お客様やパートナー様に使っていただくシステムですから、もっと軽快に開発・運用できないだろうかと考え続けてきました。基盤にとらわれることなく、良いアプリを作ることに集中してサービスを提供するようなイメージです。Herokuの存在を知って、すぐに試してみることにしました”

 

SOMPOホールディングスは、オープン技術の積極的な採用や、東京および米国シリコンバレー、イスラエルの3拠点のSOMPO Digital Lab開設などで注目を集めている。

SOMPOシステムズは、そんなSOMPOホールディングスグループの戦略的IT企業であり、高い技術力をコアにグループ企業のデジタル技術活用を支援している。

同社のデジタル戦略本部eマーケティンググループは、顧客が直接利用するシステムを中心に、一部パートナーが利用するシステムも担当する。たとえば、私たちは損保ジャパン日本興亜の公式ウェブサイトからPCやスマホで新・海外旅行保険【off!(オフ)】に加入できるが、すべてインターネットで完結するこのプロセスは、デジタル戦略本部の仕事だ。

統括担当部長 渡辺 英司氏は、「グループが成長するためには、さまざまなサービスを提供する必要があります。われわれもテーマを決めて開発に取り組んでいるのですが、現場からは要望が次々に上がってきます。開発プロセスをより高速にすることで、現場のニーズを少しでも多く充たせる体制を構築することが課題でした」と話す。

同グループのシステム基盤は、セキュアかつミッションクリティカルなものだ。24時間365日の運用に耐え、高い信頼性、可用性および保守性を備えている。一方、新規開発には制約がある。他システムとの連携は基盤の改修を伴うため難しく、システムそのものの改修から本番反映にも一定の手続きを経る必要があるためどうしても時間を要してしまう。

 

同社がHerokuを知ったのは、2017年6月のこと。セールスフォース・ドットコムからの提案がきっかけだった。同社はセールスフォース・ドットコムの提供するCRMの大規模ユーザーではあるが、Herokuについては初耳だったという。製品コンセプトを知るにつれ、「これを使えばすごく楽になるかもしれない」と気づいた。画面デザインを含め、すべてを素早く開発し、すぐにリリースできる。業務適用の可能性を検討した同社 デジタル戦略本部の趙 暘(チョウ ヨウ)氏は、「最初はフリーの個人向けエディションを触ってみました。システムの構成もLinux+PostgreSQLでOSSを中心にやってみて、投資額ゼロで、たった数日で評価用WEBシステムを構築できました」と話す。

また、「Herokuと現行基盤を連携させてファイル/データ転送できるかどうかの確認や、セッションの持ち回り、Amazon S3に保存したファイルのバッチ転送などについても検証しました。大規模システムの開発に耐えられるフィージビリティの検証も行いました」とデジタル戦略本部の藤本 悠司氏は話している。

企業向けライセンス購入にゴーサインが出た後、最初のプロジェクトは「等級シャッフル」だった。RDBMSを使用せず、アプリケーション・レイヤーだけで処理が完結するサービスだ。これは主に代理店が利用するアプリで、複数自動車を保有する個人顧客が自動車の買い換えや買い増しにあたって過去の保険等級を引き継ぎながら、契約者に最も有利になる保険料を算出する。たとえば、小型車3台を保有している契約者が、1台を高級車に買い替えた際に、保険規定を守りながら3台のうちのどの車の等級を引き継ぐのが割安で有利になるのかといった情報を提供できる。利用する代理店は、画面に数値データを入力するだけで結果を得られる。

「最初は軽いものから試してみることにしました。Herokuには“30秒ルール”があり、レスポンスまでに30秒かかるリクエストはタイムアウトになります。保有台数が9台になると約36万通りの演算処理を行うため、それだけが心配だったのですが、レスポンス時間はわずか2秒程度でした」(デジタル戦略本部 山村 祥英氏)

開発は、同社として初めてアジャイル型で実施した。スプリント計画を2週間×4回に設定。当初はUIを固め、複雑な計算式をJavaで実装。8週間で仕上げた。しかし、そこで新たに規定チェックを見直す必要がある大きな仕様変更が発生したため、新たに1スプリントだけを追加し、合計10週間で「ボタンを押せば見積書の出てくる仕組み」を開発・リリースすることができた。ユーザから見ると簡便なツールだが、この1スプリントの追加で、高度な保険料見積書自動作成ツールへと進化させる事ができたのだ。

開発にあたったデジタル戦略本部の林美歩氏は、「土壇場で要件が変わっても、1スプリントの追加で済んだことが大きかったです。ウォーターフォール型で開発を進めていれば、この期間で開発を終えられなかったはずです」と話している。

同社はこの開発において、それまでのウォーターフォール開発向けの品質報告書の作成や第三者レビューを廃した。アジャイルに合わないためで、その代替として毎日20分かけて行うデイリースクラムの場にレビューアーにも参加してもらうことにした。こうした柔軟な発想によるプロセス改革も、初めてのアジャイル開発を成功に導いた。

次に手がけたのは、大手旅行代理店が顧客に海外旅行保険を販売する際に使うシステムだ。オンプレミスの仕組みとして提供していたものを、Herokuで開発する新システムに移行することになった。画面数250、ソースコードは90万ステップに及ぶ規模のシステムだ。何度もマイグレーションしているシステムであり、この開発においてHerokuによる開発効率の高さが数値的に実証された。

前回のマイグレーションにあたり、開発期間は1年半を要した。これに対して、今回は2017年11月に開発をスタートし、翌18年5月末にはサービスインしている。開発コストは、ハードウェアが不要になったことを含めて2分の1以下になった。維持費も半減する見込みだ。「この開発はRDBMSも利用し、既存のシステム基盤とも接続するものです。Herokuを立ち上げると、すぐに環境が整うため、スムーズに進めることができました」(デジタル戦略本部 横堀 太郎氏)。

続いて同社は、大規模なプロジェクトにHerokuを適用中だ。このプロジェクトでは、基幹系システムのプロセスや、そこに蓄積されたデータとの連携も必要になる。クリティカルな部分をウォーターフォール型、UI周りをアジャイル型で進めるハイブリッド開発で進めているという。

渡辺氏は、「今後も、顧客向けの新しいサービス開発ニーズが出てきたときに、Herokuは有力な選択肢になるでしょうし、われわれがこなせる案件数は確実に増えるでしょう。基幹系と連携する部分についても、開発を終えて接続しても問題ないものについては、Herokuを使っていきたいと考えています」と話している。

 
 
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