ウレテックジャパン


営業マンへの案件割り振りの所要時間が10分の1に!
"建物の傾き修正のプロ"が膨大な顧客データの活用法を見出す

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震災で注目を集めた建物の補修技術
問い合わせ件数が数十倍に急増

2011年3月の東北地方太平洋沖地震によって、千葉県浦安市を始めとする東京湾沿岸域で過去最大規模の液状化現象が発生した際、脚光を浴びた技術がある。「ウレテック工法」と呼ばれる、地盤沈下などによる建物や床の傾きを修正する技術だ。フィンランドで開発されたこの工法は、傾いた建物の床下に特殊なウレタン樹脂を注入し、その膨張力を利用して、沈下した床を押し上げたり、波打った床面を平らにしたりするというもの。樹脂の注入量をコントロールすることによってミリ単位の修正が可能であるだけでなく、樹脂の硬化時間も10分程度と短いため、営業中の店舗や工場、人の生活している住宅などでも施工できるといった多くの利点を持つ。

ウレテックジャパン株式会社は、この工法の施工ライセンスを日本で唯一取得している企業だ。そのため、東京都江戸川区西葛西にある同社のオフィスには、震災直後から、この工法に関する問い合わせやメディアの取材申込が殺到した。同社代表取締役の川口太氏によると、震災前、新規の問い合わせ件数は月間50~60件だったが、たった1日でその数を上回るという日が震災後半年間ほど続いたという。

「東日本大震災をきっかけに、地盤や液状化現象に対する社会的な関心が高まり、関連ビジネスに参入する企業が増えました。その競争を勝ち抜くため、弊社は震災以降、『ウレテック工法』とその他の工法のコラボレーションに力を入れています。日本には、弊社の樹脂注入工法以外にも、ジャッキを使って建物を持ち上げる工法など、すばらしい技術を持つ企業がたくさんあります。そうした方々の技術と弊社の技術とをうまく融合させることによって、より優れた施工方法を生み出そうと考えているのです」(川口氏)

膨大な顧客データを蓄積するも
管理不足で業務に活用できず

そうした意欲的な企業活動により、2012年2月に 国内における施工件数が1000件を突破した同社ではあるが、もちろん、2001年の会社創設から現在に至るまでの12年間、何の悩みや課題もなくやってこられたわけではない。

例えば、顧客データの管理に関する問題だ。同社では、創業当初から、顧客からの問い合わせの内容を紙(PDF)やExcelにまとめ、データとしてすべて蓄積していた。しかし、数千件に上るそれらのデータは、単に履歴として残されているに過ぎず、実際の業務に活かされることはほとんどなかった。営業管理課の髙橋典子氏は、当時をこう振り返る。

「お客様からのお問い合わせの電話を受けながらその内容を紙に書き、社長の川口がそれを見ながら営業マンへの割り振りを考えて指示を出していました。そうした一連の作業に時間がかかるだけでなく、同じお客様から同一の工事のお問い合わせが複数回あったとき、その重複を見落としてしまうようなこともたびたびありました。Excelのデータとして残ってはいても、まったく活用できていませんでしたね」(髙橋氏)
また、顧客管理に関しては、同社の事業に特有の悩みもあった、と川口氏はいう。

「弊社の扱う案件の中には、お客様のビジネス上の理由で、建物の構造などに関する機密の保持を特に徹底しなければならないものがあります。場合によっては、ご依頼主様と同じ企業の別の部門に対してすら、弊社が施工に関わったという事実を含めて、情報を完全に秘匿しなければならないこともあります。ですから、もし、そうした情報をしっかりと管理できていない状態で、その企業の部門ごとに別々の営業マンを配置してしまうと、秘密にしておかなければならない部門にうっかり情報を漏らしてしまう恐れがあります。その危惧があったため、弊社の内部においてすらうかつに情報を共有できず、また、そういう案件をどの営業マンに割り振るかの判断にも時間がかかりました」(川口氏)

そのような課題を抱えていた09年、川口氏は、同社と同様に「ウレテック工法」のドイツにおける施工ライセンスを持つ企業が、顧客管理システムを導入して大きな成果を上げている、という話を耳にし、導入の是非について社内で議論。そして最終的に、以前勤務していた企業でSalesforceを利用した経験のある髙橋氏の薦めに従って、クラウド型営業支援・顧客管理ツールであるSales Cloudの導入を決定する。

「幸い、顧客データだけは創業時からずっと残していましたから、それをSalesforceに入力すれば、それまでよりずっと効率的に、しかも機密保持の面でも安全な顧客管理ができるのではないか、というのが導入の最大の動機でした」(川口氏)

顧客情報の徹底管理が可能にした
適切かつ迅速な案件の割り振り作業

2009年9月、Salesforceを導入した同社が最初に取り組んだのは、創業時から10年近く蓄積し続けてきた膨大な顧客データの入力だった。

「もともと弊社では、お客様のデータを残すという作業が定着していたのもあって、ExcelのデータをSalesforceに移すこと自体は比較的容易にできました。ただ、Salesforceのいろいろな機能に興味があって、手当たり次第に使おうとしたわりに、しっかりとした導入計画を立てていなかったせいで、当初はかえって入力したデータをどう活用すればいいかわからない状態になってしまいました。結果として、その時点ではSales Cloud Enterprise Editionの全機能の2割ぐらいしか使えていませんでしたね。そこで一旦、エディションをEnterpriseのひとつ下のProfessionalに変更して機能を絞ったんです。自分たちの力でSalesforceをコントロールできるようになったのはその頃からですね」(川口氏)

