データテクノロジー


データベース一本化でデータ入力の作業効率が2倍に
ミドルウェア開発のエキスパートをうならせるSalesforceの利便性と拡張性

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自社ブランドのミドルウェア開発で
組込み機器業界における地位を確立

テレビや洗濯機といった家電製品から、携帯電話やデジタルカメラなどの小型機器、さらには自動車に至るまで、電気を利用する身の回りの製品の大半には、「組込みシステム」と呼ばれる、製品を動かすための特定の処理を行うコンピュータが内蔵されている。組込みシステムは、その性質上、一般の消費者には普段あまり意識されないものではあるが、今や電気を使うあらゆる機器に搭載されているといって過言でなく、経済産業省による2009年の報告によれば、国内の組込みシステム関連産業の規模は69兆6000億円、組込みソフトウェアの開発費は4兆2100億円に上ると推定されている1

東京都立川市に本社を置くデータテクノロジー株式会社は、そうした組込みシステム内蔵の機器を開発する国内メーカーに対して、組込みソフトウェアや開発支援ツールなどを提供する、社員数17名の企業だ。同社が2001年に発表したミドルウェア「Cente」(組込み機器の開発を支援するために用いられるソフトウェア)は、家庭用、産業用を問わず、さまざまな機器のメーカーで利用されており、1993年の会社設立から20年が経過した現在、同社は、組込み機器業界において広くその名を知られる存在となっている。

同社は、顧客である国内メーカーのエンジニアたちの要望と期待に応えるソフトウェアやツールを開発、供給し続けることによって、顧客数を着々と増やしていった。

データベースの不統一に起因する
さまざまな問題が表面化

一方で、そうした成功は、さまざまな業務上の問題を生み出す要因にもなった。同社取締役で、営業部長を兼務する井出一寛氏はいう。

「2002年に私が入社した当時、弊社には、案件用や業務用、見積もり用など、いくつものデータベースが別個に存在していて、まったく管理されずに使われている状態でした。それでも、お客様の数が1000~2000名の頃はまだ何とか対応できたのですが、自社製品の販売を拡充するため、メールニュースを配信するようになると、複数のデータベースを使っていることに起因する、いろいろなほころびが表面化し始めました。例えば、あるお客様から、メールニュースの配信を止めて欲しい、というご要望があったにもかかわらず、その情報が反映されていないデータベースに従ったためにまた送ってしまった、というようなミスが出始めたのです。それで2005年、従来のデータベースを、受発注などの業務用とメールニュースを含む営業用の2つに統一しました」(井出氏)

それでも、データベースが一本化されていないという課題は、その後も懸案事項としてくすぶり続けた。

また、自社開発の業務システムも問題を抱えていた。開発に携わったエンジニアでなければシステムのメンテナンスを行うのが難しかったため、彼らがたまたま欠勤しているときに問題が発生したりすると、営業や受発注などを含むすべての業務が滞ってしまうのだ。

さらに、案件の管理はExcelで行っていたが、案件ごとの顧客との詳細なやりとりは記載されておらず、それを把握している担当の営業マンが不在のとき、他の社員が顧客からの問い合わせに対応するには、担当者に電話をかけて逐一確認したり、メールに残されたやりとりを探し出したりしなければならなかった。

そうした諸々の課題に対処するため、同社は、2009年に事業推進部を設置し、さまざまなシステムやツールを積極的に導入することによって、業務の効率化を図る方針を打ち出す。そして、事業推進部が中心となって比較検討したいくつかのツールの中にSalesforceがあった。

「最優先で解決すべき課題は、データベースをひとつに統一し、かつ受発注などに関する業務システムを整備することでした。折よく、セールスフォース・ドットコムの営業の方からご連絡をいただいたので、弊社の課題や要望を伝えてお話をうかがったところ、Salesforceならどれも実現可能だということがわかり、導入を決めました。ただ、円高などで売上が若干落ちているときでしたので、代表からは、『この苦しい時期に、それだけの費用をかける意味はあるのか』という指摘はありました。ですが、ある程度の見積もりを提示した上で、データベースが統一されていない問題や業務システムのメンテナンス性の悪さなどを解決できるメリットを考慮すれば、その価値は十分にあることを説明し、了承を得ることができました」(井出氏)

Salesforce導入で作業効率2倍
メンテナンス性も大幅に向上

2011年9月、クラウド型営業支援・顧客管理アプリケーションのSales Cloudを導入した同社は、長年の懸案であったデータベースの統一化を果たす。2つのデータベースそれぞれに情報を入力する作業が1度で済むようになり、当然、単純計算で作業効率は2倍になった。また、システムの日常のメンテナンスに関しても、わずか1名の担当者が1日に30分弱の時間をかけるだけで済むようになった。もちろん、導入の効果はそれだけではない。

