AIエージェントで業務を革新する企業とは?
エージェンティック・エンタープライズとは、人間、AIエージェント、プラットフォームが連携して、カスタマーサクセスを促進する企業です。
エージェンティック・エンタープライズとは、人間、AIエージェント、プラットフォームが連携して、カスタマーサクセスを促進する企業です。
ほとんどの企業はここ数年、人工知能(AI)の活用を試行してきました。パイロットを構築し、デモを実施して、有望な成果を得てきました。しかし残念ながら、そうした努力を重ねたにもかかわらず、多くの企業では、十分な投資利益率を実現する前に、成果が頭打ちになっています。その理由は、真の成功を左右するのがAIモデルではなく、その基盤となるプラットフォームが、そのモデルを企業がすでに運用しているコンテキスト、ルール、プロセスでグラウンディングできるかどうかだからです。
一歩先を行く組織は、真のエージェンティック・エンタープライズへと進化しています。そこでは、AIエージェントは質問に答えるだけにとどまりません。意思決定を行い、ワークフローを実行し、重要な意思決定をまさに適切なタイミングで人間に引き継ぎます。この記事では、エージェンティック・エンタープライズがこの世代で最も重要なアーキテクチャ上の転換である理由と、実際に機能するエージェンティック・エンタープライズを構築する方法について説明します。
エージェンティック・エンタープライズとは、人間、AIエージェント、プラットフォームが、適切に管理されたビジネスシステム内で連携する組織です。共有されたコンテキストと明確なアカウンタビリティのもとで運用され、その基盤には信頼が組み込まれています。実際には、これは、すべての人とあらゆるものが同じ情報にもとづいて機能し、誰が何を実行できるかについてあらかじめ設定されたガードレールに従い、すべての意思決定が記録されることを意味します。
この定義は3つの要素から成り、そのすべてが重要です。エージェンティック・エンタープライズでは、
エージェンティック・エンタープライズモデルは、顧客により良い成果をもたらすと同時に、従業員の可能性をさらに引き出します。営業時間外にカスタマーサービスへの問い合わせが届いた場合を考えてみましょう。AIエージェントが問い合わせをトリアージし、関連する取引先履歴を取得して、対応可能なものを解決します。あらかじめ設定されたガードレールによって人間の関与が必要だと判断された場合、AIエージェントは残りの対応を適切な担当者に引き継ぎ、その際に必要なコンテキストもすべて提供します。顧客はより迅速に回答を得られます。サポート担当者も、慌てて情報を集めることなく、準備を整えた状態で顧客とのやり取りに臨めます。
こうした効果が積み重なることこそ、エージェンティック・エンタープライズが目指すものです。従業員が反復的で大量に発生するタスクに費やす時間が減れば、創造性、共感力、戦略的思考が求められる業務に、より多くの力を注げるようになります。
あらゆるエージェンティック・エンタープライズの背後には、自律的かつ責任ある行動を可能にする階層型アーキテクチャがあります。こうしたレイヤーがどのように連携し、それぞれがどのような特性を持つのかを理解することが、責任を持ってAIを導入する組織と、いまだ実験段階にある組織を分けるポイントです。
AIエージェントが、透明性の高い推論、明確な監査証跡、明確に定義された境界を備えた、適切に管理されたシステム内で稼働すれば、企業は信頼できるAIを安心して導入できます。これこそが、デモでは優れた性能を発揮するAIパイロットと、本番環境で安定して稼働するAIとの違いです。
実際には、AIエージェントが特定の大量に発生するワークフローを処理することで、周囲の人々が最大限の力を発揮できるようにします。たとえばリード管理では、AIエージェントがインバウンドリードを評価し、アウトリーチキューに優先順位を付け、商談に入る前に営業担当者に最も関連性の高いコンテキストを提示します。また、すべてのレコメンデーションを確認して必要に応じて変更できるため、営業担当者は自身のパイプラインを引き続き管理できます。エスカレーション管理では、AIエージェントが未解決のケースを監視し、人間による対応が必要であることを示す兆候を捉え、すべてのコンテキストを添えてエスカレーションを適切な担当者に引き継ぎます。そのため、担当者は最初から準備が整った状態で対応でき、人間による介在が必要なものを見過ごすこともありません。また、ナレッジ支援では、AIエージェントが適切な情報を適切なタイミングで提示します。回答の作成、ポリシーの詳細情報の取得、ケース履歴の要約などを、明確な出典とともに行うため、従業員は情報を鵜呑みにするのではなく、自分が何にもとづいて行動するのかを確認できます。
