イノベーション


請求書の電子化による業務の大幅効率化でコストを3年間で3分の2に圧縮!
SalesforceがIT製品比較サイト運営企業の社員の働き方とビジネス意識に変革をもたらす

icon_templatePDFをダウンロードする

導入背景
  • 販売管理システムがWindows XPベースで、安全面に問題があるだけでなく、データセンターの外部委託費用もかさんでいた。
  • 販売管理システムがオンプレミス型だったため、出先から帳票を作成、発行できず、現場からも改善要求が上がっていた。
  • 顧客数の急増や月次決算の早期化により、請求書発行の工数が膨れ上がり、現場の処理能力の限界を超えつつあった。
導入効果
  • 安全性の高いシステムで販売管理が可能になった。またシステム利用料と人的・物理的コストの合計を3年間で3分の2に圧縮できた。
  • いつでも帳票作成や入金確認等を行えるようになり、社員の働き方が激変。同時に、若手社員のビジネスに対する視野が広がった。
  • 請求書の電子化により、発行業務の大幅な工数削減とスピードアップに成功。より生産性の高い仕事に注力できるようになった。

失敗を踏まえてSalesforce導入

「B to Bマーケティングを変革する」という理念のもと、マーケティング領域における各種ソリューションを提供する株式会社イノベーション(東京都渋谷区)。同社が2007年に開設したIT製品の比較・資料請求サイト「ITトレンド」は、今や約400社の1800製品を掲載する日本有数の法人向けメディアとして広く認知され、多くの企業に利用されている。また、Webサイトを訪問した企業や個人を解析して受注を促進するアクセス解析ツール「リストファインダー」など、企業の営業活動やマーケティング活動を支援する数々の特徴的なサービスを展開している。

そんな同社がSalesforceを導入したのは2008年のこと。同社は当時、テレマーケティング事業や広告代理事業で急成長し、それにともない大幅な増員を進めていたため、情報の共有化や営業活動の効率化が経営上の急務となっていたのだ。

ところが、そうした課題克服のため、ある大手ベンダーのSFAを導入したものの、定着化に失敗。同社取締役の岸本真行氏によれば、Excelを使った営業進捗管理表による旧態依然とした管理体質から抜け出せなかったことと、SFAをどう活かすのかというシナリオを経営側が用意せぬまま導入を進めたことが原因だったという。

「そうした中で出会ったのがSalesforceです。失敗の経験を踏まえて、今度は管理側がマネージメントに活かすのだという強い意志を持って、Salesforceに入力されていない営業担当者の活動は評価しない方針で導入を進めました。結果、現場も次第にSalesforceのメリットを実感してくれるようになり、Salesforceなしで仕事するなど考えられないという状態にまで持っていくことができました」(岸本氏)

イノベーション

IT製品の比較・資料請求サイト「ITトレンド」

イノベーション

Webアクセス解析ツール「リストファインダー」

早朝から深夜まで請求書業務に追われ……

その後約4年間、同社は、SalesforceをもっぱらSFAとして利用し、別の販売管理システムおよび会計管理システムと併用していた。しかし2012年、いくつかの理由によって、再度基幹システムの見直しを迫られることになる。

ひとつはWindows XPのサポート終了問題だ。見積書の作成から請求書の発行までを担う自社開発の販売管理システムがXPベースで作られていたため、顧客情報保護の観点から、システムの入れ替えが不可避となったのだ。

もうひとつの理由は、オフィス移転のタイミングに合わせて、岸本氏を含む経営側が、クラウドの活用を前提とするフリーアドレス化を推進し、社員の働き方そのものを変革したいと考えたことだ。見積書の作成ひとつを例にとっても、前述の販売管理システムがオンプレミス型だったため、営業担当者はそのためだけに一旦帰社しなくてはならない。社内の従業員満足度調査でも、そうした非効率的な職場環境を改善して欲しい、という声が多々上がっていた。

さらに、同社の事業の中心が、現在のオンラインメディア事業とマーケティングオートメーション事業というストック型ビジネスへと移行し、顧客数が飛躍的に増加したことによって、請求書発行などの作業工数が膨れ上がったことも、システム見直しの機運に拍車をかけた。当時、請求書発行業務に携わっていた経営企画ユニットの飛田香寿美氏はいう。

「請求書の発行というのは、印刷した紙を折り、封筒へ入れて切手を貼るという、極めて効率化しにくい仕事です。ところが近年、企業における月次決算の早期化傾向が強まり、お客様のご依頼を受けた営業部門から、請求書を1~2営業日で発行するよう求められるようになりました。それによって、決算日直前の月末月初の数日間は、朝6時から夜10時までひたすら作業しなければならなくなり、ミスも少なからず発生するようになっていました」(飛田氏)

加えて、従来のオンプレミス型販売管理システムだと、データセンターの外部委託費や専用回線の維持費がかさんでしまうという、コスト面の問題も無視できないものになっていた。

イノベーション

請求書発行のログイン画面

イノベーション

請求書発行の画面

定着化を促した"相談会"

