SFAとは?CRMとの違い・活用の基礎知識

 
2023.4.5

SFAとは「Sales Force Automation」の頭文字を取った略語で、日本語では「営業支援システム」のこと。ここ数年で導入する企業も増え、ビジネスの現場に定着しつつあります。しかし、うまく運用できていない企業や、「導入したいけど、どうしたらいいのかわからない」という企業も多いようです。

SFAの活用には、基本的な機能の把握とMA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客関係管理)との役割の違いを理解することが重要です。この記事では、SFAの機能やメリットなどを基本から解説。導入により課題を解決した事例も紹介します。

SFAとは

SFAとは「Sales Force Automation」の頭文字を取った略語で、日本語では「営業支援システム」と呼ばれています。おもな機能は、営業メンバーの行動管理や商談の進捗状況管理など。商談結果の蓄積も可能で、営業活動の効率化やフィードバックに役立ちます。

日本で普及が進んだのは2000年代から。近年のモバイル端末の進化も手伝って、導入を進める企業は増えています。

SFAツールを導入してできること

SFAツールでは、おもに下記のようなことが可能です。

  • 顧客情報や営業ステータスの一元管理及び共有
  • 営業メンバーの行動管理及び活動サポート
  • 売上の管理及び予測
  • 営業データの蓄積及び分析
  • 顧客へのメール配信

SFAツールには、営業活動を仕組み化するためのさまざまな機能が備わっています。営業活動やその結果を管理しやすくなるのはもちろん、属人性の強い営業業務のノウハウを標準化することにも役立ちます。営業メンバー間でノウハウの差が小さくなれば、効率の底上げにも期待できます。

 
 
 
 
 
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SFAとMA、CRMの違いとは?

MA、SFA、CRMそれぞれの概要は下記のとおりです。

MA(MarketingAutomation):

営業活動の一部を自動化することで効率的なマーケティング活動を実現するためのツール

SFA(Sales Force Automation):

営業業務を仕組み化・標準化することで、営業活動の効率化を図るためのツール

CRM(Customer Relationship Management):

顧客の氏名や所属、役職などを一元管理することで、顧客との関係性を管理するためのツール

MAはマーケティング活動の具体的な施策を実施するために使われ、SFAは営業活動に入った後の情報や進捗などを管理するために使われます。

CRMは顧客化した後の顧客管理やコミュニケーションツールとして使われます。SFAとCRMは役割が似ている、もしくは重複している部分があるため、2つを集約したSFA/CRMツールも出ています。

SFAが持つ重要な機能

SFAツールに備わっている主な機能として「案件管理機能」「顧客管理機能」「活動管理機能」の3つがあります。いずれも営業活動を仕組み化・標準化するための機能で、情報の一元化および共有に特化しています。

これらの機能は、営業活動の下準備と見直しに役立ちます。営業活動を最善の準備で行い、その結果をフィードバックすることでさらなるブラッシュアップにもつながります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

個々の商談を時系列とともに管理する「案件管理機能」

「案件管理機能」は、見込み顧客の発掘から成約にいたるまで、営業に関わるあらゆる情報を管理する機能です。提案商品や案件の進捗、停滞や障害の有無、受注見込みなどを管理・分析することで、次のアクションへとつなげられます。

また、チーム全体で情報を共有することもでき、担当者以外も改善点の洗い出しがしやすくなります。

無駄のない営業活動を実現する「活動管理機能」

「活動管理機能」とは、営業活動に関するさまざまな指標を記録・管理する機能です。たとえば、営業件数や提案数、成約率、受注率などが記録でき、これらのデータを可視化することで、さらなる効率化や公正な評価などにつなげます。

また、成績が良好な担当者の情報を分析すれば、成功の理由を理解して、ほかの社員の教育に活用できます。

戦略的な営業が実践できる「顧客管理機能」

「顧客管理機能」とは、顧客ごとの名前や所属、役職、電話番号などを管理する機能です。営業時や展示会などで得た顧客情報を一元管理し、共有することで、より多くのチャンス創出に寄与します。

