ECモールとは?自社ECとの違いから人気モールまで解説

 
2022.10.04
ECモールとは、複数の企業やショップが出店するショッピングモール型のECサイトのことで、 Amazonや楽天市場などが代表的です。ECモールの種類や特徴から、ECサイトとの違い、メリット、人気のECモールの比較まで、詳しく解説します。

ECモールとは

ECモールとは、ショッピングモール型のECサイトのことです。わかりやすい例を挙げると、Amazonや楽天市場などがそれに該当し、大きなサイトの中に複数のブランドやショップなどが出品・出店する形態をとっています。

ECモールの強みは、すでに出来上がっているECのなかに自分たちのショップを置くので、専門知識をあまり必要とせず、また単体では知名度が低い企業でも商品を購入してもらえる可能性が高い点にあります。

自社ECサイトとの違い

ECサイトにはECモールのほかに、ブランドやメーカーが自社商品を販売する「自社EC」があります。一般的に「ECサイト」とは、自社ECサイトを指すことが多いです。

ECモールと自社ECサイトは、よくメリット・デメリットの部分で比較されます。しかし、どちらが優れているということは無く、それぞれ一長一短です。ECモールと自社ECサイトを比較すると、下記のようになります。

  ECモール 自社ECサイト
初期費用
  • 安い
  • 自社で開発すると高い
  • 安価なECシステムも選択できる
運用費用
  • 高い(出店料が必要)
  • 運用方法によって安く抑えられる
メリット
  • モール自体に集客力がある
  • モール内の関連流入が期待できる
  • サイト管理の負担が少ない
  • ショップ開設が比較的簡単
  • デザイン・レイアウトの自由度が高い
  • 自社PRやブランディングに活用できる
  • 顧客との接点や顧客情報を得られる
  • (ECモールと比べて)利益率が高い
デメリット
  • デザイン・レイアウトに制限がある
  • 独自サービスを実装できない
  • ほかの商品との競り合いが起こる
  • 顧客との接点や顧客情報を得られない
  • 利益率が低い
  • 集客が難しい
  • 開発する場合は初期費用が高額
  • サイト管理の負担が大きい

ECモールは内部にショップを置くため、ショップ開設時の初期費用が安く、同時に手間も少ない傾向にあります。ただ、継続的な出店料が必要な点や、デザイン・レイアウト・機能などは制限されることを覚えておきましょう。

一方で自社ECサイトは自由度・利益率ともに高く、自社PRの場としても活用できます。WEB上でのブランディング拠点のような使い方ができる一方、独自にサイトを構築する必要があるため、初期費用が高くなるほか、維持管理の負担は大きくなるデメリットがあります。

ECモールの種類

ECモールは大きく下記の3種類に分類されます。

  • テナント型ECモール:ECモールサイト内にショップを出店するタイプ
  • マーケットプレイス型ECモール:ECモールに商品を置いてもらうタイプ
  • 統合管理型ECモール:自社運営の複数ショップを一元管理するタイプ

テナント型ECモール

ECモール内に出店するのが「テナント型ECモール」です。楽天市場やYahoo!ショッピングなどが該当します。

テナント型ECモールは、現実世界のショッピングモールと似ています。ECモールを訪問したユーザーが、自分の欲しいアイテムを取り扱っているショップを探し、そこで買い物をするイメージです。ただ、実際は検索から直接商品にアクセスして、商品からショップを認知してもらう流れが多いです。

メリットは、ECサイト内でも一定のデザイン・レイアウト変更が可能な点や、ブランディングが可能な点、テナント内における回遊が期待できる点などです。その一方、代表的なデメリット商として、品単位で出品する「マーケットプレイス型ECモール」に比べて、手間がかかる点が挙げられます。

マーケットプレイス型ECモール

商品単位で出品できるECモールが、「マーケットプレイス型ECモール」です。代表的な例であるAmazonには、さまざまな企業や個人が出品しています。

マーケットプレイス型ECモールのメリットは、商品単位で出品できる手軽さです。わざわざショップを開設する必要がなく、少ない手間と費用で出品できます。デメリットとしては、店舗の概念が薄いため、ブランディングやマーケティングが難しい点です。

統合管理型ECモール

統合管理型ECモールは、自社内にある複数のショップを一元管理する目的で設置されるものです。ECサイトをとりまとめる役割を果たします。たとえば、自社で複数のブランドショップを展開している場合、統合管理型ECモールを設置することで、1つの入り口からそれぞれのブランドショップへアクセスできるようになります。

