ロクシタンジャポン

大量アクセスへの不安なく、自由にプロモーションできるECサイトを実現

ロクシタンジャポン株式会社(以下、ロクシタン)は、従来のオンプレミスシステムを置き換えるグローバルなECプラットフォームの見直しに伴い、Commerce Cloudを導入。各拠点によるECサイト運営の自由度が飛躍的に高まりました。日本でも、新たなカスタマイズギフトサービスやEC定期便を開始するなど、ECがビジネスを伸ばす原動力として機能しています。
 
 

1. 安定性、柔軟性を評価。コスト面でも優位なグローバルソリューション

L’OCCITANEは、南仏プロヴァンスのライフスタイルを世界に届ける国際的なブランドです。アール・ド・ヴィーヴル(Art de Vivre=暮らしの芸術)として知られる美しく安らかで温もりのあるライフスタイルを、スキンケア製品を通して提案しています。国内でも全国に店舗を展開し、LINE公式アカウントのお友達登録は2700万人、メール会員は80万人を超えます。店舗とECをどちらも利用する顧客は多く、同ブランドを展開するロクシタンにとってECは大切な存在です。

ロクシタンでは、独自のオンプレミスシステムを使って、ECサイトを運営してきました。仏本社がグローバル各国からの要望を受け、システム運用、改善をするスタイルです。しかし、長く運用する中で、性能面の限界に来ていました。ECへの要求が高度化するに従い、各国からの要求にこたえられるリソースの不足にも直面しており、早急な見直しが必要でした。

テクノロジー&デジタル推進室      シニアマネージャー 吉田 諭史氏は、「ローカルごとに独自の売り方が許されているので、ニーズは各国さまざまです。それらに順位を付けて対応してもらうのですが、法改正などがあるとその対応は最優先。そのため、ビジネス上の重要な機能追加があったとしても、消費税増税などの対応があると先送りされてしまいます」と話します。

同社 営業部 E-Business シニアマネジャー 川崎 千絵氏は、「日本のニーズに合わせてやりたいことは色々とありました。すべてはビジネスを伸ばすための企画なのですが、自由にECサイトを変更できないことに加え、業務の自動化が不十分なためマニュアル作業も多く、リソースも足りませんでした」と加えます。

販売面における重要な施策に、予約販売があります。ロクシタンは約3週間ごとに新製品発売があり、ヘアケア、スキンケアなどのカテゴリごとのキャンペーンも行います。年間16回に及ぶこれらの販売施策において、ブランドへの信頼感の高い顧客は予約をしていただけます。発売日と同日に配達を完了する必要があり、ECでも予約は受け付けられるものの、毎回仕様の変わる出荷データ作成は手作業になる部分が残ってしまっていました。

こうした状況は各国で起きており、本社側も認識していました。各国のリーダーから意見を集め、安定性、柔軟性、およびコストについて議論した結果、Commerce Cloudの採用が決まりました。まずは英語圏の拠点から導入をスタートし、米国拠点の移行を成功させたチームが日本拠点を担当。2021年4月に日本でもサービスインを迎えました。

 
 

2. 突発的なアクセス集中の不安が解消、自由な裁量のもとでプロモーションを打つ

開発には約1年をかけ、テストも入念に実施しました。多くの独自機能があり、たとえば細かな配送時間の設定や、コンビニ払い/代引などの支払方法は日本だけのものです。川崎氏は、「配送パートナーから提供される地域ごとのリードタイムデータを取り込む仕様にしました。少しでも早く届けてほしいお客様は日付指定をしないのですが、在宅時間などの関係もありますから、日本市場では必要な機能です」と話します。コンテンツ移行時には、既存ページの“断捨離”をしながら、必要なページは、Commerce Cloudの機能を活用し新たなページへ移行、新規制作しました。またパラメータや短縮URLを含めてのリダイレクト設定など、以前からのファンに変わらぬ体験を届けるための細かな作業にも万全を尽くしました。

移行はスムーズに完了。吉田氏は、「DNSの切り替えで少し時間がかかった程度で、ページビューにも大きな影響は出ませんでした。SEOが効かなくなって検索順位が下がるといった話を聞いていて少し不安でしたが、杞憂でしたね」と話します。