また、顧客管理機能は既存顧客の分析にも活用できます。たとえば、大口顧客を対象に、顧客の企業規模や業種、会社形態などでフィルタリングをすれば、大口顧客になり得る顧客の特徴が見えてきます。

営業先および営業活動の決定は、これまでは個人が培った経験に頼りがちでした。しかし、こうした機能で顧客を客観的に分析し、営業戦略に活用できれば、組織全体の営業成績アップが期待できます。

 
 
 
 
 
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SFA導入のメリットと課題

SFA導入の大きなメリットは、人に頼らない営業組織作りと、ノウハウの標準化にあります。営業活動はどうしても個々の能力に左右される部分がありますが、SFAを使えば、案件管理や下準備といった基本的な部分の差は埋められます。

ここでは、SFA導入のメリットの中から、ノウハウの標準化に役立つ6つのポイントを解説します。

導入で叶う、6つの大きなメリット

SFA導入の主なメリットは下記の6点です。

  1. 情報共有で属人性を排し、営業の組織化が図れる
  2. 営業活動を可視化できる
  3. 精度の高い売上予測を立てられる
  4. 行動のタイミングを逃さない
  5. ノウハウの共有で、パフォーマンスの底上げと人材育成
  6. ニーズにフィットした提案で顧客満足度を向上

SFAを導入することで、まず個人が抱え込んでいた情報やノウハウを、SFAという1つのプラットフォームに吐き出せるようになります。これにより、ノウハウの標準化を促進でき、同時に担当者不在時の対応も改善します。

SFA上に入力すれば、営業活動が可視化されます。営業メンバーの強み・弱みの発見や正当な評価も容易になり、担当者の士気向上にもつながるでしょう。

そして、データが蓄積されたら、そこから精度の高い売上予測が立てられます。受注に適したタイミングや、条件の把握に役立ちそうです。

こうしてSFA上に蓄積されたデータが増えることで、組織全体のパフォーマンスが底上げされます。さらに、データのフィードバックを受けた提案を行うことで、顧客満足度の向上にも繋げられるでしょう。

デメリットと課題

SFAのデメリットは、その導入や運用におけるハードルにあります。おもなデメリットとして、下記の2点が考えられます。

  1. 導入コスト
  2. 入力作業の負荷

SFAツール導入のハードルとなるのは、月々の予算と、導入後に必要となる作業時間の2点です。

まずコスト面ですが、SFAはID数に応じた月額課金形態をとっているケースが多く、いきなり大量導入すると、コストと成果が見合わない状況に陥りがちです。そのため、営業規模に合わせた予算確保が重要となります。

また、SFAにデータを入力するには、どうしても人の手が必要になり、営業担当者の負担が増します。事務作業をほかの社員に代わってもらったり、営業活動に割く時間を見直したりして、営業担当者の負担を軽減する工夫をしましょう。

SFAの効果的な活用方法

SFAのメリットとデメリットを知れば、その活用法も自ずと見えてきます。SFAの活用のポイントをいくつかご説明します。

計画性とともに売上を作っていく

初回アポイントから受注までの営業プロセスを可視化できる「パイプライン管理」を行い、SFAで分析すると、リードの商談化率や成約率、それまでにかかる時間や手間などが見えてきます。

この分析結果をベースにすれば、設定した売上目標から逆算して、必要なリソースのタイミングが弾き出せます。これが明確になれば、計画的に売上を積み上げられるというわけです。

データを基に、明確な目標値を設定できる

SFAでデータ分析をすると、営業部門の強みや弱みも見えてきます。たとえば、リードの商談化はスムーズでも、成約率が低い場合、その原因を特定するのにデータが役立ちます。さらに、原因が特定されれば、今後の営業活動において指針とするべき事項や改善点も見えてきます。