AI戦略を立案し、最適なユースケースを見つけましょう。Salesforceのハンドブックには、AIエージェントで業務を革新する企業を構築するためのレッスン、事例、ヒントが掲載されています。
エージェンティック・エンタープライズへの移行は、複数のフェーズから成る道のりです。以下のステップは、現在の状態から目指す状態へと移行するための実績ある道筋です。
まず、本当に実現したいビジネス成果を明確にします。AIエージェントによって最大の効果が得られるワークフローを特定し、AIエージェント活用戦略をそうした目標に合わせます。大量に発生し、迅速な対応が求められ、多くのコンテキストを必要とするタスクがその候補になるでしょう。
構築に成功する組織は、「AIには何ができるか」とは問いません。「仕事の進め方をどう変えるべきか、そしてAIエージェントによってその変革を実現できるか」と問いかけます。この問いから生まれるのがロードマップです。一方、「AIには何ができるか」という問いから生まれるのは、どこにもたどり着かないパイロットです。
AIエージェントの導入における最大の変動要因は、それを人々がどう受け止めるかです。AIエージェントが何をするのか、何をしないのか、そして人間の役割がどう変わるのかを明確に伝えます。目指すのは、抵抗に対処することではなく、従業員が何を得られるのかを正確に理解できるようにすることです。大量に発生する定型業務はAIエージェントが処理し、自分たちは意思決定や指導、品質確認を担う側になるのだと理解すれば、ほとんどの従業員はこれを自分の役割に対する脅威ではなく、役割を広げるものとして捉えます。
すべてを一度に変革しようとしないでください。処理量が多く、複雑で、ビジネス価値も高いワークフローを1つ選びます。採用ワークフローがよい例です。応募書類の選考、面接の日程調整、状況の通知、候補者プロファイルの要約は、いずれもAIエージェントが得意とするタスクです。そのプロセスに関わる採用担当者から採用マネージャーまでの人間は、自らの判断が本当に必要と会話や意思決定に集中できます。まずはそこから始めましょう。手応えを得てから、対象を拡大します。
従来のビジネスプロセスは、「これが起きたら、あれをする」というスクリプトを中心に構築されています。一方、エージェント型プロセスは、「目標はこれ、わかっていることはこれ、最適な方法を考える」という成果を中心に構築されています。この転換には、AIエージェントがコンテキスト、ツール、意思決定の裁量を活用して状況に適応できるよう、ワークフローを再設計することが必要です。エージェンティック・エンタープライズで長期にわたって有効に機能するのは、最初から柔軟性を考慮して設計されたプロセスです。
AI導入では、作業の大半をデータとガバナンスが占めます。AIエージェントには、正確で最新の、適切に構造化された情報へのアクセスが必要であり、どの情報源を正とすべきかを把握する必要もあります。信頼できる唯一の情報源は、単にあれば望ましいというものではなく、すべてのAIエージェントとのやり取りを信頼できるものにするための基盤です。それがなければ、AIエージェントは古い情報や不完全な情報にもとづいて、もっともらしく聞こえる判断を下してしまいます。それがあれば、ビジネスにおける真に信頼できるパートナーとなります。
優れたエージェンティック・エンタープライズでは、AIエージェントが自らの得意分野を把握し、人間による対応が必要な状況を認識できるように設計されています。そのためには、感情インテリジェンスを組み込む必要があります。つまり、口調を読み取り、不満を検知し、顧客にたらい回しにされたと感じさせることなく、配慮が必要なやり取りを適切な担当者に引き継ぐ能力です。これを適切に行うAIエージェントは、単に問題を迅速に解決するだけではありません。顧客に大切にされていると感じてもらうことができます。これは、また別の、より長期にわたって持続する価値です。
AIエージェントの自律性が高まるなか、成功するのは、ガバナンスを設計上の要件として捉える組織です。問題が発生してからではなく、AIエージェントを本番環境に導入する前に、信頼を基盤に組み込むことが、長期にわたって安定した導入と、多大なコストを伴うロールバックを分ける鍵となります。ここでは、注意すべき点と、問題を未然に防ぐ方法を紹介します。
| リスク | 重要な理由 | 緩和方法 |
|---|---|---|
| セキュリティの脆弱性 | システムへの幅広いアクセス権を持つAIエージェントは、新たな攻撃対象領域を生み出します。本番環境への導入では、プロンプトインジェクション、認証情報の漏えい、不正なデータアクセスが現実的な脅威となります。 | すべてのAIエージェントに最小権限のアクセスを適用します。アプリケーションレベルだけでなく、連携レイヤーでもデータガバナンスを適用します。AIエージェントのアクションを継続的に監査します。AIエージェントのアクションを継続的に監査 |
