株式会社エレックス極東

全社的なDXの加速と、
データドリブン経営の実現に向け、
Salesforceの活用を推進

電気設備の保全業務をiPadで完結できるアプリをHerokuで開発。
業務プラットフォームをSalesforceに一本化する計画に向け、
システム移行と周辺ソリューションの活用を進めています。

株式会社エレックス極東(以下、エレックス極東)は、電気設備の保安・保全サービスを中心にビジネスを展開するエンジニアリング企業です。名古屋市に本社を置き、中部地方のほかに関東、九州、東北へと展開。成長する事業を支えるため、Sales Cloudを業務プラットフォームとして活用しながら、長く使ってきたシステムを段階的にSalesforceへと移行しています。同時に、Sales Cloudを中心に他Cloud製品も積極的に採用し、業務の効率化を図りながら活用を深めています。
この事例コンテンツでは、Herokuで構築したメンテナンスシステムや、Sales Enablement (旧: myTrailhead)、Tableauの活用など、同社の最新の取り組みについて紹介します。
 
 

1. iPadで点検業務を完結できる「eデータ」を開発

エレックス極東は電気設備保安管理業務において、顧客企業の自家用電気工作物に技術スタッフが出向き、その状況をコールセンターとバックオフィスがすみやかに共有する万全のサポート体制を取っています。顧客サイトに設置されている電気設備の最新状況と過去のメンテナンス/問い合わせ履歴、図面やマニュアルなど、あらゆる情報を全社で共有。点検が終われば作業報告書を作成し、顧客にわかりやすいフォーマットで最新情報を伝えます。

かつて、このプロセスはシステム化されていませんでした。報告書の作成は技術スタッフの手作業。点検項目は同社の基準を充たせてはいたものの、点検データの作り方は一部で属人化され、担当者のスキルによって内容の深みに差異が見られました。手作業が含まれるプロセスが多く、コールセンターやバックオフィスとの情報共有にタイムラグが生まれることも課題でした。

それを解決したのが「eデータ」です。iPadを使って点検業務プロセスを完結させる仕組みで、開発プラットフォームにHerokuを利用しています。

品質検査部 デマンドセンター エンジニアリングマネージャー増田 岳大氏は、「現場には電波の届かないところがありますし、万一キャリアの障害対応などが発生した場合、確実に電波は届きません。そのような環境で作業をする場合、一旦iPad内にデータを保存し、ネットワークに接続されるとすぐに情報連携を図れるようなシステムである必要がありました」と話します。

ローカルでも作業をできるようにする”という命題から、同社はHerokuの採用を決定。Salesforceで保存している情報とシームレスに連携しながら、iPad環境で作業を完結できるシステムを作り上げました。

品質検査部 デマンドセンター近藤 浩之氏は、「Herokuは、iPadの入力画面をそのまま再現しながら開発を進めることができます。ユーザーインターフェースを見ながら改善できるので、修正をしやすく、開発効率の高いプラットフォームだと感じました」と話します。

技術スタッフには、資格と優れた技術を持つ定年退職者が数多く含まれ、高齢のスタッフも珍しくありません。PCとキーボード入力には不慣れな人も多いといいますが、利用しやすいユーザーインターフェースを実装したことで、そういった方もすぐに使いこなしてくれます。eデータが稼働したことで、情報連携の加速、報告書作成など手作業部分の自動化、業務の標準化による属人性の排除を実現。点検業務のプロセスを大幅に効率化することができました。

「コロナ禍で全体会議にWeb会議システムを使うようになったのですが、全員がiPadに慣れているため、極めてスムーズに移行できました。自宅から現場に直行直帰し、自分のペースで点検したいという方も多く、多様な働き方をサポートできるようになったのはeデータを使っていたおかげです」

eデータは、概算で労働生産性10%向上、付加価値額20%向上に寄与しています。

 
 

2. 業務の可視化を進めるとともに、全社員が全仕事を自分ごとに

エレックス極東では、ビジネスの成長に伴い、拠点も社員数も増加しています。社員のスキルレベルを高めるための教育は最優先課題で、そのためにSales Enablementを活用しています。

Sales Enablementは2021年春に導入し、2022年5月末時点で142コンテンツも制作しています。就業規則や業務方針など全社員が対象のコンテンツもありますが、大半は技術的な内容を記した作業手順書など。いまでもコンスタントに毎週2本のコンテンツを制作しており、5本のコンテンツをアップした週もありました。すべてのコンテンツは全社員に公開し、SalesforceのTrailheadと同じ仕組みで運用。講座を受講することでバッジを受け取ることができます。

近藤氏は、「SalesforceのTrailheadのようにしっかり学んで踏み固めていく“トレイル感”の醸成はまだこれからですが、興味を持って取り組んでくれている社員は多いです。TrailheadとSales Enablementを合わせて400以上のバッジを取得している人も居ます。現時点でのトップの社員は500バッジです」と話します。

 
 
 
 

更新は週に1度。毎週新たなコンテンツが加えられます。受講状況はレポートとダッシュボードで一覧できるようにしています。


Salesforce以外のシステムに登録されているデータを含めて業務情報をビジュアルに確認する際には、Tableauを活用しています。品質検査部 デマンドセンターのセンター長を務める後藤田 英人氏は「導入直後、2か月後の経営計画発表会をTableauでやるというプロジェクトが始まりました」と話します。実際に使ってみたことで、Salesforceのレポートやダッシュボードにはない分析機能の有用性を確認。いまでは週次の部門会議もTableauで実施するようになりました。

Tableauでガントチャートを作り、スケジュールの管理を行う使い方も浸透してきました。活用が進んだことで、各拠点のトップが数値目標を示し、その数値をプロジェクトに落とし込んで共有する文化も生まれました。後藤田氏は、「数字として共有できるようになったことで、社内の雰囲気は変わってきました。これがTableauの最大の価値だと考えています」と話してくれました。

 
 
 
 

3. Notesを撤廃し、Salesforceへの一本化を図る

保安管理業務では、複数年契約をするケースも多く見られます。しかしながら、現在同社の受注情報は長年使い続けているNotesに登録されており、“1年後、2年後、数年後に確実視できる売上”は把握しづらい状況になっています。

品質検査部 デマンドセンター神戸 雄介氏は、「データドリブン経営を実現しようと会社として取り組んでいる中で、この状況は課題になっています。これまでもNotesから段階的にSalesforceへの移行を進めてきましたが、受注部分をうまく移行できれば終わりが見えてきます。なんとか2022年度中にはSalesforceに一本化したいと考えています」と話します。

経営トップの方針にもデジタルが盛り込まれ、DXという言葉が会議で飛び交うこともあります。近い将来、技術スタッフや営業スタッフへのPC配布をやめ、iPadで仕事を完結できるようにすることも計画中です。

神戸氏は、「PCを配布するにあたっては、単純なコスト以上にPC資産管理やアプリケーションのインストール/アップグレードなど、バックオフィス部門の作業負荷がかかっています。Salesforceをプラットフォームとして、全員がiPadで仕事をできるようになって、空き時間にデータ入力もできるようになると、働き方はもっと自由になるはずです」と話してくれました。

 
 
※ 本事例は2022年3月時点の情報です
 

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