するようになったのだと思います」(永井氏)

このまま毎年30%の成長を維持し、20年に売上高100億円を突破したいと意気込む永井氏。もちろん、それを実現するための努力も怠ってはいない。

「弊社のような企業におけるお客様とのつながりは、これまで電話かメールか面談以外にありませんでした。そこで、お客様との新たなコミュニケーション基盤として、クラウド上にお客様専用のポータルサイトを開設しました。このポータルサイトを介してお客様やビジネスパートナーとまったく新しい形でつながることができれば、お客様満足度の向上が期待でき、弊社にとって他社との差別化を図るための強力な武器になるはずです」(永井氏)

最後に永井氏は、Salesforce定着化の秘訣についてこう強調した。

「やはり、経営者自身がSalesforceの効果や利用法を理解し、弊社のように、使わなければ仕事にならない状況を作り出すことが大切だと思います。さらにいうと、今や企業経営において、Salesforceのような最新のITテクノロジーの導入は、活力剤程度のものではなく、心臓を入れ替えて血液の循環スピードを一気に速めるというぐらいの意味を持っています。ですので、あとには引けないくらい徹底的にやる、という思い切りも必要でしょうね。捨て身のように見えるかもしれませんが、そのぐらいのリスクを取らなければ、システムをスムーズに移行することなどできませんし、ひいてはビジネスを成功させることもできないのではないでしょうか」(永井氏)

株式会社クレスト
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株式会社クレスト
株式会社クレスト 代表取締役社長の永井俊輔氏。「私のように、事業継承のタイミングでSalesforceを導入するのは、『会社に革命を起こすんだ』という経営意志を示すと同時に、実績を上げて社員の信頼を勝ち取る上で非常に有効な方法だと思います」(永井氏)