建設DXとは?注目される背景やメリット、導入の課題、企業事例を解説
建設DXとは、AIやIoTなどのデジタル技術を現場に取り入れ、作業効率や安全性の向上、技術継承を実現する取り組みです。本記事では、建設DXの基本や導入メリット・課題、企業事例をわかりやすく解説します。
建設DXとは、AIやIoTなどのデジタル技術を現場に取り入れ、作業効率や安全性の向上、技術継承を実現する取り組みです。本記事では、建設DXの基本や導入メリット・課題、企業事例をわかりやすく解説します。
建設業界では「人手不足」「高齢化」「非効率な業務」といった課題が深刻化しています。こうした状況を背景に注目されているのが「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
建設DXとは、AIやIoT、BIM/CIMなどのデジタル技術を現場に取り入れ、作業効率や安全性の向上、技術継承を実現する取り組みを指します。
本記事では、建設DXの基本から導入メリット・課題、企業事例までわかりやすく解説します。
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建設DXとは、建設業界においてAIやIoT、ICTなどのデジタル技術を活用し、計画・設計・施工・運用といった業務プロセスを効率化・最適化する取り組みを指します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術を取り入れ、業務やビジネスモデル、企業文化などを変革することで競争力の向上を図る考え方です。
建設業界では、人手不足や技術継承といった課題が長年指摘されており、こうした課題を解決する手段として建設DXへの期待が高まっています。ただし、全社的かつ高度にDXを実現している企業は1〜2割程度にとどまり、多くの企業が部分的なデジタル化の段階にあるのが現状です。
また、DXに関する理解や取り組みの割合も他業界と比べて高いとはいえず、さらなる推進が求められています。
建設DXが注目される背景には、次のような業界特有の課題があります。
建設DXが必要とされる背景について具体的に確認していきましょう。
建設業界では、長年にわたり人材不足が深刻な課題となっています。
実際、建設業の就業者数は1997年の約685万人をピークに減少し、2024年には約477万人まで落ち込んでいます。また、年齢構成を見ると55歳以上の割合が約36.7%を占める一方、29歳以下は約11.7%にとどまり、業界全体で高齢化が進んでいる状況です。
今後は熟練技術者の引退による人材流出が進むことが懸念されており、技能継承や現場力の維持が大きな課題です。
こうした構造的な人材問題に対応するためにも、業務の効率化や知識の共有を支えるDXの重要性が高まっています。
働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制が設けられ、建設業にも2024年4月から適用されています。これにより、時間外労働は原則として月45時間、年間360時間までと定められました。
建設業では、これまで工程の遅れや繁忙期の対応を長時間労働で補うケースが少なくありませんでした。しかし、法的な上限が設けられたことで、従来の働き方では工期や業務量に対応することが難しくなる可能性があります。
また、違反した場合には罰則が科されるため、企業にはより厳格な労務管理が求められます。こうした状況を受け、業務効率の向上や工程管理の最適化を図る手段としてDXへの関心が高まっているのです。
建設業では、現場中心の業務運用や紙ベースの作業が多く残っており、これが生産性を下げる要因のひとつとされています。
たとえば、日報の提出や工程の進捗確認、検査結果の共有などを紙で管理している現場では、情報の確認や共有に時間がかかるでしょう。
現場に行かなければ状況を判断できない場面も多く、意思決定が個人の経験や判断に依存しやすいという課題も指摘されています。このような体制では、業務の標準化やノウハウの共有が進みにくく、効率的な運営が困難です。
こうした非効率な業務構造を改善し、生産性を高めるための取り組みとして建設DXが注目されています。
建設業界が抱える人手不足や作業効率の課題は、DXの導入によって大きく改善できます。
建設DXの主なメリットは以下の4つです。
これらのメリットを理解し、自社の現場や業務に適したDXの取り組みを進めていきましょう。
建設DXの導入により、従来の現場業務や事務作業を効率化でき、限られた人員でより多くの業務をこなせる体制が整います。
たとえば、クラウドシステムや施工管理アプリを活用すれば、図面や写真の管理、勤怠・給与計算などを自動化できます。人手による作業や書類の印刷・押印などにかかる工数も削減できるでしょう。
結果として、業務効率化とコスト削減を実現し、従業員がより重要なコア業務に集中できる環境を整えられます。
