One to Oneマーケティングの基礎知識

投稿日:2020.4.9
近年、広く知られるようになったOne to Oneマーケティング。個々の利用者に最適なアプローチをかけることで、マーケティング活動の効果を最大化する手法です。
ここでは、One to Oneマーケティングの概略とおもに使われる手法、ツールについてご紹介します。

One to Oneマーケティングとは?

One to Oneマーケティングとは、消費者ひとりひとりの購買傾向からニーズを読み取り、個々に対して最適なコミュニケーションを行うマーケティング活動を指します。

インターネットの登場以前は、新聞や雑誌、テレビといったマスメディアが情報伝達の主流でした。そのため、企業と消費者のそれぞれが持っている情報の質と量には大きなギャップがあり、消費者は限定的な情報しか得ることができなかったのです。また、企業と顧客との接点は少なく、コミュニケーションも画一的なものに過ぎませんでした。

しかし、インターネット社会の実現によって、個人が収集できる情報が飛躍的に増え、嗜好は多様化し、消費者ニーズの幅が大きく広がることになりました。さらに、PCとスマホの急速な普及によって、企業と個人とのコミュニケーションが大きく変わり、両者の接点も電話だけでなくメール、SNS、チャットなど、広がりを見せています。

こうした状況の中から生まれたのがOne to Oneマーケティングです。

One to Oneマーケティングで顧客満足度を高める

One to Oneマーケティングは、すでに多くの企業でその重要性が認知され、実践されています。これまでの画一的なマーケティングやセールスではなく、個々の顧客に最適なアプローチと最適なコミュニケーションを行い、顧客満足度を高めようとしています。

顧客満足度は企業にとって、自社の将来を測る重要な指標です。顧客満足度が高ければ多くの顧客をつなぎ止め、リピーターに育てることができますが、低ければ顧客はすぐに離れていってしまいます。

では、顧客満足度を高レベルで維持するには、どうすればいいのでしょうか。そのためには、顧客に対して「特別な体験」を提供することが大切です。

顧客は「特別な体験」を求めている

企業と消費者の関係は、製品やサービスを「提供する側」と「受け取る側」です。そこは、本質的に変わっていません。しかし、消費者が企業に求めるものは、ここ数年のあいだに大きく様変わりしています。企業が提供する製品やサービスだけでなく、企業とのコミュニケーションを通じて「特別な体験」を求めるようになったのです。

たとえば、セールスフォース・ドットコムによる2019年の調査によれば、次のような結果が出ています。

  • 84%の顧客が「企業が提供する体験は、製品やサービスと同じくらい重要」と答えている。
  • 66%の顧客は「上質な体験が得られるなら、多少値段が高くても許容する」と答えている。
  • 73%の顧客が「特別な体験を一度経験すると他社への期待も高くなる」と答えている。

このように、消費者は企業とのコミュニケーションを通じて、特別な体験を得たいと考えています。それは、製品やサービスそのものと同等の価値があり、上質な体験ならば、場合によっては少々割高でも構わないとさえ思っています。さらに、一度でも特別な体験をしてしまうと、他社に対しても同様の対応を期待することになり、その期待が満たされないと顧客満足度が下がってしまいます。

このことから、今後は消費者に対してどれほど「特別な経験」を提供できるかが企業の重要な課題となり、そのためにOne to Oneマーケティングをいかに活用するかがポイントになる、というわけです。

特別な体験とはどういうことか?

続いて、特別な体験の具体的な中身について少しふれておきましょう。

消費者は、企業が提供する製品やサービスを認知し、検討して購入し、使い続けるまでの一連のプロセスの中で、製品のサイトを訪れたりキャンペーンに応募したり、資料を取り寄せたり質問メールを送ったりと、さまざまなコミュニケーションを企業側と行います。これらのやりとりを心地良く快適に行えれば、企業とその製品に対する信頼や愛着が高まっていきます。つまり、「顧客エンゲージメントが高まる」というわけです。

では、具体的にどのようなコミュニケーションによって、エンゲージメントが高まるのでしょうか。または、消費者は企業に対して、どのような対応を求めているのでしょうか。これについても、先程ご紹介したセールスフォース・ドットコムによる2019年の調査結果 を見てみましょう。

  • 73%の顧客が「企業に自分のニーズや希望を理解してほしい」と思っている。
  • 62%の顧客が「企業に自分の行動や振る舞いにもとづいて対応してほしい」と思っている。
  • 78%の顧客が「状況に応じてさまざまなチャネルを使い分けたい」と思っている。

こうした顧客の対応に応えるために、One to Oneマーケティングの発想と、それにもとづいた施策が重要になるのです。

One to Oneマーケティングの具体的手法と特徴

ここからは、One to Oneマーケティングでよく用いられる具体的な手法について紹介していきましょう。

レコメンデーション

ショッピングサイトなどで、「あなたへのおすすめ商品」「この商品を買った方は、こちらもよく購入されています」などと表示される情報がレコメンデーションです。消費者の過去の購入商品や閲覧した商品ページを記録しておき、それに類似した商品や関連商品などを「おすすめ」という形でプッシュします。

