コンピューターで作業しているディスパッチャー

ディスパッチ管理とは – 効率化のヒント

フィールドサービスでディスパッチ管理の業務効率を高め、コストを削減し、ディスパッチャーと顧客のエクスペリエンスを向上させる方法を紹介します。

Sophia Le-Dimitrova

ディスパッチ管理は、フィールドサービスの依頼に対応するために、リソースのスケジュール設定、管理、トラッキングを支援するプロセスです。Salesforceの調査では、消費者の72%新しいウィンドウで開くが、サービス対応が速い企業と優先的に取引を続けたいと回答しています。顧客が必要とするときに最適なサポートを提供しなければならないディスパッチャーは、常に重圧にさらされています。

ディスパッチャーの仕事は簡単ではありません。顧客の期待に応えながら、フィールドサービスを管理するのは、骨の折れる仕事です。非常に忙しく、スピードを求められ、ストレスも大きくなります。

そして、日々さまざまな問題が発生します。ディスパッチャーは、多様なサービス予定をさばき、1つの依頼に対して複数の契約業者やスペシャリストを見つけ、自然災害などの緊急事態にも対応しなければなりません。すべてを効率よく管理するのは、至難の業です。 

主要なディスパッチ管理機能を備えた、優れたフィールドサービス管理ソフトウェアがあれば、ディスパッチャーの負担とストレスを軽減できます。このソリューションは、自動化、AI、データを活用して、プロセス全体を効率化します。さらに、ディスパッチャーは、現場作業を担当する社員と契約業者(英語)の空き状況、スキル、訪問先までの距離を1つの画面で把握できます。

この記事では、ディスパッチ管理の詳細と、フィールドサービス管理ソフトウェアで派遣プロセスを効率化し、効果を高める方法を紹介します。

ヘッドセッService Cloudのピンクのハートロゴを抱え、緑の広場に立つSalesforceマスコットのAstro。

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ディスパッチ管理とは

大まかに言うと、ディスパッチ管理は、リソースのスケジュール設定、作業計画、トラッキング全般を総括し、迅速で効率的かつ効果的にフィールドサービスを提供するプロセスです。ディスパッチ管理の対象となる業務は、修理、設置、整備、緊急対応、在宅医療、保険請求に対する調査、配達などが含まれます。

リソースとは作業員、ツール、部品、機器、車両などさまざまです。ユースケースは、住宅の配管修理から企業向けのソーラーパネルの設置、医療用超音波機器の予防保守(英語)、自然災害や停電に対応する技術者や緊急スタッフの再配置など、多岐にわたります。

依頼の内容や業界にかかわらず、ディスパッチ管理の目標は、リソースを最大限に利用してコストを最小化し、顧客が必要とするときに優れたサービスを提供することです。そのためには、まず顧客に最適な現場担当者を割り当てる必要があります。「最適」とは、割り当てられた現場担当者が、適切なスキルを持ち、ツールや機器、車両を備え、空き状況やその他の要件を満たしており、顧客が初回から迅速で完璧なサービスを受けられることを意味します。

タブレットで作業するフィールドサービス担当者

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ディスパッチ管理の重要性

急ぎか、急ぎではないかにかかわらず、誰でも待つのは嫌なものです。サービス依頼の管理方針が、「先着順」だとしたらどうなるでしょう。現場担当者全員が同じエリアで優先度の低い作業に従事していて、少し離れた場所の優先度の高い依頼に対応できないという事態に陥るかもしれません。

ディスパッチ管理を効果的に行えば、次のことが可能になります。

  • 顧客のニーズとリソースの空き状況にもとづいて、サービス予定の優先順位を決定する
  • 現場担当者のために効率的なルートを特定、計画し、提供する
  • リアルタイムのイベントに応じて、現場担当者のスケジュールとルートを調整する
  • 時間どおりに完璧なサービスを提供し、顧客満足度を高める
  • 移動時間を短縮し、現場担当者の満足度を高める

フィールドサービスの成功は、効果的なディスパッチ管理にかかっています。手当たり次第に仕事を片付けていく方法と、チームを効率よく活用して、顧客体験を最大限に向上させる方法では、違いは明らかです。

ディスパッチ管理のメリット

ディスパッチ管理には、さまざまなメリットがあります。そのうちの3つを見てみましょう。

  1. 業務効率の向上 – 最適なリソースを割り当てれば、生産性が向上し、ダウンタイムが減少し、初回解決率が上昇します。業務効率を向上させることで、効果的なサービスを提供できます。
  2. コスト削減 – ルートの最適化、移動時間の最小化、遊休時間の削減により、燃料費、残業代、その他の運用費を抑えられます。移動時間が減れば、フィールドサービスのサステナビリティが向上します。
  3. 顧客満足度の向上 – 依頼に迅速に対応し、訪問予定を厳守して、サービスを完了させることで、顧客満足度(CSAT)とロイヤルティが向上します。さらに、新しい商機につながる可能性もあります。

つまり、効果的なディスパッチ管理によって、業務全体のパフォーマンスと顧客体験が向上するのです。

派遣プロセスとは

派遣プロセスは、依頼の受け付けから作業完了後のデータ分析まで、フィールドサービスのあらゆる側面に関わっており、効率を向上させて、リソースを最大限に活用することを目指しています。ディスパッチャーは、刻々と変化し、重なる作業の優先度を調整して、すべての業務を円滑に進める必要があります。