統合管理型ECモールのメリットには、アクセスのしやすさや回遊性の向上などがあげられます。また、複数のブランドを展開しているなら、ブランドの運営企業を認識してもらう効果も期待できます。デメリットとしては、サイト構成やサイト内におけるユーザーの遷移などを考える必要があるために、多くの時間や労力がかかることです。

 
 
 
 
 
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ECモールの出店に関する費用

ECモールに出店する場合に必要な費用は、おもに下記の3種類です。

  • 初期費用
  • 月額費用
  • 各種手数料

それぞれの費用はECモールによって異なります。初期費用を安くして出店・出品しやすくしているECモールもあれば、手数料を安くして長く出店・出品し続けてもらおうというサービスもあります。そこでここでは、タイプの異なるECモールの例として、代表的な3社の出店・出品にかかる費用を比較しました。

  Amazon 楽天市場 Yahoo!ショッピング
初期費用 無料 60,000円 無料
月額費用

■大口出品:4,900円

■小口出品:100円/商品

■がんばれプラン:19,500円
※システム利用料:月間売上高の3.5~7.0%

■スタンダードプラン:50,000円

■メガショッププラン:100,000円
※システム利用料:月間売上高の2.0~4.5%

無料
各種手数料

販売手数料:8~15%
※商品のカテゴリーによって異なる

楽天ポイント:購入代金の1%

安全性・利便性向上のためのシステム利用料:月間売上高の0.1%

アフィリエイト経由売上の2.6%~

R-Messe:月額固定費3,000円~+従量課金制

楽天ペイ利用料:月間決済高の2.5%~3.5%

ストアポイント原資負担:1~15%
キャンペーン原資負担:1.5%
決済手数料:クレジットカード3.24%
※その他決済方法ごとに手数料設定あり
※アフィリエイト利用時パートナー報酬原資:1%~15%
手数料:アフィリエイトパートナー報酬原資の30%

初期費用と月額費用を比較するとAmazonとYahoo!ショッピングは無料・または安価で、楽天市場は比較的高額であることが分かります。ただ楽天市場は、高額な分サポートや独自サービスなどが充実しています。

※楽天は個人事業主の出店は厳しく、住民票や実店舗の写真提出も求められます。

ECモールに出店するメリット・デメリット

ECモールには、出店の手軽さや集客力の高さなどのメリットがある一方で、継続的にコストがかかったり、自由度が低かったりといったデメリットもあります。手軽にECサイトを始めたいときや、運営の手間をかけたくないケースでは便利ですが、自分たちの商品をもっと良く見せたいとなったときには物足りないかもしれません。

ここでは、代表的なECモールに出店するメリット・デメリットを紹介します。

メリット

ECモールのおもなメリットは、下記の3つです。

  1. 手軽に始めることができる
  2. 集客力が高い
  3. サポートを利用できる

出店が簡単で、ECサイト自体が持つ集客力を利用できるうえに、ECサイトの運営会社が持つノウハウも活用できます。初めてのECサイト運営でもとっつきやすく、運営に必要なリソースの節約にも繋がります。

1. 手軽に始めることができる
ECモールは出店に必要なテンプレートが決まっているため、各項目を入力するだけで出店が可能です。自社でECサイトを構築するとなると、サーバーの決定から運用システム、デザイン、搭載機能の決定などが必要ですが、ECモールではこれらの手順を省いていきなり出店できます。

2. 集客力が高い
Amazonや楽天市場など、大手ECモールはそれ自体の知名度が高く、同時にWeb上での集客力も高いです。ECを自社で持つ場合、初期はサイトへの流入が見込めないため、地道に広告を打ち続け、同時並行で自社商品を検索してもらうための努力が必要です。ECモールであれば、その負荷が減り、開店初期から集客が見込めます。

3. サポートを利用できる
多くのECモールでは、出品・出店者に向けて広告出稿やコンサルティングなどのサポートが用意されています。自社商品の販促施策が簡単に打てるほか、サポートを通じてECサイトにおける集客のノウハウを吸収できます。

