こうしてイーデザイン損保は2019年10月にシステム開発に着手し、21年4月にサービスインを完了、基幹系およびCRM基盤を含むシステムを約18ヶ月という短期開発にて実現させたのです。
そのような短期開発を可能にした同社のこだわりは、基本的に業務プロセスはパッケージの標準機能に合わせ、カスマイズを最少限に留めるということでした。初鹿氏は「IT部門からビジネス部門に標準機能でできることなどを提案し、システム構築のスピード感を重視しました。また、Salesforceでは、随時バージョンアップが行われ、次々に新機能が追加されることになります。そうしたものを俊敏に取り入れていくうえで、カスタマイズが障壁になることを避けたかったです」と説明します。
構築されたシステムはご契約内容の変更や各種お問い合わせに応えるお客さまサポート、事故対応サービスなどお客さま接点を中心に、&eにかかわる広範な業務がSalesforceによって稼働しています。さらに、年々高まるさまざまなお客さまニーズやテクノロジーの進化に迅速に対応しながら、常に安定したシステムの運用を継続するために、ミッションクリティカルな運用支援に定評のあるSignature Success Planを活用しています。クロスクラウド全体として複雑になりがちな環境にあっても、システムを熟知したテクニカルアカウントマネージャーやサポートチームが支援することで、日々発生するさまざまな課題に迅速に対応でき、お客さまからの問い合わせ対応にもよりスピーディーに対応できるようになった、といいます。CX向上と自社のお客さま対応業務の効率化の両面で、さまざまな成果がもたらされているのです。
そのほかお客さまサポート面では、これまでの保険商品では電話による応対が基本でした。&eでは電話、チャット、アプリ、メールといったオムニチャネルを実現。チャットをメインチャネルとして使い、お客さまポータルであるマイページからスムーズな問い合わせが行える仕組みを整えました。
お客さまサポート部の松本大希氏は、お客さまにとことん寄り添う対応を実現する上で、「例えばオペレーターがチャットで対応する中で、内容によって電話によるやり取りが必要だと判断したケースでは、チャットをつないだまま、直ちに電話応対に切り替えるといったことも可能です」と説明します。
また、チャットの採用は業務効率上でもメリットが大きいといいます。「これまでの電話での応対では、1人のオペレーターが対応可能な件数は1日あたり20件程度でした。チャットの場合は、優秀なオペレーターであれば、同時に2人のお客さまに対応することも可能になり生産性が大きく向上しました。チャットでは1日あたりの平均対応件数が150%ほど従来に比べて増加しているという実績も出てきています」(松本氏)
ところで、日頃のコミュニケーションの中で、相手と「テンポやフィーリングがどうも合わない・・」と感じることは少なくないのではないでしょうか。その原因は、コミュニケーションにおいて大切にするポイントが人によって異なることにあります。こうしたコミュニケーションの相性は、事故発生時の対応という非日常の出来事の中では特に無視できないものとなります。
事故対応に関して&eでは、「私のタントウシャ」という日本でも過去に例の無いサービスを実現しています。「&eにご加入後、40秒程度で回答いただけるアンケートをお願いしています。事故担当者とお客さまの相性をアンケート結果も加味してAIが算出。事故担当者はスコア化された相性を参照し、一人ひとりのお客さまに対してより深い注意を傾け、どのような対応を望んでいらっしゃるのかをじっくり考え事故解決にあたります。事故は無事に解決しても、何か担当者とフィーリングが合わなかったという理由でご満足いただけないのはお客さまや当社にとっても不幸なことです。そんなミスマッチを防ぎたいというのが、私のタントウシャの根幹にある考え方です」と橋本氏。このアンケート結果については、Salesforce上で担当者がいつでもアクセスし、サービス提供に活かしています。