RPA導入事例・活用シーンを紹介|メリットやよくある失敗パターンも解説
「定型業務に追われて本来の仕事ができない」「手作業のミスが怖い」などの悩みをもつ方に向けた記事です。RPAで自動化できる業務や導入効果を、現場の活用シーンとともにわかりやすく解説します。
「定型業務に追われて本来の仕事ができない」「手作業のミスが怖い」などの悩みをもつ方に向けた記事です。RPAで自動化できる業務や導入効果を、現場の活用シーンとともにわかりやすく解説します。
日々のデータ入力や転記、確認作業のような定型業務の効率化に有効なのがRPAです。しかし「実際にどのように活用されているのか知りたい」と、考える方も多いでしょう。
本記事では、RPAの基本やメリットを押さえつつ、具体的なRPAの事例や活用シーンを解説します。さらにRPAとあわせて活用することで業務効率化がより期待できる「AIエージェント」も紹介します。
【Whitepaper】ITアーキテクチャに発展性を。自動化のメリットを最大化させる iPaaS
頑健かつ柔軟なアーキテクチャを構築するためのアプローチとプラットフォームを紹介します。
RPA(Robotic Process Automation)とは、PC上の定型的な事務作業をソフトウェアロボットが自動実行する技術のことです。以下のような、「ルールが決まった繰り返し作業」全般が自動化の対象となります。
プログラミングの専門知識がなくても導入できるため、IT部門だけでなく現場の業務担当者が主導して自動化を推進できる点が大きな特徴です。
RPAを導入することで、組織の業務効率と品質の両面で大きなメリットが得られます。代表的な4つのメリットを解説します。
RPA導入の大きな効果のひとつが、業務時間の削減です。人が行うと数分かかるデータ入力・転記作業を、RPAは数秒〜数十秒で処理できます。たとえば毎月100件の請求書データ入力に手作業で月に数時間〜十数時間かかっていた業務も、RPAで自動化することでほぼゼロになります。
日次の集計作業や週次の報告書作成など、高頻度で繰り返し発生する定型業務ほどRPAの効果を体感できるでしょう。
人間は長時間の単純作業で疲労や集中力の低下により、ミスが発生しやすくなります。金額・数量の入力ミス・転記先システムの誤指定といったヒューマンエラーは、確認作業や再処理のコストだけでなく、請求ミスや法令違反などの深刻なリスクにもつながります。
RPAは設定されたルール通りに正確に作業し続けるため、このような問題を防ぐのに役立つのです。また、エラーが減ることで確認作業にかける時間も削減でき、担当者の心理的負担も軽減されます。
人間の業務は就業時間や休暇で必然的に止まりますが、RPAは休憩・残業代不要で24時間365日稼働できます。そのため、以下のような業務内容も対応可能です。
業務スピードの向上だけでなく、担当者が出社した時点ですでに仕事が進んでいる環境を実現できます。
RPAの目的は単純作業の効率化だけでなく、人間がより付加価値の高い仕事に集中できる環境を作ることにあります。定型業務をロボットに任せることで、人間が注力できる業務として「顧客対応の質の向上」「戦略立案・分析」「創造的な業務」などが挙げられます。
本来やるべき仕事に時間を使えるようになることで、業務の質向上・組織全体の生産性向上につながるでしょう。
RPAが効果を発揮しやすい活用シーンは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
注文情報・取引データをもとに、会計システムや請求書発行システムへの入力・発行処理を自動化します。月末・月初に集中しがちな、請求業務のミス削減と処理スピード向上に効果的です。複数システム間の転記やPDF・帳票からのデータ抽出にも対応可能で、経理担当者の負荷が高い時期の業務量軽減につながります。
銀行の入金データと売掛金の請求データを自動で突合し、照合・消込まで一括で処理します。不一致データのみ担当者に通知する仕組みにより、人は例外対応に専念することが可能です。手作業と比べて処理時間を大幅に短縮できるほか、金額や振込名義の表記揺れによるミス防止にもつながります。
メール・FAX・ECサイトなど複数チャネルからの注文データを、基幹システムへ自動で登録することも可能です。担当者は、顧客対応や在庫確認といった判断業務に集中できます。
住所変更・新規登録など、顧客マスターデータの管理業務を自動化できます。複数システム間での情報反映を自動化することで、データの不整合を防止可能です。また、CRMと基幹システムの顧客データを最新の状態に保つことで、営業や顧客サービスの質向上にも貢献します。
勤怠管理システムからデータを取得し、集計後に給与計算システムへ自動登録します。入力ミスの防止や締め処理スピードの向上が期待でき、残業時間の集計や有給休暇管理なども自動化対象となるため、人事・総務部門の月末処理負担を軽減できます。
応募者情報の自動取り込みや選考の通過・不合格の通知メール自動送信、複数採用媒体の求人情報の一括更新などを自動化できます。採用担当者は、面接・候補者評価などの採用のコア業務に集中できるでしょう。
売上レポートや発注確認、入金通知など、定期送信メールを自動作成・送信できます。送信漏れや送付先誤りを防止しつつ、担当者の作業時間の削減が期待できます。とくに毎日同じ内容のメールを大量に送る必要がある業務では、RPAによって送信漏れや誤送信をなくせるでしょう。
基幹システムやCRM、会計ソフト、Excelなど複数のシステム間でのデータ転記を自動化できます。データ取得から加工、別システムへの入力まで一連の処理をRPAが担うことで、手作業をほぼ排除可能です。レガシーシステムとクラウドが混在する環境でも、データ連携のハブとして機能します。
RPAへの期待が高まる一方で、導入に失敗する企業も少なくありません。典型的な3つの失敗パターンとその対策を事前に把握しておきましょう。
