
AI Copilotとは?
生成AIは、シンプルなプロンプトにもとづいて、数百、さらには数千もの個々のアプリケーションの作業をこなすことができる超知能アシスタントとして、新しいタイプのアプリの基盤を築いています。
Ari Bendersky
生成AIは、シンプルなプロンプトにもとづいて、数百、さらには数千もの個々のアプリケーションの作業をこなすことができる超知能アシスタントとして、新しいタイプのアプリの基盤を築いています。
Ari Bendersky
Copilot(副操縦士)について考えるとき、最初に頭に浮かぶのはおそらく飛行機でしょう。これまで、副操縦士はコックピットの2番目の椅子に座って、フライトで機長を助ける存在でした。しかし昨年のある時期から、「Copilot」という用語が人工知能(AI)の分野で大きなトレンドになり始めました。ChatGPTやBard、Agentforce Assistantなど、皆さんがご存知の、よく使う生成AIテクノロジーを思い浮かべてみてください。さて、そのテクノロジーを仕事のフローに組み込んでみましょう。あるいは2番目の椅子に座らせてみてください。
具体的な内容は、以下のとおりです。
もっとも基本的なレベルでは、AI Copilotは、日常的なタスクを以前よりも迅速に完了するのに役立つAIアシスタントです。最新のCopilotの導入は、2021年のGitHub Copilotのローンチ に関連していますが、これらのAIアシスタントの登場はさらにさかのぼります。1990年代以降、AI Copilot(当時はELIZAやJabberwackyのような 基本的なチャットボットや、IKEAのAnna のようなバーチャルアシスタント)は、メールプラットフォームへの適用からショッピング、銀行、医療への適用に至るまで、あらゆるものに登場しています。
現在と当時では、以下のような違いがあります。別の都市に拠点を置くクライアントとのビジネスディナーを予約しているシーンを想像してください。AI Copilotの世界に足を踏み入れる前までは、まずクライアントの顧客関係管理(CRM)の記録をスキャンして、食事の好みをチェックしていました。次に、Resyアプリを開きますが、空席のあるふさわしいレストランを探すのに非常に時間がかかります。それからエクスペディアで旅行や宿泊の予約を行い、最後にメールアプリで魅力的にパーソナライズされた案内メールを顧客に送信します。最低でも4種類のアプリで検討し、最短でも30分は単調な作業行うことになります。
今度は、信頼できるAI Copilotという1つのアプリを使用することを想像してみてください。数分または数時間で4種類のアクションを実行する代わりに、「来週の木曜日にテッドとのディナーを予約してください」と入力します。上記のすべての手順はそのまま実行されますが、調査はバックグラウンドで行われ、それもほとんどの場合が、ユーザーの介入なしに行われます。
明らかに時間を節約できること、そしてSFのような目新しさを備えていることを除けば、このような変革の価値を従来の指標で完全に表現することは難しいことです。これらのアシスタントは、レポートをより迅速に作成し、関連する回答を記載したカスタマーサービスの返信を作成します。また、営業メールの下書きを作成したり、上司に花を贈るなど、多数のシーンに応用できます。ではまず、AIエージェントはどのように機能するのでしょうか?
SalesforceのAIは、CRMに直接組み込まれたエンタープライズAIです。あらゆるアプリ、ユーザー、ワークフローがAIを利用し、企業全体の生産性を最大化します。パーソナライズされたAIアシスタントを使って、セールス、サービス、コマースなどさまざまな業務で、優れた顧客体験を提供できるように従業員を支援します。
AI Copilotの中心にあるのは、Copilotアクションと呼ばれるパワフルな構成要素です。Copilotアクションには、特定のジョブの単一タスクまたはタスクのコレクションをほぼすべて含めることができます。これには、以下のものが含まれます。
これらのタスクを任意の順序で「呼び出し」たり、再配置して実行したりすることができ、AI Copilotがこれを自律的に実行します。リクエストを理解し、行動計画を推論して、必要なタスクを実行するこのような能力が、これらのシステムとエクスペリエンスの独自性につながっています。AI Copilotは多くの指示を処理し、そこから学習することができます。したがって、アクションが多ければ多いほど、Copilotの能力が高くなります。
アクションを積み重ねることで、Copilotは目まぐるしい数のビジネスタスクを実行できます。たとえば、Copilotは、顧客が注文に対して過大請求された問題をサービス担当者が迅速に解決できるように手助けできます。あるいは、営業担当者が取引を成立させようとしているのを助けることもできます。他にも、まだあります。Copilotをアクションに投入しましょう。
クライアントであるテッドとのディナーの設定を例に説明していきます。Agentforce Assistantを使用する場合、Einsteinはテッドの名前やCRMセッション履歴など、テッドについての初期コンテキストを把握していますが、日付や時刻など、もう少し多くの情報を提供する必要があります。それからEinsteinは追加した情報にもとづいて実行し、追加の質問を返します。たとえば、どのテッドに会いたいのか(テッドという名前の連絡先が複数ある場合)といった質問や、テッドが好きな食事の種類を明確にするように求める場合があります。
このレベルのEinsteinやその他のCopilotの優れた点は、同僚と話しているように感じられることです。しかし、実際のチャットの相手は堅牢なデータであり、Copilotが新しい会話形式で提供するデータなのです。AI Copilotは、トリガーするアクションを決定し、アクションの出力データを日常の人間の言語で言い換えて、ランタイムダイアログを生成します。これによって、AIアシスタントとかなり洗練された会話をしているように感じられます。そして、ユーザー側がほとんど手間をかけることなくディナーの設定が完了します。