そこで同社は2012年、従来の販売管理システムに替わるものとして、すでに営業管理部門に導入し、ある程度使い慣れていたSalesforceの利用範囲を拡大する決断を下す。そして、飛田氏とリストファインダーユニットマネージャーの澤田統吉氏が中心となり、最初の導入時にも増して、円滑なシステム移行を促すためのさまざまな工夫を凝らした。

ウェブ上に設置したSalesforceのマニュアルサイトを参照しても疑問を解消できなかった社員のために「よろず相談会」を開催し、疑問や改善要求に直接応える仕組みを整えたのだ。澤田氏はいう。

「『よろず相談会』を立ち上げる前は、100名ほどの社員が、おのおのSalesforceに関する質問や相談を飛田に持ち込んでいたので、彼女はパンク寸前でした。そこで『よろず相談会』を設置し、お客様にご迷惑をおかけするような緊急の事案以外はそこで質問するよう、全社に働きかけたのです」(澤田氏)

「当初は週2回、平均15名ほどの社員が入れ替わりで『よろず相談会』に参加していましたが、1か月ぐらいすると5名ほどの常連メンバーが"味方"になってくれて、現場から上がってくる声に対する改善案を一緒に考えてくれるようになりました」(飛田氏)

それと同時に、各部門から人材をピックアップし、"Salesforceマスター"の養成講座「SFDC勉強会」を開催。Salesforceに関する知識とスキルのレベルを全社的に底上げするためだ。結果、当初はSalesforceの使い方などに関する単純なものばかりだった現場の疑問や関心は、業務全体を見すえてSalesforceをいかに活用すべきかなど、よりレベルの高いものへと徐々に移行していったという。

イノベーション

フリーアドレス化したオフィス

イノベーション

社内新聞

3年間でコストが3分の2に!

Salesforceの利用範囲を拡張したことによって、岸本氏の期待通り、社員の働き方は大きな変化を遂げ、作業効率は劇的に向上した。中でも特筆すべきは、請求書を電子化したことにより、請求書発行業務の大幅な工数削減とスピードアップに成功したことだ。

「もちろん、経理上の都合などで従来通りの紙の請求書をご希望になるお客様もいらっしゃいますが、当初の想定を上回り、約92%のお客様が電子請求書を受け入れてくださいました。特に『ITトレンド』の場合、お客様の数が多いので、本当に助かっています。

試算では、そうした業務の効率化などによって、システム利用料と人的・物理的コストの合計を3年間で3分の2に圧縮できる見込みです。より生産性の高い仕事に時間と労力を割けるようになったことがなにより嬉しいですね」(飛田氏)

その他の業務においても、Salesforceは大きな効果を発揮している。たとえば、クラウド化によって、各種帳票の作成や承認、データの抽出などの業務が、いつ、どこからでも可能になった。また、営業担当者が、顧客からの入金状況をリアルタイムに確認できるようになり、以前はしばしば発生していた、すでに入金済みの顧客に対して無用の確認の連絡を入れてしまうようなケースは皆無になった。

加えて澤田氏は、ビジネスに対する社員の意識にも変化が見られる、と指摘する。

「部門によっては月ごとの売上や粗利の見込みをSalesforceで確認できるようにしているので、管理職が、入社2年目ぐらいの若い社員から、『粗利の見込みがこんなに実際とずれるなんておかしくないですか?』と指摘されたりしているようです(笑)。一般的に、特に若手は、自分の営業成績などのミクロな世界にばかり目を向けがちですが、その視野を広げる上で、Salesforceは非常に役立っていますね」(澤田氏)

大切なのは「グランドデザインを描くこと」

経営陣の強い意志と現場の努力により、当初の目標を達成した同社。しかし岸本氏は、現状に満足することなく、2015年春までをめどにSalesforceの活用範囲を勤怠管理と人事管理にまで拡張したい、とさらなる意気込みを語る。

「Salesforceを導入した経験から、また経営の立場から改めて大切だと感じたのは、目的を明確に定めることと、IT化によってそれをどう達成するかというグランドデザインを描くことです。IT化はあくまで目的達成の手段に過ぎませんから、特に決定権者は、常に目的に立ち返ることを忘れないようにしなければならないと思います」(岸本氏)

法人向けIT製品・サービスの情報に精通する、その道のプロ集団である同社が、今後、Salesforceを駆使してビジネスをどのように改善していくのか、大いに注目されるところだ。

株式会社イノベーション
  • 業種
  • IT・サービス
  • 業種詳細
  • B to Bに特化した営業・マーケティング支援事業
  • 活用用途
  • 顧客管理、商談管理、販売管理、請求書の電子化
  • 導入製品
  • Sales Cloud ›Salesforce1 Platform ›
岸本真行氏
株式会社イノベーション取締役の岸本真行氏。「グランドデザインを描くだけでなく、現場の意見に耳を傾け、ギャップを埋める作業も大切です」
澤田統吉氏
リストファインダーユニットマネージャーの澤田統吉氏。「チューニングは必要という前提で取り組むのが、導入をスムーズに進めるコツだと思います」
飛田香寿美氏
経営企画ユニットの飛田香寿美氏。「各部門の影響力のある人を"味方"につけて、一緒に取り組んでもらうこと。それが定着化の一番の近道ですね」