業務改善とは?改善方法や事例、注意点、フレームワークを解説

 
最終更新日:2024.3.5
常に業務を見直して改善を行い生産性を向上していくことは経営にとって重要です。具体的なアイデアや手法から、業務改善の進め方、役に立つフレームワーク、成功事例までご紹介します。

業務改善とは、業務内容の見直しや課題解決、効率化などを通じて、業務をよりブラッシュアップするための概念

業務改善とは、業務内容の見直しや課題解決、効率化などを通じて、業務をよりブラッシュアップするための概念を指します。業務の効率を高め、より大きな成果につなげることを目的に実施します。業務の各所において無駄や課題を洗い出し、優先順位を付けて対応することにより、洗練された業務スキームへ導きます。

なお、業務改善の例のひとつに、トヨタ自動車の取り組みとして有名な「カイゼン」があります。カイゼンとは工場の製造現場におけるボトムアップ型の業務改善活動のことで、「KAIZEN」の名で海外にも知れ渡っています。

新しいビジネス手法やIT技術が次々と生まれている時代です。時代に即した経営を行うためにも、適宜、業務内容を見直す必要があります。

 
 

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業務改善の5つのステップ

業務改善は以下の5つのステップで進めます。

1)業務内容の可視化
2)優先順位をつける
3)無駄や無理の洗い出し
4)改善計画の作成と実行
5)効果検証

ステップ全体の大きな流れは、現状把握とそれに対する改善から構成されています。

とくに大切なのは、1の「可視化」ステップでできる限り正確な現状を把握することです。業務改善のスタート地点を具体的に描くことで、目標というゴールとのギャップがより明確化します。

現状が可視化されたら、無駄の洗い出しを行い、取り組むべき課題に優先順位をつけます。ここまで完了したら、実行に移しますが、必ず結果を記録しておきましょう。結果の効果検証を行うことで、改善の妥当性が分かるほか、さらなる業務改善にもつなげられます。

業務改善の6種類のアイデア・手法

ここからは、業務改善について6種類のアイデアと手法を紹介します。どれも多くの企業が取り組める一般的な方法であるため、一つでも取り入れてみてください。

<業務改善のアイデア・手法>

1)無駄な業務の削減
2)紙文書の電子化
3)アウトソーシングの検討
4)マニュアル・手順書の策定
5)業務担当の見直し
6)ツール導入による自動化

1)無駄な業務の削減

業務の削減は、コスト面とリソース面の両方に効果が期待できる手法です。削減したコストとリソースを別の作業に割り当てられるため、業務のブラッシュアップだけでなく、本当に取り組みたい業務に注力できるようになります。

業務の削減例としては、目的の不明確な会議の開催や、不要な資料・報告書の作成などが考えられます。

 
 

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2)紙文書の電子化

紙文書の電子化は、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の一環として取り組んでいる企業も多いでしょう。

紙文書はデジタル文書に比べて、作成や配布、保管など、さまざまな分野でリソースが多くかかります。たとえば、印刷すれば紙やインクの費用がかかり、配布は物理的に渡す手間が、保管には専用の場所が必要となります。

また、文書のデジタル化には、データの一元化やリアルタイム共有ができるメリットもあります。組織の意思決定をスピーディーにする効果も期待できるため、電子化には積極的に取り組みましょう。

 
 

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3)アウトソーシングの検討

アウトソーシングは、マンパワーの節約に効果的な手法です。業務委託料は必要ですが、業務の「作業」部分をアウトソーシングできれば、事業の本質部分にマンパワーを集中できます。また、事業拡大をしたい場合にもおすすめです。

4)マニュアル・手順書の策定

マニュアルや手順書、業務フローなどの策定は、コミュニケーションコスト削減に効果的な手法です。業務手順の確認や疑問点の解消など、断続的に発生するコミュニケーション削減が期待できるため、業務に集中できる環境作りにつながります。

また、業務を標準化することで、担当者間における作業時間や品質の差を減らす効果も期待できます。

5)業務担当の見直し

マンパワーが重要となる職場においては、人員配置や担当部署の見直しも有効です。従業員の能力や適性はそれぞれ異なるため、特徴を把握し最適な部署・担当に配置することで、業務効率や成果の上昇が期待できます。