消費者自身と似た興味や関心を持っている属性を持つ他のユーザーの購入商品なども、同時に表示することもあります。

消費者の関心が高い商品が自動的に表示されますから購買の可能性が高く、効率のいい手法といえます。

リターゲティング広告

リターゲティング広告は、自社サイトを訪れた消費者をその後も追跡し、他のサイトの広告枠に自社製品の広告を表示させる方法です。

たとえば、◯◯保険会社のウェブサイトで自動車保険について調べた後、行く先々のサイトに「自動車保険なら◯◯保険」というような広告が表示されることがあります。これがリターゲティング広告です。消費者の行動から興味の対象を読み取り、自社サイトへの再訪や購入を促す手法です。

レコメンデーションと同様、興味の対象が明らかな層へのアプローチですので、マーケティング手法としては効果的です。

メール配信・DM送付

顧客情報が収集できている層に対しては、直接メールを配信したりDMを送ったりという手段が使えます。キャンペーン情報や優待情報を直接届けることで購買意欲を刺激することができますから、こちらも有効な方法でしょう。

DMは、送料のほかに制作費が必要ですから、それだけコストが大きくなります。しかし、封入物の構成や用紙の選択によって、デジタル媒体では表現できない高級感・特別感を醸し出すことができます。高額商品の案内や優良顧客向けの限定キャンペーンなどには有効です。

LPO

LPO(Landing Page Optimization:ランディングページオプティマイゼーション)は「ランディングページ最適化」と訳され、ランディングページを訪問者に対して最適化することで購買率を高める手法です。

検索結果からたどり着くランディングページは、消費者と企業のいわば最初の接点です。ここにどんなメッセージを盛り込むか、どのような構成・デザインにするかは、会員登録や購買といった消費者のその後の行動に大きな影響を与えます。

デザインやテキストを変えたページを複数用意して、反応の違いを探るABテストは、よく知られたLPO手法のひとつですが、曜日や時間帯によって、あるいは消費者の属性によって表示するページを変えるといったことも可能です。

複数のデバイスとチャネルのコントロール

One to Oneマーケティングを実現する手法はいくつもありますが、ここでのポイントは「複数のチャネルとデバイスをコントロールすること」です。

冒頭でご紹介したように、現在では、企業と消費者個人とのあいだに多くの接点があります。そのあらゆる接点で同じメッセージが繰り返し流されるのは、消費者からすればわずらわしいものです。

One to Oneマーケティングでは、個々の消費者に対して複数のチャネル、複数のデバイスを使い分けることが重要ですが、同時にそれら複数のチャネルとデバイスを通じて消費者個人を認識し、アプローチをコントロールしていくことも重要です。

MAが実現するOne to Oneマーケティング

これまでご説明したようなOne to Oneマーケティングの手法は、それぞれを手作業で行おうとするとたいへんな手間がかかります。そこで活用されるのがMA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)です。

MAは数々の機能を持ち、人の手作業ではとてもさばききれないような細かく大量の作業を、的確に処理してくれます。

たとえば、自社の製品サイトの閲覧状況の記録にしても「誰が、いつ、どのページを開いたか」を追跡し、購買の見込みがどれくらいあるかを数値化してくれます。メール配信にしても、サイトの閲覧だけでなく、購入時や、購入◯日後など、複数の条件を組み合わせて「誰にどんなメールを送るか」を選別し、配信処理することができます。

さらに、配信したメールへの反応や、蓄積されたログを解析して、訪問者に対して最適なタイミングで有用な情報を届けることもできます。

このように、個々の消費者を識別し、それぞれに適したコミュニケーションを実現してくれるのがMAであり、それによってOne to Oneマーケティングが実現するのです。

MAはプランがあってこそ活きる

MAは「オートメーション」という単語を含んでいるため、「データを吸い上げれば、あとは自動で処理してくれる」と思われがちなようですが、これは大きな誤解です。

MAが自動処理を行うためには、その内容を詳細に指示するシナリオがなければなりません。つまり、MAはあらかじめ作られたシナリオどおりに、決められた行動を「自動で」処理しているに過ぎないのです。そしてそのシナリオは、人の手で作らなくてはなりません。

MAを導入したけれど、うまく活用できていないという声はしばしば聞かれるものです。そうしたケースでは、このシナリオづくりがうまくいっていない、ということも少なくありません。

ほかの多くのビジネスツールと同様、MAは魔法のソフトではありません。十分なデータとしっかりしたシナリオが用意できて初めて、真価を発揮するものだと覚えておいてください。

One to Oneマーケティングで自社のファンを増やそう

個々のニーズに合わせてアプローチするOne to Oneマーケティングは、顧客満足を高めるとともに、離脱を防ぐことにもつながります。また、コントロールされた状況下で、顧客にとって有用な情報を発信し続けることができれば、自社あるいは自社製品のファンになってくれる優良顧客を、さらに増やすことにもつながるでしょう。

十分に練り上げたシナリオとデジタルツールを存分に活用して、優良顧客を増やし、自社利益の向上に役立ててください。

 

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