「弊社では、エンジニアのお客様からのミドルウェアに関するお問い合わせに対し、サポートした内容をExcelにまとめて管理していたのですが、導入後、そうしたお問い合せ情報を一括管理できるSales Cloudの機能『ケース』にまとめるようにました。それによって、こういうお問い合わせに対してはこう回答すればいい、ということが誰にでもひと目でわかるようになり、担当者以外の社員でも対処可能になったのは大きかったですね。案件の管理に関しても同様です。それまでExcelにまとめていたものをSales Cloudで管理するようになったことで、契約した商品の細かな仕様や納期などの情報を全社員で共有できるようになりました。担当者にいちいち電話をかけたり、過去のメールをひっくり返したりして確認する手間と時間を省けたことに対しては、社内にも評価する声が多いですね。今後、そうした情報がどんどん蓄積されてデータベースとして充実すれば、もっと役立つものになると思います」(井出氏)

また、導入当初は、情報の入力作業を手間だと感じる社員も少なくなかったそうだが、あるできごとを境に、そうした状況は一変したという。

「ある地区を1人で担当していた営業マンが、急病で長期入院し、連絡が取れなくなってしまったんです。以前なら、他の社員が案件の細かな内容を知るために、最悪の場合、代理店やお客様に電話で確認しなければならなかったでしょう。それでは、作業量が増えるだけならまだしも、先方様に多大なご迷惑をおかけしてしまいます。ですが、普段からSalesforceに情報を入力しておいたおかげで、すべて私が代行できたんです。『やっぱり情報を入れておいてよかったよね』という話になり、営業マンたちの意識も変わりましたね」(井出氏)

現場へのフォローと機能の段階的追加で
Salesforceの定着化を推進

加えて同社は、Salesforceのいっそうの定着化を図るため、事業推進部の社員が定期的に営業マンに対するヒアリングを実施し、Salesforceの使い方についてアドバイスしたり、週1回の営業会議の際、まだ使いこなせていないSalesforceの機能を報告し、利用を呼びかけたりするなどの工夫も怠らなかった。

「Salesforceはとにかく機能が多くて、一度にすべてを覚えるのは難しいので、月にひとつずつ新しい機能を追加していくことにしました。また、使い慣れてきて初めて、『ああ、これってそういうことにも使えるんだ』と気づくこともたくさんありました。例えば、売上などのデータをグラフ化できるダッシュボード機能。これまでは、週に1回、私が売上などをデータベースから抽出してExcelに入力して社長に報告していましたが、今はダッシュボードに自動的に表示されますので、社長が見たいときにいつでも、刻々と変化する数字を確認でき、経営判断の材料として活かすことができます。もちろん、それだけでも大きな進歩ですし、社長も高く評価してくれていますが、使い慣れるうちに、そこからさらに一歩進んで、受注はしたものの納期が確定せず伝票を発行できていない案件や、ライセンス製品の契約期間が切れそうな案件などをダッシュボードに表示できるようになり、お客様に対してより適切なフォローを行えるようになりました」(井出氏)

さらに最近、企業向けソーシャルネットワークのChatterを使い始め、ダッシュボードの情報をもとに井出氏が営業マンに対してリアルタイムで指示を出したり、Outlookと連携させて自動的に社内にメールを配信して情報を共有したりもしているそうだ。

新たな機能をひとつずつ取り入れ、着実に業務の改善を進めてきた同社。Salesforceを使いこなす上で、もっとも大切なこととは何だったのだろうか?

「やはり、Salesforceに蓄積されたデータをどう活用するかを考えることではないでしょうか。その意味では、社内でSalesforceを最初に理解し、一番積極的に使わなければならないのは、現場の担当者ではなく、私のようなマネージャーの立場にある人間だと思います。マネージャーがデータを見てどう判断し、どう指示を出すか。それがもっとも重要なことです。それから、Salesforceは本当に多機能なので、必要なもの、できるものを見極めた上で、時間をかけて社内に浸透させることも大切だと思います。新しいツールを導入するというのは、一時的に通常の業務以外のことを覚えなくてはならないということですので、一気にたくさんの機能を使おうとすると、現場の人間がパンクしてしまいますから」(井出氏)

活用の方法を明確にし、じっくりと腰を据えて臨むこと。それがSalesforce導入を成功させるコツであるようだ。

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Salesforceの導入を推進した取締役営業部長の井出一寛氏。導入当初は想定していなかったSalesforceのさまざまな利用法やメリットが、使い慣れるうちにだんだんと見えてくるようになった、と語る。