6)ツール導入による自動化

業務改善には、時間や手間の節約に役立つツールが欠かせません。たとえば、業務改善に有効なツールには以下のようなものがあります。

  • 顧客情報管理ツール
  • 会計管理ツール
  • スケジュール管理ツール
  • 決裁・承認ツール
  • コミュニケーションツール

これらのツールが得意とするのは、業務の「作業」部分の自動化やコミュニケーションコストの削減などです。とくに、顧客情報管理ツールやスケジュール管理ツールを使うと、情報の一元管理とリアルタイム共有を実現できるため、チャンスを最大化しやすくなります。

業務改善に役立つ5種類のフレームワーク

業務改善は枠の大きな概念であり、それだけに多くのフレームワークが考案されています。ここでは、数あるフレームワークの中から、代表的な5種類を紹介します。

1)ECRS(イクルス)
2)QCD
3)PDCAサイクル
4)ロジックツリー(決定木分析)
5)KPT

1)ECRS(イクルス)

「ECRS(イクルス)」とは、改善の4原則とも呼ばれるフレームワークで、課題抽出と業務改善を目的としています。視点の異なる4つの方法から改善の可能性をチェックし、具体的な方法の考案につなげます。4つの方法は以下のとおりです。

E:Eliminate(排除):業務をなくす
C:Combine(結合):業務をまとめる
R:Rearrange(交換):業務における人や場所などの要素を入れ替える
S:Simplify(簡素化):業務の単純化

それぞれの頭文字を取って「ECRS(イクルス)」と呼ばれています。ECRSは、リソース削減の実現を土台とした考え方です。現状のリソースを活かした改善方法であるため、リソースが限られている場合に取り入れてみるとよいでしょう。

2)QCD

「QCD」とは、製造業務におけるおもな3要素である、以下3項目の頭文字を並べた言葉です。

Q:Quality(品質)
C:Cost(費用)
D:Delivery(時間)

QCDの3つの要素はどれも重要ですが、すべてを同じように向上させるのは困難です。また、相互に関係しているだけに、1つを向上させると他の要素が悪化することもあります。3つのバランスや優先順位を考えながら、改善に取り組んでいきましょう。

3)PDCAサイクル

PDCAサイクルとは、業務改善を継続的に行うためのフレームワークです。

PDCAの4文字は、それぞれ下記の単語の頭文字をとったものです。

P:Plan(計画)
D:Do(実行)
C:Check(評価)
A:Action(改善)

PDCAサイクルのメリットは、業務を繰り返すほどに、よりブラッシュアップできる点にあります。そのため、事業成長を見込んだ業務と相性が良いです。また、PDCAを繰り返すなかで、業務の計画や評価に関するノウハウを獲得できる効果も見込めます。

なお、PDCAサイクルと似た考え方に「OODA(ウーダ)ループ」があります。OODAはブラッシュアップよりも最適化に特化した考え方で、よりスピード感をもって業務改善に取り組めます。

以下の記事ではPDCAについて詳しく解説し、OODAとの違いにも触れています。ぜひこちらもご一読ください。

4)ロジックツリー(決定木分析)

ロジックツリーとは、ある事柄を複数の要素に分解して考えるフレームワークです。分解していく過程が木の枝のように枝分かれすることから、この名前が付けられています。

ロジックツリーには、次の3種類があります。

  • Whatツリー(要素分解):含まれている要素を把握するためのロジックツリー
  • Whyツリー(原因追及):ある事象の原因を解明するためのロジックツリー
  • Howツリー(課題解決):ある課題を解決するための解決策を展開していくロジックツリー

ロジックツリーの強みは、論理的思考を可視化して共有できることです。また、段階的に分解するため、自らの思考を補助する効果も期待できます。そのほかにも、ロジックツリーを展開する副産物として、新たな発見を得られる可能性もあります。

5)KPT

「KPT」とは、業務結果の検証を行うためのフレームワークです。以下3つの評価軸から業務結果に対する意見を出し合うことで、業務の改善方法を考えます。

K:Keep(継続):継続すべきこと
P:Problem(問題):抱えている問題点
T:Try(トライ):次に挑戦したいこと

KPTの強みは、業務をフラットな視点から評価し、共有できることです。KPTの実施時に「意見を絞らず、自由に発言する」ルールを設けることで、数多くの発見を得られ、意見交換や思考の共有に役立ちます。

業務改善する際の3つの注意点

業務改善でとくに注意するべきことは、以下の3ポイントです。

  • 全社的に当事者意識を持たせる
  • 優先順位を定める
  • 振り返りを行う

なかでも、当事者意識の有無は、事柄に対する関心や探求心の度合いに関係してくるだけに、企業のベースマインドとして持っておきたいところです。業務改善に取り組む前から当事者意識の醸成に取り組み、参加者全員が一担当者目線で課題と向き合える環境を目指しましょう。

