CVP分析(損益分岐点分析)とは?主な指標や計算方法、活用方法
本記事は、CVP分析(損益分岐点分析)の概念から目的、主な指標、計算方法、具体的な活用方法までをわかりやすく解説しています。利益計画の策定やコスト管理、事業のリスク評価などに役立つ実践的な内容です。
本記事は、CVP分析(損益分岐点分析)の概念から目的、主な指標、計算方法、具体的な活用方法までをわかりやすく解説しています。利益計画の策定やコスト管理、事業のリスク評価などに役立つ実践的な内容です。
CVP分析(損益分岐点分析)とは、コスト・販売数量・利益の関係を数値で可視化し、利益確保のために必要な売上水準を見極めるための分析手法です。
固定費や変動費、限界利益などの指標を用いて、「どのくらい売れば利益が出るのか」「売上が減少した場合、どれだけ損失が生じるのか」などを分析します。
本記事では、CVP分析の概要から目的、計算方法、具体的な活用方法までをわかりやすく解説します。経営の意思決定や利益計画の改善に役立てたい方は、ぜひ参考にしてください。
目標達成に必要なKPIを、ビジネスゴール・目標・戦略・活動の流れに沿って整理し、5つのステップで設計できるテンプレートです。具体例を参考にしながら、自社の課題や施策、現場の活動に合ったKPIを設定し、成果につながる進捗管理を始めましょう
CVP分析とは「Cost-Volume-Profit 分析」の略称で、日本語では「損益分岐点分析」として知られる管理会計における分析手法のひとつです。
「コスト(Cost)」「販売数量(Volume)」「利益(Profit)」の関係を定量的に把握し、利益を生み出すために必要な売上高や販売数量を導き出す際に用いられます。
CVP分析は、価格設定の見直しやコスト管理、販売目標の設定などに活用され、データにもとづいた合理的な経営判断を可能にするフレームワークです。
CVP分析以外にも、営業戦略の立案や経営判断に役立つフレームワークは豊富にあります。以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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損益分岐点とは、売上高と総費用が等しく、利益も損失も発生しないポイントを指します。この関係を視覚的に表したのが、以下の図です。
このグラフが表しているように、売上高や販売数量が損益分岐点を上回れば黒字となり、逆に下回れば赤字となります。つまり、損益分岐点は「企業が赤字を避けるために最低限必要な売上水準」といえます。
CVP分析を行う主な目的は、次の2つです。
また、CVP分析の結果は、KPI(重要業績評価指標)の設定や新規事業の採算性評価に活用されるなど、経営管理のさまざまな場面で重要な意思決定を支える役割を果たします。
中小企業庁もCVP分析を「経営力向上の手段」と位置づけており、とくに小規模事業者の経営改善において重要性が高いと評価しています。(参考:2021年版「中小企業白書」第1節 中小企業の財務基盤・収益構造と財務分析の重要性)
KPIを設定する目的や効果については、以下の記事をご確認ください。
CVP分析では、主に次の財務指標を用いて収益の安定性や経営リスクの度合いを評価します。
それぞれの指標の意味と計算方法について、詳しく確認していきましょう。
CVP分析を実践する第一歩は、支出を「固定費」と「変動費」の2種類へ正確に分ける作業です。
固定費とは、売上や生産量の増減に関わらず発生するコストを指します。金額の変動が少なく、長期的な経営計画を立てる際に予測しやすい点が特徴です。
変動費とは、売上高や販売数量に比例して増減する費用のことです。
【固定費の例】
【変動費の例】
CVP分析において、売上の増減に応じて費用がどのように変動するかを正しく把握するためには、これらの費用を正確に分類することが重要です。
固定費と変動費を分類することで、売上に対する費用の変動要因を把握できるため、利益構造の可視化に役立ちます。
限界利益とは、売上から変動費を差し引いた金額のことで、「どの製品・サービスが利益に貢献しているのか」を見極める際に有効な指標です。
具体的な計算式は以下のとおりです。
<限界利益=売上高-変動費>
たとえば、売上高が1,200万円で変動費が480万円であれば、限界利益は720万円になります。この720万円から固定費を差し引いた残りが、企業の営業利益です。