デメリット

ECモールのおもなデメリットは下記の4点です。

  1. ランニングコストが高い
  2. ショップの独自性を出しにくい
  3. 商品価格を保ちにくい
  4. ブランド育成、顧客育成が難しい

ECモールは多くのメリットを与えてくれますが、その分費用がかかったり、手軽な分デザイン・レイアウトに制限があったりします。これらのデメリットをメリットと比較して、自社の状況にあった選択をしましょう。

1. ランニングコストが高い
ECモールは初期費用を抑えられる反面、システムやサービスを使用するための月額利用料や、売り上げに応じた手数料などが継続的にかかります。月額費用は定額制が多いですが、売り上げに応じた手数料は割合で差し引かれることがほとんどで、売り上げが大きくなるほど額も大きくなる傾向にあります。

2. ショップの独自性を出しにくい
ECモールのカスタマイズ幅や選択できる機能には制限があり、ショップごとにオリジナリティのあるデザインを用意したり、欲しい機能を搭載したりするのは限界があります。手軽にショップの準備ができる分だけ、ほかのショップとの差別化やブランディングの確立が難しくなっています。

3. 商品価格を保ちにくい
ECモールには数多くの出品者がいて競合商品も多く、ECモール内での価格競争が激しいです。ECモールによっては価格や性能を比較して紹介する機能もあり、競合する出品者が多くいると、その分だけ価格を下げないと売れない状況も起こりやすくなります。

4. ブランド育成、顧客育成が難しい
ECモールはショップの独自性を出しにくいため、顧客へのアピール力も弱く、リピーターの獲得が難しくなっています。自社ECサイトでは、自分たちを知ってもらうためのコンテンツを提供したり、購買意欲を高めるために継続的なアクションを起こしたりできますが、ECモールでは顧客情報の獲得に制限があるためです。

また、近年激化しているECモール内の価格競争は、商品を安さのみで選ばせる一因となっていて、商品の品質やベネフィットが伝わりにくくなっています。

そのため、リピーターやファン獲得を重視する企業は、自社ECサイトを選ぶケースも増えています。サイト立上げや集客などでコストやリソースはかかりますが、ファンやリピーターを創出するための土台として考えれば、ECモールよりプラスに働く可能性もあります。

 
 
 
 
 
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人気ECモール6社の特徴を比較

ここからは人気の大手ECモールサイト6社の特徴を比較して紹介します。ECモールへの出店を検討する場合の比較用として、自社ECサイトを検討している場合の比較対象としてご活用ください。

Amazon

Amazonは世界最大級のECモールで、日本版サイトを2000年から解説しているECモールの先駆者でもあります。「地球上でもっとも豊富な品揃え」をうたうほど、食品からホビー、アパレル、家電やメディアなど、ありとあらゆるジャンルに数多くの出品があります。
利用者数 4729万人(国内/2021年12月時点)
売上総額 2兆5378億1000万円 (2021年1~12月)
ユーザー層 18~49歳が中心
メリット 月額費用が安い、出品手数料の仕組みがシンプル、出品条件のハードルが低い
デメリット 出品数が多く埋もれやすい、商品単位での出品だとショップの個性が出ない
出店におすすめのケース ストアを作らずに出品したい場合、初期費用や月額費用を安く抑えたい場合

出品方法は商品単位のマーケットプレイス型ですが、Amazon内におけるストアの出店も可能です。初期費用や月額費用が安く、それ以外にかかる費用が出品手数料8~15%だけというシンプルさも魅力。同時に出品条件のハードルも低く設定されています。


楽天市場

楽天市場は、楽天グループが運営するECモールです。Amazonに先駆けて1996年からECモールを設立しています。
利用者数 5104万人(国内/2021年時点)
売上総額 5兆110億円(2021年1~12月)
ユーザー層 18~49歳が中心
メリット 出品者に対するサポートが手厚い
オプションサービスが豊富
楽天経済圏の恩恵を受けられる
デメリット 出店手数料が高い
出店におすすめのケース 安心して出店できるECモールを探しているECモールのポイントプログラムを活用したい

出品形態はモール型を採用していて、ストア単位での出品となります。出品手数料はECモールの中では高額な部類ですが、出品者に対するサポートが手厚く、オプションサービスも多く用意されています。ニールセンによる2021年12月Monthly Totalレポートによれば、国内においては利用者数がAmazonより多く、5,000万人を超えています。また「楽天経済圏」と呼ばれる大規模なポイントプログラムを構築していて、ポイントを目当てにクレジットカードやバーコード決済ツールを使うユーザーも多いです。


