
顧客接点(タッチポイント)とは?種類や強化するメリット・方法を解説
顧客接点(タッチポイント)とは、企業と顧客が接触する場面や場所のことです。強化によって、顧客満足度やコミュニケーション品質の向上を狙えます。本記事では、顧客接点の概要と重要性、強化方法を解説します。
顧客接点(タッチポイント)とは、企業と顧客が接触する場面や場所のことです。強化によって、顧客満足度やコミュニケーション品質の向上を狙えます。本記事では、顧客接点の概要と重要性、強化方法を解説します。
顧客接点(タッチポイント)とは、企業と顧客が接触する機会を指します。顧客は、顧客接点を通じて商品・サービスの存在や魅力を知り、企業は顧客接点を強化することで、事業の成長を促進できます。
近年、デジタル化が進んだことで顧客接点が多様化しており、企業は幅広いチャネルから顧客接点の強化・管理に取り組む必要が出てきました。
本記事では、顧客接点を強化するメリットや方法、ポイントを解説します。成功事例も紹介しますので、顧客接点の強化に取り組みたい企業さまは、ぜひ最後までお読みください。
最高の顧客接点をつくる4つのステップを解説します。
顧客との新しいつながり方を発見し、フィールドサービスの重要性を理解しましょう。
顧客接点(タッチポイント)とは、企業と顧客が接触する機会です。
たとえば、ユーザーがWeb広告を通じて商品の存在を知った場合「Web広告の視聴」が顧客接点となります。興味を引く内容であれば、ユーザーはWeb広告をクリックして商品のプロモーションサイトを見に行くはずです。
プロモーションサイトを見たユーザーのなかには、そのまま商品を買ったり、企業のSNSをフォローしたりする人もいるでしょう。顧客接点がきっかけとなって、顧客の行動や考え方が変化するわけです。
顧客接点の強化によって、顧客の行動や考え方に影響を与えられるようになると、新規顧客の獲得やファンの育成につながります。
顧客接点とチャネルは、範囲に違いがあります。
チャネルとは、集客のための手段や流入経路のことで、顧客接点を含みます。顧客接点は、チャネルのなかで顧客と接触する瞬間です。
たとえば、Web広告を例に考えてみましょう。Web広告は、企業がターゲットに向けて広告を配信する手段であるため、チャネルにあたります。これに対し顧客接点は、ユーザーがSNSを見ているなかでWeb広告を視聴したり、クリックしたりした瞬間です。
ただし、Web広告がチャネルとして機能すると同時に顧客接点を発生させるため、チャネルと顧客接点が同一視されることもあります。
以下の動画では、顧客と最適なチャネルでコミュニケーションを取る秘訣を紹介しているので、ぜひご覧ください。
顧客接点の種類は、オフラインとオンラインに大別されます。さらに、顧客が商品・サービスに接するタイミングを3つに分けると以下のようになります。
タイミング | オフライン | オンライン |
---|---|---|
購買前 | ・テレビCM ・街頭広告 ・展示会 ・ポスティング ・訪問営業 |
・Webサイト ・Web広告 ・SNS ・ウェビナー ・口コミサイト ・オンライン営業 |
購買時 | ・実店舗 ・販売スタッフ ・コールセンター |
・ECサイト ・アプリ |
購買後 | ・電話対応 ・ダイレクトメール |
・メールマガジン ・チャットボット ・ユーザーコミュニティ ・SNS |
分類を見ると、新規顧客の獲得を目的とした購買前における接点の種類が多いことがわかるでしょう。購買前と比較すると購買時・購買後の種類は少ないものの、顧客と良好な関係を築くうえで欠かせません。
たとえば、LTV(顧客生涯価値)が高い顧客の育成を目標とする場合は、購買時と購買後の顧客接点が重要になります。
さまざまな種類のなかから、目的やタイミングに応じて適切な顧客接点を選択し、強化することが大切です。
顧客接点の強化がなぜ重要なのか、以下の5つの項目から解説します。
顧客接点の重要性がわかると、目的意識を持って強化に取り組めるはずです。
企業が変化スピードの速い社会で生き残り、成長し続けるためには、社会の変化に伴って変わるユーザーの行動に合わせて、適切な顧客接点を構築・強化しなければなりません。
経済産業省が発表した「令和3年版 情報通信白書 」によると、新型コロナウィルスの流行を受けて在宅時間が増加した結果、インターネットトラヒックが前年度比150%以上に上昇しました。
未曾有のパンデミックは消費者の行動にも変化を与え、ネットショッピングやデリバリーサービスの利用など、オンライン消費が増加しています。社会の変化によって、消費者はオンラインでのコミュニケーションを求めるようになりました。
