顧客に感動を提供するカスタマーディライトを向上させる方法

投稿日:2021.7.19
最近では、顧客満足度以上に、驚きや感動を顧客に提供する「カスタマーディライト(CD)」という言葉が注目されるようになっています。いったいカスタマーディライトとは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは、カスタマーディライトの意味と、カスタマーディライトを高める方法について解説します。

カスタマーディライトとは?

企業が安定した利益を上げ続けるためには、顧客による継続的な購買が必要です。それには、自社の商品やサービスによって顧客が抱える不満や不便を解消し、満足させることが重要になります。そうした考えから、顧客満足度が重視されるようになりました。
しかし近年では、単なる満足ではなく、それ以上の驚きや感動を顧客に与えるカスタマーディライトが注目されています。

顧客満足度とはどう違う?

カスタマーディライトと顧客満足度はどう違うのか?この点については、アメリカの経営学者でありマーケティング論の重鎮である、フィリップ・コトラー氏による解説がわかりやすいでしょう。

コトラー氏はカスタマーディライトについて、顧客の持つ「期待」との関連を説いています。ある商品やサービスに対して、顧客は自分が抱える不満や不便を解消できる期待を抱いています。そして、その商品やサービスのパフォーマンスが期待どおりであれば、満足を覚えます。パフォーマンスが期待以下であれば、不満を感じます。そして、パフォーマンスが期待を上回ると、そこに感動するのです。

<期待とパフォーマンスの関係>
期待>パフォーマンス:不満
期待=パフォーマンス:満足
期待<パフォーマンス:感動

カスタマーディライトの向上は、顧客ロイヤリティに直結する

多くの企業が顧客満足度の向上のみに注力している状況では、なかなか顧客をつなぎ止めることが難しくなります。期待どおりの満足を超える感情を顧客に与えることが、より重要だというわけです。

「こんなこともできるのか!」
「ここまでケアしてくれるなんて!」

こうした驚きが感動を呼び、それが商品やサービスへの愛着につながっていきます。つまり、カスタマーディライトは、それを積み重ねることで顧客ロイヤリティに直結するものでもあるのです。

カスタマーディライトを高めるとはどういうことか?

カスタマーディライトを高める方法を考える前に、まず「カスタマーディライトを高めるとはどういうことか」を検討しておくことが不可欠です。そうでないと、見当違いの方法論に陥ってしまう可能性もあるからです。
顧客にとって何が喜びを伴う驚きとなり、感動を生むのか。それを定義しておく必要があるのです。

「サプライズ=感動」ではない

誕生日にケーキやドリンクをサービスしてくれる…。こうしたことは、飲食店ではよく行われています。いつも来店してくれる常連客に対しては、感謝を示すとともに顧客満足度の面でも良い施策でしょう。
しかし、思いがけない出来事はサプライズではあっても、それが感動につながるかというと、必ずしもそうとはいえません。また、サプライズは予想外だからこそ意味があるのであって、それが日常化してしまうと驚きも薄れてしまいます。
カスタマーディライトとは、単なる驚きではありません。それがサプライズでなくても、顧客に対して満足以上の感動を与える。そうしたものである必要があります。

高級ホテルが提供する感動

カスタマーディライトの重要性が高く、常にそれを意識している業種といえば、やはり接客業、それも高級旅館やホテルといった宿泊業でしょう。
たとえば、世界的な高級ホテルチェーンであるリッツ・カールトンでは、顧客へのサービスを評価する際、顧客満足度ではなくカスタマーディライトを基準にしているといわれます。
同ホテルでは顧客の行動や嗜好について、食事や飲み物の好みや、バスタブを使うのかシャワーを好むのかといったところまで把握しておくそうです。そして、現場の担当スタッフにある程度の裁量を与えており、「いかに顧客に感動を提供するか」を常に考え、行動することで、顧客に対していつも変わらぬ心地良さと感動を与え続けているのです。こうした姿勢は業種を問わず、すべての業種で応用できるものでしょう。

カスタマーディライトを高める方法

では、カスタマーディライトを高めるためには、どのような方法をとれば良いのでしょうか。具体的な手法は業種によって違ってきますが、基本的な考え方は共通です。
これから紹介する方法をベースに発想し、実際の行動に落とし込むことで、顧客に満足以上の感動を提供することができるはずです。