「Professional Editionに切り替える際、やはりSalesforceの機能や使い方を一度きちんと学ばなければと考えて、セールスフォース・ドットコムの新規契約者向けの無料ウェブセミナーを利用するなどして勉強しました。その上でSalesforceを使っていくと、データの活用やカスタマイズの方法が徐々にわかるようになり、Enterprise Editionでなければできない機能を使ってみたいと思うようになりました。それでまた、エディションをEnterpriseに戻したという感じですね」(髙橋氏)

Salesforceで顧客データを管理するようになったことの効果はすぐに現れた。顧客や案件の情報を全営業マンで共有することによって、同一の顧客に複数の営業マンをつけても、機密の保持を徹底できるようになったのだ。

「例えば、ある建設会社の東京本店と大阪支店にそれぞれ異なる営業マンを配置しても、Salesforceで情報を共有してうまく連携できるようになったので、それまでよりずっと仕事を取りやすくなりました。また、仕事を割り振るのに要する時間もとても短くなりましたね。導入前は、お問い合わせがあった際、その案件を誰に担当させるかの判断に30分ぐらいかかっていましたが、Salesforceでお客様ごとに案件が一覧表示されるようになったので、ものの3分で的確に対応できるようになりました。弊社には1カ月に50~60件のお問い合わせがあるわけですから、その対処時間が10分の1になったのは非常に大きいですね」(川口氏)

営業マンの"感覚"の可視化により
的確な経営判断と営業活動が可能に

Salesforce導入のもうひとつの大きな効用として、川口氏は、過去のデータを必要なときにすぐに引き出し、さまざまな角度から検証できるようになり、ビジネス全体の流れをつかみやすくなったことを挙げる。

「営業マンというのは、いわゆる『ビジネスの風』を感じて行動することがあります。例えば、『名古屋の景気がちょっと上がってきた気がする』といった感覚ですね。もちろん、そういう感覚は常に正しいとは限らないわけですが、以前は、その当否を判断するすべがありませんでした。にもかかわらず、それにもとづいて私が判断を下したり、実際に営業マンが動いたりすることが結構あったんです。Sales Cloudの『ダッシュボード』機能を使って、売上や問い合わせ件数のデータをグラフ化すれば、そうした感覚が正しいかどうかをひと目で検証できます。感覚的にとらえていたものを可視化し、それをもとに仮説を立てて、経営判断や営業活動の参考にできる。それがSalesforceの最大の利点だと思います」(川口氏)

川口氏が、そのメリットをもっとも強く感じたのは、震災直後に急増した売上や問い合わせ件数のデータを改めて検証したときだ。震災需要はあくまで一時的なものであり、自社の実力を測る指標にはなり得ない。Salesforceがなければ、その時期のデータを特例として除外し、自社の本来の力やビジネスの流れを見極めるのは難しかっただろう、と川口氏は分析する。

現在では、営業マンの入力した活動履歴をSalesforceの「レポート」機能でまとめて1日1回メールで配信し、それを各営業マンがiPhoneで確認したり、問い合わせから受注までの過程において、ワンクリックで見積書や請求書などを出力できる仕組みを構築したりと、さまざまな局面でSalesforceを活用している同社。Salesforceを実際に利用している現場の営業マンにも使いやすいと好評で、営業会議の際には、全員が必ずパソコンでSalesforceを見ながら議論する習慣が定着しつつあるという。

「Salesforceから抽出されるデータを正しく解析する力をもっと養いたいですね。いくら大量のデータがあっても、解析方法を知らなければ何にもなりませんから。それから、将来的には、弊社が蓄積している液状化現象などに関する情報を政府や市町村に提供するなどして、災害対策などに役立てていきたいと考えています」(川口氏)

今後の目標についてそう語る川口氏。最後に、Salesforceを導入する際の注意点などについて、こんなコメントを残してくれた。

「データを入力するクセをつけたり、基本的な操作方法を覚えたりといったステップを、焦らずに一段ずつ踏んでいくことが大切ですね。弊社のようにそれを怠ると、結局は使いこなすまでに余計な時間がかかってしまうと思います。その点にさえ注意すれば、データの大切さを理解していながらそれを活用できていない企業にとって、Salesforceは強力な武器になると思いますね」(川口氏)

ウレテックジャパン株式会社
  • 業種
  • 建設・不動産
  • 業種詳細
  • 地盤工事業者
  • 活用用途
  • 営業支援・顧客管理
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「まずは管理側がデータの大切さを理解することが大切」と語る、代表取締役の川口太氏。Salesforce導入によって、いつでも必要なデータを抽出し、経営判断の指標として活用できるようになったという。
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Salesforceの管理を担当する、営業管理課の髙橋典子氏。「Salesforceを使いこなす近道は、セールスフォース・ドットコムの営業の方と連絡を密に取って、疑問点などを直接相談することですね」(髙橋氏)