MA(マーケティングオートメーション)でのシナリオづくりのポイント

投稿日:2020.4.3
MAの役割であるリード育成や既存顧客へのアップセル・クロスセルでは、タイミングの良いアプローチが大切です。中でも、シナリオ設計はその根幹ともいえる重要なものです。
目的によって多種多様なシナリオが考えられますし、その構成によって結果は大きく変わってきます。ここでは、シナリオ作りの基本とその実例をご紹介しましょう。

MAのシナリオとは何か?

ネット広告への反応やオフィシャルサイトへの訪問、セミナーや講演会への参加。さまざまな入り口から自社との接触を持ったリードを育成するために、大きな力を発揮してくれるのがMA(マーケティングオートメーション)です。
そのMAのおもな役割としてリード育成がありますが、重要となるのがシナリオです。やりとりは相手の反応によって、その後の展開が変わります。そのため、どんな反応が返ってくるかを想定しておき、それに対する次のアクションを用意する必要があります。
これがマーケティングにおける「シナリオ」です。リードや顧客とのやりとりは、このシナリオに沿って進められます。そしてシナリオに沿って用意された多種多様のメールを、設定した最適なタイミングで自動送信してくれるのがMAです。
シナリオの出来映えによっては、施策の効果が大きく変わっていきますから、十分に検討を加えつつ設計していくことが重要です。

シナリオづくりのポイント

MAにはシナリオ作成支援の機能がありますから、シンプルなシナリオであれば、さほど苦労せずに作成することができます。しかしシナリオ作成の際には、いくつかのポイントがあります。ポイントを踏まえてシナリオを作り、活用することで、個々の施策の効果をより高め、シナリオそのものを洗練させていくことが大切です。
ここからは、効果的なシナリオづくりのポイントをいくつかご紹介します。

カスタマージャーニーを十分に練っておく

MAはシナリオに沿って動きますが、そのシナリオはカスタマージャーニーにもとづいていなくてはなりません。ターゲットがどのようなルートをたどって、最終的に購入・成約に至るのかを明確にしておき、カスタマージャーニー上の地点が移行していくための仕掛けを、シナリオとして構築していきます。
このプロセスを飛ばしてしまうと、ひとつひとつのシナリオがバラバラで、場当たり的なものになってしまいます。コミュニケーションを通して、上質な顧客体験を提供するなら、まずしっかりしたカスタマージャーニーを作り上げることです。それを個々のシナリオに落とし込めば、自社と顧客とのコミュニケーションを美しくデザインすることができるでしょう。

仮説だけでなく、データの裏づけをとる

情報発信のきっかけとなるトリガーの設定や、送信するタイミングとコンテンツなどは、顧客のその後の行動を左右する重要な要素です。それらを決めていく段階で、「おそらくこういうことでは?」という仮説は大切ですが、それが単なる想像や思い込みでは、成果は望めません。
たとえ仮説を立てるにしても、それはデータにもとづいたものであることが前提です。セールスにヒアリングをして、顧客の行動や要求の傾向をつかんだり、自社サイトのアクセス解析を行ったり、あるいは顧客アンケートを分析するなどして、事実の裏づけをとるようにしましょう。

SFA・CRMとの連携でシナリオの精度を高める

MAをSFAやCRMと連携すると、顧客情報を一元管理できるプラットフォームが実現します。そして、マーケティングとセールス、カスタマーサービスという独立した3つの部門を、こうしたツールによってつなぎ合わせ、それぞれの業務の成果を互いに役立てるという効果を生みます。 同時に、セールス部門での実績から、その前段階であるマーケティングがどれほどの効果を上げているのかという効果測定が可能になり、その結果を受けて各プロセスの改善を図ることができます。

それはシナリオづくりにおいても有効です。
たとえば、オフラインで行われる商談では、セールスからの提案に対して顧客はさまざまな反応を見せますが、その内容を分析すれば、顧客へのスコアリングの仕方や情報発信の条件などを調整し、シナリオの精度を高めることができます。
MAとSFA・CRMの連携は、さまざまな面で多くのメリットを生み出してくれるのです。