Yahoo!ショッピング

Yahoo!ショッピングは、Yahoo! JAPANが提供する日本最大級のECサイトです。楽天市場、Amazonと並んで国内3大ECモールといわれています。
利用者数 2288万人(国内/2021年12月時点)
売上総額 不明
ユーザー層 35~49歳が中心
メリット 出店手数料が安い
PayPayとのポイント連携を活用できる
ソフトバンクユーザーにアピールできる
デメリット Amazonや楽天より集客力が無い
出店におすすめのケース 初期費用や月額費用を抑えたい
PayPayのポイントプログラムを活用したい

出品形態はモール型のストア単位で、初期費用無料・月額費用無料で出店可能です。また、買い物によってバーコード決済ツール「PayPay」で使えるPayPayポイントが付与されるので、PayPayユーザーの取り込みが見込めます。


au PAYマーケット

au PAYマーケットは、携帯電話事業で有名なブランド「au」の公式ECモールです。開設が2017年と比較的新しく、規模こそ小さいものの、その分だけ競合は少なくauユーザーの取り込みも望めます。
利用者数 961万人(国内/2021年12月時点)
売上総額 不明
ユーザー層 30~50代が中心
メリット 出店手数料が安い、auの携帯ユーザーを集客できる、スマートフォン経由の売上が97%と、スマートフォンに特化している
デメリット ECモールの規模が小さい、知名度が低い
出店におすすめのケース auユーザーやスマートフォンユーザーに特化したECサイトを作りたい場合、出店手数料を抑えたい場合

出品形態はモール型のストア単位で、初期費用0円、月額費用5,280円で出店可能です。「コミコミ出店プラン」という、決済手数料と成約手数料を1つにした形態を採用。手数料率は4.5~9.0%で、ショップの売上額が高いほど割合が低くなるように設定されています。


Qoo10

Qoo10は、アメリカに本社を置く「eBay(イーベイ)」の日本法人「eBay Japan(イーベイジャパン)合同会社」が運営するECモールです。知名度はAmazonや楽天市場などより低いですが、レディースファッションやビューティーアイテムなどに力を入れていて、大手ECモールとは違った特化イメージを持つことが特色です。
利用者数 1,750万人以上(2020年12月時点)
売上総額 不明
ユーザー層 20~40代の女性がメインターゲット層(Qoo10 2020年1~7月のトピックより)
メリット 出店手数料が安い、独自サービスが利用できる、ターゲット層を絞った出店ができる
デメリット ECモールの規模が小さい、知名度が低い
出店におすすめのケース 20~40代の女性をターゲットにしたアイテムを取り扱う場合

出店にかかる費用は、取引成立時に課金される6~10%の販売手数料のみです。また、独自サービスとして複数ネットショップを一括管理できる在庫管理ツールや物流代行サービスなどがあります。


ZOZOTOWN

ZOZOTOWNは、千葉県に本社を置くアパレルに特化したECモールです。さまざまな有名アパレルブランドのアイテムがそろっていて、サイズや在庫も豊富です。
利用者数 1,000万人以上(2022年時点)
売上総額 9,064億8,000万円(2022年1~12月)
ユーザー層 20~40代の女性
メリット アパレルに特化したECモールを利用できる、商品管理や配送の手間がかからない
デメリット 受託販売のため自社のストアを設置できない
出店におすすめのケース ZOZOTOWNの知名度を使ってアパレルアイテムを販売したい場合

ZOZOTOWNの出品形式は、受託販売を採用したマーケットプレイス型になっています。出品者はZOZOTOWNに商品を納品して、ZOZOTOWNが管理や配送などを行います。出品手数料は公表されていませんが3割程度だと言われています。

全体のまとめ

顧客のニーズや購買行動が年々、多様化している中で、売上を伸ばし続けるにはECサイトを活用した新しい販売チャネルの開拓も重要です。ECモールは、自社のECチャネルを手軽に構築できる方法の1つであり、費用やリソースも比較的少なくスタートできます。

また、本格的にECサイトを運用したくなったら、自社ECサイトの構築が可能なシステムの導入もおすすめです。「Salesforce Commerce Cloud」もその1つで、あらゆるタイプの顧客に最適なコマース体験をもたらすデジタルコマースプラットフォームを短期間で構築できます。ECサイト運用の際にはぜひご活用ください。

 
 
 
 
 
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