アドバンテッジリスクマネジメントがSalesforceで進める営業・経営基盤改革

顧客、商材、収益をひとつの視点で捉え、営業企画を「集計」から「戦略」へ進化させる

概要

事業が広がるほど、手作業も増えていく。アドバンテッジリスクマネジメントでは、MA、SFA、ERPが分断され、顧客・商材・収益をひとつの視点で捉えきれない課題がありました。 Salesforceで営業基盤を刷新した同社は、属人的な集計業務から脱却した。営業企画はデータを起点に施策を動かし、営業と経営管理の高度化を進めています。

企業情報

株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは、1995年に団体長期障害所得補償保険、いわゆるGLTDの提供から事業を開始しました。休職した従業員を支える保険を出発点に、同社はその後、休職に至る前の「未病」の段階に着目します。 2002年にはストレスチェックサービスを開始。従業員支援プログラム、EAPの領域において、国内でも早い段階から事業化に取り組んできました。2015年12月にストレスチェックが義務化されたことも追い風となり、現在ではメンタルヘルス、健康経営、両立支援、人的資本、ウェルビーイングなど、企業の人と組織に関わる幅広い課題を支援しています。 同社が目指すのは、特定の領域だけを支援する会社ではありません。働き方や生き方が多様化する中で、人生の多くの時間を過ごす職場において 、企業が向き合うべき課題は広がり続けています。だからこそ同社は、メンタルヘルス、フィジカル、ウェルビーイングを一体で支援し、人と組織の課題に対して総合的な解決策を提供できる、いわば「総合商社」のような存在を目指しています。

成果

- 1,380 時間/年間
レポート集計工数
- 27,600 時間/年間
営業準備時間

成長の裏側で、現場の負荷は静かに増えていく。アドバンテッジリスクマネジメントが向き合っていたのは、成長企業にとって見過ごせない「構造的な課題」でした。同社の事業は、受注後のオンボーディング、顧客サポート、サービス提供、デリバリーまで、多くの業務が連なります。顧客や事業ドメインが増えるほど、そこに関わる間接業務も増えていく 。このままでは、成長そのものが業務負荷を押し上げる構造から抜け出せません。

その背景にあったのが、「システムとデータの分断」です。マーケティングではSMP、営業ではeセールスマネージャー、ERPではSAPを利用し、一部ではKintoneをブリッジとして活用。複雑なデータ連携を維持する一方で、日々の連携やレポート作成には多くの手作業が残っていました。

その分断は、経営判断にも影響を及備します。「マーケティング施策が営業成果にどうつながったのか」 「どの顧客が、どの商材を利用しているのか」 「顧客別・商材別に入収益性やサポート工数をどう見るべきか」 こうした問いに、すぐ答えを出せない。それが当時の大きな課題でした。

営業管理にも、同じような難しさがありました。週次レポートはExcelとマクロによる加工に依存し、営業フェーズや受注確度の定義も部門ごとに異なる状態。確度の表現だけで約100種類が存在し、全社で営業状況を見ているようで、実際には同じ言葉で語れていませんでした 。成長を支えてきたのは、現場の努力です。しかし、その努力に頼り続けるだけでは、次の成長は描けない。同社は、営業、マーケティング、顧客、収益をつなぎ直す基盤づくりへ踏み出しました。

分断されたデータを、顧客起点でつなぎ直す

同社がSalesforceに期待したのは、単なるSFAの置き換えではありません。マーケティング、営業、顧客情報をつなぎ、リード獲得から商談、受注、顧客との関係性までをひとつの流れとして捉えることでした。
SalesforceのAgentforce SalesおよびMarketing Cloud Account Engagementの導入により、これまで分断されていたMA、SFA、CRMの情報を統合。顧客軸と商材軸の双方からデータを見られるようになりました。「どの顧客が、どの商材を利用しているのか」「どの商材が、どの顧客層に広がっているのか」 この可視化により、クロスセルやアップセルの可能性を、経験や勘だけでなくデータから捉えられる基盤が整いました。結果として、これまでデータ収集に追われていたフィールドセールスの情報収集工数を、年間27,600時間削減するという劇的な効率化をもたらしています。

営業企画を「集計」から「戦略」へ

導入前の営業レポート作成は、各システムからデータを取り出し、Excelとマクロで加工する手作業が中心。週次で繰り返されるその作業は、営業企画にとって大きな負荷になっていました。
Agentforce Sales導入後は、ダッシュボードを通じて営業活動や案件状況をリアルタイムに近い形で可視化。営業・事業企画の集計工数を年間624時間、マーケティング部門の集計工数を年間756時間削減し、社内全体で年間1,380時間もの「集計のための手作業」を解放しました 。営業企画は、データを集める作業から、データを読み解き、次の施策を考える役割へと移っていきます。「どの顧客を狙うのか」「どの商材を提案するのか」「どこにKPI上のギャップがあるのか」 Salesforceは、営業企画を「集計する組織」から「施策を動かす組織」へ進化させる基盤になりました。

営業フェーズを、全社共通の言葉にする

もうひとつの大きな変化は、営業フェーズの統一です。以前は、商材や部門ごとに受注確度の定義が異なり、確度の表現だけで約100種類が存在していました。全社で営業状況を見ているようで、実際には同じ基準で語れていない状態だったのです。

Agentforce Sales導入を機に、同社は営業プロセスを顧客視点で再設計しました。見るべきなのは、営業担当者が何回ミーティングをしたかではありません。顧客の意思決定が、前に進んだかどうかです。「顧客がどう動いたのか」「意思決定者にリーチできたのか」 その基準に変えたことで、商談の進捗は全社共通の言葉で語れるようになりました。

顧客視点で進捗したかどうかが全てです。ミーティングを何回繰り返したかではなく、顧客がどう動いたかを見る。意思決定者にどこまでリーチできたかを判断基準に変えたことは、大きかったと思います

吾郷 真治 氏
株式会社アドバンテッジリスクマネジメント, DX本部担当ディレクター DX本部長

アドバンテッジリスクマネジメントがSalesforceを選んだ理由は、機能や価格だけではありません。分断されていたMA、SFA、CRMをつなぎ、顧客や商材を多角的に可視化できること。これは、同社が抱えていた課題に対する直接的な解決策でしたが、Salesforceに見ていた価値は、それだけではありません。
Salesforceが持つ大手企業や金融・保険業界の顧客基盤は、同社のマーケットとも近く、将来的な協業の可能性を感じられるものでした。さらに、自社サービスをAppExchangeに展開することで、新たなチャネル開拓につながる可能性もありました。つまり、同社はSalesforceを、「単なるSFA」ではなく「自社の事業を広げるためのエコシステム」として捉えたのです。
導入後も、その価値はプロダクトそのものにとどまりません。活用事例の共有や、DataSpiderなどサードパーティ製品を含めた提案が、同社の課題解決を後押ししました。現在は、ERP(基幹業務)をSalesforceプラットフォーム上で動く「ソアスク」への移行を進め、営業基盤からERPまで活用領域を広げています。さらに、インサイドセールスの入力重複を無くすなどして全社で年間31,668時間もの創出効果を生み出しつつ 、生成AIやAgentforceによるデータ加工、将来的なデータ活用の高度化にも期待を寄せています。Salesforceは、同社にとって「営業改革を支える基盤」から、「次の成長を受け止めるプラットフォーム」へと進化しつつあります。