MAのシナリオ設計とは?作り方のポイントと事例・雛形
MA(マーケティングオートメーション)におけるシナリオ設計は、根幹ともいえる重要な作業です。目的によって多種多様なシナリオが考えられますし、構成によって結果は大きく違ってきます。シナリオの作り方の基本をわかりやすく解説します。雛形テンプレート(フォーマット)もご用意しました。
MA(マーケティングオートメーション)におけるシナリオ設計は、根幹ともいえる重要な作業です。目的によって多種多様なシナリオが考えられますし、構成によって結果は大きく違ってきます。シナリオの作り方の基本をわかりやすく解説します。雛形テンプレート(フォーマット)もご用意しました。
MAのシナリオとは、MAツールを利用してリード(見込み客)獲得からCV(コンバージョン/成果)に至るまで、カスタマージャーニーを想定して描いた道筋を言います。その道筋に沿って、MAではトリガー(発動条件)やオファー(提案)が設定されて動くことになります。
MAには、顧客情報の収集や蓄積、状況に応じたコンテンツの自動提供などの機能があり、これらの機能は、適切なシナリオがあって初めて効果を発揮します。適切なシナリオが設定されていれば、欲しい情報や適切なコンテンツをユーザーに提供できます。
そのため、MA施策を実行するには、施策のコンセプトをくみ取った精度の高いシナリオが必要となります。シナリオのでき次第で、結果が大きく変わると言っても過言ではないのです。
MAのシナリオは、場面に応じてさまざまな種類が用意されます。実際によく使われるシナリオの例としては下記のようなものがあります。
MAシナリオが得意とするのは、リードが起こした行動に合わせてアクションを起こすことです。上記の例はいずれも、特定条件の成立をトリガーとしてアクションを起こしており、リードのニーズをくみ取ったマーケティングが行えます。
MAツールにはシナリオ作成支援機能が備わっていて、シンプルなシナリオなら比較的簡単に作成できます。しかし作成のポイントを把握していないと、満足いくシナリオを作るのは難しいでしょう。ここでは、効果的なシナリオづくりのポイントを4つ紹介します。
MAシナリオは、前提となるカスタマージャーニーの上に作られるものです。そのため、カスタマージャーニーの精度が高ければ、シナリオの精度も高められます。顧客がたどりそうな道筋を明確にしていれば、フェーズごとに適した仕掛けを講じられ、効果的なCVへの誘導が可能となります。しかし、カスタマージャーニーの精度が低いと、シナリオに一貫性が無く、場当たり的なものになりがちです。顧客の動きを具体的に分析し、精度の高いカスタマージャーニーとそれに合ったシナリオを作成しましょう。
顧客に合わせたコンテンツを提供するには、そのコンテンツが求められる理由が重要です。これは行動結果から仮説を立てる必要があるだけに、しっかりとした裏付けが重要となります。ある原因を求める仮説において、想像と実態が異なることはよくあります。つねにイメージではなく、具体的なデータから仮説を立てるクセをつけておきましょう。
仮説の立案には、MAツールで蓄積された顧客の行動や、顧客アンケートの結果などが活用できます。1つのデータでも、見方や組み合わせ次第でさまざまな結果が導き出せるので、十分に活用しましょう。
シナリオは一度作ったらOKというものではありません。何らかの施策を実行した後は、常にその結果を分析・評価し、次回に活かすことが不可欠です。シナリオ内には分析対象となる数値が多数あります。初めのうちは目的に沿って定点観測する数値を絞り込んでおき、さらに詳しく分析したいときに他の数値も参照していくという使い方をするといいでしょう。
たとえば、メールのタイトルや内容が適切かどうかを見たい場合には、開封率とクリック率のみで比較し、外的要因なども含めて検証したい場合には、全体の開封数を参照するという具合です。分析の目的に沿って、対象となる数値をしぼり、その結果を次回に反映させる。その繰り返しでシナリオを研ぎ澄ませていくのです。
MAをSFAやCRMと連携すると、顧客情報を一元管理できるプラットフォームが実現します。そして、マーケティングとセールス、カスタマーサービスという独立した3つの部門を、こうしたツールによってつなぎ合わせ、それぞれの業務の成果を互いに役立てるという効果を生みます。
同時に、セールス部門での実績から、その前段階であるマーケティングがどれほどの効果を上げているのかという効果測定が可能になり、その結果を受けて各プロセスの改善を図ることができます。たとえば、オフラインで行われる商談では、セールスからの提案に対して顧客はさまざまな反応を見せますが、その内容を分析すれば、顧客へのスコアリングの仕方や情報発信の条件などを調整し、シナリオの精度を高めることができます。