この場合企業は、オンラインの顧客接点を強化し、変化に対応する必要があります。
顧客接点を強化すると、接触できるユーザーが増え、ニーズの把握に役立ちます。
企業は、顧客ニーズにマッチした商品・サービスを提供するために、顧客分析を行いニーズを把握します。このとき、多様な顧客接点があると、幅広いユーザー情報を収集できるのです。
ニーズの変化を把握できると、スピーディーに商品・サービスを改善でき、競合と差をつけられます。
このように、ユーザーの情報を収集する手段としても顧客接点の強化が重要です。
顧客接点の強化は、商品・サービスの認知拡大や集客の手段でもあります。
たとえば、検索エンジンに表示させるリスティング広告だけを顧客接点として活用する場合と、SNS広告も活用する場合とでは、閲覧するユーザー層や幅が異なるはずです。幅広いユーザーに商品・サービスを認知してもらうためには、多様な顧客接点を設定する必要があります。
認知が拡大すれば、集客につながる可能性も高まり、企業の利益につながるでしょう。
顧客接点の強化が、顧客対応の改善につながることもあります。
たとえば、電話対応だけでなくチャットボットを活用することで、従来はできなかった24時間365日のサポートが可能です。顧客が問い合わせ方法を選べることや、スピーディーな対応によって、顧客満足度の向上を期待できるでしょう。
また、さまざまな顧客接点からフィードバックが集まるようになるため、対応や商品・サービスの改善に反映できます。顧客が企業側の改善を実感できれば、顧客ロイヤリティの向上も見込めるはずです。
顧客接点の強化によって、顧客ニーズに合ったアプローチができるようになると、顧客満足度の向上を狙えます。
ファンの獲得や見込み客の顧客化などにもつながり、最終的には売上目標を達成できるでしょう。顧客満足度を向上させたい場合、顧客接点の強化が施策のひとつとして重要です。
顧客接点を強化する場合、次の2つの方法があります。
どちらか片方だけではなく、両方を意識した強化を行うことで、高い効果を期待できるはずです。
そこで、数と質を両立させながら顧客接点を強化する方法を5つ紹介します。
可能な限り複数の方法を通じて顧客接点を強化し、成果につなげましょう。
最初に行うべきは、自社と顧客がどこで、どのように接しているのかをすべてリストアップすることです。
これらの接点ごとに「担当部署」「目的」「現状の課題」などを書き出し、全体像と課題を可視化します。
既存の顧客接点に加え、新たな顧客接点を増やすと、より多くの顧客との関係構築や認知度の向上を促せます。
たとえば、以下の方法で新たな顧客接点を創出できます。
このとき、ただやみくもにチャネルを増やしても効果は得られません。顧客ニーズを正しく把握したうえで、最適なチャネルを選択することが大切です。
顧客接点が増えると、さまざまなチャネルから顧客情報を収集できます。その情報を基に顧客ニーズを深掘りして新たなマーケティング戦略を立てたり、顧客に最適な体験を提供したり、サービスをブラッシュアップ可能です。
また、顧客接点の創出は、オムニチャネルの実現にも寄与します。
オムニチャネルとは、あらゆるチャネルを連携し、一貫した顧客体験を提供する戦略です。たとえば、ECサイトで注文した商品を実店舗で受け取れる、あるいは実店舗にない商品をECサイトで購入できる状態を指します。
戦略的に顧客接点を増やし、オムニチャネルを実現できれば、顧客体験や満足度の向上を狙えるでしょう。
カスタマージャーニーマップを活用すると、既存の顧客接点を改善できます。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品・サービスを認知してから購入するまでの過程を可視化するためのフレームワークです。顧客が抱える課題や疑問を明確化でき、顧客体験を向上させる施策の立案に役立ちます。
カスタマージャーニーマップのなかで顧客接点を設定し、フェーズに合わせて顧客に最適な情報やコミュニケーションを提供すると、顧客との信頼関係を構築できるはずです。
カスタマージャーニーマップを作成する際は、顧客接点やユーザー行動をできるだけ正確に予測しましょう。あらゆる顧客接点から収集した顧客情報の分析によって顧客心理を理解し、適切なタイミングで的確な施策を実施できるようになります。
■カスタマージャーニーマップのテンプレート
カスタマージャーニーマップのテンプレートを用意しました。
ペルソナを設定したら、ユーザー行動や感情を想定します。次に、タッチポイント(顧客接点)を設定し、どのようにペルソナにアプローチするかを自社の施策として検討しましょう。