ブランドのガイドラインがあり、デザイン面は以前のものを踏襲し、本社の規定したテンプレートをそのまま使用しています。ただし、規定に従っていれば、ECサイト内でページを作って新たな施策に取り組むことは各拠点の裁量に委ねられています。日本でも、新たなチャレンジをできるようになりました。

さっそく取り組んだのが、「MY SHEA」ギフトのリニューアル・ハンドクリームへの新規展開です。ロクシタンのシア製品に名入れできるサービスで、川崎氏は「ずっとやりたかった施策なのです」と話します。「ECサイトの機能開発ももちろんですが、新たなシール台紙、プリンタ探し、選定なども良い思い出です。また、私たちは、お客様が使い終わったボトルやケースを店舗でリサイクル回収する活動をしていますが、名入れをしたシアバターの缶をご使用後に小物入れなどでお使いいただいているなど、ギフトの枠を超えたお客様体験をしていただいております。引き出物やノベルティなどのニーズも取り込み、販売は順調です。」

運用面では、以前はパソコン用とモバイル用とそれぞれページを用意していましたが、Commerce Cloudがレスポンシブに対応しているため制作や確認が楽になったほか、ページのパーツごとの更新タイミングが指定できる、など細かな配慮もあり、メンバーが企画に割く時間を増やすことができました。感覚値で2~3割の業務量を新たなチャレンジに割けるようになったといいます。

大量アクセス時の負荷についても懸念することはなくなりました。以前は、プロモーションによるトラフィックを予測して事前に本社へ想定トラフィック数を報告する必要がありましたが、Commerce Cloudへの切り替えでその業務はなくなりました。主要なプロモーションのメディア配信の結果、突発的なアクセス集中が発生してサイトが重くなったという報告は現時点で受けていません。不安を抱えることなく、自由な裁量のもとでプロモーションを打てるようになったこともまた、大きな成果です。

ECでのさらなるチャレンジに向け、ロクシタンはSalesforceのカスタマーサクセスマネージャーなどによる活用支援も積極的に活用しています。川崎氏は、「業界のKPI比較で私たちがどの位置に居るかを示してくれて、目から鱗が落ちるようなこともありました。そのおかげで、我々が置かれている状況、機会を客観視することができ、次の一手を打てるようになりました。一緒になって成長を支援していただき、細かな機能改善要求をSalesforce本社にかけあってくれるなど、極めて頼もしい存在です」と話します。

 
 
 
 

3. AppExchangeパートナー(旧称:LINKパートナー)製品を活用

Commerce Cloudには、基本機能を補強してくれる外部ソリューションをシームレスに連携できるAppExchangeパートナー(旧称:LINKパートナー)プログラムがあります。ロクシタンでは、2つのAppExchangパートナー製品を活用しています。

まずは、FORTERが提供する不正検知サービスです。取引透過率は99.9%を維持しながら、不正利用の99%削減を達成。クレジット決済ができなかったという問い合わせは週に1件程度です。以前はクレジットカードの不正利用が多く、決済してしまったケースもありました。このソリューションにより、すべてを人力でチェックする作業負担から解放されました。

もう1つは、awoo Japan社のawoo AI自動検索ハッシュタグ表示機能です。サイト内検索の利用率が低く、特集ページにトラフィックが集中することを改善する目的で導入したソリューションですが、導入後にハッシュタグを経由したユーザーのCVR、回遊率が高まり、定番製品のページにも注目が集まるなど、導入前に予測していた以上の効果が出ています。

店舗との連携もうまくいっています。スタッフレビューは好評で、「ECサイトを見たから店舗に来た」という顧客も増えていることから、積極的にレビューを寄せてくれるようになりました。「ECに顧客を奪われる」と考えている店舗はすでにありません。たとえば、人気製品が200個しか入荷しなかった際に、全店舗が奪い合うと1店あたり1~2個しか販売できません。そうした際には、ECのみで販売するというコンセンサスが醸成されました。顧客のことを第一に考えれば、そちらの方がフェアだという共通認識です。

吉田氏は、「将来は、さらに店舗との連携を深めたいです。マイページを作って、店舗での接客時にお話した内容を反映することができれば、店舗とECをどちらもご利用いただいているお客様の体験向上になります。さらに、それが店舗スタッフの評価につながるような仕掛も作ることができれば理想的ですね」と話してくれました。

 
 
 
 
※ 本事例は2022年12月時点の情報です
 

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