限界利益が固定費を上回るほど、固定費を安定的に回収しつつ黒字化できていることを示します。ビジネスモデルの収益構造をさらに明確にするには、限界利益を売上高で割った「限界利益率」もあわせて確認するのがおすすめです。
限界利益率が低いことは、売上高に占める変動費の割合が高く、収益性が低いことを意味します。このような場合は、値上げによる売上拡大や変動費を下げるための仕入先との価格交渉といった対策が必要です。
▶︎売上分析とは?やり方やフレームワーク、メリットを初心者向けに解説
損益分岐点売上高は、売上と費用が等しく、利益がゼロになる売上高を意味します。つまり、赤字にも黒字にもならない「経営の分岐点」といえます。具体的な計算式は以下のとおりです。
<損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)>
「変動費率」とは、変動費÷売上高で求められる割合です。たとえば、固定費が600万円で変動費率が40%の場合、損益分岐点売上高は1,000万円です。この数値を下回ると赤字、上回れば黒字を意味します。
損益分岐点売上高を把握することで「最低限どれだけ売上を確保すればよいか」が明確になるため、販売目標の設定や戦略立案の根拠にもなります。
損益分岐点比率は、実際の売上高に対して損益分岐点売上高がどれほどの割合を占めているかを示す指標です。経営の安定性や赤字に転落するリスクの高さを把握できます。具体的な計算式は以下のとおりです。
<損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高÷売上高×100>
この数値から、次のように経営状態の健全性を読み取れます。
業種によって適正水準は異なりますが、一般的には80%未満が望ましいとされています。数値が高い場合は、費用の削減や売上拡大、コスト構造の見直しなどが必要です。
| 損益分岐点比率 | 意味 |
| 80%未満 | ・売上が減少しても赤字になりにくい ・収益構造が健全で経営に余裕がある状態 |
| 80%~100% | ・わずかな売上減少で赤字に転落するリスクがある ・経営の安定性が低い状態 |
| 100%以上 | ・すでに赤字の状況である ・早急な見直しが必要な状態 |
安全余裕率は、実際の売上高が損益分岐点売上高をどれだけ上回っているかを示す指標です。主に、経営の安全性や黒字の余力を測るために用いられます。具体的な計算式は以下のとおりです。
<安全余裕率(%)=(1-損益分岐点売上高÷売上高)×100>
または
<安全余裕率(%)=100%-損益分岐点比率>
たとえば、売上高1,000万円、損益分岐点売上高800万円の場合、安全余裕率は20%です。これは、売上が20%減少しても黒字を維持できることを意味します。
40%以上が理想的、20%以上であれば安全圏とされており、収益基盤の安定性を測るための重要な指標です。
CVP分析を通じて明らかになるのは、企業の「コスト構造」「収益性」「経営の安全性」です。
たとえば、固定費と変動費の内訳から自社のコスト構造を可視化することで、無駄な支出の洗い出しや利益率の低い事業の特定が可能です。
限界利益率を用いた分析では、製品やサービスごとの収益性を比較することで、どの事業がもっとも利益を生んでいるのかを把握できます。
損益分岐点比率や安全余裕率を活用すれば、「現在の売上がどれほど安定しているのか」「どの程度の売上減少で赤字に転落するのか」といった経営リスクも定量的に評価できます。
これらの分析から導き出された指標を実務に反映させることで、収益性の高い事業や製品へ優先的に経営リソースを配分し、組織全体の利益構造を強化することが可能になります。
▶︎【図解付き】損益分岐点の計算方法とExcelを用いたグラフの作り方
CVP分析によって得られる数値は、経営判断を感覚に頼らず進めるための「実務的な指針」として役立ちます。
ここでは、CVP分析の結果を具体的に活用する方法を紹介します。
これらの切り口から、CVP分析をどのように実務に活用できるのか確認していきましょう。
利益計画を機能させるには、単なる理想論ではなく、根拠ある数値をもとに売上目標を設定することが求められます。そのために有効なのが、CVP分析による目標利益からの逆算です。