結果は必ず分析し、次回に活かす

シナリオは一度作ったらOKというものではありません。何らかの施策を実行した後は、常にその結果を分析・評価し、次回に活かすことが不可欠です。
とはいえ、シナリオ内には分析対象となる数値が多数あります。どれを指標とすればいいのか、迷ってしまうかもしれません。しかし、すべての数値を追いかけるのは現実的ではありませんから、初めのうちは目的に沿って定点観測する数値を絞り込んでおき、さらに詳しく分析したいときに他の数値も参照していくという使い方をするといいでしょう。
たとえば、メールのタイトルや内容が適切かどうかを見たい場合には、開封率とクリック率のみで比較し、外的要因なども含めて検証したい場合には、全体の開封数を参照するという具合です。 分析の目的に沿って、対象となる数値をしぼり、その結果を次回に反映させる。その繰り返しでシナリオを研ぎ澄ませていくのです。

シナリオはこうして作っていく

ここからはMAのシナリオの作り方を、順を追ってご紹介します。

1. シナリオの目的を決めておく

個々のシナリオを作る際には、「誰に」「何を」「いつ」「どのように」を必ず盛り込むことがポイントになりますが、それ以前に決めておくべきは「何のためのシナリオなのか」ということです。 デモ版の試用を促したいのか、展示会やセミナーに勧誘したいのか、リアル店舗への来店促進を狙うのか、休眠顧客を掘り起こしたいのか。このような具体的な目的を決めておき、そのためにどのようなシナリオが必要なのかを考え、構築していきましょう。
目的がはっきりしていないと、シナリオそのものにぶれが生じ、期待した成果を上げることができなくなってしまいます。

2. ターゲットの属性を明確にする

シナリオの設計で重視すべきことは多々ありますが、中でも重要度が高いのが、ターゲットの属性を明らかにすることです。誰に向けて情報を届けるのかが明確であれば、その先の「どんな行動を起こさせるために、どんな情報を発信するのか」も、自ずと絞り込まれていきます。
対象がリード状態にある見込み顧客なのか、既存顧客なのか。どんな行動に対してアクションを起こすのか。BtoBであれば役職・企業規模、BtoCであれば年齢・性別・地域といった属性情報も必要になってくるでしょう。
これらの要素をまとめて、ターゲットを明確にしておけば、シナリオの精度を高く維持することができ、MAの成果を高めることができます。

3. タイミングと頻度を考慮しながら発信するコンテンツを決定する

ターゲットが明確になったなら、そこに対して「いつ、どんなコンテンツを発信するか」を決めていきます。「いつ」の中にはタイミングだけでなく、頻度も含まれると考えてください。
狙うべきターゲットに対しては、「競合に流れてしまう前に、できるだけ早く確保したい」という思惑が働くものです。しかし、早朝や深夜に、それも毎日のようにメールが送られてきたら、相手にしてみれば迷惑でしかありません。しかも、その内容が自社製品のアピールばかりでは、うんざりしてしまうでしょう。
タイミングと頻度とコンテンツ。これをどう設定するかは、シナリオの目的によって違ってきます。迷うところではありますが、ここでターゲットに嫌われたり、飽きられたりしないよう、まずは無難なタイミングと頻度を設定し、ターゲットの興味に合ったコンテンツを選別してください。

4. トリガーを設定する

続いて、コンテンツを発信するきっかけとなるトリガーを設定します。設定の仕方はさまざまですが、いずれも相手の何らかの行動やスコアリングでのポイントがトリガーとなります。

<トリガーの種類>

  • 相手のアクションをトリガーに設定
    製品資料をダウンロードしたら、活用事例をまとめたebookを紹介するメールを送信する。
  • 相手は何かしらアクションしているものの、その先のフェーズに進まない状況をトリガーに設定
    自社サイトを何度も訪れ、巡回もしているけれど、トライアルに至らない相手にデモ版を紹介する。
  • 「行動しない」という行動をトリガーに設定
    すでにトライアルを試用したけれども、その後の一定期間、何の反応も示さない相手に、トライアルの評価をお願いする。

