住宅工営販売(センチュリー21)


地域売上実績ナンバーワンの不動産会社が営業体質の改革を決意
行動データから営業マンの弱点をあぶり出して克服する!

icon_templatePDFをダウンロードする

地域売上No.1の地位を築くも
営業の意識改革の必要性を痛感

JR八王子駅から徒歩5分に位置する株式会社住宅工営販売は、最大手不動産仲介業ネットワーク「センチュリー21」の加盟店として、東京都八王子市・日野市を中心に活動する不動産会社だ。新築・中古の一戸建てやマンションの売買の仲介を事業の主軸とし、建築の請負や分譲販売も行う。1986年の会社設立以来、「地域密着」と「すべてはお客様のために」をモットーに営業努力を重ね、同地域における売上実績ナンバーワンの地位を築き上げた。

しかしながら、不動産業は景気の動向や社会情勢の変化に左右されやすい。実際、リーマン・ショックのあった2008年度には、国内の上場企業の倒産件数が戦後最悪を記録したが、その過半数を不動産関連企業が占め、同社もまた大きな打撃を受けた。その苦しい経験から、同社代表取締役の肥後和志氏は、ある重大な経営方針の転換を決意する。

「営業に対する考え方や姿勢を根本から見直さなくてはならない、と痛感したんです。というのも、営業会社ならどこも似たようなものだと思いますが、特に不動産業界における営業というのは、大手も含めて、完全に“根性論”の世界なんですね。基本的に、営業マンは自分の能力と感覚のみを頼りに活動し、管理者も営業の過程を重視せず、売上しか見ていない。成績の上がらない営業マンへの指導といえば、『とにかくやれ! がんばりが足りないから契約を取ってこられないんだ!』と発破をかけるだけ。ただ、それもそのはずで、いまだに不動産会社の大半は、お客様や営業マンの情報管理といっても、せいぜいカード(紙)にまとめる程度で、そもそも営業マンに対して建設的なアドバイスをするための根拠となるようなものなど何も持っていないのが実情なのです。だから、なぜ成績が上がらないのか、営業マン本人にも、管理者にもわからない。そして、それは弊社も同じでした。一応、営業マンのデータを収集してExcelにまとめてはいましたが、月次の全体会議で過去1カ月間の結果として報告されるだけで、次につながるようなものではありませんでした。そういうやり方を徹底的に変えなければ、これから先、少子高齢化でお客様が減ってますます厳しくなる不動産業界で生き残ることはできない、と思ったんです」(肥後氏)

組織的な営業体制確立のため
営業支援システム導入を決意

営業マン個人の力に依存した営業活動は、好不調の波が激しいだけでなく、有能な人材が抜けると売上が一気に下がるなどの突発的なリスクもあるため、安定的な成績を残すのは難しい。事実、同社も、優秀な営業マンの退社によって突如業績が悪化し、それを補うために多大なコストを費やして新人を採用、育成する、ということを繰り返してきた。

肥後氏は、そうした“負のスパイラル”から脱却するためには、顧客情報のみならず、営業マンの活動に関するデータを収集し、個々の営業マンの長所と短所を見極めた上で、長所はさらに伸ばし、短所については改めるよう、客観性と具体性のある形で営業マンにアドバイスを与える、もしくは社内で共有する必要があると悟ったのだ。どの顧客に対して、いつ、どのような方法でアプローチするか。どの仕事を優先して行わなければならないか。朝、出社した時点で、すべての営業マンが、能力や経験の有無に関わりなく、その日に取るべき自分の行動を理解している状態にする。個人の能力頼りの営業から、自動的かつ組織的な営業へ。その大転換を実現するには、インフラの整備、すなわち営業マンの行動データを収集・分析するための営業支援システムの導入が不可欠だ、との結論に至った。

そこで肥後氏は、複数のベンダーに問い合わせるなどして、同社の要望に応えられる製品を探し求めた。その作業を通じて、肥後氏は、同社が現状持ち合わせているシステムに関する知識やスキルを考慮し、またシステムを使い続けるうちに新たな要望が必ず出てくるであろうことを勘案すると、パッケージ型の製品より、弾力性のある運用が可能なサブスクリプション型(従量課金型)の製品のほうが、同社の目的に適していると判断した。

「その中で、弊社の要望に対してもっとも柔軟に対応してくれそうだと感じたのがSalesforceでした。それについてシステム開発会社を経営する兄や『センチュリー21』の本部にも助言を求めたのですが、見解は同じでした。もちろん、セールスフォース・ドットコムの『世界最大手』という看板に惹かれたというのもあります。それだけ多くの企業に受け入れられている製品なら、私の考える程度のことは実現できるに違いない、と思いました」(肥後氏)