| AIのバイアス | 過去のデータでトレーニングされたAIエージェントは、そのデータに含まれるバイアスを引き継いで増幅させる可能性があり、採用、融資、カスタマーサービスのルーティングなどに関する意思決定に影響を及ぼします。 | 導入前に、多様なデータセットを使用してAIエージェントをテストします。出力を監視し、特定のグループに不均衡な影響が生じていないか確認します。重大な意思決定には、人間によるレビューを組み込みます。 |
| 過度な依存と自動化バイアス | AIエージェントが日常業務の大半を処理するようになると、人間は出力を注意深く確認する習慣を失う可能性があります。また、自動化バイアスによって、実際には誤っていても、もっともらしく自信に満ちた結果を簡単に信頼してしまうおそれがあります。 | 定められた信頼度または影響度の基準にもとづき、人間による介在が必要な意思決定にはチェックポイントを設けます。AIエージェントの出力を最終的な回答ではなく、質の高い初稿として扱うよう従業員をトレーニングします。 |
| 文化的な抵抗 | AIエージェントによって実際に人間の役割が広がる場合でも、従業員はその逆になることを懸念する可能性があります。こうした懸念に対処しないままにすると摩擦が生じ、導入が遅れ、信頼が損なわれます。 | 早い段階から透明性の高いコミュニケーションを図ります。ワークフローの再設計に従業員を参加させます。より価値の高い業務への移行を歓迎し、AIエージェントが人間の仕事を奪うのではなく、人間がほかの業務に取り組めるようにしていることを明確に示します。 |
すべての組織が同じ地点からスタートするわけではありません。それで問題ありません。エージェンティック・エンタープライズへと完全に移行するまでの道のりには、4つの段階があります。AIエージェント活用の成熟度モデル における自社の現在地を把握することで、次に何をすべきかを判断しやすくなります。
ステージ4を実現するシステムベースのプラットフォームアーキテクチャ(エンゲージメント、インサイト、AIエージェント、業務)は、これらの段階とほぼ直接対応しています。ステージ1から進めない組織では、通常、データに問題があります。コンテキストが分断され、信頼できる唯一の情報源 がありません。ステージ2に進むには、強固なビジネスロジックレイヤーが必要です。ステージ3に到達するには、ガバナンスの効いたAIエージェントのオーケストレーションと、AIエージェントが信頼できるインサイトが必要です。そしてステージ4は、5つのシステムすべてが、ガバナンスとセキュリティを基盤に組み込んだ統合プラットフォーム上で連携することで実現します。
Salesforceは世界No.1のエージェント型CRMです。Salesforce自身の業務では、これまでに38億のエージェンティック・ワーク・ユニット(AWU)を達成しています。これは、AIエージェントが完了した有意義な業務を測る単位です。たとえば、ケースの解決、タスクの実行、ワークフローの完了などです。これまでにAgentforceで400万件のサポートケースを解決し、年間換算で1億ドルのサポートコスト削減を実現しています。
AIエージェントが大規模環境でも安定して稼働するために必要なデータ、アクセス、ガバナンスの効いた環境を提供する、相互に連携する5つのシステムがあります。
エンゲージメントのためのシステム:Slackは、人間、AIエージェント、プラットフォームが連携して業務を遂行するAIワークプラットフォームです。人、データ、アプリ、AIエージェントを1か所でつなぐことで、AIへの投資を実際の成果につなげます。従業員はシステムを切り替えることなく、Slack内でAIエージェントに指示を出し、その出力を確認し、意思決定について認識を合わせ、アクションを実行できます。
インサイトのためのシステム:Tableauは、推論、アナリティクス、AIを活用した分析を組み合わせ、Salesforceのプラットフォーム全体に存在する豊富なコンテキストを、実際のアクションにつながるものへと変換します。これは画面上の数値をはるかに超えるものであり、業務が行われているその場所で、必要なタイミングに提示される意思決定、レコメンデーション、次のステップも含まれます。
AIエージェントのためのシステム:Agentforceにより、組織はさまざまなチャネルやユースケースにわたってAIエージェントを設計、導入、管理できます。AIエージェントが複雑な状況に対応し、判断を下せるようにする確率的推論と、一貫性、ポリシーへの準拠、監査可能性を確保する決定論的な実行を組み合わせています。
