年間30億通のメール配信から"一人ひとりとの対話"へ。Agentforce Marketingで実現する、「Vポイント」の新しい顧客体験
1.3億会員との対話を目指して。「Vポイント」が挑んだ、パーソナライズ基盤の導入と内製化
1.3億会員との対話を目指して。「Vポイント」が挑んだ、パーソナライズ基盤の導入と内製化
同社が抱えていたのは、規模と個別化の両立という根本的な課題でした。V会員向けのコミュニケーションメールだけでも年間10億通を超えるメールを処理できる既存のインフラはあったものの、それはあらかじめ決めた内容を特定の日時に一斉送信する「予約型」のモデルです。お客様一人ひとりの行動や状況に合わせて最適なコミュニケーションを届けるには、根本から仕組みを見直す必要がありました。
「世の中的により"パーソナライズ"という文脈が強くなっていく中で、改めて見直さなきゃいけないフェーズが、この2年くらいだったかなと思っています。」
さらに、MAツールの内製ノウハウがほぼゼロの状態から、基盤刷新と組織づくりを同時に進める必要がありました。
複数のツールを比較検討したうえで選ばれたのが、Agentforce Marketingです。1.3億の会員に紐づく大規模データを統合的に活用し、年間30億通近い配信を処理できる圧倒的なパフォーマンスと拡張性、そして「Vポイントが安心・安全に使える」という根幹の価値を守るための高いセキュリティ水準が、採用の決め手となりました。
「我々が期待するデータ量・実行パフォーマンスが十分に実行できることが、ある程度の検証も含めて判断できました。」
導入後は約7ヶ月のPoCを実施。既存の一斉配信とMarketing Cloudによるシナリオ型配信を並走させながら、全体配信量の約3〜4割を段階的に移行して効果を検証しました。最初に取り組んだのは、新規オンボーディング(Vポイントを使い始めた方への段階的な活用案内)と離反防止(利用が途絶えたお客様への再利用促進)の2シナリオ。その後はVランク(達成ランクによってさまざまな特典がもらえるV会員向けサービス)との連携やクーポン・キャンペーンの組み合わせなど、A/Bテストを交えながらシナリオの調整や拡張を行い、PoC期間中だけで100〜120本を設計・運用しました。
Agentforce Marketingと並行してPersonalizationも活用し、Vポイントアプリのマイページ(ポイント数の確認やVランクのステータス詳細が閲覧出来るページ)にパーソナライズされたリアルタイム情報を表示。メールを開かずともアプリを開いた瞬間に最適なコンテンツが届く体験を実現しました。
チームが常に立ち返ったのは、シンプルな問いです。
「システムを入れることが目的ではなく、V会員への価値を高め、いかに利用の活性化につなげられるか。その問いに向き合い続けることが、MAのポイントだと感じています。」
PoC期間の成果として、特典情報やVランクの達成状況に連動した「自分ごと化」シナリオでは、メール開封率が最大80%に到達。MAによるアプローチを行ったお客様と行わなかったお客様のクリック率には、最大20〜30ポイントの差が生まれたシナリオも登場しました。
一方、期待した効果が出なかったシナリオも少なくありません。しかしその「失敗」もデータとして蓄積され、次のシナリオ設計を改善するための知見となっています。
「成果が出なかったシナリオからも、新しい気づきが多く得られ、次回以降の施策に活かすことができました。それがPoC期間の大きな収穫のひとつでした。」
現在は少数精鋭チーム(専属2名+兼務5〜6名)がパートナーと協業しながらノウハウを蓄積し、常時50〜100本超のシナリオと600本を超えるメールコンテンツを内製で運用する体制を確立しています。
VポイントマーケティングがSalesforceを選んだ理由は、1.3億人規模の会員基盤を支える圧倒的なパフォーマンスと拡張性、そしてポイントサービスに求められる高いセキュリティ水準を、単一のプラットフォームで備えていた点にあります。さらに、Agentforce MarketingとPersonalizationを組み合わせることで、メールとアプリ内体験をシームレスにつなぎ、すべてのタッチポイントでの個別最適化を一つのプラットフォームで実現できることも、大きな決め手となりました。
次のステップとして同社が見据えるのは、AI活用によるさらなる進化です。100本を超えるシナリオと600以上のコンテンツをすべてパーソナライズし続けるためには、AIがシナリオのたたき台を生成し、人がチェック・判断を下すサイクルを高速で回す仕組みが不可欠です。SalesforceのAI機能がその実現を支える基盤として期待されています。
「AIを使いながらやっていくのは不可欠です。AIを導入すること自体が目的ではなく、質を担保しながら顧客一人ひとりに対して最適なコミュニケーションを回し続けられる運用体制を、いかに実現するかが重要です。」
また、将来的にはメールの一方向配信を超えた顧客との双方向コミュニケーションの実現も視野に入れています。Vポイントという強力なネットワークを基盤に、お客様一人ひとりとの"対話"を作り上げていく——その挑戦は、今まさに加速しています。
システム導入が目的ではなく、いかにV会員の皆様の利用活性化に繋げるか。1.3億の会員に大規模なデータを安全かつ高パフォーマンスで動かし 、一人ひとりの文脈に寄り添う『個へのマーケティング』を実現できたのは 、Agentforce Marketingがあったからこそだと実感しています。
清水 大志 氏Vポイントマーケティング株式会社, Vポイントバリューグロース部 部長
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