エコテック


フロアコーティング業界の雄が新規事業部門売上高前年比180%を達成!
Salesforceの社内定着化のカギは社内SNS Chatterが握る

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フローリング事業参入から15年で
年間施工件数6000件の企業に成長

「床のことならエコテック」をキャッチコピーに掲げ、住宅・施設のフロアのコーティング加工や関連資材の販売を中心として、フローリングに関する総合サービス事業を全国で展開する株式会社エコテック。神奈川県・新横浜の本社オフィスには、同社の誇るコーティング加工を一部にのみ施したフローリングの一室が設けられ、訪問者が施工前後の歴然たる違いを体感できる趣向になっている。また、壁一面には、施工後のフロアの上で撮影された依頼主のスナップ写真が貼られている。どの顔も非常に満足げな表情を浮かべているのが印象的だ。

同社は、1991年の設立当初、革製品の製造や販売を手がけていたが、1997年、それまでの事業とは完全に分野の異なるフロアコーティングのビジネスに参入。地道な研究の末、2002年にフロアの特殊加工技術「UVフロアコーティング」の確立に至る。

この技術は、紫外線を照射するとわずか数秒で硬化する特殊な塗料をフロアの表面加工に用いることで、塗膜の表面の凹凸を少なくして耐摩耗性や耐汚染性を高め、かつ即日入居を可能にするというもの。同社は、従来のワックスに代わる、この新たなフロア加工技術を武器に、学校・保育園などの大規模施設を主要な取引先としてビジネスの土台を築いていった。

2005年、同社は、売上の伸び悩むB to BからB to Cへと事業の中心の転換を図る。コンシューマー部門を分離して新会社を設立し、インターネットに広告を出稿すると同時に、一般消費者をターゲットとする製品やサービスを開発、提供することで、売上を飛躍的に伸ばしていった。さらに2009年には、新たなマーケットの開拓を目指して開発した、ペット専用フロアコーティング「愛犬の床」を投入。従来のフローリングは、室内で飼育されるペットにとって非常に滑りやすく、傷もつきやすかったが、表面に適度な防滑性を持たせることによってそれらの問題を解消し、「愛犬の床」は大手紙にも取り上げられるほどのヒット商品となった。

現在では、同社の年間施工件数は約6000件。全国に34カ所の施工拠点を設置し、参入当初は計15名程度だった社員と施工スタッフは約200名にまで増えている。

事業拡大にともなう課題が表面化
新システム導入が不可避な状況に

また、システム面の課題も看過できないレベルに達していた。自社開発の販売系の基幹システムが、グループ会社3社それぞれに独立して存在している上、スケジュール管理用の他社製営業支援システムと情報共有用の社内ブログを併用しているという、3系統に分断されたシステム構成になっていたのだ。当然、それぞれに対して類似のデータを何度も入力しなくてはならず、非効率的であるだけでなく、入力ミスも起こりがちだった。

さらに、リソース面の課題もあった。急速な事業の発展により、各社員がさまざまな役割を兼務しなければならなくなり、業務管理をしながら営業のマネージメントをし、同時にシステム管理にも気を配る、といった激務に追われる社員も少なくなかった。また、自社サーバーの老朽化も無視できないものになり、更新するか否かの選択を迫られていた。

Salesforce選定の決め手となった
機能性と営業マンのサポート

同社業務部部長の伊藤大輔氏が、そうした諸々の課題をいかに解決すべきか頭を悩ませていたとき、インターネットの検索でたまたま見つけたのがSalesforceだった。

「クラウド型営業支援・顧客管理ツールSales Cloudの30日間無料トライアル版を見つけて、試しに使ってみることにしたんです。今振り返れば単に使い慣れていなかったせいなのですが、正直なところ、『使いにくいな』というのが最初の印象でした。それで、試用期間が終了してセールスフォース・ドットコムの営業の方からお電話があった際、正直な感想を伝えたんです。すると、『どの辺りが使いにくかったかぜひお教えください』というので、直接お会いしたところ、その場で実際にシステムを仮組みして、『こういう形で使ったらいかがですか?』と提案してくれました。それを見て、『これはいけるな』と。Sales Cloudをカスタマイズすれば、弊社の課題の多くは解決できると感じたんです。ただ、導入を決めた理由はそれだけではありませんでした。わからないことをサポートの方にメールで尋ねると、ときには夜中でも返信があったりする。