「私たちは、システムに『このタスクを実行してください』と伝えるだけです」と、Salesforce AIの製品管理担当ディレクターであるCarlos Lozanoは述べています。「しかしその裏では、Copilotがビジネスプロセスとデータの複雑なワークフローを調整しており、以前はユーザーが複数のアクションにアクセスする必要があった結果を提供しています。」
Salesforce AIは、Salesforce Platform全体をグラウンディングする、信頼性と拡張性の高いAIを提供します。 SalesforceのAIを顧客データと合わせて利用すると、ビジネスのあらゆるニーズに合わせて、カスタマイズ可能な予測・生成AIのエクスペリエンスを安全に構築できます。Einsteinがあれば、あらゆるワークフロー、部門、業種で対話型AIを活用できるのです。
Copilotの概念はかなり新しいものですが、この技術はしばらく前から存在していました。カスタマーサービス担当者とチャットしていて、彼らが人間ではなくボットであることに気づいたことはありませんか?それは何らかの形態のCopilotです。基本的なカスタマーサービスの質問には役立つのに、問題の重要な詳細には到達できないことがほとんどでした。おそらくイライラして、実際の人間に助けを求め人もいるでしょう。
ChatGPT、Dall-E、GoogleのGemini、MicrosoftのBing Chatが公開され、チャットボットはより洗練されました。これらの生成AIプラットフォーム(チャットボット2.0と呼ぶことにします)は、メールの作成、コードの記述、画像の生成、データの分析に役立ちます。
AI Copilotを使用すると、AIアシスタントが舞台裏で働き、すべての行動を改善するため、対話性がさらに会話的にます。Salesforce以外にも、MicrosoftやGitHubなど、多くの企業がCopilot製品を市場に投入しており、Appleまでもがこれに取り組んでいます。不動産デジタルマーケティング会社のLuxuryPresence、ヘルスケアに特化したNabla、金融に特化したArkiFiなど、業界に特化したニッチ なAI Copilotを提供する企業も多数あります。
Copilotはデータとメタデータに接続されると、次のレベルに進みます。メタデータとは?データを定義するのはタグ付けシステムです。たとえば先ほどの例では、「テッド」を定義付けるメタデータが「ファーストネーム」です。このメタデータにより、独自データの検索、使用、および統合が容易になります。実行可能なCopilotと真に優れたCopilot、つまりは日常業務に非常に適したCopilotとを区別するのがこのメタデータなのです。
「これらのアシスタントは、レポートをより迅速に作成し、関連する回答を記載したカスタマーサービスの返信を作成します。また、営業メールの下書きを作成したり、上司に花を贈るなど、多数のシーンに応用できます。」
ここでの重要なポイントは、AI Copilotをビジネスに導入することを検討しているときは、単にChatGPTのような外部ソース情報を使用するのか、それとも構造化データソースと非構造化データソースに安全に接続できるのかを判断することです。
今のところ、OpenAIのGPT-4やGoogleのGeminiなど、少なくとも1つまたは2つの大規模言語モデル(LLM)に精通しているという方も多いと思います。これらのモデルは、楽しく遊べて特定のタスクに適したChatGPTのようなチャットボットに搭載されています。ただし、2022年初頭までのデータしか含まれていないものもあるため、回答が限られている可能性があります。またこれらのモデルは、あなたのビジネスに関する公開情報にのみアクセスでき、信頼できるCRM情報やデータにはアクセスできません。
つまりこれらのモデルは、関連するカスタマーサービスの回答を作成したり、もっとも魅力的な販売機会を提供したりするのを手伝うことができません。またたとえば、メールに返信したり、フライトを予約したりするなど、お客様に代わって行動することもできません。しかしAI Copilotなら、上記のすべてを行うことができます。
さて、テッドとの夕食に戻りましょう。あなたの出張は成功しました。さて次に、テッドのお気に入りのパン屋からのギフトバスケットで感謝の気持ちを表したいと思っています。Copilotには、テッドのCRMの連絡先とアカウントを検索してお気に入りのパン屋を見つけ、あなたの代わりに商品を購入するために必要なアクションがすでに設定されているので、「テッドに彼のお気に入りのマフィンを送ってください」と入力するだけでこれを実行してくれます。
もちろんこれは、Copilotのアクションをいくつか組み合わせたごく基本的な例に過ぎません。何百、何千もの構成要素を事実上無限の組み合わせで調整できるAI Copilotでどんなことができるのか想像してみてください。エキサイティングで幅広い職種で効率化が実現するでしょう。
たとえば、小売業のマーケティング担当者は、わずか数分で多数の言語の製品説明を書くことができます。医療臨床医は、複数の患者のX線写真や検査結果を確認して医師の診断を支援できます。また金融業の担当者は、Copilotを使用して大量のデータを分析し、さまざまな投資結果を提案できます。この他にも、ユースケースとシナリオは無数にあります。
AIに関連するすべてのことが猛烈なペースで進んでいるように見え、特に仕事の進め方に関してめまいを感じているのはあなただけではありません。もう1人で悩む必要なんてありません。あなたには、信頼できるAI Copilotがついています。
「AI Copilotを利用すれば、どの業界で働いていても、迅速かつ簡単に効率と生産性を高めることができます」とLozanoは言います。「会話型な生成AIベースのアシスタントがあれば、日常的なタスクの負荷を軽減しながら、これまでにない方法でデータを操作して関与できるようになります。そして、これこそがAI Copilotを使用する醍醐味なのです。」
この記事には、Salesforce AIの製品管理担当ディレクターであるCarlos Lozanoが寄稿しています。
自律型のAIエージェントにより、あらゆる役割、ワークフロー、業界における仕事の進め方を変革します。