顧客接点(タッチポイント)とは?強化する方法・メリットを解説
顧客接点はタッチポイントとも呼ばれ、企業と顧客が接触を持つ場面や場所です。デジタルデバイスの普及によって顧客接点が多様化しているため、企業は顧客接点の管理や強化に取り組む必要があります。
ここでは顧客接点が重視される理由や、強化の方法、企業の注意点、成功事例などを解説します。
顧客接点(タッチポイント)とは?企業と顧客が接触を持つ場面や場所
顧客接点は、企業と顧客が接触を持つ場面や場所を指し、タッチポイントと呼ばれることもあります。顧客と企業の関係性はすべて、何らかの顧客接点をきっかけとして始まるものであり、ビジネスの成長において、顧客接点の強化は欠かせないものとなっています。
かつては、BtoBではセールスによる営業活動、BtoCでは一般消費者を対象としたコールセンターなどが、おもな顧客接点でした。しかし、現在は多様化が進み、BtoBにおいては展示会や講演会、ウェビナーなど、BtoCではウェブサイトやSNS、アプリなどが新たな顧客接点として活用されています。
顧客接点が多様化した背景には、デジタルデバイスや情報サービスの普及による顧客の行動パターンの多様化、ライフスタイルの変化、競合環境の激化などがあります。企業にとっては、増加した顧客接点を、どのように企業戦略に活かすかが重要です。
顧客接点の種類
顧客接点の種類は、オフラインとオンラインの2種類に区分されます。さらに、接点を持つタイミングによって購買前・購買時・購買後の3区分に分けられるため、下記の表のような6つの区分で考えるのが一般的です。
顧客接点の種類が多いのは、新規顧客獲得を目的とした購買前接点ですが、購入時や購入後の接点も、顧客と良好な関係を構築するためには欠かせないものです。特にLTV(顧客生涯価値)が高い顧客を育成することを目標とする場合には、購買時と購買後の顧客接点が重要になります。
■さまざまな顧客接点
オフライン |
オンライン |
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購買前 |
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購買時 |
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購買後 |
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顧客接点の強化が重視される理由
顧客接点の強化が重視される理由は、企業の売上向上に貢献するからです。顧客接点を強化することで以下の3つの要素につながり、その結果として売上向上に貢献します。
<顧客接点の強化が貢献する要素>
- 集客・認知拡大
- 顧客対応の効率化
- 顧客満足度の向上
まずは、顧客に自社の商品・サービスを購入してもらうための集客・認知拡大です。次に、継続して購入してもらうための顧客対応の効率化に貢献します。これらを経て、自社のファン創出につながる、顧客満足度の向上に役立つのです。
顧客接点を強化する方法
顧客接点を強化する考え方には、大きく分けて2つあります。ひとつは接点の数を増やすことです。もうひとつは顧客行動の可視化によって、顧客接点で提供する情報やコミュニケーションの質を高めることです。ここでは、数とコミュニケーションの質を両立させながら、顧客接点を強化する3つの方法を紹介します。
<顧客接点を強化する方法>
- 新たな顧客接点の創出(販売チャネルの開拓)
- カスタマージャーニーマップの活用
- ツール導入による業務効率化
新たな顧客接点の創出(販売チャネルの開拓)
顧客接点を強化する方法は、新たな顧客接点の創出です。新たな顧客接点の創出は、多様化するチャネルへの対応や、消費者からの認知度の向上に有効な手法です。既存の接点に加え、新たな接点を創出することで、より多くの顧客と関係を築き、商品やサービスの提供価値を向上させられます。
具体的な方法としては、新しい販売チャネルの開拓や、ウェブサイト・SNSなどの活用、イベントへの出展、セミナーの開催などが挙げられます。このときに重要なのは、顧客が求める情報やニーズの把握と、発信に最適なチャネルの選択です。複数のチャネルを活用するマルチチャネルが一般的となっているため、チャネルごとに最適化したコミュニケーションが求められます。
カスタマージャーニーマップの活用
カスタマージャーニーマップの活用も、顧客接点を強化する方法のひとつです。カスタマージャーニーマップは、顧客が商品やサービスを認知してから購入するまでの過程を可視化するためのフレームワークです。
顧客が抱える課題や疑問点を明確化し、顧客体験をブラッシュアップするための施策立案が可能になります。カスタマージャーニーマップのなかで顧客接点を設定し、フェーズに合わせて顧客に最適な情報やコミュニケーションを提供することで、顧客との信頼関係の構築につなげます。