過去に他社の営業支援ツールを使っていたとき、そのような営業的なサポートはほとんどありませんでしたから、その熱意に感動しました。ツールの機能面はもちろんですが、セールスフォース・ドットコムのそういう企業姿勢に惹かれた部分が大きかったのも事実ですね」(伊藤大輔氏)

Salesforce社内定着化のため
Chatter推進チームを設置

2010年8月、Salesforceを導入した同社は、営業面、システム面、リソース面の課題をひとつひとつクリアしていく。例えばセールスプロセスの見直しだ。それまで、インターネットにおける顧客の見積依頼から案件化までの流れは、「顧客が問い合わせフォームに入力する→送信されたメール(データ)を業務担当者が基幹システムに入力する→営業管理者がデータの内容を確認して営業担当者に振り分ける→営業担当者が顧客にコンタクトする」というもので、時間的・労力的なロスが非常に大きかった。

そこで、リード(見込み客)のデータを自動的に取り込むSales Cloudの機能「Web-to-リード」などを利用し、リードを適切な営業担当者に割り当て、即座に顧客にコンタクトできる仕組みを構築した。また、従来、成約に至らなかった案件はそのまま放置されてしまっていたが、Sales Cloudのキャンペーン機能を使って不成約案件をアーカイブ化してストックし、次回のキャンペーンの際に再利用して成約に結びつける、というサイクルを確立した。

同時に伊藤大輔氏は、新しいツールを社内に定着させるため、ひとつのアイデアを実行した。普段からSNSを利用している社員を選抜して、「Chatter推進チーム」を立ち上げたのだ。
「もともと弊社では、社内ブログを使って情報共有する文化が定着していたので、より気軽に使えるChatterなら浸透しやすいでしょうし、そうなればSales Cloudも抵抗なく受け入れてもらえるだろうと思ったのです」(伊藤大輔氏)

 業務部から同チームのサブリーダーに選ばれた伊藤みほ氏はいう。
「チームの取り組みは本当に泥くさくて、『よりリアルタイムに、よりフランクに』を合言葉に、利用頻度の低い社員ひとりひとりに声をかけて利用を促すというものでした。理解を得るのに多少時間はかかりましたが、今は、Chatterを使ってリードやクレームを案件と結びつけるなど、営業マンが積極的に活用してくれるようになりました」(伊藤みほ氏)

そうした取り組みの中、普段はSNSをまったく利用しない事業企画室室長の曺玉千氏が、積極的にChatterを使い、利用頻度ランキングの上位常連になったことも、Salesforceに対する社内の反応を変える一因となった。実のところ曺氏は、過去にシステム開発の営業に携わった経験から、新システムを導入しても結局は現場で使ってもらえず、定着させるのは難しいのではないかと考え、当初、Salesforceの導入に反対だった。しかし、Chatterを社内定着化のツールとして活用するという方法ならうまくいくかもしれないと感じ、進んで協力したのだという。

その曺氏は、Salesforce の定着化に成功したもうひとつの要因として、早い段階で組織のトップの理解を得られたことを挙げる。

「『Salesforceをうまく使えばこんなことができる』ということを社長が誰よりも早く理解し、社員への指示を出したりしてくれたり、ときには率先してChatterに自らの失敗談を投稿してくれたりしたことによって、全社員が引っ張られ、『こんなことに使ってみたい』といった声が現場から上がるようになりました。例えば、施工の技術やスケジュールを管理する部門の責任者が、Chatterで『技術情報をSalesforceに入力すれば、このように整理できるんじゃないか?』といった投稿をするようになったのですが、これは弊社にとって、非常に大きな意味を持つ変化です。というのも彼は、技術職の人間だけにシステムを苦手にしていたのですが、施工スケジュールという売上に直結する部分を管理していますので、彼がそうした情報の管理にSalesforceを活用しようと考えるようになったことは、今後、会社に多大なメリットをもたらす可能性があるからです」(曺玉千氏)

