人工透析内科 柴垣医院 自由が丘


クリニックの院長が社内SNS Chatterで複数拠点の状況を完全把握!
トップダウン&ボトムアップによる新ツール定着化で会議時間半減!

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導入背景
  • 経営するクリニックが複数になり、従来の紙ベースの管理では全体状況の把握が困難になった。
  • スタッフの増加により、手書きの「申し送りノート」では情報を迅速・正確に共有できなくなった。
  • スタッフ・拠点の増加で、院長・スタッフ間のコミュニケーションが取りづらくなった。
導入効果
  • 院長がChatter上の申し送り事項を即時確認して、複数のクリニックの状況を完全に把握できるようになり、患者の安心につながった。
  • 申し送り事項の書き込み・閲覧が常時可能になって、スタッフ間の情報伝達の速度と確度が飛躍的に向上し、よりきめ細かな医療を提供できるようになった。
  • 会議の議題についてChatter上で事前に意見交換されるようになり、会議の時間が半減し、かつ議論が活発化した。

1975年開設の外来透析専門クリニック
積極的な事業規模拡大で患者数倍増

少子高齢化を背景とする医療財政の逼迫、度重なる医療制度改正など、日本の医療現場を取り巻く環境は年々変化し、厳しさを増している。その影響をもろに受けているのが、全国に約10万施設あるとされるクリニックだ。医療に対する社会的関心と要求が高まり、患者が医療機関を選ぶ時代となった今、クリニックには、医療やサービスの質はもとより、一般企業と同様に、業務効率を向上させることが強く求められている。

そうした中、いち早くSalesforceを導入することによって、目覚ましい成果を上げているのが、医療法人社団明洋会 柴垣医院 自由が丘(東京都目黒区)だ。医療業務のIT化によって新たなクリニック経営のあり方を示し、業界の先駆的存在となっている柴垣医院のSalesforce活用術を紹介しよう。

柴垣医院は、1975年に開設された外来透析専門クリニックだ。一般社団法人日本透析医学会の調査によれば、国内の慢性透析患者数は、2000年に20万人、2011年には30万人と、年間約1万人ペースで増え続けている。そんな状況下、2003年に院長に就任した柴垣圭吾氏は、1人でも多くの患者のために尽くしたいという夢を実現するため、事業規模の拡大に着手。専門スタッフによる最新の透析医療で患者の信頼を獲得し、わずか数年の間に、患者数は倍増した。

申し送りノートによる情報共有が限界に新拠点開設で課題がより深刻化

しかし、そうした事業の拡大は、必然的にいくつかの課題を生み出した。その最たるものが、院長およびスタッフ間の情報共有に関する諸問題だ。
「患者さんの増加に伴ってスタッフの数が増えると、十分なコミュニケーションを取りづらくなり、それまでのように紙ベースで情報を共有するのが困難になってきました。そこで、医療業務の完全ペーパーレス化を目指し、カルテの電子化などを達成しましたが、申し送りノートだけは手書きのままでした」(柴垣氏)

「申し送りノート」とは、いわゆる“ヒヤリ・ハット”(インシデント)や患者からのクレーム、予約変更といった情報を院内で共有するため、必要に応じてスタッフが書き込み、回覧するノートのことで、医療施設ではごく一般的に用いられている。しかし、臨床工学技士の木幡早由利氏によれば、情報伝達ツールとして十分なものではなかったようだ。

「人によって書き方のレイアウトが違ったり、文字が汚くて読めなかったりして、患者さんに関する重要な情報を伝えるツールとしては不適当な部分が多々ありました。また、内容をチェックしにちょくちょくノートのある場所まで行かなければなりませんし、手書きなので過去の情報を探すのもひと苦労。申し送り事項をメモに書いて貼り出すこともあったのですが、そのメモを誤って捨ててしまったこともありました」(木幡氏)

