アドバンテック、Agentforceで実現する「サービス起点の営業」——営業とアフターサービスのスマート化を加速

概要

「サービス起点の営業(Service-to-Sell)」という考え方のもと、アドバンテック(Advantech Co., Ltd.)は Salesforce の Sales Cloud、Service Cloud、そしてAgentforceを導入しました。AI によって価値の高い商談を自動で絞り込み、顧客対応の一つひとつを追跡可能な商談の兆候へと変えていく——Salesforce の AI 基盤上に構築した Leads Pilot は、台湾拠点での運用開始以来カバー率 100% を達成し、稼働初月には営業担当者 1 人あたり月間 54.8 時間の削減につながりました。SDR Agent の稼働後は、営業最前線の担当者がリード 1 件あたりにかけていた処理時間を約 9 分短縮し、初回接触の自動化率は 100% に到達。あわせて 31.6% の商談が自動で創出されています。同時にアドバンテックは、世界 18 か所を超える海外拠点で統一された顧客対応プロセスを同時展開し、5 言語での地域横断的な運用を実現しました。これを起点に、IoT 産業を次の段階のスマート化へと導いています。

企業情報

アドバンテック(Advantech Co., Ltd.)は、「Enabling an Intelligent Planet」というブランド理念のもと、IoT、エッジコンピューティング、AI-Powered WISE Solutions の領域で世界をリードする企業です。IoT と AI がもたらす市場機会と競争圧力を前に、同社は営業プロセスと AI の融合による変革を全社戦略として位置づけ、世界各地の営業組織が標準化された共通基盤の上で足並みをそろえて活動できる体制づくりを進めてきました。

成果

54.8 時間
営業担当者 1 人あたりの月間削減時間
31.6 %
SDR Agent による自動商談化率
100 %
初回接触の自動化率

ハードウェアと産業用プラットフォームを起点に成長してきたアドバンテックでは、膨大なリードを担当者個人の経験に頼って捌く状態が長く続いていました。LDR(Leads Development Representative)は開拓メールを 1 件ずつ手作業で送り分けており、その判断基準は担当者ごとにばらつきがあります。フォローが間に合わなかったコールドリードはリストに滞留し続け、チームの工数を圧迫していました。商談の作成も手作業が前提であり、人為的な抜け漏れによってプロセスが途切れることも少なくありません。

顧客対応の現場も、同じ構造的な負荷を抱えていました。問い合わせの中に購買意欲がうかがえても、それを追跡可能な商談として引き継ぐ仕組みがなく、ケースに現れた商談の兆候を自動で拾い上げる導線が存在しなかったのです。結果として営業担当者の手動判断に委ねられ、クロスセルにつながるはずの機会を取りこぼしていました。

さらに、Sales Cloud 側の予測管理が人手に依存していたこと、Service Cloud のナレッジが複数のデータベースに異なる形式で分散していたこと、そして B2B と EC の履歴データが切り離され AI の判断精度を十分に引き出せなかったこと——これらが重なり、組織全体の意思決定を鈍らせるデータの分断が生じていました。

導入の検討にあたり、Agentforce の AI 機能はアドバンテックの意思決定を後押しする決め手となりました。同社は Salesforce を中核に据え、3 つの機能を段階的に導入しています。

Leads Pilot — AI 商談発掘エンジン 問い合わせ履歴、製品ページの閲覧、メールの開封といった Web 上の行動データを AI が自動で読み取り、1 件ごとの要約にまとめます。これにより、大量のリードを人手で選別していた従来の工程が置き換わりました。

Agentforce SDR Agent: 台湾拠点を先行導入の場に選び、営業最前線の担当者の役割を「すべての問い合わせを捌く」から「価値の高い商談に集中する」へと転換しました。AI が一人ひとりに合わせた開拓メールを自動生成し、Hot / Warm / Cold の温度感を統一基準で判定します。条件を満たしたリードは自動で商談へと引き継がれ、パイプラインの鮮度と健全性が保たれます。