新たな製品とツールの相乗効果で
新規事業部門売上高前年比180%を達成

一方、Sales Cloudの見積機能を使って出力される見積書のレイアウトが、それまで使っていたものと異なるため違和感がある、という声が現場から上がった際には、伊藤大輔氏が、セールスフォース・ドットコムの仲介で、パートナー企業に見積・請求オプションのカスタマイズを依頼。その結果、従来と変わらないフォーマットでの見積書の出力が可能となっただけでなく、編集画面の入力作業性が向上し、さらに案件ごとの粗利を算出できるようになった。

「Sales Cloudの『ダッシュボード』機能を使って、粗利のデータをグラフ化することで、ビジネス全体の流れを把握できるようになりました。例えば、全国のお客様に、エリアや時期に応じた最適価格を提示することで、全国の施工スタッフの稼働率を高める、、といった受注の効率化が、データを計測できるようになって初めて可能になったわけです」(伊藤大輔氏)

 また、伊藤大輔氏は、作業の進捗状況を社内で共有するため、「課題管理」というカスタムオブジェクト(Salesforceの機能のひとつで、組織独自の情報を格納できるデータベーステーブル)を自作。進捗率の低い作業についてはアラートが表示されるなど、進捗状況がひと目でわかるようになり、よりスムーズに業務の引き継ぎを行えるようになった。

そうした継続的な努力と工夫の結果、同社は2012年4月期の決算において、新規事業部門の売上高で前年比180%という驚異的な数字を叩き出した。同社がSalesforceを導入したのは、ヒット商品となった「愛犬の床」をリリースした時期と重なるため、そのすべてがSalesforceの効果であるとは断定できないが、優れた商品と新ツールの相乗効果によって生み出された結果であるということはできるだろう。

Chatterというコミュニケーションツールの有効活用とトップダウンによる力強い牽引、さらには絶え間ない創意工夫によって、Salesforceを社内に定着させ、目に見える大きな成果を上げた同社。その他の成功の秘訣として、どのようなことが挙げられるだろうか?

「『このツールさえ導入すれば何でもできる』とは考えないことですね。自分でカスタマイズしてアイデアをどんどん形にできるのがSalesforceの一番すごいところですが、いくら多機能といっても、当然ながらSalesforce単体では限界があります。でも、困ったときには、パートナー企業に相談して足りない部分を補ってもらえばいい。もちろん、使いこなすためにはある程度の努力と根気が必要ですが、得られるものの大きさを考えれば、その価値は十分にあるはずです」(伊藤大輔氏)

加えて伊藤大輔氏は、ユーザー同士の連携や交流を図る場であるユーザー会などに積極的に参加して、新たな知識やアイデアを吸収し、世界を広げることも大切だ、と語る。先述の課題管理のカスタムオブジェクトを作成するアイデアも、あるSalesforce関連のセミナーで得たものだそうだ。そうした社員の飽くなき探究心と意欲こそが、成功を支える最大の要因なのである。

株式会社エコテック
  • 業種
  • IT・サービス
  • 業種詳細
  • フロアコーティング
  • 活用用途
  • 営業支援・顧客管理
  • 導入製品
  • Sales Cloud ›
株式会社エコテック
導入プロジェクト責任者の伊藤大輔氏。部下の伊藤みほ氏は、「導入を推進したのが、長年弊社の基幹システムの管理を一手に引き受け、社長の信頼を得ていた彼だったからこそ、社長も前向きに対応したのでは」と分析する。
株式会社エコテック
Chatterの利用から始めたことがSalesforce定着化に成功した要因だったと語る事業企画室室長の曺玉千氏。Chatterには、仕事上の疑問から日々の反省まで、堅苦しく考えずに何でも投稿しているという。
株式会社エコテック
「特定の相手にChatterの更新を通知する『メンション』機能は、公開の場で個々の社員に対してアドバイスや課題の指示をすることができて、管理者には非常に使いやすいと思います」(Chatter推進チームの伊藤みほ氏)
株式会社エコテック
急成長ビジネス「愛犬の床」の責任者、営業マネージャーの長尾まゆみ氏。多くの社員がこのようにiPad等でSalesforceを利用している。近い将来、施工を含めたスケジュール管理をSalesforceで行う予定だ。