たとえば、限界利益率と固定費を用いれば、目標利益を達成するために必要な売上高や販売数量を算出できます。
これにより、予算編成やKPI設計の精度が高まり、根拠にもとづく効果的な数値目標を設定できるようになります。
ただし、KPI設計には専門的な知見が必要であるため、適切な指標の選定に悩む企業も少なくありません。
そこでSalesforceでは、すぐにご活用いただけるKPI設計のテンプレートを無料で提供しています。組織の目標達成のために、ぜひお役立てください。
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CVP分析の結果は、収益性を維持しながら価格を調整するための判断材料としても活用できます。
たとえば、値下げによって販売拡大を狙う場合に、限界利益率が低下しすぎると損益分岐点が上昇し、結果的に赤字リスクが高まります。
そのため、CVP分析を用いて価格改定が収益に及ぼす影響をあらかじめシミュレーションしておけば、利益を確保できる適切な価格設定を検討することが可能です。
CVP分析は、新商品や期間限定の値引きキャンペーン時の価格を決定する際にも有効です。目標利益と市場性のバランスを考慮して価格を設定することで、価格戦略の精度向上と収益性の確保を同時に実現できます。
CVP分析は、単にコストの内訳を確認するのではなく、利益改善に直結する費用項目を特定できるコスト管理手法です。
たとえば、売上が増加しても利益が伴わないケースでは、変動費の割合が高く、費用構造のバランスに問題がある可能性があります。
変動費が高い場合は、原材料費や物流コストの見直しといった改善策が有効です。固定費が過大であれば、アウトソーシングや設備のスリム化などの施策が考えられます。
CVP分析を活用すれば、「どのコストを削ればもっとも利益が増えるのか」を数値で客観的に導き出せます。これにより、根拠のないコスト削減を抑え、経営リソースを最適に配分することが可能になります。
CVP分析は、新たな投資案件の収益性や実現可能性を「直感」ではなく「数値」にもとづいて評価できる手法です。
一例として、新しい事業の立ち上げや設備の導入を検討する場面が挙げられます。限界利益率や固定費、予測される販売数から損益分岐点を割り出せば、投資した資金を回収するために最低限必要な売上レベルを数値として明確に捉えられます。
さらに、安全余裕率を組み合わせることで、売上の変動といった不確実な要素に対してどの程度の耐性があるかを視覚的に把握することも可能です。
こうした分析により、投資により期待できる利益とリスクのバランスを評価しやすくなり、必要に応じてコスト構造の見直しや販売戦略の変更も検討可能です。
複数の投資案を比較する場合も、各案の限界利益率やコスト構造を分析することで、効率的な資金配分を選択しやすくなります。
CVP分析は、既存事業の安定性やリスク耐性を定量的に把握するうえで、重要な役割を果たします。
なかでも「安全余裕率」は、現状の売上が損益分岐点に対してどれだけ余裕があるかを示す指標で、事業の安定性を測るバロメーターです。この数値が低ければ、少しの売上減少で赤字に転落するリスクが高いため、早急な対応が必要です。
また、コスト構造や商品別の限界利益率を分析することで、「どの部門が収益の足を引っ張っているのか」「どの施策がリスク分散に効果的なのか」が明確になります。
事業の継続性を客観的に評価し、将来の経営リスクに先回りして対策を講じることで、安定した企業運営を実現できます。
CVP分析は、売上・コスト・利益の関係を数値で可視化し、利益確保に必要な売上水準やコスト構造を明確にする分析手法です。
損益分岐点売上高や限界利益、安全余裕率などの指標を活用すれば、経営の安定性を定量的に評価でき、根拠ある価格設定や利益計画の立案が可能になります。
経営判断の精度を高めたい企業にとって、CVP分析は重要なフレームワークのひとつです。
CVP分析の結果を実務に活かすには、適切なKPI設計が不可欠です。KPIが曖昧なままだと、せっかくの分析結果も具体的なアクションに結びつきません。
分析結果を具体的なアクションに繋げるためのヒントとして、データとAIを活用したKPI分析を5分で解説した動画があありますので、ぜひご覧ください。
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