このような分析と改善を定期的に行うことで、長期にわたり成果を上げられ、営業部門全体のパフォーマンスアップにつながります。

外出先から使いこなす

SFAの多くはクラウドサービスとして提供されていて、モバイルデバイスからアクセスが可能です。外回りのときに、顧客の最新情報をチェックしたり、訪問後に情報を素早く書き込んだりできます。急ぎの報告や相談があれば、SFAと連携したチャットツールなどでやりとりをすることも可能です。

これらの内容はすべてSFAに記録・共有できるため、移動時間に日報を作成したり、資料作成をほかのメンバーに依頼したりも可能になります。営業活動のほぼすべてを外出先からも行うことで、業務効率が飛躍的にアップするのです。

基幹システムとしても活用できる

顧客と案件に関するあらゆる情報が集積されているSFAにCRMを組み合わせ、顧客とのコミュニケーション履歴を統合すれば、ファーストコンタクトから商談、販売に至るまでのプロセスを俯瞰できます。

そして、各プロセスでのデータを分析することで「なぜ売れたのか」「なぜ失注したか」を解き明かし、それを営業活動に反映も可能です。 さらに、会計システムや生産管理システムと連携すれば、社内の基幹システムとしても活用できます。

ただし、こうした活用法を想定するなら、それを踏まえた製品の選定が必要です。

SFAの導入と運用に伴う注意点

SFAのメリットとデメリットを知れば、その活用法も自ずと見えてきます。SFAの活用のポイントをいくつかご説明します。

「使って当然」という環境を作る

「SFAを導入したのはいいけれど、現場になかなか定着しない…」というのは、よくある悩みです。

解決するための効果的な方法のひとつが、トップダウン型のプッシュです。経営陣から指示を出したり、SFAベースでのワークフローに移行したりすれば、否応なくSFAを使うように誘導できるでしょう。それに加えて、SFAを積極的に使いこなすメンバーにインセンティブを与えると、さらなる効果が期待できます。

しかし、本質的に必要なのは、SFA活用のメリットを現場に理解してもらい「これだけメリットが多いSFAなのだから、使うのは当然だ」という状況を生み出すことです。

スモールスタートを切るのも良い方法

SFAの導入は、企業に大きな変革をもたらす可能性を秘めているだけに、一気に全社へ移行するのは難しい一面もあります。まずは、6〜7名程度のチーム単位でスモールスタートを切り、その効果を見るのも手です。

SFAの導入には、その運用や活用について予測できない障害が発生することもあり得ます。まずは最小単位で導入し、その効果や障害・不具合などの発生状況をチェック。その後、徐々に社内全体へと普及させると良いでしょう。

MAとの連携で、営業力を強化する

SFAとMAは連携することで、それぞれの機能や特徴を掛け合わせて、営業力をさらに強化します。

ビジネスはどのような分野でも「一度売れば終わり」ではありません。クロスセルやアップセルは有力な販売機会になりますし、失注した顧客も条件さえ整えば、再び商談に持ち込めます。

SFAとMAの連携は、こうしたアクションを現実的にして、より多くのチャンスをもたらしてくれます。

MAでできること

MAは、効率的なマーケティングを実現するためのツールです。ここでは、MAでできることを具体的に紹介します。

  • シナリオに沿ったリードナーチャリング

リードナーチャリングとは、リードを顧客に引き上げることを意味する言葉です。ウェブサイトからの問い合わせや展示会でのアンケート、名刺交換など、さまざまなタッチポイントで獲得したリードを育成し、購買意欲を高めて顧客へ成長させます。

手法としては、あらかじめ用意したシナリオに沿って、おもにメールを用いてアプローチします。そして、リードをホワイトペーパーのダウンロードやデモ版の試用などへ導き、同時にタイムリーな情報や有益なウェブコンテンツなどを提供して、自社製品への興味と関心を高めていきます。

  • リードの状況に合わせた対応が可能

MAを利用すれば、リードの状況に合わせた、きめ細かなアプローチができます。

MAのシナリオはあらかじめ多くの分岐が用意され、リードの行動によって異なるアプローチ方法が選択可能です。さらに、複数のシナリオを用意おけば、流入経路となったタッチポイントごとの使い分けもできます。

