アップセル・クロスセルとは?概念と顧客単価を上げる方法を解説

アップセル・クロスセルとは?
アップセル・クロスセルとは、どちらも顧客単価を高めることを目的とした営業手法です。アップセルは、より高価格なものへの乗り換えを、クロスセルは、販売するメイン製品と関連した商品・サービスの購入をうながすことで、顧客への売上増を目指します。
これに対してダウンセルとは、現在、顧客に提供や提案をしている製品・サービスよりも、より機能や品質が劣る安価なものを勧める営業手法です。単価を下げることで、購入の見送りや契約の解除を検討している顧客に再考をうながし、失注や解約を防ぐことを目的としています。

アップセルとは?

代表的なやり方として、以下の3種類があります。
- 上位機能やプランの提案
- まとめ買いの提案
- 定期コースの提案
もっともわかりやすいのが、「上位機能やプランの提案」です。たとえば、社内で使うパソコンを、より高機能な製品にアップグレードするよう勧めることは、まさしくアップセルに該当するでしょう。
「まとめ買いの提案」は、たとえばビジネスツールにおける「利用ユーザー(or アカウント)数」などが該当します。便利さや効果を実感した顧客に、「利用ユーザー(or アカウント)数を増やす」提案をするのは、サブスクリプション型サービスにおけるアップセルになります。
「定期コースの提案」は、たとえば「ミールキット」の販売において、単発で購入を続ける顧客に、定期での購入をうながすような事例が該当します。
アップセルの施策
アップセルの代表的な施策には、以下のようなものがあります。
- 無料トライアル
- キャンペーンで値引き
- ボリュームディスカウント
- まとめ買いで送料無料
「無料トライアル」と「キャンペーンで値引き」は、どちらも高額の上位機能やプランを導入しやすくするものです。サブスクリプションサービスの「アップグレードは、いまだけ契約から3か月間無料」などは、わかりやすい例でしょう。
「ボリュームディスカウント」と「まとめ買いで送料無料」は、スケールメリットによるコスト削減ともマッチする施策です。「50名以上の契約で10%ディスカウント」などが、これに該当します。
クロスセルとは?

クロスセルの施策
クロスセルの代表的な施策には、以下のようなものがあります。
- 飲食店のドリンクセット
- 医療保険のオプション
- スマホ本体にケースやカバーの購入を提案
- ECサイトでの「関連商品」「レコメンド」
「飲食店のドリンクセット」は、たとえば「100円プラスでドリンク1杯がつけられる」など、日常的に体験する機会も多いのではないでしょうか。「医療保険のオプション」や「スマホ本体にケースやカバーの購入を提案」は、上述したサービス・製品単体よりも高い効果を得られるものをセットで売る施策です。
ECサイトにおける、「関連商品の表示」や「レコメンド機能」もクロスセルの施策の1つです。購入品との関連性が高い商品を表示することで、クロスセルにつながるように顧客をうながします。
アップセル・クロスセルのメリット
効率良く収益を上げられる
LTV(顧客生涯価値)の向上
顧客生涯価値(LTV)とは、企業が顧客から得られる売上の総額のことです。営業の現場では、契約数や新規顧客数と並んで、この指標を重視する傾向が強まっています。
アップセル・クロスセルは、この顧客生涯価値の向上に役立つ営業手法です。とくにサブスクリプション型サービスでは、利用ユーザー(or アカウント)の増加やオプション機能の追加などで月額課金額が増えれば、解約されない限りそれがずっと続くので、LTVの向上に大きく貢献します。
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アップセル・クロスセルを成功させるには?
1)顧客ロイヤリティを意識する
顧客ロイヤリティとは、顧客が商品やサービス、ひいては自社に信頼や愛着を抱いていることを指します。これが低いと「アップグレードしよう」と考えることはないので、顧客ロイヤリティの高さは、とくにアップセルにとって重要な指標となります。
顧客ロイヤリティを測る指標の1つが「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」です。これは、顧客に「製品を他人に勧めたいか」と質問して0~10の11段階で回答してもらい、9か10を付けた顧客を「推奨者」と分類する分析方法です。この推奨者にアップセル・クロスセルを提案することで、効率的な営業の成果を期待できます。
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2)カスタマーサクセスの導入
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3)顧客のニーズを正確に理解する
4)タイミングを推し量る
5)顧客をより深く知る
ここまでに解説した顧客ロイヤリティにせよ、カスタマーサクセス、ニーズ、タイミングのいずれも、顧客のことを知らなければ実現できません。アップセル・クロスセルを成功させる背景には、「顧客をより深く知る」努力があるのです。
とはいえ、人力でそれをすべて賄うのは、膨大な労力が必要です。そこでCRM(顧客関係管理ツール)やSFA(営業支援ツール)を活用し、顧客の情報を蓄積させたうえで、日ごろから分析しておくことが大事になります。

「顧客とのつながり」
最強の顧客接点をつくる
4ステップ
双方が満足のいくアップセル、クロスセルを目指そう
より効率良く売上を高めていく上で、アップセルやクロスセルはとても有効な方法です。ただし、闇雲に提案しても逆効果となります。
今回、ご紹介したポイントに留意しながらタイミングを計り、最適なアップセル、クロスセルの提案を行ってください。そして、自社も顧客も満足のいく結果を生み出しましょう。


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