One to Oneマーケティングを徹底する

顧客は、画一的なサービスでは喜んでくれません。誰にでも提供するものを与えられても、感動はしないでしょう。自分自身にフィットしたサービスや、自分に合わせて提供されるオーダーメイドのサービスを喜びます。それを行うには、One to Oneマーケティングが欠かせません。
顧客の属性情報とこれまでの購買・利用履歴をチェックすれば、顧客がどのようなニーズ、どのような嗜好を持っているのか、推察することができます。そこから類推することで、どのようなサービスならば喜んでもらえるかが見えてくるでしょう。

顧客に対する思いやりを持って行動する

目の前にいる誰かに喜んでもらいたい――そう考えて行動すれば、ちょっとした仕草や言葉の端々にも気持ちがこもり、相手にも伝わるものです。それは思いやりであり、おもてなしの精神でもあります。
カスタマーディライトを考える場合にも、そうした意識は不可欠です。顧客と接するスタッフだけでなく、バックヤードのメンバーも含めて、どうすれば顧客に喜んでもらえるか、感動してもらえるかを主体的に考え、意識して行動するといいでしょう。それが目に見えないほどの小さな違いとなって、顧客の心を動かします。

顧客の期待を読み取る

コトラー氏の理論にもとづけば、顧客に感動を与えるなら、顧客の期待値を読み取ることが大切です。顧客が求めているのは、自社の商品やサービスというよりも、それによって得られる「結果」です。それを読み取るには、顧客情報の精密な分析が必要でしょう。
ただ、ここで注意しておきたいのは、顧客のプライバシーへの配慮です。たとえば、ウェブの閲覧履歴にもとづくターゲティング広告は、顧客の興味に応えるという利便性を持つ一方で、「常に監視されている」という不快感を顧客に抱かせる可能性も秘めています。
さじ加減が難しいところではありますが、こうしたことは理解しておくべきでしょう。

マニュアルだけに縛られない

ファーストフードチェーンやファミリーレストランの接客は、ほぼ例外なくマニュアル化されています。これは、スタッフの習熟度に左右されず、全国どこでも均質なサービスを提供するために、非常に役立ちます。しかし、カスタマーディライトは、顧客に合わせたオーダーメイドのサービス。マニュアルどおりの対応からは生まれないものです。
その場、その瞬間に顧客を思いやる行動をとるためには、個々のメンバーにある程度の裁量権を与え、時としてマニュアルから外れた行動をも許容することが求められます。

長い期間継続する

カスタマーディライトを高める活動は、短期間で効果を表すものではありません。また、効果が表れたからといって、手を抜くことができないものでもあります。継続して行うことで顧客に驚きと感動を与え続けることができれば、それは自社のブランドを高めることにもつながっていきます。
ですから、一過性の活動で終わらないよう、取り組みの成果を定期的に評価し改善を加えるなど、「続けられるしくみ」を用意しておくことです。継続することで、カスタマーディライトを高める活動そのものが自社の文化として根づいていくでしょう。

新たな情報は蓄積し、チームで共有する

カスタマーディライトを高める活動と、その成果ともいえる顧客からの声は漏らさず記録し、チーム内で共有しておくことが大事です。どのような顧客にどのようなサービスを行い、どんなリアクションがあったのか。それを知り、時に振り返ることで、どんなサービスが顧客に感動を与えるのかが見えてくるでしょう。反対に、「これは控えたほうがいい」というポイントも見えてくるはずです。

CRMツールを活用する

カスタマーディライトを高める活動の内容とその成果を漏れなく記録しておくためには、それに適したツールを活用するのが最善です。それにはやはり、CRMツールが一番でしょう。
基本的な顧客情報をすべて記録でき、いつ、どのようなコミュニケーションをとったのか、すべて記録しておけますし、さまざまな形でデータを抽出・分析するのも簡単です。検索性が高く、メンバー間での情報共有も万全ですから、PDCAを確実に回していくことができます。自社に合ったツールをチョイスし、カスタマーディライトの向上に役立ててください。

カスタマーディライトに必要なのは、計算ではなく「もてなしの心」

顧客に満足以上の感動を与えることは、簡単ではありません。見え透いたサービスは、かえってあざとく感じられてしまうものです。
十分なデータや観察をベースとしつつも、最後に重要なのは「もてなしの心」。それが顧客の感情を動かし、感動へとつながっていくのです。
 

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