2009年、品川区に2カ所目の拠点となる柴垣医院 戸越を開設し、両院合わせて患者数が約250名、スタッフ数が約30名に達すると、情報共有の問題はより顕著になった。

「戸越で問題が発生した場合、僕が直接行って対応しますが、到着する頃には担当スタッフがすでに退勤していたりして、何が起きたかを即座に把握できない。もちろん患者さんからは、『お前は院長のくせにそんなことも知らないのか』とお叱りを受けてしまいます。それに、毎日22時まで働いてくたくたに疲れたあと、戸越へ行って申し送りノートを読むなんてとてもできない。その頃の僕は、全情報のせいぜい2~3割しか把握できていなかったと思います」(柴垣氏)

社内SNS Chatterに活路を見出すトップダウン&ボトムアップで定着化促進

写真:グループ- 自由が丘
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柴垣医院のChatter上には、患者から寄せられた要望やクレームから、治療スケジュールに関する注意、院内の備品についての覚え書きまで、申し送り事項が次々に書き込まれる。そうしたスタッフ間の即時的な情報共有が、患者に対するきめ細かな対応を可能にしているのだ。

そんな折、柴垣氏は、ITに詳しいスタッフとの会話から、社内SNS Salesforce Chatterの存在を知る。これを使えば課題を解消できる、と直感した柴垣氏は、すぐさまSalesforceの導入を決意し、そのわずか1カ月後には運用開始にこぎ着けた。

「僕は『SNSって何?』というぐらいITについて何も知らなかったので、実際の作業はスタッフに任せましたが、『これからは紙を使わずに完全にChatterに切り替える』という方針だけは徹底して伝えました。業務を効率化するという最終目標を早く達成するためには、紙と併用してズルズルと移行を先延ばしにするより、新しいツールに慣れるまでの間、多少非効率になったとしても、スッパリと切り替えたほうがいいと考えたからです」(柴垣氏)

柴垣医院で行われたChatterの利用を浸透させるための取り組みは、そうしたトップダウンによるものだけではない。Salesforce導入以前から設置されていたIT委員会の4名のメンバーが中心となって、Chatterの定着化を図ったのだ。メンバーの1人である前出の木幡氏は言う。

「当初は、ITに対して抵抗のあるスタッフが意外と多く、『本当に役に立つのか?』という声が結構聞かれました。そこで、戸越のIT委員会とも連携しつつ、メンバーが率先してChatterに書き込んだり、週1回の会議で機能や操作方法を解説したりして利用を促しました。結果、当院の6割を占める20~30代のスタッフたちは、割とすんなり使い始めてくれましたね。ただ、やはり一部のITに苦手意識のあるスタッフたちには、突然『今日からChatterに切り替える』と言われて、戸惑いもあったと思います。それでも、Chatterの必要性と利便性を丁寧に説明し、また質問に対しては個別に対応してそのつど解決するようにしたところ、導入から約4~5カ月後には、ほぼ全員が“自分の道具”として使いこなせるようになってくれました」(木幡氏)

複数拠点の情報を完全に把握会議の時間が半分以下に

2カ所の拠点でChatterの利用を開始して数カ月後。柴垣医院では、紙ベースが一般的なこの業界においては革新的とさえ言える変化が起きていた。まずは管理者にとっての変化だ。

「2~3割だった情報の把握率が、いきなり10割になりました。これは強烈な変化でしたね。僕が不在の会議で何が話し合われ、両院内で何が起きたのかについて、Chatterにアップされた議事録や申し送り事項を帰宅後にiPad miniで読めばすべてわかるようになった。患者さんからすれば、院長である僕が“ヒヤリ・ハット”やクレームに関する全情報を即時把握しているというのは、医療に対する安心と信頼につながる非常に重要なことで、Chatterによってそれを実現できたわけです。逆に、拠点数がたった2カ所でも、Chatterがなければ絶対に実現不可能だったと思います」(柴垣氏)