シナリオづくりの基本は、「トリガーとアクションの組み合わせ」と「条件分岐」の2点です。顧客が行動を起こす原因とその結果から、たどりそうな道筋を想定し、最適なアクションを組み込みます。
各フェーズで実行すべきアクションは、「ターゲット」「タイミング」「コンテンツ」「チャネル」の組み合わせによって導き出されます。これらの組み合わせから導き出されるコンテンツを用意したり、既存コンテンツをあてはめたりして、顧客にアプローチしていきます。
| 目的 | 誰に(ターゲット) | いつ(タイミング) | 何を(コンテンツ) | どのように(チャネル) |
| 展示会来場者に無料トライアルに申し込みしてもらう | 展示会来場者 | フォローメールを3回開封 | 無料トライアル延長プラン | メール |
シナリオ作りで最初に行うのは、目的の設定です。目的が明確になれば、手法も自然と決まり、それに応じた予算や人員配置なども逆算的に定まっていきます。目的はシナリオの「軸」としても働きます。シナリオ作りの中でその妥当性に悩むことがあったら、一度、目的を振り返り、軸から脱線していないかを確認しましょう。
目的が明確になったら、アクションの効果を高めるためにターゲットの属性を明らかにし、フィルタリングをしましょう。ターゲットに対して何度もアクションを起こしても、狙う属性とマッチしていなければ効果は十分発揮されません。属性付けは、ターゲットがファネルのどのフェーズにいるのか、どんなニーズを抱えているのかといった状態や、性別・年齢・地域などの属人的な情報などで行います。
属性からターゲットを明確にしたら、そのターゲットに合ったコンテンツを、最適なタイミングと頻度で提供します。コンテンツの提供は、多ければいいわけではありません。早急にアピールしたいからと、早朝や深夜に何度もメールを送れば迷惑がられてしまいます。重要なのは、ターゲットの興味に合ったコンテンツを「ここぞ」というタイミングで提供することです。
トリガーとは、アクションを起こすタイミングを決定する「きっかけ」のことです。アクションを起こすことを前提に考えられているため、基本的にトリガーとアクションはセットで考えます。たとえば、「製品資料のダウンロード」をトリガーとするなら、「活用事例を紹介するメールを送信する」ことをアクションとして考えられます。「自社サイトへの一定回数の訪問」をトリガーとして、「製品のデモ版を紹介する」といったアクションも有効ではないでしょうか。
チャネルとは、アクションを起こすために使用する「ツール」や「プラットフォーム」などを指す言葉です。たとえば、メールやスマホアプリ、SNSなどがこれにあたります。チャネルが変われば、最適なアクションやコンテンツも変わってきます。そのため、アクションを実行する前に、どのチャネルが適しているかを考える必要があります。
最後に、サンプルとして、BtoBとBtoCのシナリオ事例を1つずつ紹介します。BtoBのサンプルはシナリオが若干長く複雑なもの、BtoCのサンプルはモバイルプッシュ通知を使ったシンプルなものとなっています。
案件化して商談に入りながらも、早い段階で商談が止まってしまった顧客向けに送信するメールのシナリオです。このシナリオの目的は、商談を前進させることです。検討中の顧客に対してアクションを起こし、顧客の行動を喚起させます。
トリガー条件:
アクションはキャンペーンメールの配信です。反応があった場合にはレポートを作成して、セールスに通知し、タイミングの良いフォローアップにつなげます。
複数エリアに店舗を展開する小売・サービス企業が、自社のモバイルアプリをインストールしたユーザーを対象として実施するシナリオです。
トリガー:ユーザーが店舗の半径100m以内に入ったとき
アクション:その店舗で利用できるクーポンの自動送信
この手法は、提供するクーポンの種類が重要です。たとえば、「当日限定」のような制限をかければプレミアム感を高められ、来店を強くうながせます。シンプルなシナリオで実践しやすいだけに、「情報の押し売り」にならないような注意が必要です。そのためにも、シナリオ以前のカスタマージャーニーを十分に練り上げておくことが大切です。
シナリオづくりは、最初は難しく手間がかかるものです。しかし、回数を重ねれば設計の勘所が見えてきますし、ブラッシュアップを重ねれば、少しずつであっても精度は高まっていきます。
リードや顧客の状況にマッチしたシナリオであれば、きっとその効果を実感できるはず。結果を急がず、分析・改善を重ねて、効果的なシナリオを作り上げてください。