パーソナライズとは?意味からメリット、具体例まで

 
2022.12.22
「パーソナライズ」とは、顧客ごとに提供する情報やサービスを最適化すること。これはカスタマージャーニーやOne to Oneマーケティングが重視される昨今において、顧客体験を向上させるために重要な考え方です。昨今、マーケティングの手法はすべての人に対して同じ訴求を行うものから個別具体的なものへと移っています。この記事では「パーソナライズ」の意味やメリット、具体例などを解説します。

パーソナライズとは

「パーソナライズ」とは、英単語の「Personalize」が持つ“個人向けにする”という意味のように、情報やサービスなどを顧客ごとに最適化することです。

具体的には、企業が個人から収集した情報を基に、情報やサービスなどにアレンジを加えて提供することを指します。

たとえば、ECサイトにおけるレコメンド(おすすめ)機能や、ニュースサイトで興味のある記事を表示させる機能などが該当します。顧客に対して興味のありそうな情報やサポートを提供することで、サービスや企業に対して、より興味を持ってもらう効果が期待できます。

パーソナライズが求められる理由

パーソナライズが求められるようになった要因の1つに、顧客が自身に最適化された体験を求めている背景があります。

たとえば、音楽ストリーミングサービスでは、再生履歴にもとづいて自動的にユーザーの好みに合う曲を収集・選別してプレイリストを作成する機能があり、多くの人が好んで利用しています。

セールスフォース・ジャパンの第4版『コネクテッドカスタマーの最新事情』レポートによれば、顧客の66%が企業に自分固有のニーズや希望を理解して欲しいと期待しています。顧客それぞれに最適化されたサービスを提供することは、「自分は尊重されている」と顧客に感じさせる効果があるのです。

下記eBookでは、12,000人以上の消費者やビジネスバイヤーを対象に、「顧客が期待する体験」の調査結果を掲載。B2C・B2Bの両視点から顧客の期待の変化が見て取れます。

 
 
 
 
 
第四回
コネクテッドカスタマーの最新事情
顧客は、企業に対してどのような期待をしているのか。
12,000人以上の消費者やビジネスバイヤーに対して調査しました。

パーソナライズの対象チャネル

パーソナライズは、顧客と情報のやり取りが発生するチャネルであれば、ほとんどの場合実施できます。たとえば、パーソナライズ可能なチャネルには以下のようなものがあります。

  • Webサイト
  • メール
  • オンライン広告
  • モバイルアプリ
  • Webアプリ
  • オンラインチャット
  • コールセンター

それぞれ情報やサービスの提供形態は異なりますが、「顧客の興味」や「顧客との関連性・必要性」などを軸にすれば、パーソナライズは可能です。何をすれば顧客が喜んでくれるかを考え、パーソナライズに取り組みましょう。

パーソナライズに活用される情報

パーソナライズは顧客とのやり取りや、Web上で収集された情報などを基に行います。たとえば、Web上で収集できるおもなデータには、以下のようなものがあります。

  • 位置情報
  • アクセス時間帯
  • ブラウザやデバイスの種類
  • サイト訪問回数、ログイン回数、閲覧ページまたは画面数
  • サイトに滞在した時間
  • メール開封率・開封数
  • プッシュ通知の消去数またはクリックスルー数

ほかにも、顧客とのやり取りの中から、以下のようなデータが収拾できます。

  • B2B向け企業情報(業界、企業、収益、従業員数、テクノロジースタックなど)
  • 購買担当者のペルソナ
  • 購買担当者のステータス(既存顧客か見込み客かなど)
  • 前回の訪問、コールセンターとのやりとりからの経過時間
  • 顧客生涯価値(LTV)

実際にパーソナライズを行うときには、これらのデータから必要な情報を抜き出して使います。パーソナライズする切り口によって、最適な情報をピックアップしましょう。

パーソナライズのメリット

パーソナライズのおもなメリットには以下のようなものがあります。

  • マーケティングの効率化
  • 顧客満足度向上
  • 顧客との関係構築
  • 潜在顧客の掘り起こし

顧客にとって興味のある情報やサービスを提供することで、マスマーケティングのような画一的な手法よりも、高いリアクション率が期待できます。それがひいては顧客満足度向上や、顧客との関係構築に繋がります。

また、個別にコミュニケーションを取っていない顧客の興味を掘り起こすことで、個別具体的なコミュニケーションへと発展させられる可能性があります。

パーソナライズとカスタマイズの違い

パーソナライズとカスタマイズは、情報やサービスを最適化する点こそ共通していますが、パーソナライズは企業側が最適化を行って提供し、カスタマイズは顧客が自分で最適化を行う違いがあります。

