

2016年3月、テキサス州ローレットで、解体業者がGoogleマップに従ってディアズさんが所有する家屋に到着し、解体作業を開始しました。ところが、その家はディアズさんの家ではなかったのです。解体業者はGoogleを非難し、Googleはマップのデータが誤っていたことを認めました(英語)。
データインテグリティが欠如すると、金銭的な損害を被るだけではなく、ビジネスにさまざまな混乱が生じ、最悪の場合は、顧客の生命を脅かす可能性もあります。この記事では、散らかり破損したデータをクリーンで信頼できるデータに変え、的確な意思決定を可能にし、企業の評判を守る方法を紹介します。

新登場 Data Cloud
Data Cloudは、Salesforceとネイティブに連携する唯一のデータプラットフォームです。あらゆるシステムからデータを収集し、調整・一体化するため、顧客を深く理解し、成長を促進できます。
データインテグリティのベストプラクティス
そもそも、データインテグリティとは何でしょうか?
データインテグリティとは、データの正確性、完全性、信頼性、一貫性が維持されていることを意味します。正確なデータには、冒頭の例に出したようなエラーがありません。完全なデータには、顧客のメールアドレスや住所など、必要な情報がすべて揃っています。信頼できるデータは、安定しており、時間が経過しても同じ結果を返します。一貫性のあるデータは、どのシステムでもあっても同じように表示されます。以下に、データインテグリティを維持するうえで重要な5つの方法を紹介します。

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1. データガバナンスポリシーを確立する
データの収集、格納、アクセスをどのように計画していますか?不正アクセスからデータをどのように保護しますか?誰がデータを閲覧、編集、削除できますか?データガバナンス(英語)ポリシーは、企業全体の協力が必要な取り組みで、時間をかけてでも作成する価値があります。データガバナンスポリシーを作成したら、そのポリシーに従って、データの管理方法やデータの責任者について従業員を教育できます。
2. データの復旧計画を準備する
データの復旧計画は、ハードウェアの故障、サイバー攻撃、ヒューマンエラーなど、あらゆる種類の障害に対応できるように立てておきます。優れた復旧計画を作成するには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
- 復旧に関わる主要な担当者を特定します。担当者は協力して、データ復旧計画の策定を支援します。通常は、経営幹部、ビジネスオペレーション、ITの代表者で構成されます。
- 復旧時間を定義します。目標となる復旧時間は、データが損失、または漏えいした後に、データを復元するためにかかる最大時間を見込んでおきます。
- 障害復旧の拠点をリストアップします。この拠点は、バックアップサイトとも呼ばれる、ローカルデータが復元されるまでの間に使用できるリモートデータセンターです。ミッションクリティカルなデータ、機密データ、規制の対象となるデータを特定します。ミッションクリティカルなデータとは、たとえば、顧客データや従業員データです。社会保障番号など、漏えいした場合に個人に害が及ぶデータは、一般的に機密データとみなされます。規制の対象となるデータは、適用される法律と規制によって決まります。
- 障害時のコミュニケーションプランを文書化します。誰が障害時のコミュニケーションプランに参加するか、誰が指揮を執るか、どの関係者にいつ連絡するか、誰がいつ公に通知する必要があるか、などを決めておきます。

Data Cloudの機能と学習パス
Data CloudはSalesforceおよび他の外部データソース全体でデータを整理して統合します。Data Cloudの機能と、それを活用するための学習パスをご案内します。
3. 監査とバックアップを実施する
データは、停電、設計上の失敗、ヒューマンエラー、漏えいなどでダメージを受ける可能性があります。監査と定期的なバックアップを実施することで、不測の事態に備えます。
- 定期的なバックアップ – Salesforceの調査では、IT部門の意思決定者のうち、バックアップや復元のソリューションを利用しているのはわずか39%で、この種のツールの不備が判明しています。データをバックアップすれば、データを複製して復元することが可能になり、データの損失を防げます。規制の対象となるデータや価値の高いデータなど、自動的にバックアップするデータを戦略的に選択します。
- 監査ログの記録 – 監査ログには、システムで発生したイベントと変更、その時刻が記載されます。監査履歴は、一連の監査ログで構成されます。監査ログによって、CIS
などの業界の規制を順守し、障害発生時にイベントを再現することが可能になります。
4. データインテグリティツールとテクノロジーを利用する
現在、市場にはさまざまな選択肢があり、最適なツールを選ぶのは簡単ではありません。以下の表を参考に、データの整理に役立つ重要なテクノロジーを選んでください。
テクノロジー |
目的 | ツール |
---|---|---|
データの検証 | データの範囲、形式、種類をチェックする。エラー、不整合、データの欠損を特定する。 | Informatica Multidomain、Innovative Systems Synchronos、 Tableau Prep、Talend Data Catalog |
データプロファイリング | データを精査し、レビュー、分析して正当性を評価する。 | オープンソース – Hevo、IBM InfoSphere Information Analyzer、Informatica Data Quality and Profiling |
データのクリーニング(英語) (データクレンジングまたはデータスクラビング) | 不正確なデータ、破損したデータ、重複するデータ、形式が正しくないデータを削除する。 | Tableau Prep、Trifacta Wrangler、OpenRefine |
データガバナンス | ポリシーと手順を強化する。データをカタログ化し、データの質を評価し、さまざまなソースから収集したデータを照合する。 | Tableau、Apache Atlas、Collibra Data Governance、OneTrust Data Governance |
データのモニタリング | データの質をトラッキングして、目的に適しているかどうかを評価する。アラート、ダッシュボード、レポートでデータの質を把握する。 | Datadog、SolarWinds、Dynatrace、Salesforce CRM用のイベントモニタリング |
データの暗号化(英語) | データを改変、盗難、侵害から保護する。一意の復号鍵によってのみ解除可能な暗号化をデータに施す。 | Folder Lock、AxCrypt、VeraCrypt、Salesforce CRM用のSalesforce Service Cloud Voice Platform Encryption |
ゼロコピーインテグレーション(ゼロETL) | データを移動することなく複数のデータストア間で共有し、データエラーによる支出とリスクを軽減する。 | Talend、Informatica、AWS Glue。SalesforceとSnowflake間でも利用可能 |
5. データインテグリティについて従業員をトレーニングする
データを健全に保つには、すべての従業員に果たすべき役割があります。データガバナンスとデータの健全性に関するポリシーを導入したら、従業員に適切なトレーニングを提供します。従業員に各自の役割と責任を自覚してもらい、随時リマインダーを送信して、継続的にトレーニングします。
データインテグリティの確立に向け、第一歩を踏み出す
データインテグリティを維持すれば、生産性を向上させて時間を節約し、信頼できるデータで的確な意思決定を行い、顧客やパートナーからの評価を高めることができます。