相手の行動に対してすぐに対応するか、しばらく間を置くか。シナリオ上での状況に応じてタイミングにも配慮しながら、トリガーを設定しましょう。

5. チャネルを選定する

シナリオづくりにおけるポイントのうち、「どのように」にあたるのがチャネルの選定です。ここまで、メール送信を想定してご説明してきましたが、シナリオの内容によっては、スマホアプリでのプッシュやSNSへの送信など、ほかのチャネルのほうがいい場合もあります。また、特定のチャネルを好んで使う人もいるでしょう。
いずれにせよ、現代は多くの人々が多くのチャネルを用途によって使い分けている時代です。それら、すべてのチャネルを最初から網羅するのは無理ですし、そこまでする必要性も高くないかもしれません。
しかし、上質な顧客体験を提供するためにシナリオを設計するのであれば、「このアクションは、どのチャネルが最もふさわしいか」を常に意識しておくことは大切なことなのです。 MAによっては、「あるチャネルで開封されなかった場合に、別のチャネルでコンタクトをとる」という機能や「過去の行動パターンから、最も開封しやすそうなチャネルを自動的に選ぶ」という機能があるものもありますので、それら機能を利用してもいいでしょう。

BtoBとBtoCのサンプルシナリオ

最後に、サンプルとなるシナリオを2つご紹介しましょう。ひとつは、BtoBにおける少し複雑なもの。もうひとつは、BtoCでのシンプルなプッシュ通知です。 セールスなど関連部門とすり合わせ、試行錯誤しつつシナリオをブラッシュアップしていきましょう。

BtoB:商談が止まっている顧客に対するメールのシナリオ

※「いまから始めるマーケティングオートメーション定番シナリオ20選」より

案件化し、商談に入りながらも、早い段階で商談が止まってしまっている顧客向けに送信するメールのシナリオです。商談というコミュニケーションがなくても、顧客側での検討は続いていますから、再び商談を前進させるきっかけを得ることが目的です。どのタイミングでどんなコンテンツを送るかは、セールスとのすり合わせが必要となります。
このシナリオでは、「商談開始から30日以上経過」「商談フェーズが低い」「営業活動が15日以上なされていない」という条件に合致した場合、キャンペーン案内のメールを配信します。反応があった場合にはレポートを作成してセールスに通知し、タイミングの良いフォローアップにつなげます。

B2C:モバイルプッシュ通知のシナリオ

複数エリアに店舗を展開する小売・サービス企業が、自社のモバイルアプリをインストールしたユーザー向けに発信するプッシュ通知です。ユーザーが特定店舗の近隣エリアに入ったとき、その店舗で利用できるクーポンを自動送信します。
ユーザーが、GPS情報の取得およびプッシュ通知の配信を許可していることが前提になりますが、クーポンを当日限定とするなど、プレミアム感を高めることで来店を強く促すことができます。 シンプルなシナリオですので実践しやすいのですが、プッシュ通知は場合によっては「情報の押し売り」にもなりかねません。先にご紹介したとおり、シナリオ以前のカスタマージャーニーを十分に練り上げておくことが大切です。

改善を重ねて、より効果的なシナリオに

シナリオづくりは、最初は難しく手間がかかるものです。しかし、回数を重ねれば設計の勘所が見えてきますし、ブラッシュアップを重ねれば、少しずつであっても精度は高まっていきます。
リードや顧客の状況にマッチしたシナリオであれば、きっとその効果を実感できるはず。結果を急がず、分析・改善を重ねて、効果的なシナリオを作り上げてください。
 

関連記事・リソース

 

関連製品

 

Essentials

中小企業向けCRM

スモールスタートで
実現するSFA・カスタマーサービス

Sales

営業支援

世界No.1のCRMで、
スマート、スピーディに営業