各営業マンの弱点がわかり
的確なアドバイスが可能に

2012年12月、同社は、クラウド型の営業支援・顧客管理ツールSales Cloudを導入した。その作業にあたったのは、店長の三原裕亮氏だ。

「それまでSalesforceのようなシステムを利用した経験がなかったので、最初の1カ月は、大変なことやなかなか理解できないことも確かにありました。セールスフォース・ドットコムの担当の方との電話に1日中かじりついていた日もありましたね(笑)。ですが、導入によるメリットと比べれば、大した労力ではありません。弊社には、お客様からのメールが1日に200~300本ありますし、営業に関するデータにしても、訪問数や成約数、契約率など、毎日膨大な量を集計する必要があります。以前はそれを、管理する立場にある僕が手作業でやっていたわけです。その作業をSalesforceが自動的にやってくれるようになったという一点だけでいっても、個人的にSalesforceの導入は願ったりかなったりでしたね」(三原氏)

そうしてデータを集積する態勢が整い、いよいよSalesforceを実戦に投入。肥後氏の想定通り、その効果を最初に体感したのは管理側だった。

「営業には『質・量・スピード・継続』という4つの要素があります。Salesforceを使い始めたことで、個々の営業マンについて、4つのうちのどの要素が欠けているのかがはっきりと見えるようになりました。例えば、ある業績不振の営業マンの活動データを分析したとき、お客様に対する連絡は継続して行われていて、その内容も悪くないとわかれば、行動の絶対量が不足している、もしくは行動のスピードが遅い、ということなります。それがわかるようになったことで、管理者は営業マンに対して以前よりずっと的確にアドバイスできるようになりましたし、それでもなかなか改善されないようなら、私なり三原なりが営業に同行してテコ入れを図る、などの選択も可能になりました」(肥後氏)

"感覚"の数値化によって
営業マンの意識と行動に変化の兆し

一方、利用開始からまだ日が浅いため、現場の営業マンは、ようやくSalesforceの使い方に慣れてきた、という段階のようだ。それでも、Salesforceの効果は現場でも徐々に実感されつつある、と三原氏は見る。

「営業マンにありがちな、『自分ではがんばっているつもり』という感覚的な部分を数値化し、他の営業マンと比較できるようになったことで、『実は自分で思っていたほどではなかったんだな』と認識を改める営業マンが増えましたね」(三原氏)
それに関しては、肥後氏の見解も同様だ。Salesforceを使って各営業マンの売上や行動量などをランキング化したことによって、「今月は行動ランキング1位を目指します」と朝礼で宣言する社員が出るなど、営業プロセスの中でも特に結果に直結するデータを指標として重視する意識や、競争心が芽生え始めているという。

「導入から間もないので、まだそのような意識の変化が売上にはっきりと反映されているわけではありませんが、少なくとも以前のように“感覚”で仕事をすることはなくなりました。半年、1年が経過してそうした意識が根づき、少しずつでも成功体験が積み上がっていけば、自然と業績は上がっていくと思います。すでに、営業主任の森田(孝祐氏)などは、『その気になればいくらでもデータを収集できるといっても、それぞれのデータが何を意味するのかを読み解く力がないと、宝の持ち腐れになってしまいますね』と話すなど、言動が以前と比べてかなり理路整然としてきましたし、部下に対しても適切な指導をするようになりました。そして事実、以前は“借金チーム”だった彼らが、ここ2~3カ月で業績をグンと伸ばして、どんどんツケを返済してきています」(肥後氏)

Salesforceでできることはまだまだたくさんある、と考えている肥後氏。現状の利用法は営業マンの行動管理が中心だが、次のステップとして、成約に至らなかった顧客のデータを抽出して重点的に営業をかけたり、顧客の購買傾向を分析して最適な商品を提案したり、といった顧客ターゲティングを行いたいと考えているという。
その一方で、肥後氏は、一気に手を広げすぎないことがSalesforceを使いこなすコツであると考えているようだ。

「Salesforceでできることは膨大にあるので、あれもこれもやりたい、と考えたくなるところです。しかし、それだとどの使い方も中途半端になってしまい、うまくいかない気がしたので、弊社では、営業マンの弱点の発見と、それを克服する的確な指導スタイルの確立に目的を絞りました。結果として、その方針は正しかったと思います。そのように、まずは何が最大の課題なのかを見極め、その一点に集中して取り組み、それを達成したら、第二、第三段階へと進んでいくことが大切ではないでしょうか。それから、弊社もそうでしたが、Salesforceのようなツールを利用したことのない企業にとって、導入初期の壁はそれなりに高いと思います。しかし、それは一時的なことですし、使ったことがない企業ほど高い効果を望めるわけですから、むしろそういう会社にこそおすすめしたいですね」(肥後氏)

 Salesforceの導入により、長年の懸案だった営業に対する姿勢そのものの変革を成し遂げた同社。近い将来、次のステップでさらなる成功を収めることになるだろう。

株式会社住宅工営販売
(センチュリー21)
  • 業種
  • 建設・不動産
  • 業種詳細
  • 不動産
  • 活用用途
  • 営業支援・顧客管理
  • 導入製品
  • Sales Cloud ›
株式会社住宅工営販売(センチュリー21)
代表取締役の肥後和志氏。「営業というのは一般に『なぜかわからないけど、彼は売上だけは作ってくるよね』という世界で、プロセスは重視されない。でも、そこを数値化しなければ的確な指導もできず、業績は安定しません」(肥後氏)