大別すると、一般的な派遣プロセスには以下のタスクが含まれます。

  • 依頼の受け付けと割り当て – 派遣プロセスは、顧客からのサービス依頼で始まります。ディスパッチャーは、依頼の種類、場所、具体的な要件など、必要なデータをすべて収集します。その後で、技術者の空き状況、スキル、目的地までの距離、キャパシティを考慮して、最適なリソースを割り当て、迅速な対応に努めます。
  • スケジュールとルートの設定 – ディスパッチャーは、時間的制約、優先度、効率性といった要素を考慮して、割り当てたリソースのスケジュールを作成します。また、交通状況のパターン、距離、天候などを踏まえ、現場担当者が最も効率よく移動できるルートを決定します。
  • 連絡とモニタリング – 現場担当者の移動中、訪問先での作業中はもちろん、作業の完了後もディスパッチ管理は重要です。現場担当者と常に連絡を取り、重要な最新情報を提供して、リアルタイムでフィールドサービスをサポートします。ディスパッチャーは、訪問先への移動時間、初回解決率、CSATなど、フィールドサービスの重要指標(英語)を確認して、パフォーマンスや効率の向上、収益の拡大につながる改善点を見つけることができます。

適切な派遣プロセスには、多数のステップと要素が影響します。ディスパッチ管理機能を備えたフィールドサービス管理ソフトウェアを導入すると、どのように業務が容易になり、効率と効果が向上するのかを見てみましょう。

フィールドサービス管理ソフトウェアのディスパッチ管理機能

優れたフィールドサービス管理ソフトウェアは、主要なディスパッチ管理機能を備え、ディスパッチャー、顧客、企業にメリットをもたらします。このソリューションは、サービス依頼、リソース、スケジュールの割り当て、最適化、管理プロセスを自動化し、効率性を高めます。

ディスパッチャーは、ディスパッチコンソール画面で現場担当者の詳細情報をリアルタイムで確認し、自動化とAIを活用してスケジュールを最適化します。これにより、顧客は必要なときに適切なサポートを得ることができます。生成AI機能があれば、ディスパッチャーの業務をさらに効率化できます。

フィールドサービス管理ソフトウェアを利用すれば、変化するビジネスニーズに対応し、業務を拡張して、増加するフィールドサービスの依頼を効果的に処理できます。

では、フィールドサービス管理ソフトウェアがどのように機能し、ディスパッチ管理を向上させるのかを見てみましょう。

  • ディスパッチャーの生産性を向上 – ディスパッチコンソール画面があれば、リソースを簡単に管理できます。現場担当者の不在情報を作成、更新して、空き状況とスキルにもとづいて整理し、作業に最適な技術者を特定できます。
  • スケジュールの自動化 – ディスパッチ管理には、スキル、リソースの空き状況、作業データ、保証情報、業務経験、目的地のデータ、サービスレベル契約などの入力情報が必要です。ディスパッチャーは、こうした入力情報と具体的なビジネス目標、プロセスにもとづいて、自動化ツールでスケジュールを作成します。
  • 生成AIによる効率の向上 – 業務の流れのなかで対話型AIアシスタントを利用することで、ディスパッチャーの生産性が向上します。AIアシスタントに依頼するだけで、まだスケジュールが設定されていない訪問予定を見つけて日時を決めたり、サービス訪問の概要を作成したり、ナレッジベース記事(英語)から回答を生成して顧客の質問を迅速に解決したりできます。
  • 現場担当者の毎日のスケジュール最適化 – ディスパッチャーは毎日、最適化プログラムを起動して、現場担当者と顧客からのリアルタイム情報とスケジュールを同期させます。これによってスケジュールが最適化され、移動時間、ダウンタイム、残業が減り、サービスの提供と生産性が向上します。
  • 意思決定の自動化 – ディスパッチ管理は、ビジネスルールと最適化目標に即したアクションにより、意思決定プロセスを自動化します。既存のガイドラインやパラメーターに抵触する場合は、ソフトウェアが警告を発して、問題が検出されたことを通知します。最終的な決定は、ディスパッチャーに委ねられます。
  • 予測と計画 – ディスパッチ管理者は、リアルタイムデータを使って、全体的な最適化、または特定の日の最適化が移動時間とリソースの稼働率に与える影響を評価できます。スケジュール設定の方針を調整する際に、最適化の結果とKPIの変化を即座に確認できます。
  • 移動時間の短縮 – ディスパッチャーは状況の変化にすばやく対応して、遅延を減らし、サービスレベルを向上できます。ルート最適化機能は、予測分析によって現状に合った最適ルートを作成します。交通状況のパターンと道路状況を考慮したルーティングで、移動区間を細分化し、正確なスケジュール設定を可能にします。
  • モバイル機能の利用 – 現場担当者は、スケジュールの変更、作業の状況、顧客情報など、どこにいてもディスパッチャーから最新情報を受け取ることができます。また、モバイルデバイスから最新情報を登録できるので、その情報に応じてディスパッチャーがスケジュールを変更できます。さらに、自動化により経費の記録やタイムシートの提出といった雑務を処理できます。

ディスパッチ管理で成功の基盤を築く

ディスパッチ管理を適切に行うには、さまざまな要素を考慮しなければなりません。しかし、ディスパッチ管理機能を備えたフィールドサービス管理ソリューションがあれば、プロセスが簡単になり、効率性と成果が向上します。ディスパッチャーと顧客の体験が向上し、将来を見据えたフィールドサービスを実現できます。