音楽サブスクリプションサービスを例に挙げると、サービスが自動で顧客の興味がありそうな曲を選別しおすすめするのがパーソナライズで、顧客自身がプレイリストを作成するのがカスタマイズです。

メール体験の例

では次に、メール体験におけるパーソナライズとカスタマイズの例を紹介します。

【パーソナライズ】

  • メーラーの運営企業がユーザーの関心に応じた広告を表示する
  • 企業がユーザーのメルマガ開封頻度に合わせて、送信頻度を調整する

【カスタマイズ】

  • ユーザーがメールサービスの設定で、1ページあたりのメッセージ表示件数を指定する
  • ユーザーがメルマガの受信頻度を設定する

メールを通じて、企業側が顧客に合わせるのがパーソナライズ、顧客が自ら使い勝手を変更するのがカスタマイズです。

オンラインショッピングの例

ECサイトにおけるオンラインショッピングでは、パーソナライズとカスタマイズの例として以下が挙げられます。

【オンラインショッピングのパーソナライズ】

  • サイト側が顧客のニーズに合った商品を表示する(レコメンド機能)
  • 購入履歴や閲覧履歴に関連するキャンペーン情報を送付する

【オンラインショッピングのカスタマイズ】

  • ユーザーが表示される商品のフィルタリングを行う
  • ユーザーが興味のある商品をリストアップする

ECサイトのように多くの情報が提供される場では、パーソナライズ・カスタマイズともに、顧客が本当に欲しい情報を手に入れるための手法が取られています。一方、顧客にとって必要ない情報は、ノイズになってしまいます。

パーソナライズ施策の具体例

ここからは、パーソナライズ施策を行った具体例を紹介します。これまでに解説してきたパーソナライズの概念を踏まえて、パーソナライズを行った目的に注目してみてください。

1)B2Bテック企業のABMの例

あるB2Bテック企業では、訪問者ごとに異なるページが表示されるようWebサイトをアレンジしています。これは、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)という、営業対象を組織(アカウント)単位で考える営業手法の一環です。

2)B2Cの靴小売店のパーソナライズの例

あるB2Cの靴小売店は、過去にナースシューズに興味を示した人に対してのみ、ナースシューズを表示するパーソナライズを行っています。ニーズを抱えていると考えられる人にのみ情報を提示することで、情報提供の最適化を図っています。

3)金融サービスサイトのパーソナライズの例

ある金融サービスのWebサイトでは、訪れた顧客が興味を持つコンテンツを表示するようにパーソナライズを行っています。この手法は、訪問者のサイトエンゲージから興味や好みを推測して行います。

4)メールを活用したパーソナライズの例

ある小売業者では、ECサイトを利用してカートに商品が残っている状態の顧客に対して、商品のリマインドメールと合わせて関連商品の情報を送付しています。リマインドという顧客接点を活用した例です。

5)SaaSアプリケーションのパーソナライズの例

あるSaaSアプリケーションでは、ユーザーに役立ちそうなヒントをリアルタイムで表示するパーソナライズを行っています。ユーザーアクションに応じて、必要と考えられるメッセージが表示されます。

6)小売店のパーソナライズドレコメンドの例

あるサイトでは、訪問者の購入履歴から好みの色やブランド、スタイルなどを収集し、商品検索時に関連性が高そうな商品をハイライト表示しています。これもレコメンド機能の1つです。

6つの事例を紹介しましたが、これらはあくまで活用例の一部にすぎません。

パーソナライズは、顧客ニーズやチャネルなどから、さまざまな方法が考えられます。特定のニーズに応えるために使用するほか、ABMのように大きな売り上げの入り口として利用する方法もあります。

どのようなニーズに対してどんなアレンジで応えていくか、費用対効果を考えながら検討していくと良いでしょう。

パーソナライズを導入して良質な顧客体験を

パーソナライズには、情報を選択化してマーケティングを効率化する効果が見込まれ、その先には顧客満足度向上や顧客との関係構築も期待できます。

マスマーケティングからOne to Oneマーケティングへ変化するとともに、顧客との継続的関係が求められるようになった昨今、パーソナライズは顧客との良好な関係を築く重要な手法と言えるでしょう。

ただし、適切なパーソナライズを行わないと、顧客の信頼にはつながりません。たとえば、「Marketing Cloud」のようなツールを使うのも1つの方法です。正しい顧客理解から最適なパーソナライズを行い、良質な顧客体験を実現しましょう。

 
 
 
 
 
Marketing Cloud
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『マーケティング最新事情』レポート(第8版)
 

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