  • リードの行動によってスコアリングを行う

スコアリングとは、リードがとった受注につながる行動を数値化し、アプローチの優先順位を決めていくことです。

MAにはリードの行動を自動でスコアリングする機能があり、たとえば、「送信したメールを開いたら1点」「リンクをクリックしてサイトを訪問したら3点」のように、細かい条件付けが可能です。

リードの行動を定量化して一定の点数まで貯まったら「購入意欲が十分に高まった」とみなし、セールス部門にパスする見極めを可視化できるようになります。

SFAとMAの連携で生まれるメリット

SFAとMAの連携は、ツールを通じてマーケティング部門とセールス部門を連携させることにもつながります。マーケティング部門には「せっかく獲得し、育てたリードなのだから、大事に商談を進めてほしい」という思いが、セールス部門には「もっときちんと育成してから、セールスにパスしてほしい」という思いがあり、その利害の違いから衝突しがちです。

しかし、効率的な売上獲得やLTVの最大化など、最終目標は両部門とも共通しています。ツールを通じて適切に連携すれば、明確に目標を共有できるようになるでしょう。

  • 商談をよりスムーズに進行できる

MAをSFAと連携させることで、リード情報の一元管理が可能となります。マーケティング部門は、セールス部門へパスしたリードの進捗状況を知れ、セールス部門はリードが商談に至るまでの経緯を理解できるので、商談をよりスムーズに進められます。

  • クロスセル、アップセルを容易にする

顧客の状況はつねに変化していて、事業規模が拡大すれば、追加発注や高機能版への更新などのニーズが発生する可能性もあります。セールス部門がMAを用いて顧客をトレースしておけば、状況に応じてマーケティングに戻し、タイミングを逃さずクロスセルやアップセルを仕かけられます。

  • 失注顧客をリサイクルする

商談中に失注しても、その理由を記録しておけば、後日あらためて商談につなげられる可能性があります。「機能が不足していた」「価格が折り合わなかった」といった原因がわかっていれば、それを解決する高機能版や廉価版が開発できたときに、有力なホットリードとしてリサイクルできます。

  • スコアリング精度を高められる

購買意欲が不十分なまま商談化してしまうと、失注率が高くなります。これを防ぐには、MAでのスコアリングと、セールスにパスするタイミングの再検討が必要です。MAに蓄積したリードの行動データと、SFAの商談記録を突き合わせれば、スコアリングの項目やセールスにパスするタイミングの妥当性をチェックできます。

また、ファーストコンタクトから成約まですべてのプロセスを再検討すれば、成約確度や効率の向上も期待できます。

SFAを選ぶときのポイント

SFAは現在、さまざまな製品が市場に登場しています。基本的な機能こそ共通していますが、細かい点はかなりの違いがあります。

SFAの選定にあたって、次のようなポイントに注意しておくといいでしょう。

クラウドサービスであること

SFAには、その提供形態によってオンプレミス(自社構築)、パッケージ、クラウドといった種類があります。このなかで、クラウドは初期の導入コストが安く、スモールスタートを切るのに適しています。サーバーメンテナンスの必要がないうえに、社内PCのリプレースも影響なく行える点が強みです。

さらに大きな利点として、外出の多い営業担当者が外出先から操作できる点が挙げられます。もし自社に合わない場合も、契約解除すればそれ以上のコストがかかりません。

使い勝手が良いこと

SFA の使い勝手が悪いと、毎日使うこと自体がストレスになりかねません。

使い勝手のいいSFAツールを選ぶには、選定段階でいくつかの製品に絞り込み、デモ版を使ってみるのがオススメです。まずは導入予定のチームで試し、操作性や画面の見やすさ、アクセスの容易さなどを評価・検討しましょう。

必要十分な機能と拡張性があること

SFAは、基本的機能こそどの製品も充実していますが、拡張性は千差万別です。「他の部門のシステムと連携したい」「将来的には社内の基幹システムとして活用したい」といった要望に応えられるかどうかは、しっかりチェックしましょう。