Service-to-Sellプロセス設計(Service Cloud + Agentforce): 顧客対応チームを「サービス要求に応える部門」から「商談を生み出す最前線」へと位置づけ直しました。新規のお客様からの初回問い合わせでは、AI が会話の記録から購買意欲を読み取り、追跡可能な商談を自動で作成します。既存のお客様への対応時には、AI が状況に応じて最適な製品を提案し、商談の起票とアップセルの推奨を能動的に行います。商談とケースはひも付けて管理され、部門をまたいだやり取りがそのまま Salesforce 上に蓄積される仕組みです。

アドバンテックにとって、営業プロセスの各段階に AI を組み込むことは、単に新しいシステムを入れ替えるという話ではありません。お客様との対話のあり方そのものを定義し直す取り組みです。Agentforce  によって、営業チームは初めて本当に価値のある商談に時間を使えるようになりました。同時に、顧客対応が問題解決にとどまらず、商談の芽を自ら見つけ出す最前線へと変わりつつあります。これこそが、AI の波の中でアドバンテックが先頭に立ち続けるための鍵だと考えています。

Gary Lee氏
アドバンテック, デジタルマーケティング本部 本部長

アドバンテックは Sales Cloud、Service Cloud、Agentforce を組み合わせ、単一のプラットフォーム上で営業と顧客対応をつなぐ体制を構築しました。Leads Pilot は 5 言語に対応し、18 か所を超える海外拠点で同時に運用されています。

また Salesforce は製品の提供にとどまらず、Data 360、DevOps、AI Integrity といった領域で継続的な技術支援を行い、導入の各段階で伴走しました。

以前は、毎日どこまでも続く商談リストと向き合っていました。今は AI が先に一度絞り込んでくれるので、本当に受注の可能性があるお客様に力を注げます。何人かのお客様から『このメールは私のことをよく分かってくれている』という返信をいただいたときは、これまでとはまったく違う手応えがありました。

Alick Ho氏
アドバンテック, デジタルマーケティング本部 顧客関係管理部 部長

より本質的な変化は、顧客対応チームが「問題を解決する側」から「商談を生み出す側」へと役割を広げたことにあります。Service-to-Sell は、いまや日常業務の一部として定着しています。

Leads Pilot は運用開始から 1 か月足らずで 3,000 件を超える AI 要約を生成し、カバー率 100% を達成しました。営業担当者 1 人あたりの月間削減時間は 54.8 時間、事前準備にかかる時間は 40% 削減されています。

SDR Agent を台湾で全面導入した結果、31.6% のリードが自動で商談化され、6% は条件を満たさないものとして自動的に除外、62.4% が SDR のフォロー工程へ引き継がれました。営業最前線の担当者がリード 1 件あたりにかけていた処理時間は約 9 分短縮され、初回接触の自動化率は 100% に到達しています。

顧客対応は、問題を解決して終わりではなくなりました。いまは、次の商談をつかみに行く役割も担っています。導入当初、チームは AI の判定精度を不安視していましたが、システムが的確に商談を拾い上げてくる様子を見て、少しずつ信頼が生まれていきました。営業がお客様より一歩早く、より深く、より正確に理解できるようになる——変わるのは効率だけではありません。お客様の中でのアドバンテックの立ち位置そのものが変わるのです

Gary Lee氏
アドバンテック, デジタルマーケティング本部 本部長

アドバンテックが次の段階で描く営業 AI のロードマップは、3 つの方向に向かっています。SDR Agent による休眠顧客リストの掘り起こし、Marketing Cloud を活用した一人ひとりに合わせたコンテンツ配信、そして Service Agent によるサービス対応の全面的な自動化です。

同じ基準のもとで進めてきた一連の取り組みは、営業と顧客対応の垣根を越えて成果を生み始めています。Agentforce がもたらしたスマート化は今後さらに広い業務プロセスへと広がり、履歴データからの示唆の抽出、地域をまたいだ標準化、そして指標にもとづく運用改善まで——アドバンテックが次の段階のスマート化へ進むための基盤となっていきます。