建設DXを進めることで、属人化しているベテラン職人の技術やノウハウをマニュアル化・映像化したり、現場データを蓄積・分析したりできます。これにより、退職や高齢化で現場に立てなくなった従業員の知識が組織に残り、若手社員への技術継承をスムーズに行えます。
作業プロセスを標準化することで、従来の属人的な方法に頼らず、安定した施工品質を維持できる点も大きなメリットです。
建設業は高所作業や重量物の取り扱いなど危険を伴う業務が多く、労働災害のリスクがつきものです。
建設DXを進めることで、現場情報の管理や活用環境が整い、ドローンやロボットを用いた点検や測量などを安全かつ効率的に実施できるようになります。また、図面や作業指示をデジタルで共有することで、伝達ミスやヒューマンエラーも減らすことが可能です。
結果として、従業員が安全に働ける環境が整い、事故の防止と労働環境の改善につながります。
建設DXを通じて、現場や事務所で発生するデータを効率的に蓄積・分析できるようになります。
工事進捗や資材使用状況、顧客のフィードバックなどを活用することで、業務上の課題や顧客のニーズを把握しやすくなり、より精度の高い戦略立案やサービス改善が可能です。
さらに、IoTやクラウド、AIなどを活用した新商品やサービスの開発も進められ、顧客に対して新しい価値を提供できます。
建設DXは業務効率化や生産性向上につながる取り組みですが、導入を進める過程ではいくつかの障壁が存在します。
とくに資金・人材・現場運用の3つは多くの企業が直面する課題です。
これらの課題を把握し、対策を検討しながら導入を進めましょう。
建設DXを進めるには、ICT機器や専用ソフトの導入、クラウドサービスの利用など、さまざまな費用が発生します。初期投資は高額になることが多く、とくに中小企業にとっては導入のハードルとなりがちです。
さらに、システム導入後もクラウド利用料や保守費用、社員向けの教育など継続的にコストがかかります。
DXの効果は短期間で見えにくいこともあり、費用対効果への不安から導入を慎重に検討する企業も少なくありません。
DXを推進するためには、ツールの選定から導入、運用、効果検証までを担う人材が必要です。
しかし建設業界では、長年アナログ業務が中心だった背景もあり、ITやデジタル分野に詳しい人材が社内に少ないケースが多く見られます。とくに中小企業では、IT人材の採用が難しい、DX専任の担当部署がないといった状況も珍しくありません。
その結果、現場との連携が進まず、導入が停滞することがあります。
DX人材について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご確認ください。
建設業では、目視による確認や紙図面での管理など、アナログ型の業務が現在も多く残っています。そのため、デジタル技術を導入しても、既存の業務フローと合わない場合は現場で使われなくなることがあります。
また、現場スタッフのITスキルに差があることや、操作方法の共有・教育が十分でないことも定着を妨げる要因です。実際に、導入したアプリやシステムが活用されず、従来の紙管理に戻ってしまうケースも見られます。
DXを効果的に進めるには、現場業務との適合や運用体制の整備が重要なポイントです。
建設DXを効果的に推進するには、計画性を持って段階的に取り組むことが重要です。
単にデジタルツールを導入するだけでは十分な成果は得られません。まずはDXに取り組む目的やビジョンを明確にし、組織全体で方向性を共有しましょう。そのうえで自社の業務を分析し、どの工程に課題があるのか、どこからデジタル化すべきかを整理します。
具体的な進め方としては、次のようなステップが有効です。
このように小さな成功事例を積み重ねながら改善を続けることで、初期投資を抑えつつ現場への定着を促せます。
建設現場では、さまざまなデジタル技術を駆使して作業効率や安全性を高める取り組みが広がりつつあります。
これらの技術を適切に組み合わせ、少ない人数でも安全かつスムーズに施工を進められる現場づくりを目指しましょう。
AIは、建設現場における作業の安全性向上や生産性改善の中核技術です。
たとえば、現場の画像や映像を分析して進捗を可視化したり、老朽化した建築物の自動検知を行ったりすることで、人的負担の削減と業務の効率化を実現します。
また、構造設計の安全判定や複雑な計算にも利用され、精度の高い施工をサポートできる点が特徴です。
国土交通省が推進するプロジェクト「i-Construction」でも、AIを活用した施工管理や機械制御の自動化が推奨されています。
参考:国土交通省「i-Construction 2.0~建設現場のオートメーション化~」
以下の資料では、建設業におけるAI活用の実践事例をご覧いただけます。部門横断でのデータ利活用による現場業務の効率化や、AIを活用した施工管理・意思決定の迅速化など、具体的な成果をぜひご確認ください。
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クラウドサービスは、インターネットを介してデータやアプリケーションを活用する仕組みです。建設業界では、図面や資料の共有、施工管理、建設機械の稼働状況や位置情報の把握など、さまざまな業務に活用されています。
