マネーツリー
“大切だけれども自分でするのは大変な部分をHerokuに任せることで、エンジニアが本業に専念できる。Herokuなら『Moneytree』を作れると確信しました”
Herokuを基盤としてサービスを展開し、短期間で“フィンテックの象徴”へと飛躍!
一方、企業向けとしても、運営元のマネーツリー株式会社(東京都渋谷区)は2015年1月から、「Moneytree」の技術を用い、各種金融データを1つのAPIにまとめて既存システムに接続するサービス「MT LINK」の提供を開始。弥生やTKCなどの会計業界大手、さらには日本アイ・ビー・エムやみずほ銀行といったIT・金融業界の大企業による採用・協業が相次いで発表され、まさに近年の“フィンテック躍進の象徴”として反響を呼んでいる。
「起業時の社員数は3名。もしHerokuを利用していなければ、『Moneytree』を 1年間で開発し、これほどの実績を上げることはできなかったでしょう」
そう語るのは、創業メンバーのひとりで専務取締役のロス・シャロット氏だ。セールスフォース・ドットコムの提供する、カスタムアプリケーションをクラウド環境で開発・運用するためのプラットフォームHerokuは、果たして同社のビジネスにおいてどんな役割を担っているのだろうか?
サーバ構築をホスティングし
エンジニアが本業に専念
「『Moneytree』の開発当初から、APIをいかに管理するかが課題でした。サーバの設定やパッチマネジメントなど、避けて通れない問題がいろいろあり、とにかく人手と時間が足りなかった。そこで、それらをホスティングできるプラットフォームとしてHerokuを使ってみることにしました」(シャロット氏)
いわば“様子見”の形で開発を始めた同社。しかし、Herokuを使えばそれらの問題を一挙に解決できるとすぐに気づいたという。
「たとえばHeroku Postgresというデータベースサービスを利用すれば、フォロワーデータベースなどの自分ではなかなか作りづらい機能を本当に簡単に作れます。セキュリティパッチなど、大切だけれども自分でするのは大変な部分をHerokuに任せることで、エンジニアが本業に専念できる。Herokuなら『Moneytree』を作れると確信しました」(シャロット氏)
利用状況に応じたサーバ運用
パフォーマンスを一元的に監視
予定通り同社は、1年の開発期間で「Moneytree」をリリース。その後、ユーザー数が2週間で一気に2万人を超えるという想定外の事態に直面するが、その際にもHerokuの機能は大いに役立った。
「Heroku Postgresは、必要に応じてサーバの大きさを選べるので、利用量の急激な増減にも柔軟に対応できます。たとえば、利用量の多い昼食時や給料日にはスケールアップし、夜中にはスケールダウンする、といった運用により、サーバのコストを抑えられるわけです」(シャロット氏)
また、アプリケーションのパフォーマンスに関しても、HerokuアドオンのNew Relic(米New Relic社)を使って容易に監視できる。
「APIやアプリのデータなど、すべてのログをひとつのシステムで確認できるので、問題があればすぐにわかる。これはクラウドネイティブなサービスにとって非常に大事なことです」(シャロット氏)
4年間でアプリ100万DLを達成!
「もしHerokuがなかったら……」
Herokuを基盤としてビジネスを展開し、起業から4年あまりでフィンテックの代表的企業へと成長を遂げた同社。「Moneytree」のダウンロード数はすでに100万件を突破し、「MT LINK」の採用企業も2016年内に20社に達する見通しだ。
「Herokuがデータベースやセキュリティのエンジニア3名分以上の働きをしてくれているので、弊社のエンジニアはアプリの開発や機能追加に専念でき、アプリのバージョンアップを4年間で40回以上行うことができました。Herokuがなければ今の『Moneytree』はなかったと思っています。
弊社のようなスタートアップにとって何より大切なのは、自社の強みを磨くこと。それ以外のことはなるべくHerokuのような優れたサービスにホスティングして、プロダクトの開発に集中すべきではないでしょうか」(シャロット氏)