導入前の段階でそこまでの見通しが立てられなくても、将来的に事業が拡大し、SFAを主軸のシステムとして使い続けることを考えると、ある程度の拡張性があったほうが無難です。

カスタマイズが簡単であること

SFAはどのような企業にもフィットするよう、機能の面である程度の幅を持たせた仕様になっています。しかし、企業によっては特殊なビジネスモデルを採用しているケースがありますから、目的や用途に応じてカスタマイズが必要になることもあるでしょう。

SFAそのものがプラットフォームとして機能し、その上で必要な機能を組み合わせて使える。こうした自由度の高さがあれば、どのような状況にも対応できるはずです。

万全のサポートが用意されていること

SFAは、企業の基幹システムにもなりえるものです。ですから、万が一の際にも万全のサポートを受けられる体制が、ベンダー側に求められます。

また、導入時や運用が定着するまでは、大小さまざまな問題やトラブルが起こりやすいものです。そんなときに的確なアドバイスやフォローを受けることができれば、安心して使い続けることができます。

SFAは「導入して終わり」というものではありません。むしろ、その後の定着と運用が大事です。それを考えれば、サポート体制がしっかりしているベンダーを選ぶことが、後悔しないポイントだといえます。

ユーザーコミュニティが活発であること

製品によっては、SFAのユーザーがコミュニティを形成し、自主的なセミナーの開催や意見交換などを活発に行っているケースがあります。こうしたコミュニティでは、ユーザー目線のコメントを多く見ることができるため、ベンダーのサポートとはまた違った心強さがあり、貴重なナレッジや運用のヒントを得られます。

また、ユーザーコミュニティが活発だということは、それだけ多くの導入事例や成功事例があり、さらに「もっと使いこなそう」というアクティブなユーザーが多いということでもあります。これは、製品の信頼性を測る上でも、大いに参考にできる部分です。

セキュリティが万全であること

SFAには、顧客情報が集積されるので、万全のセキュリティは必須です。ですから、製品の選定においては、そのSFAがどれほどのセキュリティ対策をとっているか、確認が欠かせません。 たとえば、金融機関や政府系機関など、最高レベルのセキュリティを要求される組織への導入実績を見れば、そのレベルを推し量ることができます。

常に進化し続けていること

市場は、常に動き続けています。しかも、SFAをはじめとするデジタルツールの世界は、日々新たなテクノロジーが誕生し、高速で進化し続けている分野です。そうした中にあって、最新の技術や概念、ユーザーからの意見をくみ取り、適切な形でブラッシュアップを重ねていくことは、ベンダーにとって必要な姿勢といえます。

そうした努力をいとわないベンダーの製品であれば、安心して使い続けることができるはずです。

SFAの活用事例

ではここで、実際にSFAを導入した企業の事例を見ていきましょう。SFAを活用することで社内の課題をどのように解決したのか、業種や業態が違っても参考にできる部分があるかと思います。

事例1 古い体質を抜け出し、抜本的な営業改革を推進

 
会社名:株式会社荏原製作所
事業内容:インフラ、産業用装置・設備の設計・製造

1912年創業の株式会社荏原製作所。しかし、その長い歴史ゆえに、営業部門には古い体質も残っていました。やがて、「拠点の数だけ営業スタイルがある」という状態になってしまい、抜本的な業務改革の一環として「Salesforce」の導入に至ります。

最初に行ったのは業務の可視化。すると、営業担当者が1日1時間程度しか、営業活動に時間を割けていないという驚きの事実が明らかになりました。そこで、書類作成などのノンコア業務を全国で数か所に集約し、担当者がコア業務に専念できる環境を整備。拠点ごとにバラバラだった営業業務を分析し、高スキルの営業スタイルとして標準化しました。

また、過去のメンテナンス履歴を分析し、必要なタイミングで必要なサービスを提案できる体制も構築。現在では理想の体制を目指し、営業に関する多くのプロセスの標準化にあたっています。

事例2 積極的にツールを活用、集客数3倍以上、商談数は4倍以上に!