複数の関係者が関わる現場でも、クラウドを通じて情報を一元管理することで、書類のやり取りや作業の手戻りを減らし、効率的な現場運営を実現します。
ICT(情報通信技術)は、タブレットやスマートフォン、通信技術を活用して現場の情報共有や管理を効率化します。
たとえば、現場の重機を遠隔で操作したり、監視カメラやセンサーで安全管理を行ったりすることが可能です。ICT建機を導入すれば、自動制御や作業効率の向上が期待でき、施工精度や安全性の改善につながります。
IoT(モノのインターネット)は建設機械やセンサーをネットワークに接続し、データを収集・活用する技術です。
たとえば、ウェアラブルデバイスによる作業員の体調管理や、現場環境の温度・湿度のリアルタイムな監視、重機との接触事故を防止するシステムなどに応用されます。これにより、機械の稼働状況を効率的に管理し、安全で生産性の高い施工現場を実現できます。
BIMは建築領域、CIMは土木領域で利用される3次元モデル技術です。
設計から施工、維持管理までの一連の工程をデジタル上で管理できるため、図面の読み取りミスや手戻りを削減できます。
最後に、建設DXを通じて業務プロセスの改革に取り組む企業の事例を紹介します。
自社の建設DX推進に向けた具体的施策の検討に役立てましょう。
株式会社大林組は、営業から施工、アフターサービスまでの業務を一元管理するデジタル基盤をSalesforce上に構築しました。
従来は紙やExcelに依存していた承認・報告業務をシステム化し、部門間の情報共有を標準化しました。これにより、作業時間の短縮や入力ミスの削減を実現し、管理職は進捗や目標をリアルタイムで把握して迅速かつ的確な指示を行えるようになりました。
モックアップによる画面設計で各部門の意見を反映しやすくしたほか、DAP(Digital Adoption Platform)導入で利用者の定着化を支援しています。
このような取り組みにより、個人に依存していた非定型業務を削減し、組織全体の知識活用と業務効率向上を達成しました。
今後は『SalesforceのAI 』によるデータ分析や受注予測を活用し、業務プロセスのさらなる高度化を目指しています。
西松建設株式会社では、創業以来続いてきた個人依存型の営業文化を見直すため、営業情報の基盤整備に取り組みました。
従来は営業日報さえ存在せず、活動の記録や共有が不十分で、上長による適切な指導や会社全体での情報活用が難しい状況でした。その結果、営業効率の低下や商談機会の損失につながっていました。
そこでSalesforceを導入し、営業情報を簡単に入力できるUIやChatterによるリアルタイム報告の仕組みを構築しています。これにより、営業状況が即時に可視化され、上長はタイムリーに指示や支援ができるようになりました。
さらに、入力データが自動で日報・週報として集約されることで、営業担当者が自発的にシステムを活用する習慣が定着し、組織内の情報活用が進みました。
結果として、個人依存型の文化から脱却し、案件獲得率の向上や部門間の連携強化を実現しています。
鹿島建設株式会社では、設計・監理・施工など複数部門にまたがる業務データを『Tableau』で可視化・共有し、現場主導の意思決定を推進しました。
設計進捗や収支、人件費・外注費の状況をリアルタイムに把握できる環境を整備した結果、コスト管理の精度が向上しています。
また、施工図や計画書の承認プロセスを可視化することで、進捗確認の迅速化と工数削減を実現しました。勤務状況も日次で把握できるようになり、労働時間の偏り改善につながっています。これにより、データにもとづく業務運営が現場に浸透しつつあります。
【関連記事】:鹿島建設、設計・監理・施工をつなぐ"自走する意思決定"
建設DXは、AIやIoT、ICTなどのデジタル技術を活用し、計画・設計・施工・運用までの業務を効率化・最適化する取り組みです。
人手不足や高齢化、アナログ業務による生産性低下といった課題の解決に寄与し、意思決定の迅速化や現場の安全性向上、技術継承の促進などさまざまな成果をもたらします。
建設DXを進める際は、現場に適した段階的な導入がポイントです。
以下の資料では、DX推進に役立つ建設現場の実践事例を動画で紹介しています。段階的な導入の第一歩として、「Salesforce × AI」を活用した具体的な現場改善の事例をご覧ください。
〜事業部横断のデータ利活用と現場業務の効率化 〜
一気通貫のフロントシステムで課題解決するイメージを、約6分の動画の中でわかりやすく解説します。部門間共通の基盤で業務効率を最大化するとともに、データが蓄積されることで、最新のAI技術も含めて活用できる業務シーンを拡張していくことができます。ぜひご覧ください。
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