RPAは、「ルールが明確」「繰り返し発生する」「PC上で完結する」といった特性をもつ作業に適しています。一方で、例外処理が多いものやルール変更が頻繁に発生するものには不向きです。
こうした適性を理解しないまま導入すると、「想定通りに動かない」「例外が発生するたびに停止する」といったトラブルが頻発します。結果として、かえって運用負荷が増えるケースも少なくありません。
対策としては、導入前に対象業務を棚卸しし、発生頻度・処理時間・例外の多さ・ルールの安定性といった観点で評価することが重要です。そのうえで、効果が見込める領域からスモールスタートすることで、失敗リスクを抑えられます。
「RPAを導入すれば自動的に業務が効率化される」と考え、社内で推進を担うオーナーや担当者を置かないまま進めてしまうケースがあります。その結果、ベンダー任せで設定だけが進み、現場の業務担当者を十分に巻き込めないまま、どの業務を自動化すべきかが曖昧な状態に陥ります。最終的には、活用されないまま導入が停滞することも少なくありません。
RPAを組織に定着させるには、IT部門と現場部門の双方が主体的に関与する推進体制が不可欠です。業務を熟知した現場担当者とツールに精通したIT担当者が連携し、「どの業務をどのように自動化するか」を共同で検討できる体制を整えることが重要です。
一度に多くの業務を自動化しようとすると、想定外の例外対応やシステムのバージョンアップによる不具合に対応しきれなくなります。その結果、運用が複雑化し、トラブル対応に追われて現場の負担がかえって増えるケースもあります。
対策として、まず1〜2業務に対象を絞り、小規模に導入することが重要です。そこで得られた成果や課題をもとに改善を重ねながら、段階的に適用範囲を拡大していきます。効果を数値で可視化することで、経営層の理解を得やすくなり、次フェーズの予算確保にもつながります。
一度に多くの業務を自動化しようとすると、想定外の例外対応やシステムのバージョンアップによる不具合に対応しきれなくなります。その結果、運用が複雑化し、トラブル対応に追われて現場の負担がかえって増えるケースもあります。
対策として、まず1〜2業務に対象を絞り、小規模に導入することが重要です。そこで得られた成果や課題をもとに改善を重ねながら、段階的に適用範囲を拡大していきます。効果を数値で可視化することで、経営層の理解を得やすくなり、次フェーズの予算確保にもつながります。
MuleSoft RPAの導入事例として、カナダ最大の銀行グループRBC(Royal Bank of Canada)のウェルス・マネジメント部門の事例を紹介します。
RBCウェルス・マネジメントは、米国42州181拠点に2,100人以上のアドバイザーをもつ大規模な組織です。同社はMuleSoft導入以前、新規顧客の口座開設に200〜300ページにおよぶ紙の書類を用意し、郵便やFAXを介した手作業の手続きが必要で、完了までに数週間を要することもありました。さらに顧客データが複数のレガシーシステムに分散しており、アドバイザーが顧客の全体像を把握するのが難しい状態でした。
MuleSoftのAnypoint PlatformとSalesforce Financial Services Cloudを導入した同社は、散在していた顧客データを統合し、顧客一人ひとりの情報を一元的に把握できる環境を実現。その結果、以前は数週間かかっていた顧客オンボーディングがわずか24分まで短縮され、メンテナンスコストは50%削減、開発スピードは3倍に向上しています。
関連コンテンツ:RBC Wealth Management onboards customers in 24 minutes
RPAは定型業務の自動化に大きな効果を発揮しますが、「ルールが明確な作業」を前提としているため、状況に応じた判断や例外対応が求められる業務には限界があります。
そこでおすすめしたいのが、AIエージェントです。
AIエージェントとは、単なる作業の自動実行にとどまらず、状況を理解・推論し、自律的に判断・行動できるAIシステムを指します。ルール通りに処理を行うRPAに対し、AIエージェントは状況に応じて柔軟に対応できる点が大きな違いです。
Agentforceは、Salesforceが提供するAIエージェントプラットフォームです。質問に答えるだけでなく、自らアクションを実行し、従業員と顧客を24時間365日サポートできるデジタル労働力を構築できます。
AgentforceはAtlas推論エンジンを搭載しており、ユーザーの意図と問題の範囲を理解したうえで、必要なデータとアクションを自律的に判断・実行します。これにより、従来のチャットボットでは対応が難しかった複雑なリクエストにも対応可能です。
また、Salesforce CRMとネイティブに統合されているため、営業・サービス・マーケティングなどの顧客データを横断的に活用できます。ローコードで構築・運用できる点も特徴です。
さらにMuleSoftとの連携により、RPAと組み合わせたエンドツーエンドの自動化基盤を構築できます。「RPAで定型業務を、Agentforceで判断業務を担う」という役割分担によって、自動化の適用範囲を大きく広げられます。
関連コンテンツ:Agentforce
RPAは、請求書処理や入金消込、受発注、勤怠管理、採用業務など、幅広い定型業務の自動化に効果を発揮します。業務時間の削減やヒューマンエラーの防止に加え、24時間稼働による生産性向上や、従業員がコア業務に集中できる環境づくりにも寄与します。
導入を成功させるには、「対象業務の整理」「社内推進体制の構築」「スモールスタート」の3点を意識することが重要です。さらに、より高度な自動化を目指す場合は、AIエージェントの活用も視野に入れてみましょう。RPAとAIエージェントを組み合わせることで、定型業務から判断を伴う業務まで一貫した自動化が可能になります。
【Whitepaper】ITアーキテクチャに発展性を。自動化のメリットを最大化させる iPaaS
頑健かつ柔軟なアーキテクチャを構築するためのアプローチとプラットフォームを紹介します。