 
会社名:株式会社atsumel
事業内容:クラウドインテグレーション、クラウドコンサルティング
株式会社atsumelは、不動産・建設業を手掛ける企業グループの、マーケティング部門を分離独立させた企業です。同社がまず行ったのは、それまでグループ各社で紙やExcelで管理されていた情報を「Sales Cloud」に統合することでした。これにより、業務に関わるあらゆる情報をリアルタイムで、しかも正確に把握できるようになり、スピーディーな経営判断を可能にしました。 さらに、広告をウェブ中心に切り替えて、インサイドセールス部門を設立。シナリオを練り上げ、「Sales Cloud」と「Pardot」で効果的なコンテンツ配信を続けたところ、月間1,560万円だった広告費を、3年後には800万円にまで圧縮。それでいて、ウェブ経由の集客数は3.3倍、商談数は4.4倍にも達しました。 ツールの特性を知り積極的に活用することで、多方面での最適化・効率化を実現した好例といえます。

事例3 業務の効率化・高速化で、収益構造を変革

 
会社名:Mipox株式会社
事業内容:精密研磨フィルムの開発・製造

電子部品用の研磨材市場では、世界トップのシェアを誇るMipox株式会社。しかし、2005年の売上高110億円、営業利益13億円をピークに低迷を続け、2009年には売上高30億円・営業利益マイナス13億円にまで落ち込んでしまいます。その原因は、高いシェアと知名度から来る「受け身の営業」。顧客とのコンタクトが少ない上、社内での情報共有体制も貧弱なままでした。

そこで「Salesforce」を導入。まず、すべてのデータを「Salesforce」上に統合するとともに、時間ばかりかかる会議や週報・月報を撤廃しました。これで、営業業務が一気に効率化し、顧客とのコンタクト回数も増加。商談数・成約数ともに大きな伸びを見せました。

また、情報共有化を加速するため、社内コミュニケーションをメールからSNSへ移行。その結果、稟議決裁の平均日数が0.4日という、驚異的なスピードを実現。収益構造を改革し、13億円の赤字から5億円の黒字へと回復を果たしています。

事例4 在宅中でも、出社時と同じ「抜け漏れゼロ」の業務を実現

 
会社名:税理士法人耕夢 塩尻公認会計士事務所
事業内容:会計・税務サービス全般

一般的に士業は属人性が強く、業務の標準化や効率化が難しいとされています。しかし、職員の能力差や経験差を放置していては、サービスの品質にばらつきが出ますし、職員の退職によるノウハウの逸失は大きな経営課題です。そこで、税理士法人耕夢 塩尻公認会計士事務所では、「Sales Cloud」の導入に踏み切りました。

導入によって起こった変化は、まず業務の進捗・工数管理が容易になったこと。自動生成されるチェックリストに沿って作業するだけで、漏れなく業務を完了できます。もうひとつの成果は、事業全体が可視化されることで、マネージャーが職員へ必要なアドバイスを与えたり、業務量を調整したりすることが可能になったことです。

この変化が、職員の柔軟な働き方の実現にも役立っています。家庭や子育てと仕事の両立は、女性職員にとって難しいことですが、「Sales Cloud」によって在宅でも出社時と同クオリティの業務が可能に。効率化だけでなく、働き方の改革まで実現できました。

全社がSFAを理解し活用すれば、大きな効果を得られる

SFAは、環境を整えて導入し、その機能を活かした運用をすれば、営業部門だけでなく、企業全体に大きなプラスをもたらします。それを実現するには、経営陣から現場のメンバーに至るまで、「SFAとは何か」、「それによって何が変わり、どのような利益が生まれるのか」を十分に理解することが必要です。

そのうえで、自社にフィットした形でSFAを使いこなせば、単なる売上向上よりも大きな効果を、SFAによって得られることでしょう。

 

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