他方、Chatterは、現場にも大きな変革をたらした。Salesforce導入後、全スタッフにiPad miniが支給され、いつ、どこからでも、申し送り事項の書き込みと閲覧が可能になり、情報伝達の速度と確度が飛躍的に向上したのだ。

「申し送りノートによる一方通行の“情報提供”から、Chatterによる双方向の“情報共有”になって、申し送り不足の問題が解消され、患者さんに対してよりきめ細かな対応ができるようになりました」(木幡氏)

しかも、Chatterの効用はそれだけに留まらない、と木幡氏はいう。

「従来、1回で1時間~1時間半かかっていた会議の時間が、平均36分にまで短縮されました。取り組みとしては、各スタッフが会議で話し合いたい議題を書き込んだExcelファイルを会議前にChatterにアップし、事前にChatter上で意見交換できるようにしただけ。それによって、自分の考えをまとめた上で会議に臨めるようになり、また会議前に議題が解決することもたびたびあって、時間を短縮できたわけです。会議では発言の少ない若手スタッフからも積極的に問題提起がなされようになり、議論が活発化したことも大きな変化ですね」(木幡氏)

クリニック経営の効率化は不可避
差別化のため一刻も早い改善を

「Chatterの利用がすっかり定着したので、次のステップとして、それまで紙ベースで管理していた有給休暇や出張の申請をSalesforce上で行うようにしました。それによって、両院のスタッフの勤怠に関する情報が自動的に集計されるようになり、承認作業を漏れなくスムーズに行えるようになりました」(柴垣氏)

管理者・現場の双方が、それぞれの立場でそうしたSalesforceの効果を日々実感している、と話す柴垣氏。これからのクリニック経営には欠かせないツールだと考え、学会などでクリニック経営者に導入を勧めているが、反応は今ひとつだという。

「現状、日本の医療関係者のIT化への関心は非常に低い。セキュリティの問題を強く懸念しているからです。しかし、国の政策によって、すでにレセプト(診療報酬明細書)という極めて高度な患者の個人情報がインターネットでやり取りされている以上、その懸念は時代錯誤であると言わざるを得ない。『交通事故の可能性があるから車に乗らない』と言うのと同じだと思います。財政面から見ても、わが国の医療は、いずれ効率化を進めなければ立ち行かなくなる。だからこそ当院は、一刻も早いIT化、ペーパーレス化を目指して活動してきたのです。今後は、フットワークの軽いクリニックがどんどん実績を積み重ねていき、結局、どの医療機関もそれに追随し、IT化しなければならない状況に追い込まれていくでしょう」(柴垣氏)

2014年1月、柴垣氏は、大田区久が原に3カ所目の拠点を開設。「Salesforceの有効性がさらに高まるね」と嬉しそうに語った。

人工透析内科 柴垣医院 自由が丘
  • 業種
  • ヘルスケア・ライフサイエンス
  • 業種詳細
  • 人工透析内科クリニック
  • 活用用途
  • 社内コミュニケーション、モバイル活用
  • 導入製品
  • Chatter ›
人工透析内科 柴垣医院 自由が丘
柴垣医院 自由が丘院長の柴垣圭吾氏。「現状、日本の医療関係者のIT化への関心は非常に低いです。IT化の問題としてセキュリティに懸念を抱くことは時代錯誤ですし、財政面から見ても、わが国の医療は、いずれ効率化を進めなければいけません。だからこそ当院は、一刻も早いIT化、ペーパーレス化を実施してきたのです。」
人工透析内科 柴垣医院 自由が丘
臨床工学技士の木幡早由利氏。「最初Chatterの利用を渋っていた人から、『会議が短くなってよかった』という言葉を聞いたとき、定着化の取り組みに関わってよかった、と本当に嬉しかったですね。実務面でのメリットだけでなく、医院の発展に寄与しているという実感がすごくあります」