業務のためのシステム:Customer 360はエージェンティック・エンタープライズの業務を支える基盤です。セールス、サービス、マーケティング、コマースなどのアプリケーションに体系化された、27年にわたって蓄積されたビジネスロジックに加え、金融サービス、ヘルスケア、製造業など、業種固有のソリューションも備えています。また、静的なドキュメントやレガシーコードとは異なり、ビジネスの進化に合わせてチームが会話形式で更新できる、生きたインフラストラクチャです。
コンテキスト供給のためのシステム:Data 360は、発生元を問わず、企業内のあらゆるシステムに存在する構造化データと非構造化データを統合し、人間とAIエージェントの双方が継続的に共有できる理解を形成します。ゼロコピーアーキテクチャを基盤として、サイロ間でデータを複製するのではなく、データが存在する場所でアクセスすることで、ガバナンスを維持し、分断を根本から解消します。
これら5つのシステムは、それぞれ独立して存在するものではありません。SalesforceのAPIファーストのアクセスレイヤーであるHeadless 360によって相互に接続され、その機能が実現されています。Headless 360を使用すると、AIエージェント、人間、外部システムが、単一のインターフェースに縛られることなく、Salesforceのプラットフォーム全体のデータ、自動化、ビジネスロジックにプログラムからアクセスできます。
さまざまな業種のSalesforceユーザーが、AIの試験的な活用から、実際の本番環境での成果へと移行しています。
AIエージェントが日常業務を処理することで、人間は能力を最大限に発揮できます。それがエージェンティック・エンタープライズです。そして、それは今すぐ利用できます。
今後10年を形作る組織は、エージェンティック・エンタープライズとして自らを変革しようとしています。そのためには、AIエージェントを信頼できるデータでグラウンディングし、ガバナンスを基盤に組み込み、AIエージェントとともにリーダーシップを発揮するために必要な明確な指針とツールを従業員に提供する必要があります。
エージェンティック・エンタープライズへの道のりを具体化する準備ができたら、まずは『エージェンティック・エンタープライズへの変革に向けて』プレイブックをご覧ください。このプレイブックは、これまで説明してきた基本原則を確固たる土台としており、エージェンティック・エンタープライズを理解する段階から、実際にエージェンティック・エンタープライズになる段階へと進むために役立つよう設計されています。
エージェンティック・エンタープライズとは、人間、AIエージェント、プラットフォームが、適切に管理されたビジネスシステム内で連携して業務を遂行する組織です。単にプロンプトに応答するだけの基本的なAIツールとは異なり、エージェンティック・エンタープライズでは、意思決定、ワークフローの実行、人間との連携など、自律的に行動するAIエージェントを導入し、その基盤には信頼とアカウンタビリティが組み込まれています。
従来の自動化は、Xが発生したらYを実行する、という固定されたルールに従います。一方、AIエージェントは周囲の状況について推論し、状況に応じてアプローチを変え、あらかじめ用意されたスクリプトに当てはまらない状況にも対応します。さらに大きな違いは、アカウンタビリティです。エージェンティック・エンタープライズでは、重大な意思決定には人間が介在します。人間は傍観者ではなく、AIエージェントの上司になるのです。
主なメリットは2つあります。顧客により迅速で一貫性のある成果を提供できることと、従業員が対応できる業務の幅が広がることです。AIエージェントが大量に発生する時間的制約の厳しい業務を処理することで、人間は、真に人間ならではの判断が求められる意思決定や関係構築に注力できます。こうした効果が時間とともに積み重なり、真の競争優位性につながります。
エージェンティック・エンタープライズを機能させる6つのレイヤーがあります。推論して行動できる個々のAIエージェント、複雑な目標に対応するマルチエージェントチーム、引き継ぎを管理して進捗を監視するオーケストレーションレイヤー、すべてを信頼できる適切に管理された情報につなぐ、信頼できるデータと連携ファブリック、企業がガードレールを設定したうえで人間が介在する監督、そして、各ステップで監査証跡とアカウンタビリティを明確にするガバナンス基盤です。
主なリスクは、セキュリティの脆弱性、AIのバイアス、自動化への過度な依存、文化的な抵抗です。いずれも管理可能ですが、そのためには、後から追加するのではなく、導入当初からガバナンスを組み込む必要があります。こうしたリスクに適切に対処している組織では、すべてのAIエージェントを新入社員のように扱います。つまり、慎重にトレーニングし、適切なアクセス権を付与し、綿密に監視し、時間をかけて改善していきます。