以下の記入例を参考に、テンプレートを活用してみてください。
ツールの導入によって業務を効率化できると、顧客接点を増やしながら提供する情報やコミュニケーションの質を高められます。
質を高めるためには、顧客にマッチした情報を届ける、あるいは顧客が好むチャネルでコミュニケーションを取れる必要があります。
複数のチャネルで質の高いコミュニケーションを行うためには、膨大な時間と人的リソースが必要です。また、カスタマーサポートの充実も求められるでしょう。しかし、マンパワーだけで対応することは難しいはずです。
そこで、SFAやCRM、MAなどのツールを活用して業務を効率化します。複数のチャネルで収集した顧客情報の管理・分析だけでなく、メールやWeb記事などのコンテンツ制作の補助も可能です。
精度の高い顧客分析から正確なニーズを導き出すことで、質の高い情報の提供やコミュニケーションを実現できるでしょう。
「施策を実行して終わり」にしないために、あらかじめ設定したKPI(重要業績評価指標)に基づき、各施策の効果を定期的に測定・分析します。
「Webサイトからの問い合わせ数が目標に達したか」「メールの開封率はどうか」などを検証し、その結果をもとに次の改善策を立案・実行するPDCAサイクルを回し続けることが、顧客接点強化を成功させる鍵となります。
ツールを活用して顧客接点を強化すると、次のメリットを得られます。
顧客接点を増やしながらマルチチャネルの応対品質を維持・向上させたい場合は、ツールによる強化が適切です。「数を増やす」と「質を向上させる」の両方を同時に推進したい場合は、ツールの導入を検討してみてください。
このデモ動画では、営業の受注率向上や顧客満足度向上だけでなく、業務の自動化やビジネスのデータ分析を可能にする世界 No.1 CRMを解説しています。
顧客接点を強化する際は以下の4つに注意が必要です。
順番に解説します。
部門間の連携が不十分だと、顧客体験が分断される恐れがあります。たとえば、マーケティング部門が獲得した見込み客の情報を、営業部門が十分に把握しないまま商談を進めてしまうケースが考えられるでしょう。
また、営業部門が顧客からヒアリングした重要な情報が、カスタマーサポート部門には共有されない場合も考えられます。
このように部門間で情報が分断されていると、顧客は何度も同じ説明をする羽目になり、企業への不信感を抱く原因となります。
「あの案件の詳しい話は、担当の〇〇さんしか知らない」「顧客リストが各担当者のPCにしか存在しない」といった状況に陥る可能性も否定できません。
顧客に関する貴重なデータが特定の担当者にしか蓄積されない属人化は、担当者の異動や退職によって重要な接点が失われるリスクを抱えています。
さらに、組織としてデータを分析し、新たなビジネスチャンスを発見することも困難になります。
Webサイトで熱心に製品情報を調べている顧客が店舗を訪れても、店員はそれを知らずに初歩的な説明から始めてしまうと、顧客からの信頼を失う可能性があります。
また、店舗で素晴らしい接客を体験した顧客が、後日送られてきたメールマガジンで全く興味のない情報を案内されると、がっかりされる場合もあるでしょう。
このように、オンラインとオフラインの接点が連携していないと、顧客体験の価値は半減してしまいます。
次の3つのポイントを押さえておくと、効果的に顧客接点を強化できます。
顧客接点の強化に取り組む場合は、参考にしてください。
顧客接点を強化する際は、信頼性の高い情報であるファーストパーティデータを積極的に活用し、正しく顧客ニーズを把握することが大切です。
従来は、顧客情報としてサードパーティデータを活用する傾向がありましたが、規制が強まる見込みからファーストパーティデータの重要性が高まっています。
両者の意味は、以下のとおりです。
用語 | 意味 |
---|---|
サードパーティデータ | 第三者が提供するデータ |
ファーストパーティデータ | 自社が収集したデータ |
欧米では、すでにサードパーティデータの扱いに対する規制がはじまっています。たとえば、Googleが提供する検索エンジン『Google Chrome』は、2024年中にサードパーティCookieのサポートを終了する予定で、段階的な制限を進めています。
日本でも今後、サードパーティデータの規制が厳しくなるのではないかと見られており、ファーストパーティデータの活用に注目が集まっているのです。
ファーストパーティデータは、自社で収集した一次情報・データであるため信頼性が高く、より顧客ニーズの正しい把握に役立ちます。