また、限られたリソースで成果をあげるためにも、優先順位は必ず決めましょう。このとき、効果を測定するための振り返りも忘れてはいけません。

 
 

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その原因と対処法

 
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業務改善の2つの成功事例

業務改善のイメージを具体化するため、実際に業務改善に取り組み、成功へと導いた事例を紹介します。業務改善による環境の変化が、どのような効果をもたらすのかに注目してご覧ください。

クラウド連携での業務改善による生産性向上の事例

 
会社名:株式会社霊園・墓石のヤシロ
事業内容:霊園・納骨堂事業

霊園・墓石のヤシロは、霊園・納骨堂事業を中心に、葬送・供養関連のサービスを手掛ける会社です。同社では、顧客の問い合わせ経路の変化に対応するために、クラウドツールを用いた業務改善を行いました。

同社の顧客獲得ルートは、以前まで、テレビ広告やチラシから電話問い合わせをうながすのが主体でした。しかし、時代の変化とともにWeb検索からの問い合わせが増加し、ついには問い合わせの75%がWeb経由という状態になりました。この変化により、Webを通じて情報をどう伝えるか、リードの行動をいかに可視化するかが課題となったのです。

そこで対策として、Web上における行動の可視化や情報の取得・分析ができる「Sales Cloud」と「Account Engagement」を導入。Web上の行動が可視化されたことで、リードがどのくらい契約に近づいているかを把握できるようになり、課題発見や対策の考案といった業務改善にも取り組めるようになりました。

その結果、新人の初年度の契約率が約40%から54%まで上昇する成果も得られています。

ワークフロー標準化、ペーパーレス化による業務変革成功事例

 
会社名:三菱UFJ信託銀行株式会社
事業内容:信託銀行

三菱UFJ信託銀行株式会社は、一般的な銀行業務に加えて信託業務も取り扱っています。同社は約1,500種の帳票のペーパーレス化という業務改善を通じて、社内のマインドチェンジ及び業務変革を実現しました。

同社では以前より、幅広い業務を取り扱う特性から、業務が幅広くワークフローが煩雑化したり、業務スタイルを変化させにくかったりといった課題がありました。なかでも、根強く残る紙ベースの業務は、帳票の回付に時間がかかるなどの問題があり、リモートワーク推進の障壁となっていました。

そこで取り組んだのが、リモートワークを阻害する業務の棚卸と業務フローの改善です。業務のペーパーレス化を推し進めるとともに、ワークフローシステム改善のためにSalesforceを採用しました。

その結果、約1,500種類の帳票を電子化するとともに、申請や承認、確認などの業務をSalesforce上に集約。関連会社を含めて9,000人以上が利用する“使われるシステム”の構築に成功し、リモートワーク環境へのシフトをけん引するに至りました。

今から始められる業務改善の第一歩

ITサービスの導入と自社に適したカスタマイズは、業務効率の向上に欠かせません。業務改善の各ステップにおいて活用可能で、スピーディーな業務改善の実現や継続可能な仕組み作りにも役立ちます。

Salesforceでは、業務の分業化や時間管理、ペーパーレス化、情報の一元管理・共有などを簡単に行えます。業務改善にこれから取り組む企業も、すでに取り組んでいる企業も、さらなる最適化のためにSalesforceを取り入れてみてはいかがでしょうか。

 
 

Salesforceが実現する生産性の向上

 

本動画では、業務アプリの開発プラットフォームであるSalesforce Platformの実際の操作と解説をまじえながら、以下のユースケースをご紹介します。

  • ローコード、ノーコードによるAIを搭載したアプリの作成方法
  • Salesforce Platformと外部サービスとの連携によるデータ活用
  • 営業、サポート、マーケティングなどの業務にあわせた機能の開発
  • 作成したアプリのUIが、お客様側からどう見えるか

業務改善は、業務環境という成果を生み出す土台をブラッシュアップする作業です。業務を成長させ続けるためにも、無駄の排除や改善計画の策定などは重要で、早く取り組むほどその効果は大きくなります。

まずは小さな改善からスタートし、ゆくゆくは企業基盤を変革するほどの大きな業務改善に取り組むのもよいでしょう。重要なのは、企業に業務改善のマインドを浸透させ、つねに革新を続けようという姿勢を身に着けることなのです。

 

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