カスタマージャーニーマップを作成する上で重要なことは、顧客接点やユーザー行動をできるだけ正確に予測することです。行動情報の収集・分析によって顧客心理を把握することで、適切なタイミングで的確な施策を実施できるようになります。カスタマージャーニーマップは、下記のテンプレートや記入例を活用すると簡単に作成できます。
■カスタマージャーニーマップのテンプレート
ツール導入による業務効率化
ツール導入による業務効率化も、顧客接点を強化する方法に挙げられます。顧客接点でのコミュニケーションにおいては、質の高い情報やコミュニケーションを提供することが重要ですが、これをマンパワーのみによって実現するのは現実的ではありません。
SFA(営業支援システム)やCRM(Customer Relationship Management)などの営業活動支援ツールを活用すれば、業務を効率化できます。これらのツールは、情報の管理や分析、共有などの効率化・自動化だけでなく、メールや記事などのコンテンツ制作の補助も可能です。
ITツールによって顧客接点を強化するメリット
ITツールによって顧客接点を強化するメリットは以下のとおりです。
<ITツールによって顧客接点を強化するメリット>
- 迅速に顧客対応できる
- 遠隔の顧客も集客できる
- 顧客とのコミュニケーションの質が上がる
SFAやCRMなどのツールを導入して顧客接点を強化すると、顧客の状態に合わせて、適切なタイミングでコミュニケーションを取れます。
また、顧客情報を営業部署で共有できるため、作業効率が上がります。
顧客対応にかかる工数を下げたり、質を上げたりしたい場合には、ITツールの導入を検討してみてください。
顧客接点を強化する際の企業の注意点
顧客接点の強化を実現するためには、いくつかの注意点があります。これから解説する注意点を意識することで、より確実に顧客接点を強化できるでしょう。ここでは2つの注意点を紹介します。
<顧客接点を強化する際の企業の注意点>
- 体制整備や人員確保
- 顧客対応の一貫性の維持
体制整備や人員確保
顧客対応の一貫性の維持
顧客接点強化の成功事例
ここからは、実際に顧客接点強化に取り組み、成功した事例を2つ紹介します。異なる業態におけるそれぞれの目的や計画設定方法、実現への過程を見ていきましょう。
<デジタル化による顧客接点強化の成功事例>
- 店舗でもオンラインでもどこからでも顧客とつながるIT小売企業へ:株式会社カインズ
- 顧客とのタッチポイント最適化を進める:株式会社新生銀行
店舗でもオンラインでもどこからでも顧客とつながるIT小売企業へ:株式会社カインズ
関東地方を中心に大型ホームセンターを展開する株式会社カインズは、オンラインとオフライン両方で顧客接点を持つ「IT小売企業」を目指しています。
カインズの実店舗は、売り場面積が広く商品数が豊富です。さらに、自社オリジナル商品も数多く展開していて、全国的に多くのファンが存在します。その強みを活かして同社では、リアルをオンラインで支えることで、より快適で楽しい買い物体験を目指すとともに、顧客とのつながり強化へ取り組みました。
そのひとつが、カインズホーム専用アプリの「カインズアプリ」です。このアプリはコンシェルジュのような役割で、オンラインで注文や取り置きができます。また、店舗の専用駐車場や閉店後の店外ロッカーでの商品受け取りや店内マップの確認など、さまざまなサービスを内包しています。
これらはすべて、オフラインの買い物体験をより快適にするために考案されたものです。オンラインとオフラインを区別することなく顧客対応することで、より良い買い物体験を提供し、顧客満足度向上を実現しているのです。
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顧客とのタッチポイント最適化を進める:株式会社新生銀行
株式会社新生銀行は、個人顧客との関係構築を目的とした顧客接点の最適化に取り組んでいます。
元々同行ではATM手数料の無料化やホテルのラウンジのような窓口の設計など、顧客目線の革新的なサービスを数多く提供していました。さらに、100万を超えるユーザーデータと全国約30店舗のマンパワーを組み合わせ、ビジネス基盤を整備したことにより、顧客ニーズにマッチした商品の提供や、AIやロボティクス技術を活用したコンサルティングサービスも可能となったのです。
このような多大なリソースを必要とするしくみを支えているのが、Salesforceのプラットフォームです。Salesforceのソリューションで、取り組みの効率化を実現するとともに、顧客接点の最適化によるビジネス効果の最大化を推進しています。
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Salesforceではマルチチャネルの活用に貢献するソリューションを提供しています。施策の自動化による工数削減や、AIの分析による費用対効果の向上などが可能なMarketing Cloudや、プロセスの自動化やAIによる顧客とのやりとりで業務効率化を実現するService Cloudを、ぜひご検討ください