知っておきたいパーソナライゼーションの基礎知識

投稿日:2020.4.9
近年、マーケティングの分野で話題となっている「パーソナライゼーション」。ひとりひとりの顧客に対して最適化されたアプローチをかけるこの手法は、企業が顧客とつながるために不可欠とされています。
ここではパーソナライゼーションの概念と、その必要性を解説します。

パーソナライゼーションとは?

パーソナライゼーションやパーソナライズは、マーケティングの分野でよく使われるようになった用語です。これは、多種多様な顧客に対して画一的な接し方をするのではなく、個々の顧客のニーズや関心、行動までも勘案し、コミュニケーションの内容も含めてマーケティング活動を最適化することを指します。

身近に存在するパーソナライゼーションの例

パーソナライズの例は、ちょっと注意していれば、数多く見つけることができます。一番身近な例は、ネットの検索結果です。

Googleでは、同じキーワードで検索をかけても、ユーザーによって表示される結果が異なります。これは、個々のユーザーの閲覧履歴から、興味・関心が高いと推測されるものを優先して表示するためです。同様のしくみはYouTubeのような動画サイトにも使われていて、ユーザーが興味を抱きそうなコンテンツを「おすすめ」として表示してくれます。

また、ECサイトなどで表示される、「レコメンド」や「おすすめアイテム」なども、ユーザー自身の興味や関心に沿ってパーソナライズされたマーケティング手法です。

ただ、こうしたコンテンツの関連づけは、ユーザーの興味の対象を正確に絞り込むことで効果を表すため、そのポイントを外してしまうと、かえって的外れなものになってしまいます。ですから今後は、より緻密で正確なパーソナライゼーションが必要とされることでしょう。

なぜパーソナライゼーションが必要なのか?

すでに広く実践されているパーソナライゼーション。しかし、なぜそれが必要とされ、重視されるようになったのでしょうか。その背景には、インターネットの普及が大きく関わっています。

インターネットの広がりによって、従来のマーケティング手法が限界を迎えてしまったのです。

マスマーケティングの限界が見えてきた

過去、マーケティングの主流はマスマーケティングでした。

新聞、雑誌、ラジオ、テレビ。大型のメディアに情報を載せ、一度に多くの人々に届ける。それがマーケティングの中心的手法だったのです。雑誌のカラーページに全面広告を載せ、テレビのゴールデンタイムにCMを流す。もちろん、膨大なコストがかかりますが、それ以上の反響を得ることができました。

しかし、PCがオフィスから一般家庭にも入り込み、2000年代に入るとインターネットが爆発的に発達し、それまでのマーケティング手法が通用しなくなる時代がやって来ます。つまり、マスマーケティングの限界が見えてきたのです。

マスマーケティングの時代、情報は発信側から受信側へと一方的に流されるものでした。家庭内のテレビやラジオは情報を受信することはできても、発信や検索はできません。情報の受け手がみずから情報を取りにいくということは、ほぼ不可能な時代でした。

しかし、ネットの登場と普及によって、この情報流通の構造が革命的な変化を起こします。欲しい情報を自分自身で探し、発掘することができるだけでなく、個人が世界に対して情報を発信することもできるようになったのです。この変化によって、一方的なマスマーケティングの効果に衰えが表れるようになりました。

価値観の多様化が、個別対応の重要性を高めた

マスマーケティングの時代にも、多様な価値観は存在しました。その多くはマスメディアによって与えられたもので、消費者ができるのは「与えられたものの中から選択すること」でした。

しかし、ネットの普及は個人発の価値観や趣味嗜好を生み出し、それを発信することでトレンドを作ることも可能にしました。結果として従来以上に多くの価値観が生まれ、それが尊重される気風も形成されてきました。こうした層に対しては、画一化されたマスマーケティングが効果を及ぼすことはできません。そのために、個々人に対する個別のアプローチの重要性が増していったのです。

エンゲージを高めリピーターを増やす、上質な顧客体験

情報流通の変革と価値観の多様化は、マスマーケティングの衰退とともに消費者に変化をもたらしました。それは、セールスフォース・ドットコムが行った調査にも、はっきりと表れています。

この調査は、2019年4月、北米と欧州、豪州、アジアの一部の国々を対象に行われました。その結果、「顧客体験の重要性が、かつてないほどに高まっている」ということがわかりました。

<顧客体験に関する調査結果>

  • 企業が提供する体験は、製品・サービスと同じくらい重要である:84%
  • 特別な体験を一度体験すると、他社への期待も高くなる:73%
  • 上質な体験が得られるなら、多少値段が高くても許容する:66%

つまり顧客は、モノやサービスと同じくらい上質な顧客体験を求めており、そのためなら少々割高でも構わず、一度上質な体験を経験すると、他社へのハードルも上がると考えているのです。