ファーストパーティデータの重要性は以下の記事でも触れているので、あわせてご覧ください。
顧客接点の種類や数を増やす場合、相応の人手が必要になるため、組織体制の整備と人員確保が必要です。
顧客接点の数を増やしても、体制の不備や人員不足があると、顧客とのコミュニケーションの質が低下してしまいます。増やした顧客接点で適切にコミュニケーションを取れるだけのリソースが確保できているか、事前に確認しましょう。
複数のチャネルを活用して顧客接点を強化する場合、各チャネルでの顧客対応が一貫しているかどうかがが重要です。
一貫性に欠ける対応は、顧客に不安や不満を抱かせ、顧客満足度の低下につながります。社内で統一したブランドガイドラインを作成するというように、各チャネルでの顧客対応に一貫性を持たせましょう。
ツールを活用して顧客接点を強化し、成功した事例を3つ紹介します。
事例を読むと、ツールの効果がわかります。
シオノギヘルスケア株式会社は、セルフケア領域の製品を製造・販売する企業です。高齢者向けの製品が主力であったため、電話が顧客接点となり、通信販売が主となっていたのです。
モノだけでなく、お客さまとのコミュニケーションのなかで情報や体験などの付加価値を提供することこそ重要と考えた同社は、顧客接点としてECサイトを改善することに。
もともと『Sales Cloud 』をCRMとして活用していた同社は『Commerce Cloud 』と『Marketing Cloud 』を導入。顧客にとっての使いやすさを追求したうえでコンテンツを制作したうえで、Commerce Cloudを活用し、操作性が高く、レスポンスの速いECサイトを作りました。
さらに、Marketing Cloudと連携し、顧客行動に沿った商品やコンテンツをレコメンドする機能を実装し、つながりの強化を図っています。
関東地方を中心に大型ホームセンターを展開する株式会社カインズは、オンラインとオフライン両方で顧客接点を持つ「IT小売企業」を目指しています。
カインズの実店舗は、売り場面積が広く商品数が豊富です。さらに、自社オリジナル商品も数多く展開していて、全国的に多くのファンが存在します。その強みを活かして同社では、リアルをオンラインで支えることで、より快適で楽しい買い物体験を目指すとともに、顧客接点の強化に乗り出しました。
そのひとつが、Salesforceの『Customer 360 Data Manager 』を活用して開発した「カインズアプリ」です。このアプリはコンシェルジュのような役割を担っており、オンラインでの注文や取り置きの指示ができます。また、店舗の専用駐車場や閉店後の店外ロッカーで商品受け取ったり、店内マップを確認したりと、さまざまなサービスを提供しています。
これらはすべて、オフラインの買い物体験をより快適にするために考案されたものです。オンラインとオフラインを区別することなくオムニチャネルで顧客に対応することで、よりよい買い物体験を提供し、顧客満足度向上を実現しているのです。
株式会社新生銀行は、個人顧客との関係構築を目的とした顧客接点の最適化に取り組んでいます。
以前は、顧客情報がチャネルごとに分断されており、オンラインの行動履歴を基にオフラインで応対できない課題がありました。Webで商品の問い合わせをいただいた顧客に対し、同じ商品の案内メールを送信してしまうというアプローチミスも起きていたのです。
そこで、顧客接点を最適化するために、CRMツール『Sales Cloud 』を導入し、顧客接点の最適化に乗り出しました。ツールの導入によって、チャネルごとに分散されていた顧客情報は統合され、定性的データだけでなく行動履歴をはじめとする動的データの収集・共有も実現できたのです。
その結果、コールセンターでは、オペレーターがお客さまの行動履歴を踏まえ、適切なご案内ができるようになるというように、応対品質を向上できたのです。
変化スピードの速いこれからの時代に、顧客ニーズに沿ったアプローチをするためには、顧客接点の強化が欠かせません。新たな顧客接点を増やすだけでなく、既存の顧客接点を改善し、顧客体験や満足の向上を目指す必要があります。
そこで役立つのが、CRMやSFA、MAなどのツールです。
Salesforceでは、SFA機能を有したCRM『Sales Cloud 』やマーケティング活動を支援するMA『Marketing Cloud 』を提供しています。また、オンラインの顧客接点としてECサイトのを強化に活用できる『Commerce Cloud 』もございます。
自社の顧客接点強化戦略に合った製品がわからない場合は、ヒアリングを通して最適な製品を紹介いたしますので、お気軽にご相談ください。