つまり、上質な顧客体験を提供することが顧客とのエンゲージを高め、リピーターを増やすことにつながるというわけです。

上質な体験が購買判断と企業評価を左右する

先の調査でわかった「上質な体験」を紐解いていくと、顧客が企業に対して求めているのはパーソナライズされた対応だということがわかります。自分のニーズや希望を理解し、毎日の行動に合わせた対応を望んでいるのです。

ECサイトで買い物をするにしても、自分の関心や好みに合ったアイテムを紹介してくれることを好み、探し物があれば、3クリック以内で見つかることを求めます。わかりやすく簡単で、心地良い体験を欲しているのです。

こうした上質な体験を得られるかどうかは、購買だけでなく企業への評価にもつながります。前項で紹介した「特別な体験を一度体験すると、他社への期待も高くなる」という回答は、まさにそうした顧客感情を表しています。企業から見れば、「顧客からの評価を得るには、顧客体験の向上を一刻も早く実現することだ」ということになります。

人は「自分を理解してくれる人」を信頼する

人は誰でも、自分を理解してくれる相手に好意を持ちます。反対に自分を理解しない、理解しようとしない相手に対しては、なかなか興味がわかないものです。

企業と顧客とのあいだも同じで、顧客は企業に対して「自分を理解して対応してほしい」と願っています。しかし現実には、そこがうまく噛み合っていないようです。企業の努力が及ばないのか顧客のハードルが高いのかはさておき、先程の調査によると、52%の顧客が「一般的に、企業には人間味がない」と考えています。

自分を、人格のある一個人として理解し、ニーズを尊重して対応してほしい。顧客が求める企業との関係性は、すでにそうしたレベルにまで達しているのです。

パーソナライゼーションの範囲は?

このような顧客の要望を踏まえて、どの領域でどのようなパーソナライズが可能なのかを考えてみましょう。

これは、あくまでも選択可能と思われる対応例ですから、「すべての領域でパーソナライズしなくては!」と考える必要はありません。無理をして失敗するよりも、できる範囲から始め、少しずつ広げていってください。

最適なタイミングでアクションを起こす

メールチェックにしろ、ウェブブラウジングにしろ、行っているタイミングは人によって異なります。パーソナライゼーション初期の段階では、シナリオにもとづいたタイミングで接触するしかありませんが、コミュニケーションを重ねていく中でウェブのアクセス履歴、メールの開封データなどが蓄積され、顧客個人の「好ましいタイミング」が見えてきます。

また、顧客の行動をトリガーにしたコミュニケーションも有効です。ECサイトで商品をカートに入れながら購入しなかった顧客に対して、一定時間内にメールを送付することで、購入率が上がったという例も見られます。

複数のチャネルとデバイスを使い分けたコミュニケーションをとる

現在の顧客はその時々の状況に合わせ、複数のチャネルとデバイスを使い分けています。

移動中はスマホアプリやSNSで手早く、込み入った問い合わせについてはメールで。また、出先ではスマートフォンやタブレットで商品の概略をつかみ、その後自宅のPCで他社製品とじっくり比較する。さらにはリアル店舗に出向いて、アイテムの質感やサイズ感などを確かめ、ECサイトで購入して自宅に配送してもらう。このように、さまざまなチャネルとデバイスを使い分ける一方、特定の手法を好む顧客も存在します。

重要なのは、これらすべての方法を実践することではなく、顧客の希望する時間や手段に寄り添ったコミュニケーションを図ることです。

顧客が求めるコンテンツを提供する

顧客は、画一的なものや万人向けのものには興味を示しません。自分にふさわしく、ライフスタイルや価値観にフィットしたものを好みます。

ですから、企業が提供するさまざまなコンテンツについても、個々の顧客に対してパーソナライズされたものであれば、顧客は興味を示し、積極的に情報を得ようとするでしょう。

こうしたコンテンツを作ることは簡単ではありませんが、最初の一歩として重要なのは、顧客を理解することです。そして、そのための情報を集め、パーソナライズに活かせるものを取捨選択した上で、的確なプランを立て、構築していくことです。

多くのテストを繰り返して、ブラッシュアップを重ねれば、そのコンテンツは少しずつ、顧客の求めるものに近づいていきます。

企業が顧客とつながり続けるにはパーソナライゼーションが重要

企業と顧客との接点は、あらゆるところに存在します。チャネルとデバイスをまたぎ、デジタルとアナログの両面にわたっています。これらの接点で交わされるコミュニケーションのすべてを個々の顧客の好みに合わせてパーソナライズすれば、それは上質な顧客体験といえるでしょう。

そして、上質な顧客体験を提供できれば、企業は顧客から好まれ、評価され、他社の対応が物足りなく感じられるようになるかもしれません。

今回ご紹介した調査結果からもわかるように、パーソナライゼーションは個々の顧客とのエンゲージを高めるための重要な要素であり、エンゲージを高めて顧客をより深く理解することで、より正確かつ緻密にパーソナライズすることができます。

企業と顧客が相互に信頼し合い、つながり続けるためには、パーソナライゼーションを意識したコミュニケーションをとり続けることが、重要な意味を持つのです。

 

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